トップメッセージ 取締役 代表執行役社長 山 本 清 博

オートメーション事業が
「持続可能な社会」に果たす役割に
注目が集まる中、
azbilグループらしい
ソリューションを広げていくために
「変革」をスピード感をもって進めて
まいります。

需要を着実に捉えるとともに調達・生産プロセス改革等で過去最高益を達成

azbilグループの基幹事業であるオートメーション事業は、建物や工場、ライフラインといった領域の“空間の質・生産性の向上”と“資源・エネルギー使用量の適切な抑制”を両立することが可能な事業であり、私は当社グループの事業拡大と企業価値向上は、そのまま地球や社会のサステナビリティに直結していると考えています。当社グループは、2030年度に向けた長期目標として「持続可能な社会へ『直列』に繋がる貢献」を掲げ、推進に向けたファーストステップとして、中期経営計画(2021~2024年度)の実践に注力しています。また、2019年から事業活動の羅針盤として追求してきた「azbilグループSDGs目標」を含む10項目の「重点課題」を策定しています。

現在、中期経営計画の2年目が終了しましたが、世界的な気候変動問題や産業界における需要の高まり、新型コロナウイルス感染拡大による世界的な安全・安心ニーズやリモート環境の定着等、自動化・省力化・省エネ化・省資源化などオートメーションが果たす多彩な価値創造への期待は高まる一方であり、その需要も年々拡大していることを実感しています。

2022年度の業績においては、新型コロナウイルス感染症や地政学的リスクに端を発したグローバルサプライチェーンの混乱、エネルギー価格の高騰やインフレなど厳しい状況下にありましたが、お客様の生産性改善ニーズ等、高まるオートメーション需要を着実に捉えると同時に、調達・生産プロセスの抜本的な見直しによる生産継続、コスト上昇に対する適正な価格転嫁などグループを挙げた取組みを通じてビルディングオートメーション(BA)事業、アドバンスオートメーション(AA)事業、ライフオートメーション(LA)事業全てで受注高、売上高が前年度比で増加、過去最高益を更新することができました。

なお、株主の皆様への利益還元につきましては、こうした業績結果及び将来の事業の見通しを踏まえ、資本政策の基本方針に則り、成長に向けた必要な投資を行いつつ、2022年度の期末配当については、公表より1円増配し、1株当たり33円50銭(年間66円)とし、2023年度の配当については普通配当を7円増配し、1株当たり年間73円を計画しています。また、規律ある資本政策の観点から、上限100億円(又は上限400万株)の自己株式を取得し、その全数を消却いたします。

「変革」をスピード感をもって進め、
更なる成長を追求

このように業績は全体としては着実に進捗していますが、私はこれら業績や市場の評価が示す更なる成長への可能性を踏まえつつ、オートメーションの価値―持続可能な社会に果たす役割の拡大や、azbilグループが持つ他社にない技術のユニークさを考えると、更なる成長を目指すことができると考えています。

当社グループが創出するオートメーションは、空調や生産設備の自動化といった部分最適のみならず、建物・工場全体において空間の質・生産性向上と資源・エネルギーの抑制を図り、かつその効果を建設時から運用、保全、改修までのライフサイクルを通じて高め続けるところに大きな強みがあります。こうした考えから、「新オートメーション事業」「環境・エネルギー事業」「ライフサイクル型事業」から成る「3つの成長事業領域」を定め、BA、AA、LAの全事業に適用、事業モデルを「変革」していく方針を掲げています。

これら変革に関しては現状、一定の成果を生み出していますが、一方で、当社グループのお客様も近年の地政学的リスクや気候変動、パンデミックへの対応を踏まえてグローバルなサプライチェーンの再構築やエネルギー転換を進めるなど、自らの事業モデルをこれまでにないスピードで変えられていると認識しています。その中で我々の従来のやり方・ペースでは、今後の事業拡大には十分でないと考えています。見方を変えれば、オートメーション市場にはそれだけ大きな可能性があるということですが、私はazbilのオートメーション事業には、お客様のビジネスモデル改革を支え、社会の持続可能性を高める技術・製品・サービスが豊富にあると考えており、製品・サービスの拡充や事業体制を一層強化していくことで他社と異なる価値を提供することができると考えています。

厳しい事業環境はこれからも続き、顧客ニーズも一層高度化すると思われます。持続的な成長が問われるなか、私は「変革」の強度とスピードを一層速め、中期経営計画2024の目標達成を完遂する決意を新たにしています。

地球が持続的であるために、そしてazbilグループが株主様をはじめとするステークホルダーの皆様と持続的に成長していくためには、これまでとは異なる視点、スピードで変革を進めていく必要があります。長期目標の最終年度である2030年は、数年後ではなく、今この瞬間の経営判断とグループ一人ひとりの行動に委ねられているという認識のもと、変革を加速し、更なる成長を目指してまいります。株主の皆様におかれましては、「人を中心としたオートメーション」の理念のもと、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を目指す当社グループの事業展開にご注目いただき、今後も長期的なご支援を賜りますようお願い申し上げます。