事業報告(2024年4月1日から2025年3月31日まで)
企業集団の現況に関する事項
(1)主要な事業内容(2025年3月31日現在)
azbilグループは、人々の安心・快適・達成感と地球環境への貢献を目指す「人を中心としたオートメーション」を追求し、“計測と制御”の技術のもと、建物市場でビルディングオートメーション事業を、工場やプラント市場でアドバンスオートメーション事業を、ライフラインや健康等の生活に密着した市場でライフオートメーション事業を展開しております。




(2)事業の経過及びその成果
azbilグループを取り巻く事業環境認識は次のとおりです。
国内大型建物向け空調制御機器・システムにつきましては、都市再開発計画に基づく需要が高い水準で継続し、省エネ・CO2排出量削減対策を含めた改修案件の需要も堅調に推移しています。生産設備向けの各種機器・システムにつきましては、工場・プラントの脱炭素化やDX推進に向けた需要が継続し、また、ファクトリーオートメーション(FA)市場は前連結会計年度からの需要低迷から一部で回復の兆しが見られました。
この結果、当連結会計年度における業績につきましては次のとおりとなりました。
受注高は、アズビルテルスター有限会社(以下、「アズビルテルスター」といいます。)の出資持分譲渡※による影響からLA事業が減少しましたが、BA事業が堅調な市況に加えて、複数年の大型サービス契約の更改により増加したことを主因に、前連結会計年度比5.9%増加の3,047億2千3百万円(前連結会計年度は2,878億5千1百万円)となりました。売上高についても、LA事業が同様の理由で減少しましたが、BA事業が前連結会計年度における受注増加を背景に、平準化の取組みも着実に進展したことにより大きく増加したため、全体として前連結会計年度比3.2%増加の3,003億7千8百万円(前連結会計年度は2,909億3千8百万円)となりました。
損益面につきましては、営業利益は、中期経営計画に基づく研究開発費の増加に加え、DX関連費用、人件費やその他費用の増加がありましたが、増収及び価格転嫁も含めた収益力強化施策により大きく改善し、前連結会計年度比12.6%増加の414億8千6百万円(前連結会計年度は368億4千1百万円)となりました。経常利益は、為替差損の計上があるものの、営業利益の増加等により前連結会計年度比8.1%増加の421億7千万円(前連結会計年度は389億9千9百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、アズビルテルスターの出資持分譲渡による売却益(約76億円)の計上を主因に、前連結会計年度比35.6%増加の409億5千5百万円(前連結会計年度は302億7百万円)となりました。
- ※ アズビルテルスターの出資持分の全てを、2024年10月31日(中央ヨーロッパ時間)付で譲渡しました。この譲渡に伴いアズビルテルスター及びその子会社を2025年3月期第3四半期末にて当社の連結の範囲から除外しております。






BA ビルディングオートメーション事業
あらゆる建物に求められる快適性や機能性、省エネルギーを独自の環境制御技術で実現。
建物のライフサイクルに応じたサービスによって、健康で生産性の高い働き方をサポートする執務・生産空間の創造と環境負荷低減に貢献します。
事業フィールド
●オフィスビル ●ホテル ●ショッピングセンター ●病院
●学校 ●研究所 ●工場 ●データセンター ●空港 など




※各数値には、セグメント間の内部取引高が含まれております。
BA事業を取り巻く環境は、国内市場においては、都市再開発のオフィスビル向け需要が一旦踊り場を迎えていますが、高い水準を引き続き維持しています。省エネ・CO2排出量削減の需要に加えて、新型コロナウイルス感染拡大後の安全や新しい働き方に適応した新たなソリューション対応への関心も継続しています。海外市場でも新型コロナウイルス感染拡大前の水準を超えて、投資が拡大しています。
こうした事業環境のもと、着実に受注を獲得するとともに、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体に業務の遂行能力の強化とDX推進による効率化を進めてまいりました。また、IoTやクラウド等の技術活用を志向する国内外のお客様のニーズに対応するための製品・サービスの拡大も進めてまいりました。
この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、大型の複数年サービス契約の更改を主因に、人員等のリソースのシフト・体制強化を進めている既設建物向け分野も増加し、BA事業全体として大きく伸長し、前連結会計年度比12.3%増加の1,536億4千万円(前連結会計年度は1,367億8千2百万円)となりました。売上高は、国内事業における平準化の取組みが進展し、新設建物向けから既設建物向け・サービス分野が増加したことに加えて、海外事業の拡大により、前連結会計年度比10.5%増加と大きく伸長し1,487億7千万円(前連結会計年度は1,346億5千5百万円)となりました。セグメント利益は、外注費の高騰のほか、人件費、DX関連費用や研究開発投資等の費用の増加がありましたが、収益性の高い既設建物向け・サービス分野を中心とした増収及び価格転嫁を含む収益力強化の効果により大きく改善し、前連結会計年度比25.8%増加の243億6千3百万円(前連結会計年度は193億7千3百万円)となりました。
中長期的には、引き続き大型の再開発案件が計画され、建物の改修計画も多数見込まれています。採算性に配慮しつつ、これらの需要に確実にお応えしてまいります。さらに、事業提携も含めて、脱炭素化に向けた省エネ・再生可能エネルギー利活用ニーズに応えるESP(Energy Service Provider)モデルの展開、データセンター市場の更なる拡張を進めてまいります。また、新型コロナウイルス感染拡大後に顕在化した安全・安心ニーズに利便性・快適性を備え、新しい働き方にも適応したウェルネスオフィスの需要に対し、クラウドサービスや新空調システムといったソリューションを提供することで、持続的な成長を目指してまいります。収益力強化の観点からは、営業・エンジニアリング等のDXの推進や事業プロセス変革を含めた取組みを進め、更なる高収益体質を実現してまいります。
AA アドバンスオートメーション事業
製造現場における課題解決に向け、装置や設備の最適運用をライフサイクルで支援する製品やソリューション、計装・エンジニアリング、保守サービスを提供。
さらに、IoT・AIやビッグデータを活用し、省エネルギーの実現と安定的かつ安全な操業をサポートします。
事業フィールド
●石油化学・化学 ●石油精製 ●電力・ガス ●鉄鋼 ●ごみ処理・上下水道 ●紙パルプ ●船舶 ●食品
●薬品 ●自動車 ●電気・電子 ●半導体 など




※各数値には、セグメント間の内部取引高が含まれております。
AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、プロセスオートメーション(PA)市場は、国内の保守・改造需要を中心に堅調に推移しています。一方、FA市場では、中国での市況回復の遅れがありましたが、一部で回復の兆しが見られています。
このような事業環境のもと、海外での事業成長、新しいオートメーションの創造という2つの成長施策を通じて事業拡大を図るとともに、部材調達難対応としての調達・生産プロセスの改善や収益力強化に継続して取り組みました。
この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、前連結会計年度に大型案件が計上された影響がありましたが、PA市場の堅調さに加えてFA市場での需要に回復が見られたことなどから、前連結会計年度比4.4%増加の1,059億8千6百万円(前連結会計年度は1,014億8千1百万円)となりました。また、売上高は、FA市場の市況低迷の影響がありましたが、PA市場の堅調さにより、前連結会計年度と同水準となる1,068億3千6百万円(前連結会計年度は1,070億5千2百万円)となりました。セグメント利益につきましても、人件費をはじめとした各種経費の上昇や海外市場への投資、DX投資、研究開発投資の増加等はありましたが、価格転嫁を含む収益力強化施策の効果が引き続き認められたことにより、前連結会計年度と同水準となる159億9千7百万円(前連結会計年度は161億1千8百万円)となりました。
現在もFA市場は低い水準の市況動向が継続していますが、海外での事業成長、新しいオートメーションの創造の2つの成長施策が着実に進展しており、今後の市況回復期での成長に寄与することに加え、長期的には工場の脱炭素化、人手不足対応、設備老朽化対応、新しい生産方式の導入等、お客様のオートメーションへのニーズ対応として、工業系オートメーション市場はグローバルに拡大していくことが期待されています。引き続き3つの事業単位※(CP事業、IAP事業、SS事業)を軸に、海外事業をはじめとした成長領域への展開を推し進め、AIやクラウド、微細加工等の先進的な技術を取り入れた製品・サービスの開発、市場投入を加速し、当社グループならではの新しいオートメーションを創造することで、高い競争力を持った事業成長を目指してまいります。
- ※
- 3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)
- CP事業:
- コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
- IAP事業:
- インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
- SS事業:
- ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)
LA ライフオートメーション事業
建物・工場・プラントや生活インフラの領域で永年培った計測と制御の技術を活かし、ガス・水道等のライフラインから、家庭の空調システムをはじめとした生活空間の質の向上まで、人々の身近な暮らしの中に一層の安全・安心と快適、省エネルギーを提供します。
事業フィールド
ライフライン分野
●ガス(都市ガス、LPガス) ●水道 など
住宅用全館空調システム分野
●住宅メーカ など




※各数値には、セグメント間の内部取引高が含まれております。
LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング、そして住宅用全館空調システムの生活関連の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。
ライフライン分野は、法定によるメーターの交換需要を主体として一定の需要が継続的に見込まれますが、現在LPガスメーター市場が循環的な不需要期にあります。また、海外で事業展開してきたライフサイエンスエンジニアリング分野では、業界再編の進展、欧州地域の混迷による景況感の影響を受ける中で、事業ポートフォリオ再構築を進めるために同分野を担うアズビルテルスターの出資持分譲渡※を実施しました。この譲渡による連結範囲からの除外が、LA事業の当連結会計年度の業績に影響いたしました。
※ 資本効率の向上を図る事業ポートフォリオ再構築に取り組み、2024年10月31日(中央ヨーロッパ時間)、ライフサイエンスエンジニアリング分野を担うアズビルテルスターの出資持分全てをSyntegon Technology GmbH(以下、「Syntegon社」といいます。)の100%子会社であるFalcon Acquisition, S.L.U.へ譲渡いたしました。なお、この出資持分譲渡に伴いアズビルテルスター及びその子会社は2025年3月期第3四半期末をもって当社の連結の範囲から除外しております。
上記の事業環境や事業ポートフォリオ再構築により、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、ライフサイエンスエンジニアリング分野が減少したことを主因に、全体として前連結会計年度比9.4%減少となる468億4千5百万円(前連結会計年度は516億8千9百万円)となりました。売上高につきましては、ライフライン分野、住宅用全館空調システム分野は前連結会計年度と同水準となりましたが、受注高と同様の理由によりライフサイエンスエンジニアリング分野が減少したことから、前連結会計年度比9.3%減少の466億3千4百万円(前連結会計年度は514億4百万円)となりました。セグメント利益についても、ライフサイエンスエンジニアリング分野の減少に加えて、人件費をはじめとした各種経費の上昇により前連結会計年度比14.9%減少の11億7千1百万円(前連結会計年度は13億7千5百万円)となりました。
ライフサイエンスエンジニアリング分野における事業譲渡後のLA事業では、引き続き価格転嫁の取組みを含めた収益力の改善、DXの推進による業務プロセスの見直しなどに取り組み、環境変化に応じた適切な変革を推進いたします。ライフライン分野では、エネルギー供給市場における事業環境の変化を捉え、スマートメーターを視野に入れた製品提供型の事業に加え、IoT等の技術を活用し、各種メーターからのデータを活用したサービスプロバイダーとしての新たな事業の創出に取り組んでまいります。住宅用全館空調システム分野では新設建物から既設建物まで、省エネや空気質も含めて、幅広く生活空間の快適性を提供する製品対応等により、事業を推進してまいります。
対処すべき課題
azbilグループは、「人を中心としたオートメーション」のグループ理念のもと、事業拡大を通じて、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献により、継続的な企業価値の向上を図り、社会と社員のWell-beingを実現し、あらゆるステークホルダーと信頼関係を構築してまいりたいと考えております。
当社グループでは、株主価値増大に向けて連結ROE(自己資本当期純利益率)の向上を基本的な目標としており、2021年5月14日に策定した2030年度をゴールとする長期目標を、2025年5月13日、売上高4,200億円、営業利益650億円、営業利益率15.5%、ROE15%を目標として上方修正いたしました。前中期経営計画(2021~2024年度)※1期間での収益力強化の取組みの成果を活かし、長年にわたる顧客基盤との強い関係を基にした事業に加えて、成長領域の開拓で更なる成長を目指しております。
この長期目標達成に向け、前中期経営計画の最終年度となる2024年度では、事業収益力の強化を進め、売上高3,000億円、営業利益375億円、営業利益率12.5%、ROE12.2%を計画し、実績として、売上高3,003億円、営業利益414億円、営業利益率13.8%、ROE17.9%を達成しました。
これを踏まえ、2027年度を最終年度とする3ヵ年の新中期経営計画※2では、最終年度の売上高3,400億円、営業利益を510億円、営業利益率15.0%、ROE14%を達成することを目標としております。
2021年度から2024年度までの前中期経営計画期間では、コロナ禍を契機に市場環境は大きく変化し続けました。最終年度の2024年度も、生成AIをはじめとする技術革新、インフレやグローバルサプライチェーンの課題、地政学的リスクの高まりや貿易摩擦等、多くの企業にとって変化の激しい年となりました。この不確実性が増す状況下において当社グループとしましては、市場ごとに事業環境は異なるもののお客様の生産性改善ニーズ等による受注を着実に捉え、調達・生産プロセスの改善により売上を拡大するとともに、インフレ等によるコスト上昇に対し、価格転嫁対応を含む収益力強化と業務効率化の展開により過去最高業績を更新しました。
2025年度から始まる新中期経営計画(2025~2027年度)は、2030年度の長期目標を見据えた第二期間であるとともに、2026年に迎える創業120周年を超えて、“持続可能な社会へ直列に繋がる貢献”に向けた進化、共創を実現する計画と位置付けております。我々はこれまで、未来を見通し、変化を捉え、「創業時からのDNA」を時代にあわせて活性化し、自らを進化させることで、お客様や現場の声に誠実に応え、前中期経営計画期間には3つの成長事業領域※3をはじめとする様々な領域で事業拡大を実現してまいりました。新中期経営計画においても、半導体等の技術革新及びカーボンニュートラルのような社会環境の変化に伴う新たな社会課題解決を更なる事業機会と捉え、人的資本強化、商品力強化、DX推進等の投資を着実に行ってまいります。グローバルでの地政学的リスク、米国相互関税政策に伴うインフレ等、事業環境変化は継続しておりますが、当社グループの特長である、製品をご利用いただいている工場、商業ビル、ライフラインといったお客様の現場における、ライフサイクルに応じた長期にわたる商品・サービスの提供を通じ、効率化や高品質化といった価値を提供し続けることで、持続的かつ安定的な成長を目指してまいります。その具体的な内容は次のとおりです。
- ※1
- 2021年5月14日、中期経営計画(2021~2024年度)を策定・公表いたしました。
- ※2
- 2025年5月13日、新中期経営計画(2025~2027年度)を策定・公表いたしました。
- ※3
- 3つの成長事業領域:「新オートメーション事業」、「環境・エネルギー事業」、「ライフサイクル型事業」
1[サステナビリティ経営]
azbilグループでは、ダブルマテリアリティ(環境・社会が企業に与える財務的な影響と、企業活動が環境・社会に与える影響という2つの側面から重要性を評価する考え方)を取り入れ、長期にわたり取り組む重点課題として5分野10項目のマテリアリティを特定しています。これらのマテリアリティに基づき、事業や企業活動に関する7つの項目については、SDGs(Sustainable Development Goals-持続可能な開発目標)の領域において目標を「azbilグループSDGs目標」として具体的に定めるとともに、企業が社会に存立するうえで果たさなければならない基本的責務である3つの項目については、CSR活動において具体的な目標を定めております。このようなSDGs及びCSR活動における各目標の達成に向けて様々な取組みを行うことにより、当社グループの「サステナビリティ経営」の推進を通じ、持続的な成長を目指してまいります。
2[国内事業]
ビルディングオートメーション(BA)事業は、中期的には国内の大型建設需要は旺盛になっていますが、このような好調な環境下において、お客様に満足いただける一層高い品質の製品やフィールドサービスを提供し続けるとともに、カーボンニュートラルやウェルネスを中心とした新しいニーズに対しても当社グループならではの新規商品の提供や、事業開拓のための他社協業を推進しています。
カーボンニュートラルへの具体的な取組み事例として、株式会社読売新聞東京本社の本社ビルと東京北工場で実施するオフサイトフィジカルコーポレートPPA※4において、両物件が使用する電力を、再生可能エネルギー※5由来の電力に置き換える再エネ電力スキーム導入事業への参画が挙げられます。この事業の参画を通じ、蓄熱制御を始めとするビルディングオートメーション技術やデマンドレスポンス※6技術の更なるアップデートを図り、お客様のカーボンニュートラルへの取組みのサポートや脱炭素社会実現の貢献を目指しています。

▲オフサイトフィジカルコーポレートPPAの仕組み
アドバンスオートメーション(AA)事業では、景気の循環による変動影響はあるものの、脱炭素化、サーキュラーエコノミー、生産高度化、安全・安定操業、人手不足対応等の要望に対して、計測・制御分野を中心に貢献できる領域は大きく、更なる事業領域の拡大と事業成長が期待できると考えています。成長戦略として、社会の環境変化や技術の潮流変化に対応した「azbilグループならではの新しいオートメーション領域」を創出していくとともに、原価低減、販売価格適正化等の各種収益力強化施策をCP事業、IAP事業、SS事業の3つの事業単位でのオペレーションを通じて着実に実行してまいります。
新しいオートメーション領域の商品として、AIを活用した品質ナビゲーションシステム「Deep AnchorTM」の販売を開始しました。Deep Anchorは、自律型品質管理のコンセプトに基づいて開発された、AIを活用した品質管理業務のためのナビゲーションシステムで、製品の品質に影響を与える因子を自動で抽出し、生産中の品質変化をリアルタイムで監視するだけでなく、万一、品質検査で不合格が発生した際には、その原因を自動で調査し報告する革新的な機能も備えています。


Deep Anchorは、次の3つの機能を提供するAIによる品質ナビゲーションシステムです。
- 機能1:
- 製品品質に影響を与える因子を自動抽出
- 機能2:
- 生産中の品質影響因子の変化をオンラインモニタリング
- 機能3:
- 品質検査で不合格の場合、製造データ等からその原因を自動で調査報告
▲AIを活用した品質ナビゲーションシステム「Deep Anchor」
ライフオートメーション(LA)事業では、ライフライン分野において、主体であるガス・水道メーターの交換に関する安定した需要に対し、価格転嫁等を通じて収益性の改善に努めています。さらに、計量法に基づく安定した更新需要をベースに、ガス・水道メーターのスマート化と、これに通信とクラウドシステムを融合したSmart Metering as a Service (SMaaS) 事業を推進してお客様や社会への新たな価値の提供を目指します。また、住宅用全館空調システム分野では、新設建物から既設建物や小規模建物まで、対象建物の拡大により収益性を向上し、長期的にはサービスエンジニアリング力にIoT技術をプラスして現場対応力を強化し、お客様の健康で快適な暮らしに省エネをプラスした全館空調分野での快適住空間プロバイダーへ事業の拡大を目指します。
- ※4
- コーポレート PPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約):
企業が再エネ電力を発電事業者から長期にわたって固定価格で購入する契約。オフサイト PPA とは、遠隔地の発電所から一般の送配電網を介して電力を調達する形態で、フィジカル PPA とは、発電事業者が小売電気事業者を通じて電力と環境価値をセットで需要家に供給する形態。
- ※5
- 再生可能エネルギー:太陽光、風力、温度差等の自然エネルギーを利用して電力や熱を生成するエネルギー。
- ※6
- デマンドレスポンス:需要家側エネルギーリソースの保有者もしくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御することで、電力需要パターンを変化させること。
3[海外事業]
BA事業では、アジア地域の建物市場を中心に、都市化の進展が継続し、オフィスのグレードアップが進むことが見込まれています。そのため、国内事業モデルでの強みである省エネルギーのアプリケーション技術、エンジニアリング、サービス力を活用した製品・サービスの提供を推進していきます。また、成長が期待されるデータセンター市場においては、シンガポールで開催された「第10回Data Centre World Asia(DCWA)2024」に、シルバースポンサーとして出展し、お客様とのネットワーク拡大、更なるコラボレーションの模索、東南アジア地域全体での市場プレゼンスの向上を図りました。

▲Data Centre World Asia 2024
シルバースポンサー
AA事業では、中長期的な視点で循環的な景気変動はあるものの、グローバルでの経済成長の継続、更なる生産性改善の要求、設備老朽化への対応、環境規制の拡大、新技術の活用に対する期待等を背景とした生産設備の自動化投資は引き続き拡大が見込まれています。そのような状況下において、脱炭素社会へ向けた産業構造の転換を見据え、新市場向けの拡張製品開発や異常予兆検知・AI設備診断等、新しいオートメーション領域の開拓を進めていきます。加えて、戦略地域の営業体制強化や営業活動の質の改善を継続することで、顧客のカバレッジが拡大しており、事業基盤整備も着実に進捗しています。さらには、価格転嫁を含む収益力強化施策も継続し、高い利益率を引き続き確保してまいります。
LA事業では、ライフサイエンスエンジニアリング領域においてスペインのアズビルテルスターを中心として事業を展開していましたが、業界再編のなかで、資本効率向上に基づく事業ポートフォリオ再構築の観点から検討を重ね、成長分野への経営資源の効率的な投下のため、2024年10月にはアズビルテルスターの出資持分全てを欧州の有力パッケージソリューション企業であるSyntegon社の100%子会社に譲渡しました。
以上のような国内外の3つの事業軸への取組みに加えて、技術探索及び新技術の獲得、事業基盤の強化と事業領域の拡大を目指して新たに米国ベンチャーファンド2社との出資契約を締結いたしました。具体的には、気候変動やAIに関してDNX Ventures社と、BA事業領域においてMetaProp社と、それぞれ出資契約を結び、これらのファンドに出資する企業(Limited Partner)との連携や協業も視野に入れた取組みを加速していきます。
4[生産・開発]
azbilグループの事業拡大に向けて、グローバル生産体制を構築し、商品力強化に向けた開発投資の強化を進めてまいりました。国内では生産機能の中核拠点である湘南工場と藤沢テクノセンターにおける技術開発機能の連携を強化し、グループ内のマザー工場としての機能整備を進めています。また、藤沢テクノセンターでは、新実験棟にてクラウドやAIを活用した先進的なシステム・ソリューションやMEMS※7技術による高機能・高性能デバイスの開発プロジェクトが進展しました。
海外では、グローバルな事業拡大に合わせた生産体制の整備を進めています。
タイの生産拠点では、新たに工業市場向けの電磁流量計といった高度な生産技術を要する製品を対象とした生産機種拡充のため、新工場棟を2024年4月に竣工しました。さらに、同年8月にはベトナムのフンイエン省に生産子会社のアズビルベトナムプロダクション有限会社の設立を決定し、2025年3月に登記が完了しました。生産能力の増強を図るだけでなく、競争力向上のためのコスト削減や持続的な製品供給を実現するための適切な生産体制の構築と、近年懸念される地政学的リスクに対応するための強化策としても位置付けております。
商品力強化の推進を担う開発系人材の確保にも継続して注力しており、グローバル開発体制における外部パートナーとの連携促進のために、適応力と受容力を備えた、多様な人材の獲得や育成を進めていきます。具体的にはこれまでにも卒業生の採用やインターンシップ生の受け入れ実績のあるマレーシア工科大学(UTM※8)とマレーシア日本国際工科院(MJIIT※8)と産学連携を含めた包括的な協働関係強化について覚書を締結し、脱炭素化技術を始め、計測・制御技術に基づく共同研究や開発等を進めてまいります。

▲当社とUTMのMoU締結式
なお、地政学的リスクによるグローバルサプライチェーンの課題、エネルギーや部品価格の高騰、インフレ等は今後も一定の範囲で継続すると想定しております。そのため、生産オペレーションの改善を継続しつつ、緊急事態発生時においてもお客様への影響を最小限にするBCPの取組み範囲の拡大を進めており、その一環として、2025年4月に新たな物流の拠点となる「京都配送センター」を設立しました。
- ※7
- MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):センサ、アクチュエータ、電子回路を一つの基板の上に微細加工技術によって集積した機器。
- ※8
- マレーシア工科大学(UTM)は、工学科学技術分野で革新と起業を推進する研究大学で、マレーシアの首都クアラルンプール及び経済活動が盛んな地域であるイスカンダル・マレーシアの南部都市ジョホールバルに所在する。マレーシア日本国際工科院(MJIIT)は、UTMの学部の1つで、東方政策の実施を機に、2010年に設立された。
5[経営管理と人的資本]
経営管理面では、リスクマネジメントにおいて、今後起こりうるリスク事象の影響を最小化すべく、毎年、外部環境の変化を加味して、網羅的にリスクを抽出したうえで、リスク発生時の影響金額や発生頻度の定量的な評価基準に基づき重要リスクを選定するとともに、現場部門と経営層が一体となった取組みにより、不確実性への対策を強化しております。また、国際財務報告基準(IFRS)の任意適用に向けた準備と会計レベルの向上に加え、それに伴う内部統制の強化も進めています。
また、azbilグループでは人材を持続的成長のための「資本」として捉えており、「社員は重要な財産であり、新たな企業文化と企業価値の創造の源泉である」という普遍の考え方をベースに、持続可能な社会の実現に「直列」に貢献できるよう、人的資本を強化しております。今後の技術発展や社会情勢の新たな展開等に合わせた事業構造の変化に対応し、長期目標、中期経営計画の達成に向けて必要となるリソースとしての人材要件を整理した上で、リファラル採用やアルムナイ採用等の様々な手段を活用し、新卒採用・キャリア採用ともに入社時期を問わず、優秀な人材の確保を図っております。加えて、社員が長期にわたって活躍できるよう人事制度を整えるとともに、事業戦略に合わせて育成を行い、適材適所の配置を進めてまいります。
なお、azbilグループとして、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点からも積極的な活動・取組みを進めております。E(環境)では、「経団連生物多様性宣言・行動指針」への賛同を表明し、持続可能な社会の実現へ向け、気候変動対策、資源循環対策、生物多様性保全対策等、幅広い社会的な環境活動と、当社グループの事業活動の融合を進めております。気候変動対策では、国連グローバル・コンパクト(UNGC)主催の「Annual Local Network Forum 2024 Global Compact Network Japan High Level Meeting」及び「Private Sector Forum 2024」に参加し、気候変動対策の加速に向けた提言を実施するとともに、SDGs推進加速における各国企業による協業の重要性を発信しました。生物多様性保全対策では、ネイチャーポジティブ※9の視点から事業を通じて生物多様性に貢献し、サプライチェーンや国内外の関係組織と連携して自然保護の取組みを強化しています。さらに、2024年8月にはTNFD Adopter※10、11に登録し、その提言に沿った活動を推進しています。

取締役 代表執行役社長 山本清博(写真左端)
▲UNGC主催のAnnual Local Network Forum 2024 Global Compact Network Japan High Level Meetingの様子
S(社会)では、2024年8月より、当社の事業がステークホルダーに与える人権に対する負の影響に関する人権デュー・ディリジェンスを開始し、2025年3月に「優先して対応すべき人権課題」とその対応の方向性を決定しました。企業活動のグローバル化・多様化により、拡大かつ複雑化している人権リスクに対して、その防止・低減を図ることで、企業の社会的責任を果たしてまいります。また、「azbilグループ健幸宣言※12」を制定し、総労働時間の削減やハラスメント防止といった職場環境改善等の「働き方改革」、一人ひとりの個性を尊重し、その特徴を活かすことができるよう「ダイバーシティ推進」に関わる各種施策を展開しています。
G(ガバナンス)では、監督機能と執行機能の明確な分離、さらに意思決定の迅速さと透明性を高める目的で「指名委員会等設置会社」へ移行して3年が経過し、役員報酬制度の一部改定等の強化に取り組みました。さらに2025年度から適用する役員報酬においては、業績連動比率の更なる拡充(賞与・株式報酬の構成割合の拡大)及びKPIの見直しに加え、重大な非違行為等が発生した場合に返還請求ができるよう、クローバックの対象範囲の拡大を決定しました。また、取締役会の実効性を高めるためにアズビル独自の「取締役執行役連絡会」を設置するなどの工夫により、経営戦略や事業ポートフォリオに関する議論、法定委員会活動等につき従来以上に活発な議論を行っています。
2025年度においても、持続可能な社会の実現に「直列」に繋がり、企業価値の向上を目指してESGにおける各課題を整理し、今後更なる改善への取組みを継続してまいります。
- ※9
- ネイチャーポジティブ:自然生態系の損失を食い止め、回復させていくことを意味する。
- ※10
- TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース):企業・組織が自身の事業活動による自然資本及び生物多様性への影響を評価し、情報開示する枠組みの構築を目指す国際イニシアチブ。
- ※11
- TNFD Adopter:2024年度(又はそれ以前)又は2025年度までに、TNFDの提言に沿った情報開示を行う意思を表明した企業・組織。
- ※12
- azbilグループ健幸宣言(健康で幸せを目指すため「康」の字を「幸」に替えています):
健康で幸せ、活き活きとした「働きの場と人」を創る。azbilグループは、社員一人ひとりの健康が企業活動の重要な基盤であるととらえ、会社で働くすべての人々が安心・安全で、快適に、活き活きと、自分らしく健やかに働き、それぞれが持つ多様な能力を発揮し、公私ともに充実した人生を送ることが、生産性や業績の向上、イノベーション、社会への貢献につながると考えています。健幸な「働きの場と人」を創るために、会社とそこで働く社員が協働し、快適で働きやすい職場環境づくり、心身の健康づくりに積極的に取り組むことを宣言します。
(ご参考)当社のコーポレート・ガバナンスの取組みについて
azbilグループは、自らの中長期的な発展を確実なものとし、株主の皆様をはじめとする全てのステークホルダーの皆様からの信頼に応え、企業価値の持続的向上を進めるため、基盤となるコーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と認識し、指名委員会等設置会社として、取締役会の監督・監査機能の強化、経営の透明性・健全性の強化、執行の責任体制明確化等に取り組んでおります。
<企業統治の体制>
当社は、指名委員会等設置会社として、過半数の独立社外取締役によって構成され、かつ独立社外取締役が委員長を務める指名委員会、監査委員会、報酬委員会の3つの委員会を設置しております。加えて、取締役会から法的に明確な責任を負う執行役に大幅に業務執行権限を委譲することで、監督機能と執行機能の明確な分離を進め、機動的かつ効率的な意思決定に基づく執行体制を確保すると同時に、より客観的な経営の監督機能を強化しております。
また、取締役への情報提供や執行役との意見交換を行う場として取締役執行役連絡会を設け、加えて社外取締役間での意見交換会を定期的に実施するなど、指名委員会等設置会社としての取締役会によるモニタリングの実効性を確保するとともに、業務執行を担う執行役員制度を継続し、意思決定の質とスピードの向上実現を目指しております。
取締役会は原則月1回開催し、法令に定める事項のほか、経営の最高意思決定機関として経営の重要事項を議論・検討し、大きな方向性を示すとともに、ステークホルダーの意見を反映させるため適切な執行の監督を行っております。業務執行におきましては、代表執行役社長の決定を補佐する経営執行レベルの諮問機関として、執行役及び役付執行役員で構成される経営会議を設置しており、常勤監査委員がモニタリングの実効性確保のため出席しております。経営会議を原則月2回開催することで、迅速な意思決定と執行の徹底により事業推進力の強化を図っております。
2025年3月31日現在で、当社事業及び経営や監査に経験を積んだ取締役4名(曽禰 寛純、山本 清博、横田 隆幸、勝田 久哉)と、独立性があり、幅広い経験や優れた専門性・知見を有し、国際性やジェンダー等の多様性に富む独立社外取締役8名(藤宗 和香、永濱 光弘、アン カー ツェー ハン、佐藤 文俊、𠮷川 惠章、三浦 智康、市川 佐知子、吉田 寛)の合計12名の取締役を選任しており、取締役会における独立社外取締役の割合は過半数に達しております。これらの独立社外取締役は、取締役会にて意思決定を行う際、適切な監督・助言を通じ当社の企業価値の向上に寄与しているほか、取締役執行役連絡会等を通じて執行役等とも定期的に意見交換を行っております。また、当社は中期経営計画の実現等、持続的な企業価値の向上の観点から、取締役に期待するスキル等を定めており、現在の取締役会における独立性・多様性・期待するスキルを確認しております。
社外取締役の選任にあたっては、当社は独自の独立性判断基準を定めております。当社の社外取締役はこの独立性判断基準を満たしており、一般株主と利益相反の生ずるおそれがなく、いずれも充分な独立性を有していることから、東京証券取引所に対し、独立役員として届け出ております。

また、当社は、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しており、その被保険者の範囲は当社の取締役、執行役及び執行役員等、並びに子会社の取締役、監査役及び執行役員等です。被保険者が職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生じることのある損害を当該保険契約により保険会社が填補することとしております。ただし、被保険者の職務の適正性が損なわれないようにするための措置として、被保険者の故意、違法な私的利益供与、犯罪行為等に起因する損害については、填補の対象外としております。なお、被保険者は保険料を負担しておりません。
さらに、当社と社外取締役は、会社法第427条第1項の規定に基づき、同法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、法令が定める最低責任限度額としております。なお、当該責任限定が認められるのは、当該社外取締役が責任の原因となった職務の遂行において善意であって、かつ重大な過失がないときに限られます。
<取締役会の活動状況>
2024年度は取締役会を合計13回開催し、12名の取締役はいずれの取締役会にも出席いたしました。取締役会で議論された主な事項は次のとおりです。

取締役会の実効性に関しては、毎年、自己評価・意見を収集したうえで取締役会において現状の評価と課題の共有を行い、更なる実効性の向上を図っております。2024年度の評価においては、各取締役にあてた質問票の作成と実施及びその集約・分析において客観性を担保し、今後の取締役会の実効性をさらに高めることを目的に第三者機関を活用し実施いたしました。
<指名委員会・監査委員会・報酬委員会の活動状況>
当社は、指名委員会等設置会社として指名委員会、監査委員会、報酬委員会の3つの委員会を設置しております。各委員会の活動状況は以下のとおりです。
(指名委員会)
2025年3月31日現在、当社の指名委員会は4名の指名委員で構成されており、𠮷川 惠章(独立社外取締役)が委員長を、アン カー ツェー ハン(独立社外取締役)、市川 佐知子(独立社外取締役)及び山本 清博(取締役代表執行役社長)が委員を務め、独立社外取締役が過半数となる構成となっております。2024年度は指名委員会を13回開催し、4名の指名委員はいずれの委員会※にも出席いたしました。指名委員会における具体的な検討事項は次のとおりです。
- ※市川 佐知子は、2024年6月25日開催の第102期定時株主総会で選任されたため、就任後に開催された委員会のみ出席しております。

(監査委員会)
2025年3月31日現在、当社の監査委員会は3名の監査委員で構成されており、佐藤 文俊(独立社外取締役)が委員長を、吉田 寛(独立社外取締役)及び勝田 久哉(非業務執行社内取締役)が委員を務め、独立社外取締役が過半数となる構成となっております。2名の独立社外取締役及び1名の当社事業に精通した非業務執行の社内取締役が、内部監査部門と一体となり監査計画を立て、多角的な監査活動を行い、また社内監査委員が常勤体制を敷き、監査委員会監査の実効性を高めています。監査委員長の佐藤 文俊及び監査委員の吉田 寛は、他事業会社にて長年経理財務管掌役員等として財務諸表等の作成の責任者等に従事した経験があり、財務及び会計に関する相当程度の知見を有するものです。また、監査委員会の職務を補助する専任の組織として監査委員会事務局を設置し、2名が監査委員会の職務遂行を補助しております。
監査委員会は原則月1回開催するほか、必要に応じて随時開催しております。2024年度は監査委員会を13回開催し、3名の監査委員はいずれの委員会※にも出席いたしました。監査委員会における2024年度の主な重点監査項目及び監査のポイントと具体的な監査内容は次のとおりです。
- ※吉田 寛は、2024年6月25日開催の第102期定時株主総会で選任されたため、就任後に開催された委員会のみ出席しております。

(報酬委員会)
2025年3月31日現在、当社の報酬委員会は4名の報酬委員で構成されており、永濱 光弘(独立社外取締役)が委員長を、藤宗 和香(独立社外取締役)、三浦 智康(独立社外取締役)及び横田 隆幸(取締役代表執行役副社長)が委員を務め、独立社外取締役が過半数となる構成となっております。2024年度は報酬委員会を14回開催し、4名の報酬委員はいずれの委員会にも出席いたしました。報酬委員会における具体的な検討事項は次のとおりです。

当社では、グループ一体となったコンプライアンス体制の整備について、信頼される企業グループを目指し、法令遵守を含む、役員及び社員の行動指針として、「azbilグループ企業行動指針」及び「azbilグループ行動基準」を制定しております。グループ理念、行動指針、行動基準、経営戦略までを持続可能な社会に対して「直列」に繋げ、社会課題の解決と持続可能な成長の両立の実現を目指してまいります。加えて、反社会的勢力との一切の関係の遮断をはじめとする企業の公共性、社会的責任の遂行や公正な取引の遵守、人間尊重の社会行動、会社財産の管理・運用及び環境保護の遂行を通して企業倫理の確立による健全な事業活動に取り組んでおります。
また、「対処すべき課題」に記載のとおり、サステナビリティ経営を推進すべく、当社グループが長期にわたり取り組む重点課題として特定したマテリアリティにおいて目指す姿の実現に向けて、azbilグループSDGs目標を設定するとともに、企業が社会に存立するうえで果たさなければならない基本的責務に関するマテリアリティ項目については、信頼される企業グループを目指したCSR活動において様々な取組みを進めております。具体的には、業務運営を適正かつ効率的に遂行するために、会社業務の意思決定及び業務実施に関する各種社内規程の制定等により、職務権限の明確化と適切な牽制が機能する体制を整備しております。内部統制機能としては、グループ監査部が、本社部門、各カンパニー及びグループ各社の経営諸活動の全般にわたる管理・運営の制度及び業務遂行・事業リスク・コンプライアンス・内部統制システム等の内部監査を定期的に実施しており、監視と業務改善に向けて具体的な助言・提案を行っております。また、金融商品取引法における内部統制への対応を強化するとともに、当社グループ全体のコンプライアンス活動を推進するため、当社担当役員を総責任者に各社のコンプライアンス担当役員をメンバーとするazbilグループCSR推進会議を設置し、さらに2025年4月1日付でazbilグループコンプライアンス委員会を設け、国内外のazbilグループ全体のコンプライアンスの強化と維持を図っております。さらに、内部通報制度による不祥事の早期発見の体制も整えております。また、業務執行全般にわたり適宜、顧問弁護士、公認会計士等、社外の専門家の助言及び支援を受けております。