事業報告(2025年4月1日から2026年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

(1)主要な事業内容(2026年3月31日現在)

azbilグループは、人々の安心・快適・達成感と地球環境への貢献を目指す「人を中心としたオートメーション」を追求し、計測と制御”の技術のもと、建物市場でビルディングオートメーション事業を、工場やプラント市場でアドバンスオートメーション事業を、ライフラインや健康等の生活に密着した市場でライフオートメーション事業を展開しております。

(2)事業の経過及びその成果

azbilグループを取り巻く事業環境認識は次のとおりです。

国内大型建物向け空調制御機器・システムにつきましては、都市再開発計画に基づく需要が高い水準で継続し、省エネ・CO2排出量削減対策を含めた改修案件の需要も堅調に推移しています。生産設備向けの各種機器・システムにつきましては、工場・プラントの脱炭素化やDX推進に向けた需要が継続しましたが、ファクトリーオートメーション(FA)市場は、地域・市場により需要動向に差異が見られました。

この結果、当連結会計年度における業績につきましては次のとおりとなりました。

受注高は、各種の施策展開に加えて堅調な市況を背景に国内外で大型案件の計上もあったことからビルディングオートメーション(BA)事業が増加しましたが、ライフオートメーション(LA)事業が、前連結会計年度にライフサイエンスエンジニアリング分野を担うアズビルテルスター有限会社(以下、「アズビルテルスター」という。)の出資持分を譲渡※1したことの影響を主因に大きく減少し、全体としては前連結会計年度比0.8%減少の3,023億6千6百万円(前連結会計年度は3,047億2千3百万円)となりました。

売上高は、BA事業が既設建物向け・サービス分野を中心に増加し、アドバンスオートメーション(AA)事業も主に国内外プロセスオートメーション(PA)市場で増加しましたが、LA事業が前述の理由から大きく減少したため、全体として前連結会計年度比0.5%減少の2,989億3千万円(前連結会計年度は3,003億7千8百万円)となりました。

損益面につきましては、営業利益は、中期経営計画に基づく研究開発費の計上、DX関連費用、人件費やその他費用の増加がありましたが、価格転嫁も含めた収益力強化施策により大きく改善し、前連結会計年度比14.0%増加の473億4百万円(前連結会計年度は414億8千6百万円)となりました。経常利益も、主に営業利益の増加により大きく改善し、前連結会計年度比15.6%増加の487億6千万円(前連結会計年度は421億7千万円)となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度にアズビルテルスターの出資持分譲渡による売却益(約76億円)を特別利益として計上していたことを主因に、前連結会計年度比5.8%減少の385億6千5百万円(前連結会計年度は409億5千5百万円)となりました。

  • ※1 アズビルテルスターの出資持分全てを、2024年10月31日(中央ヨーロッパ時間)付で譲渡しました。この譲渡に伴いアズビルテルスター及びその子会社を2025年3月期第3四半期末にて当社の連結の範囲から除外しております。

BA ビルディングオートメーション事業

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あらゆる建物に求められる快適性や機能性、省エネルギーを独自の環境制御技術で実現。

建物のライフサイクルに応じたサービスによって、健康で生産性の高い働き方をサポートする執務・生産空間の創造と環境負荷低減に貢献します。

事業フィールド

オフィスビル ホテル ショッピングセンター 病院 
学校 研究所 工場 データセンター 空港 など

  • ※‌各数値には、セグメント間の内部取引高が含まれております。

BA事業を取り巻く環境は、国内市場においては、都市再開発のオフィスビル向け新設需要が堅調で引き続き高い水準が見込まれます。また建物改修に関する需要も堅調に推移しております。省エネ・CO2排出量削減の需要に加えて、安全や新しい働き方にも対応するオフィス環境の創造への関心も高い状況です。また、海外市場での投資も堅調です。

こうした堅調な事業環境のもと、人員を含めたリソースの適切な配置を進め、施工・サービスの現場を主体に業務遂行能力を強化するとともに、年間を通しての負荷平準化、DX推進による効率化等を進め、獲得した受注案件に着実に対応することで売上を拡大してまいりました。また、AIやクラウド等の技術活用を志向する国内外のお客様のニーズに対応するための製品・サービスの開発や、需要が拡大するデータセンター向けに他社との提携を含めソリューション力の強化を進めてまいりました。

この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。

受注高は、堅調な市況に加えて、新設・既設建物向け分野・海外事業それぞれで大型案件の計上があったことから、前連結会計年度比6.6%増加の1,637億5千万円(前連結会計年度は1,536億4千万円)となりました。売上高は、大型案件の計上等により前連結会計年度の水準が高かった新設建物向け分野が減少しましたが、負荷平準化の取組みの進展もあり既設・サービス分野が着実に増加し、海外事業も伸長したことから、前連結会計年度比5.1%増加の1,563億5千1百万円(前連結会計年度は1,487億7千万円)となりました。セグメント利益は、人件費、DX関連費用や外注費が増加しましたが、増収に伴う増益及び価格転嫁を含む収益力強化の効果により大きく改善し、前連結会計年度比18.6%増加の289億1百万円(前連結会計年度は243億6千3百万円)となりました。

中長期的には、引き続き大型の再開発案件が計画されており、建物の改修計画も多数見込まれています。AI等の新技術を活かしたクラウドアプリケーションの開発等、独自のソリューション力を強化するとともに、他社との事業提携も含めて、カーボンニュートラル実現に向けた省エネ・再生可能エネルギー利活用ニーズに応えるESP(Energy Service Provider)事業や、投資が拡大するデータセンター市場の更なる拡張に取り組んでまいります。さらに、海外市場においては、現地ビルオーナーやグローバルアカウント顧客開拓等による事業成長を実現してまいります。これら事業拡大施策と並行して、BIM(Building Information Modeling)等のDX推進及び省施工・工事レス製品の開発・投入により、更なる効率性向上、収益体質の強化を目指してまいります。

AA アドバンスオートメーション事業

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製造現場における課題解決に向け、装置や設備の最適運用をライフサイクルで支援する製品やソリューション、計装・エンジニアリング、保守サービスを提供。
さらに、IoT・AIやビッグデータを活用し、省エネルギーの実現と安定的かつ安全な操業をサポートします。

事業フィールド

石油化学・化学 石油精製 電力・ガス 鉄鋼 ごみ処理・上下水道 紙パルプ 船舶 食品 
薬品 自動車 電気・電子 半導体  など

  • ※各数値には、セグメント間の内部取引高が含まれております。

AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、PA市場は、国内の保守・改造需要を中心に堅調に推移しました。FA市場では、足元で需要の回復が見られますが、地域・市場で差異があり、全体としての回復は緩やかなものに留まりました。米国相互関税政策自体の当社グループ業績への直接的影響は限定的なものに留まっていますが、中東における地政学的リスクや米中貿易摩擦がサプライチェーンや製造業の設備投資へ与える影響には、今後の動向に留意が必要です。

このような事業環境のもと、国内事業で培った競争力あるソリューションをグローバルに展開するとともに、新たな計測・制御技術需要に対して、MEMS※2センサや自動調節弁関連技術、プラント自律化等の当社グループ独自の技術を活用したシン・オートメーションの創造による事業拡大を進めてまいりました。あわせて、製品・サービスの原価改善、価格転嫁等、更なる収益力強化に継続して取り組みました。

この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。

受注高は、前連結会計年度末において先行的な大型発注がなされたことの影響から海外PA市場が減少しましたが、国内PA市場が大型案件の計上を含めて堅調に推移・増加し、FA市場も下期から増加したことから、全体としては前連結会計年度同水準の1,062億4千2百万円(前連結会計年度は1,059億8千6百万円)となりました。売上高は、国内外でPA市場が増加し、FA市場も受注同様下期から増加に転じたことから、全体としては前連結会計年度比3.6%増加の1,107億2千6百万円(前連結会計年度は1,068億3千6百万円)となりました。セグメント利益は、人件費をはじめとした各種経費の上昇や海外市場への投資、DX投資の増加がありましたが、増収に伴う増益及び価格転嫁を含む収益力強化施策の効果や商品ミックス等の要因により大きく改善し、前連結会計年度比11.3%増加の178億円(前連結会計年度は159億9千7百万円)となりました。

下期以降FA市場の回復が進みつつあり、海外事業の成長、シン・オートメーションの創造・拡大の2つの成長施策も着実に進展しています。中長期的には、景気の循環による変動影響はありますが、脱炭素化、生産高度化、安全・安定操業、人手不足対応や設備老朽化対応等の社会的ニーズに対して、計測・制御分野を中心に貢献できる領域は広がっており、更なる事業成長が期待されます。引き続き3つの事業単位※3(CP事業、IAP事業、SS事業)を軸に、原価低減、販売価格適正化等の各種収益力強化施策に取り組むとともに、海外事業をはじめとした成長領域への展開を推し進め、AIやクラウド、MEMS等の先進的な技術を取り入れた製品・サービスの開発、市場投入を加速し、当社グループならではのシン・オートメーションを創造することで、高い競争力を持った事業成長を目指してまいります。

  • ※2 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)
    センサ、アクチュエータ、電子回路を一つの基板の上に微細加工技術によって集積した機器
  • ※3 3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)
    • CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
    • IAP事業:‌インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
    • SS事業 :‌ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)

LA ライフオートメーション事業

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建物・工場・プラントや生活インフラの領域で永年培った計測と制御の技術を活かし、ガス・水道等のライフラインから、家庭の空調システムをはじめとした生活空間の質の向上まで、人々の身近な暮らしの中に一層の安全・安心と快適、省エネルギーを提供します。

事業フィールド

ライフライン分野

ガス(都市ガス、LPガス) 水道 など

住宅用全館空調システム分野

住宅メーカ など

  • ※各数値には、セグメント間の内部取引高が含まれております。

LA事業は、ガス・水道等のライフライン、住宅用全館空調システムの生活関連の2つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。

ライフライン分野は、売上高の一部を占めるLPガスメーター市場には循環的な需要変動がありますが、法定の検定有効期間満了によるメーターの交換需要を主体として都市ガスメーター、水道メーターを中心に一定の需要が継続的に見込まれます。住宅用全館空調システム分野では、建設費の高騰が戸建て住宅の着工の動きに影響を与えています。

こうした事業環境のもと、安定した交換需要を基盤として、スマートメーターからのデータを活用したサービスの展開等に取り組むとともに、価格転嫁を含む収益力強化に継続して取り組んでまいりました。

なお、前述のとおり事業ポートフォリオ再構築の観点から、ライフサイエンスエンジニアリング分野を担っていたアズビルテルスターの出資持分を2024年10月31日に譲渡いたしました。同社及びその子会社の損益は2024年度第3四半期累計期間までを連結対象としていたことから、当連結会計年度業績には出資持分譲渡による減少影響が含まれております。

この結果、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。

受注高は、アズビルテルスター譲渡による影響(155億円の減少)により、前連結会計年度比27.6%減少の339億3千6百万円(前連結会計年度は468億4千5百万円)となりました。売上高も同様に、同社を譲渡したことによる影響(146億円の減少)により、前連結会計年度比28.5%減少の333億3千6百万円(前連結会計年度は466億3千4百万円)となりました。セグメント利益については、価格転嫁を含む収益力強化施策のほか、経費の削減等を行いましたが、同社譲渡による影響に加えて、部材価格高騰や人件費の上昇の影響等により前連結会計年度比46.2%減少の6億3千万円(前連結会計年度は11億7千1百万円)となりました。

LA事業では、新規戦略投資や他社協業※4の推進を含めた事業拡大に取り組むとともに、引き続き価格転嫁や収益性を重視した営業施策、スマートメーターへの更改等の収益改善施策の効果、並びにDXの推進による業務プロセスの見直しなどを進め、事業環境変化に対応した成長を目指します。ライフライン分野では、計量法に基づく安定した更新需要を基盤事業として、ガス・水道メーターのスマート化と、これに通信とクラウドシステムを融合したSmart Metering as a Service (SMaaSTM※5)事業を推進して、成長を目指します。住宅用全館空調システム分野では新設建物から既設建物まで、省エネや空気質の向上も含めて、幅広く生活空間の快適性を提供する製品とサービスエンジニアリング力の組合せにより、事業を推進してまいります。

  • ※4 他社協業
    ライフライン分野のアズビル金門株式会社は、2025年7月にスマート水道メータリングの分野において漏水検知クラウドサービス等で実績を持つKamstrup社(本社:デンマーク)と協業することで合意しました。
  • ※5 Smart Metering as a Service(SMaaS)
    従来のメーター計測機能に加え、データを活用し新たな付加価値をサービスとして提供する事業モデル。

対処すべき課題

azbilグループは、「人を中心としたオートメーション」のグループ理念のもと、事業拡大を通じて、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献により、継続的な企業価値の向上を図り、社会と社員のWell-beingを実現し、あらゆるステークホルダーと信頼関係を構築してまいりたいと考えております。

2026年5月、当社グループの社会に対する提供価値や存在意義を示すものとして、私たちがステークホルダーに共有すべきパーパスを「人と社会の可能性を、技術で解き放つ。」と定めました。人と社会が潜在的に有する多くの可能性を、オートメーションを含む幅広い技術で解き放つことで、“効率から創造へ。不可能を可能へ。”と、お客様の現場での新しい価値創造に繋げていくことを本パーパスで表しています。また、人と社会の可能性を解き放つという表現は、「人を中心としたオートメーション」という当社のグループ理念に加え、「人間の苦役からの解放」を目指してきた創業者の想いも込められています。あわせて、本パーパスの追求を通じて、当社グループが実現したい具体的な理想像及び目標として、10年後の将来、我々がなりたい将来像を目指す姿として定めました。

さらにこのパーパス及び目指す姿の実現に向けた当社グループの決意を端的に表現するものとして、ブランドステートメントに「Engineering the Impossible」を掲げました。当社グループは、技術による革新と新たな可能性の解放、そして、目指す姿に掲げる“不可能を可能へ。”の実現に向け、力強く未来志向の経営を推進してまいります。

当社グループは、人を中心に据え、人と技術が協創するオートメーション世界の実現に注力し、お客様の安全・安心や企業価値の向上、地球環境問題の改善等に貢献する世界トップクラスの企業集団になることを長期目標と設定したうえで段階的に中期経営計画を立案し、この目標達成に向けた取組みを行っております。株主価値増大に向けて連結ROE(自己資本当期純利益率)の向上を基本的な目標としており、2030年度をゴールとする長期目標※1において、売上高4,200億円、営業利益650億円、営業利益率15.5%、ROE15%を目標としております。この長期目標達成に向け、2027年度を最終年度とする3ヵ年の現中期経営計画(2025~2027年度)※1では、最終年度の売上高3,400億円、営業利益510億円、営業利益率15.0%、ROE14%を達成することを目標としております。

また、ダブルマテリアリティ(環境・社会が企業に与える財務的な影響と、企業活動が環境・社会に与える影響という2つの側面から重要性を評価する考え方)を取り入れ、長期にわたり取り組む重点課題として5分野10項目のマテリアリティを特定しています。これらのマテリアリティに基づき、事業や企業活動に関する7つの項目については、SDGs(Sustainable Development Goals-持続可能な開発目標)の領域において目標を「azbilグループSDGs目標」として具体的に定めるとともに、企業が社会に存立するうえで果たさなければならない基本的責務である3つの項目については、CSR活動において具体的な目標を定めております。なお、現在、経営環境の変化やパーパスを制定したことを踏まえて、取締役会での議論も経てマテリアリティの見直しの検討を進めています。このようなSDGs及びCSR活動における各目標の達成に向けて様々な取組みを行うことにより、当社グループの「サステナビリティ経営」の推進を通じ、持続的な成長を目指してまいります。

2025年度から始まった現中期経営計画は、2030年度の長期目標を見据えた第二期間であるとともに、2026年に迎える創業120周年を超えて、“持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献”に向けた進化、共創を実現する計画と位置付けております。

その初年度である2025年度は、生成AIをはじめとする技術革新やインフレ、地政学的リスクの高まりなどにより、事業環境の変化が激しい一年となりました。このような環境下、当社グループは、こうした変化に着実に対応するとともに、価格転嫁を含む収益力強化、業務効率化を推進することで、事業基盤の強化を図ってきました。この結果、営業利益は過去最高益を更新しました。

2026年に入り、中東情勢(米国・イラン間の緊張を含む)の緊迫化を背景に、資源価格、物流、調達面等において、一部で事業環境への影響が顕在化しています。こうした地政学的リスクは不確実性が高く、エネルギー価格の動向等を通じて業績に影響を与える可能性がありますが、当社グループでは、状況を注視しながら適切な情勢対応とリスク管理を行い、事業運営への影響を最小限に抑えるべく対応していきます。

azbilグループは今後とも、技術革新及び社会環境の変化に伴う新たな社会課題解決を事業機会と捉え、人的資本強化、商品力強化、DX推進等の投資を着実に実行していきます。当社グループの特長である、長年にわたって構築した幅広い顧客基盤(工場・プラント、商業ビル、ライフライン等)との強い関係に基づく「基盤事業」と、半導体等の技術革新やカーボンニュートラルのような社会課題対応を新たな事業機会と捉えた「成長事業」の両輪のサイクルを回す、azbilグループらしい事業モデルを推進しています。

また、基盤事業を中心に、お客様の現場のライフサイクル全体(新設から改修、メンテナンスまで)を支えるビジネスを「ストック事業」として展開しています。ストック事業は、すでに納入した製品を起点としたビジネスであり、グループ全体での収益性の持続的な向上に貢献しております。今後も、「成長事業」・「基盤事業」のサイクルによる成長に加え、「ストック事業」を一層強化することで、不透明な環境下においても売上、利益面での持続的な成長を実現してまいります。

  • ※1 2025年5月13日、長期目標(2030年度)を見直し、中期経営計画(2025~2027年度)を公表いたしました。これらの目標値は、策定時点における日本基準に基づき算定しております。なお、2027年度の計画値については、現時点で変更はいたしませんが、中期経営計画の進捗状況に加えて、現状の不透明な情勢が見通せるようになった段階で見直しを検討いたします。
1[国内事業]

ビルディングオートメーション(BA)事業は、都市再開発計画に基づく需要が高い水準で継続し、省エネ・CO2排出量削減対策を含めた改修案件の需要も堅調に推移することが今後も見込まれます。こうした好調な事業環境を踏まえ、今後も人員を含めたリソースの適切な配置、負荷平準化及びDX推進による効率化等を継続するとともに、AIやクラウド等の技術活用を志向するお客様のニーズや、需要が拡大するデータセンター市場への対応を重要な課題と捉え、ソリューション力の強化に取り組んでいきます。そのために、2025年12月には株式会社DATAFLUCTと資本業務提携契約を締結し、AI技術を活用した、より高付加価値な建物運用向けサービスの実現を目指しております。

また、省エネ・CO2排出量削減対策の具体的な取組み事例としては、当社と株式会社エネルギア・ソリューション・アンド・サービスが、地方独立行政法人広島市立病院機構による「広島市立広島市民病院設備改修PFI事業(ESCO事業※2)」の公募にて、最優秀事業者に選定された事例が挙げられます。病院施設を対象とする官民連携の大規模ESCO事業であり、持続可能な地域医療体制の実現に向けて2026年10月より15年間の省エネルギー保証サービスを開始する予定です。地元企業との協力や雇用の創出等、地域密着型の事業展開で、広島市民病院の医療サービスの維持及び地球環境の負荷低減を目指しています。

▲広島市立広島市民病院設備改修PFI事業(ESCO事業) スキーム

アドバンスオートメーション(AA)事業では、景気の循環による変動影響はあるものの、脱炭素化、サーキュラーエコノミー、生産高度化、安全・安定操業、人手不足対応等の要望に対して、計測・制御分野を中心に貢献できる領域は大きく、更なる事業領域の拡大と事業成長が期待できると考えています。成長戦略として、新たな計測・制御技術需要に対して、MEMS※3センサや自動調節弁関連技術、プラント自律化等の当社グループ独自の技術を活用したソリューションを「シン・オートメーション」と定義し、その創造による事業拡大を進めてまいります。あわせて、原価低減、販売価格適正化等の各種収益力強化施策をCP事業、IAP事業、SS事業の3つの事業単位でのオペレーションを通じて着実に実行してまいります。

シン・オートメーション領域におけるプラント自律化の商品として、AIを活用した最適生産計画立案システム「VIRTUAL PLANNER™ PP」の販売を開始しました。VIRTUAL PLANNER PPは、強化学習によりAIが最適な生産計画を短時間で立案し、生産中の状況変化に応じて自動で計画を見直し、再立案を行うシステムで、生産の高度化とともに多様な働き方を推進、生産計画担当者の負担を軽減しWell-beingの向上にも寄与します。

  • 機能1. VIRTUAL PLANNER PP は、多様な制約を加味し、コスト、リードタイム、エネルギーを最小化する生産計画をAIが高速で自動立案
  • 機能2. 初期計画の立案に加えて、生産中の飛び込みオーダーや設備故障等の状況変化に対しても、それらを考慮した最も合理的な計画の見直しを短時間で立案
▲AI最適生産計画立案システム VIRTUAL PLANNER PPの機能

ライフオートメーション(LA)事業では、ライフライン分野において、主体であるガス・水道メーターの安定した需要を基に、超音波メーターのような新製品の投入や価格転嫁等を通じて収益性の改善に努めています。さらに、ガス・水道メーターのスマート化と、これに通信とクラウドシステムを融合したSmart Metering as a Service(SMaaS※4)事業を推進しています。また、住宅用全館空調システム分野では、既設建物や小規模建物まで、対象建物の拡大により収益性を向上し、長期的にはサービスエンジニアリング力にIoT技術をプラスして現場対応力を強化し、お客様の健康で快適な暮らしに省エネを加えた快適住空間プロバイダーへ事業の拡大を目指します。

新しい水道スマートメーターの商品としては、Kamstrup社(本社:デンマーク)と「次世代超音波式水道スマートメーター」の日本市場における協業を開始しました。同メーターの国内展開、及びスマートメーターで収集したノイズデータを利活用した漏水検知クラウドサービスにより、水道インフラの効率的な維持管理に対する社会的ニーズに応える事業開発を進めてまいります。

  • ※2 ESCO(Energy Service Company)事業:工場やビルの省エネルギーに関する包括的なサービスの提供を通じて、そこで得られる効果をサービス提供者が保証する事業。資金を顧客が負担し、ESCO事業者が省エネ保証を行う「ギャランティード・セイビングス契約」と、ESCO事業者が資金提供を行い、顧客が省エネ効果を含めたサービス料を支払う「シェアード・セイビングス契約」という2つの契約形態がある。
  • ※3 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):センサ、アクチュエータ、電子回路を一つの基板の上に微細加工技術によって集積した機器。
  • ※4 SMaaS(Smart Metering as a Service):従来のメーターの計測機能に加え、データを活用し新たな付加価値をサービスとして提供する事業モデル。
2[海外事業]

当社が策定した現中期経営計画において、飛躍的な成長を目指す海外事業については、これまでに構築・蓄積したお客様との信頼関係を基盤に、積極的な事業拡大を図ってまいります。あわせて、地域特性を踏まえた事業推進及び管理体制の強化を進めることで、海外事業の成長を一層加速してまいります。

BA事業では、アジア地域での都市化の進展が継続し、建物市場を中心にオフィスのグレードアップが進むことが見込まれています。国内事業モデルでの強みである省エネルギーのアプリケーション技術、エンジニアリング、サービス力を活用した製品・サービスの提供を推進していきます。特に、成長が期待されるデータセンター市場においては、2025年9月、マレーシアのジョホール州に子会社を設立し、同地区で建設が活況であるデータセンターや、ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)における新築建物を重点対象として、当社システムの導入案件獲得を加速するとともに、稼働後の保守・メンテナンス契約をセットで提案することで、ライフサイクルを通じた受注拡大を図ります。

▲調節弁「6000シリーズ」

また、AA事業では、中長期的な視点で循環的な景気変動はあるものの、グローバルでの経済成長の継続、更なる生産性改善の要求、設備老朽化への対応、環境規制の拡大、新技術の活用に対する期待等を背景とした生産設備の自動化投資は引き続き拡大が見込まれています。そのような状況下において、脱炭素社会へ向けた産業構造の転換を見据え、新市場向けの拡張製品開発や異常予兆検知・AI設備診断等、シン・オートメーション領域の開拓を進めていきます。2025年10月には国際標準規格IEC60534※5に準拠した新しい調節弁「6000シリーズ」を販売開始しました。継続してグローバル市場における競争力の強化に努めてまいります。

以上のような国内外の事業軸の取組みに加えて、技術探索及び新技術の獲得、事業基盤の強化と事業領域の拡大を目指し、バイオエコノミー実現に向けたバイオ生産次世代化プロジェクト「メトリクスMATSURI」に参画しました。計測と制御を基盤とした「進化」と「共創」を通じてバイオエコノミーを推進し、バイオものづくりにおける生産性向上に貢献してまいります。

  • ※5 国際標準規格IEC60534:国際電気標準会議(IEC)が公開した国際標準。IEC60534とは、工業プロセス用調節弁の設計、性能、試験、騒音、寸法等に関する一連の標準を定めている。
3[生産・開発]

海外事業の拡大に向けてグローバル生産体制を構築するとともに、商品力強化に向けた開発投資の拡充を進めてまいりました。国内においては、生産機能の中核拠点である湘南工場と、藤沢テクノセンターにおける技術開発機能との連携を強化するとともに、湘南工場のグループ内マザー工場としての機能整備を進めています。また、2026年4月には、開発力強化領域であるMEMS・センシングデバイス技術、アクチュエータ関連技術、AI技術、クラウド技術を活かし、顧客ニーズに基づいた商品開発力を一層強化するための開発組織体制の再構築を実施しました。

海外では、グローバルな事業拡大にあわせた生産体制の整備を進めています。2025年3月に登記が完了したベトナムの生産子会社アズビルベトナムプロダクション有限会社は、生産能力の増強と競争力向上のためのコスト削減や持続的な製品供給を実現するための適切な生産体制の構築のみならず、近年懸念される地政学的リスクに対応するための強化策と位置付けています。なお国内BCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)対策としては、2025年4月に京都事業所内に新たに物流の拠点となる「京都配送センター」を設立するなど、自然災害や不測の事態、感染症の拡大等、生産・物流に関わるリスクを考慮し、国内外の生産体制を構築しています。

また、2025年10月には、計測・制御・システムの分野における研究をはじめ、産官学との連携、情報発信の役割を担う中核的な学会である計測自動制御学会より、「技術賞」及び「新製品開発賞」を受賞しました。今後も、お客様の「安心、快適、達成感」を実現する製品や新技術の開発により社会課題解決に貢献してまいります。

▲新製品開発賞「サファイア隔膜真空計 形V8」
4[経営管理と人的資本]

経営管理面では、事業環境の不確実性が高まるなか、リスクマネジメントの高度化を継続的な課題として位置付け、リスク管理と対応力の向上に取り組んでいます。今後起こりうるリスク事象の影響を最小化すべく、毎年、外部環境の変化を加味して網羅的にリスクを抽出し、シナリオごとの検証を実施しています。そのうえで、リスク発生時の影響金額や発生頻度の定量的な評価基準に基づき、現場部門と経営層の双方から検証した重要リスクに対し、具体的な対策に取り組むことで、不確実性への対応力を強化しております。日々巧妙化するサイバー攻撃に対しても、総合的なサイバー攻撃への対処能力向上や最新のサイバーセキュリティ動向の更なる知見を得るため、2025年5月にはNATO(北大西洋条約機構:North Atlantic Treaty Organization)サイバー防衛協力センターが主催するサイバー防衛演習「ロックド・シールズ2025」に参加しました。当社製品・サービスのサイバーセキュリティ強化に活かし、お客様の重要インフラ防衛への取組みに貢献してまいります。

また、2026年度より国際財務報告基準(IFRS)の任意適用を行うことでグローバル経営の更なる推進及び資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上を図るとともに、会計レベルの向上及び内部統制の強化も進めています。

azbilグループでは、人材を持続的成長のための「資本」として捉えており、事業環境の変化に対応できる人材の確保・育成と、長期的な視点での人的資本強化を重要な経営課題として位置付けています。2026年4月には、人事・人材育成の一体運営を目指し、今後の技術発展や社会情勢の新たな展開等に合わせた事業構造の変化に対応するため、長期目標、中期経営計画の達成に向けて必要となる多様な人材の採用、育成を一気通貫で行う組織体制を整備しました。リファラル採用やアルムナイ採用等の様々な手段を活用し、新卒採用・キャリア採用ともに入社時期を問わず、国内外での優秀な人材の確保を図っております。加えて、社員が長期にわたって活躍できるよう人事制度を整えるとともに、事業戦略にあわせて育成を行い、適材適所の配置を進めてまいります。

なお、当社グループとして、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点からも積極的な活動・取組みを進めております。

E(環境)では、地球環境保全への取組みを経営の最重要課題の一つと捉え、持続可能な社会の実現に向けて、気候変動対策、資源循環対策、生物多様性保全対策等、幅広い環境課題への対応と当社グループの事業活動の融合を進めております。気候変動対策においては、2050年温室効果ガス排出量ネットゼロの実現を中長期目標として掲げ、その達成に向けた具体的な取組みを推進しています。当該目標に基づき、2025年6月には中国の生産子会社、2026年2月には京都の生産拠点において再生可能エネルギー設備を導入するなど、再生可能エネルギーの活用を着実に進めています。これらの取組みが評価され、2026年2月には環境省が主催する第7回ESGファイナンス・アワード・ジャパンにおいて、「環境サステナブル企業」に4年連続で選定されました。

S(社会)では、2022年よりサプライチェーンにおける人権尊重の取組みを開始し、2024年には、当社の事業がステークホルダー全体に与える人権に対する負の影響に関する人権デュー・ディリジェンスを開始しました。さらに、サプライチェーンの上流にあたる二次お取引先様にまで遡ってリスクの判定及び是正について継続的にフォローを行っています。企業活動のグローバル化・多様化により、拡大かつ複雑化している人権リスクに対して、その防止・低減を図ることで、企業の社会的責任を果たしてまいります。また、「azbilグループ健幸宣言※6」を制定し、総労働時間の削減やハラスメント防止といった職場環境改善等の「働き方改革」、一人ひとりの個性を尊重し、その特徴を活かすことができるよう「ダイバーシティ推進」に関わる各種施策を展開しています。

G(ガバナンス)では、監督機能と執行機能の明確な分離、さらに意思決定の迅速さと透明性を高める目的で「指名委員会等設置会社」へ移行して4年が経過しました。2025年度には、取締役会議長に独立社外取締役が就任し、また役員報酬においては、業績連動比率の更なる拡充(賞与・株式報酬の構成割合の拡大)及びKPIの見直しに加え、重大な非違行為等が発生した場合に返還請求ができるよう、クローバックの対象範囲を拡大しました。また、取締役会の実効性を高めるためにアズビル独自の「取締役執行役連絡会」を設置するなどの工夫により、経営戦略や事業ポートフォリオに関する議論、法定委員会活動等につき従来以上に活発な議論を行っています。

2026年度においても、更なる企業価値の向上を目指し、事業課題を通じたESGの観点からの各活動を推進し、持続可能な社会の実現に「直列」に繋がる取組みを継続してまいります。

  • ※6 azbilグループ健幸宣言(健康で幸せを目指すため「康」の字を「幸」に替えています):
    健康で幸せ、活き活きとした「働きの場と人」を創る。azbilグループは、社員一人ひとりの健康が企業活動の重要な基盤であるととらえ、会社で働くすべての人々が安心・安全で、快適に、活き活きと、自分らしく健やかに働き、それぞれが持つ多様な能力を発揮し、公私ともに充実した人生を送ることが、生産性や業績の向上、イノベーション、社会への貢献につながると考えています。健幸な「働きの場と人」を創るために、会社とそこで働く社員が協働し、快適で働きやすい職場環境づくり、心身の健康づくりに積極的に取り組むことを宣言します。

(ご参考)当社のコーポレート・ガバナンスの取組みについて

azbilグループは、自らの中長期的な発展を確実なものとし、株主の皆様をはじめとする全てのステークホルダーの皆様からの信頼に応え、企業価値の持続的向上を進めるため、基盤となるコーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と認識し、指名委員会等設置会社として、取締役会の監督・監査機能の強化、経営の透明性・健全性の強化、執行の責任体制明確化等に取り組んでおります。

<企業統治の体制>

当社は、指名委員会等設置会社として、過半数の独立社外取締役によって構成され、かつ独立社外取締役が委員長を務める指名委員会、監査委員会、報酬委員会の3つの委員会を設置しております。加えて、取締役会から法的に明確な責任を負う執行役に大幅に業務執行権限を委譲することで、監督機能と執行機能の明確な分離を進め、機動的かつ効率的な意思決定に基づく執行体制を確保すると同時に、より客観的な経営の監督機能を強化しております。

また、取締役への情報提供や執行役との意見交換を行う場として取締役執行役連絡会を設け、加えて社外取締役間での意見交換会を定期的に実施するなど、指名委員会等設置会社としての取締役会によるモニタリングの実効性を確保するとともに、業務執行を担う執行役員制度を継続し、意思決定の質とスピードの向上実現を目指しております。

取締役会は原則月1回開催し、法令に定める事項のほか、経営の最高意思決定機関として経営の重要事項を議論・検討し、大きな方向性を示すとともに、ステークホルダーの意見を反映させるため適切な執行の監督を行っております。業務執行におきましては、代表執行役社長の決定を補佐する経営執行レベルの諮問機関として、執行役及び役付執行役員で構成される経営会議を設置しており、常勤監査委員がモニタリングの実効性確保のため出席しております。経営会議を原則月2回開催することで、迅速な意思決定と執行の徹底により事業推進力の強化を図っております。

2026年3月31日現在で、当社事業及び経営や監査に経験を積んだ取締役3名(山本 清博、横田 隆幸、勝田 久哉)と、独立性があり、幅広い経験や優れた専門性・知見を有し、国際性やジェンダー等の多様性に富む独立社外取締役7名(永濱 光弘、アン カー ツェー ハン、𠮷川 惠章、三浦 智康、市川 佐知子、吉田 寛、中谷 聡子)の合計10名の取締役を選任しており、取締役会における独立社外取締役の割合は過半数に達し、また、取締役会の議長は社外取締役が務めております。これらの独立社外取締役は、取締役会にて意思決定を行う際、適切な監督・助言を通じ当社の企業価値の向上に寄与しているほか、取締役執行役連絡会等を通じて執行役等とも定期的に意見交換を行っております。また、当社は中期経営計画の実現等、持続的な企業価値の向上の観点から、取締役に期待するスキル等を定め、現在の取締役会における独立性・多様性・期待するスキルを確認しております。

社外取締役の選任にあたっては、当社は独自の独立性判断基準を定めております。当社の社外取締役は、いずれも当該独立性判断基準を満たしており、一般株主との間に利益相反が生ずるおそれがないことから、いずれも十分な独立性を有していると判断し、東京証券取引所に対して独立役員として届け出ております。

また、当社は、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しており、その被保険者の範囲は当社の取締役、執行役及び執行役員等、並びに子会社の取締役、監査役及び執行役員等です。被保険者が職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生じることのある損害を当該保険契約により保険会社が填補することとしております。ただし、被保険者の職務の適正性が損なわれないようにするための措置として、被保険者の故意、違法な私的利益供与、犯罪行為等に起因する損害については、填補の対象外としております。なお、被保険者は保険料を負担しておりません。

さらに、当社と社外取締役は、会社法第427条第1項の規定に基づき、同法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、法令が定める最低責任限度額としております。なお、当該契約によって会社役員の職務の執行の適正性が損なわれないようにするため、会社役員の職務の執行が悪意・重過失によって行われた場合には責任限定の対象としないこととしております。

加えて、当社は取締役及び執行役全員との間で、会社法第430条の2第1項に規定する補償契約を締結し、同項第1号の費用及び同項第2号の損失を法令の定める範囲内において当社が補償することとしております。ただし、当該補償契約によって会社役員の職務の執行の適正性が損なわれないようにするため、会社役員の職務の執行が悪意・重過失によって行われた場合には補償の対象としないこととしております。

<取締役会の活動状況>

2025年度は取締役会を合計13回開催し、10名の取締役はいずれの取締役会にも出席いたしました。取締役会で議論された主な事項は次のとおりです。

  • ※‌中谷 聡子は、2025年6月25日開催の第103期定時株主総会で選任されたため、就任後に開催された取締役会にのみ出席しております。

取締役会の実効性に関しては、毎年、自己評価・意見を収集したうえで取締役会において現状の評価と課題の共有を行い、更なる実効性の向上を図っております。2025年度の評価においても、昨年度に引き続き、各取締役にあてた質問票の作成と実施及びその集約・分析において客観性を担保し、今後の取締役会の実効性をさらに高めることを目的に第三者機関を活用いたしました。

また、株主との対話に関する活動につきましては、取締役会による株主エンゲージメントの一環として社外取締役と機関投資家との間の意見交換(スモールミーティング)を開催し、コーポレート・ガバナンス強化の取組みなどについて議論を行いました。

<指名委員会・監査委員会・報酬委員会の活動状況>

当社は、指名委員会等設置会社として指名委員会、監査委員会、報酬委員会の3つの委員会を設置しております。各委員会の活動状況は以下のとおりです。

(指名委員会)

2026年3月31日現在、当社の指名委員会は4名の指名委員で構成されており、𠮷川 惠章(独立社外取締役)が委員長を、アン カー ツェー ハン(独立社外取締役)、市川 佐知子(独立社外取締役)及び山本 清博(取締役代表執行役社長)が委員を務め、独立社外取締役が過半数となる構成となっております。2025年度は指名委員会を11回開催し、4名の指名委員はいずれの委員会にも出席いたしました。指名委員会における具体的な検討事項は次のとおりです。

(監査委員会)

2026年3月31日現在、当社の監査委員会は3名の監査委員で構成されており、吉田 寛(独立社外取締役)が委員長を、中谷 聡子(独立社外取締役)及び勝田 久哉(非業務執行社内取締役)が委員を務め、独立社外取締役が過半数となる構成となっております。2名の独立社外取締役及び1名の当社事業に精通した非業務執行の社内取締役が、内部監査部門と一体となり監査計画を立て、多角的な監査活動を行い、また、社内監査委員が常勤体制を敷き、監査委員会監査の実効性を高めております。監査委員長の吉田 寛は、東証プライム市場上場の化学メーカにおいて経理財務管掌役員として財務諸表等の作成の責任者として従事した経験があり、監査委員の中谷 聡子は公認会計士として監査法人においてパートナーを務め、大手製造業を中心に幅広い業種の監査に携わるとともに、各種会計制度等についてのアドバイザリー業務を担当した経験を有しており、いずれも財務及び会計に関する相当程度の知見を有するものです。また、監査委員会の職務を補助する専任の組織として監査委員会事務局を設置し、3名が監査委員会の職務遂行を補助しております。

監査委員会は原則月1回開催するほか、必要に応じて随時開催しております。2025年度は監査委員会を13回開催し、3名の監査委員はいずれの委員会にも出席いたしました。監査委員会における2025年度の主な重点監査項目及び監査のポイントと具体的な監査内容は次のとおりです。

  • ※‌中谷 聡子は、2025年6月25日開催の第103期定時株主総会で選任されたため、就任後に開催された委員会にのみ出席しております。

(報酬委員会)

2026年3月31日現在、当社の報酬委員会は3名の報酬委員で構成されており、永濱 光弘(独立社外取締役)が委員長を、𠮷川 惠章(独立社外取締役)及び横田 隆幸(取締役代表執行役副社長)が委員を務め、独立社外取締役が過半数となる構成となっております。2025年度は報酬委員会を10回開催し、3名の報酬委員はいずれの委員会にも出席いたしました。報酬委員会における具体的な検討事項は次のとおりです。

  • ※𠮷川 惠章は、2025年6月25日開催の第103期定時株主総会後に開催された取締役会で報酬委員に選定されたため、就任後に開催された委員会にのみ出席しております。

当社では、グループ一体となったコンプライアンス体制の整備について、信頼される企業グループを目指し、法令遵守を含む、役員及び社員の行動指針として、「azbilグループ企業行動指針」及び「azbilグループ行動基準」を制定しております。グループ理念、行動指針、行動基準、経営戦略までを持続可能な社会に対して「直列」に繋げ、社会課題の解決と持続可能な成長の両立の実現を目指してまいります。加えて、反社会的勢力との一切の関係の遮断をはじめとする企業の公共性、社会的責任の遂行や公正な取引の遵守、人間尊重の社会行動、会社財産の管理・運用及び環境保護の遂行を通して企業倫理の確立による健全な事業活動に取り組んでおります。

また、「対処すべき課題」に記載のとおり、当社グループはサステナビリティ経営を推進しております。長期的に取り組む重点課題として特定したマテリアリティについては、目指す姿の実現に向けてazbilグループのSDGs目標を設定し、計画的に取組みを進めております。あわせて、企業が社会の一員として果たすべき基本的な責務に関するマテリアリティについては、信頼される企業グループを目指したCSR活動を通じて対応しております。具体的には、業務運営を適正かつ効率的に遂行するために、会社業務の意思決定及び業務実施に関する各種社内規程の制定等により、職務権限の明確化と適切な牽制が機能する体制を整備しております。内部統制機能としては、内部監査部門が、本社部門、各カンパニー及び国内外グループ各社の経営諸活動の全般にわたる管理・運営の制度及び業務遂行・事業リスク・コンプライアンス・内部統制システム等の内部監査を定期的に実施しており、業務改善に向けて具体的な助言・提案を行っております。また、金融商品取引法における内部統制への対応を強化するとともに、当社グループ全体のコンプライアンス活動を推進するため、当社担当役員を総責任者に各社のコンプライアンス担当役員をメンバーとするazbilグループCSR推進会議を設置及びazbilグループコンプライアンス委員会を設け、国内外のazbilグループ全体のコンプライアンスの強化と維持を図っております。さらに、内部通報制度による不祥事の早期発見の体制も整えております。また、業務執行全般にわたり適宜、顧問弁護士、公認会計士等、社外の専門家の助言及び支援を受けております。

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