事業報告(2024年1月1日から2024年12月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善に加え、各種政策の効果もあり、景気は緩やかに回復しており、個人消費や設備投資にも持ち直しの動きが見られました。一方で、欧米と日本における金利格差の動向や、中国経済低迷の長期化、地政学リスクの存在などに加え、米国新政権における保護主義的な政策への転換による懸念など、依然として先行きは不透明な状況となっています。

また、当社グループに関係の深い統計指数は、次のようになっています。

機械工具関連において、工作機械受注は1-12月期で内需は前期比7.4%減、外需で同3.4%増となりました。鉱工業生産指数は1-12月期で同2.3%減となりました。

建設関連において、建築着工床面積は1-12月期で同7.6%減、新築住宅戸数は1-12月期同3.4%減となりました。

このような状況の下、実現したい未来としてのVISIONに「叶えたいが、あふれる社会へ。」を掲げ、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、経済的価値と社会・経済的価値それぞれの向上を目指した取り組みを進めております。それらの中長期的な企業価値向上に向けた取り組みについて、ステークホルダーに対して適切な情報を適時に提供し、分かりやすい言葉・論理で明確に説明すると共に、頂戴した意見等を経営へ報告・反映するなど、建設的な対話を基本方針として、ROIC経営の推進、株主還元の強化、人的資本経営などを進めています。

これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は161,716百万円と前期比11,263百万円減(6.5%減)、営業利益は3,860百万円と前期比1,844百万円減(32.3%減)、経常利益は4,659百万円と前期比1,992百万円減(30.0%減)となりました。投資有価証券売却益と減損損失の計上等により親会社株主に帰属する当期純利益は4,613百万円と前期比85百万円減(1.8%減)となりました。

セグメントの経営成績

セグメントの経営成績は次のとおりです。

売上高
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売上構成比 %

国内機械分野は直需、卸とも受注は増加傾向にあるものの、売上高は前年比2桁減となりました。直需は自動車産業を中心とした設備が少しずつ増加傾向にあり、自動車産業以外への販路開拓も進みつつあります。卸は工作機械内需の改善を背景に受注は増加傾向が見られました。

海外機械分野の売上高は同2桁減の状況が続きました。北米事業は引続き高金利や大統領選挙前の買い控えの影響が残る中、少しずつ引合いは増加しています。中国事業は経済低迷が長期化する中にあって日系自動車メーカーを中心とした受注の回復が見られず、設備案件の減少・延期の影響を受けました。東南アジア事業は国ごとに明暗が分かれ、インドネシア、マレーシアがマイナスとなった一方で、タイは複数の投資案件により前年比プラスとなりました。

国内工具分野の売上高は同微減となりました。直需は自動車産業における大幅な生産計画見直しの影響を受けましたが、卸は金属加工業界における消耗品の動きが鈍い中、環境対策などの設備案件により前年比プラスとなりました。

以上の結果、売上高は104,767百万円、営業利益は2,019百万円となりました。

売上高
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売上構成比 %

鉄構資材分野は資材価格の高騰、人手不足、建設業の働き方改革(4週8閉所)等が影響し、鉄骨建築の需要が落ち込んだことにより売上高は僅かながら減少となりました。

配管資材分野は大口案件の受注などがありましたが、全体的には価格競争が激しく売上高は減収となりました。

住宅設備分野は引き続き大口ユーザー向けや施工付きリフォーム案件への注力に加え、価格改定などもあり売上高は同1桁増となりました。

以上の結果、売上高は44,947百万円、営業利益は1,576百万円となりました。

売上高
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売上構成比 %

主力のクローラークレーンを中心に受注が増加し、その多くを第4四半期に売上計上することができました。新車および中古車において収益性の改善が見られました。

その結果、売上高は8,413百万円、営業利益は200百万円となりました。

売上高
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売上構成比 %

継続的なプロジェクトの受注と、優良顧客数の増加により収益構造の安定化が見られ、引き続き経費の削減を行ったことにより増収増益となりました。

その結果、売上高は3,588百万円、営業利益は188百万円となりました。

対処すべき課題

当社グループは、グループ共通の理念として“「その手があったか」を、次々と。”をスローガンに掲げ、果たすべき使命として「感動提案で今を拓き、変化の先まで伴走する。」をミッションに、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しております。足元の景気は緩やかな回復が続きましたが、地政学リスクや円安などの要因が継続しており、依然として不透明な経営環境が続くものと予想されます。そのような状況下、グループとして優先的に対処すべき課題を設定し、それらの取り組みを通じて、持続可能な社会の構築と当社グループの企業価値向上につなげてまいります。

法令及び社会規範の遵守

当社グループは、グループ理念の7STANDARDS(7つの判断基準)の中で、「関係法令・社会のルールを守り、高い倫理観を持ちます」とうたっています。同基準に記されている「人権の尊重」、「公平・公正の履行」とともに、社会で活動する私たちの思考及び行動における重要な判断の基準として遵守してまいります。

生産性の向上

構造的なエネルギー不足や、少子高齢化の進行による今後の労働力不足等が予測される中で、競争力を維持し収益を拡大していくために、生産性の向上に取り組んでまいります。製造現場における自動化だけでなく、RPAをはじめとする様々なDXを活用した広範な業務の自動化を推進し、当社グループ全ての部署において労働生産性を向上させることにより、収益性のみならず、省エネルギーの推進や働き方改革にもつながるものと考えております。

人材の確保と育成

変動の激しい経営環境の下、柔軟な発想でビジネスを構築し、事業領域を拡大していくために、多様かつ優秀な人材の確保、発掘、育成が不可欠となっており、重要な経営課題であると認識しております。「オーナーシップマインドを備えたユニークな人財の育成」を人財育成方針に掲げ、「多様性を活かす」組織づくり、「挑戦を促す」意識の醸成、「自律性を育む」人財開発に取り組んでまいります。

プラットフォーム戦略の推進

それぞれの事業におけるユーザーに最適な価値を提供するための仕組みをプラットフォームと定義し、各々のビジネス領域で不足しているピース(機能、スケール等)を補完することによりソリューション力の強化を図る、プラットフォーム戦略を推進しております。今後も多様な企業との柔軟な協力体制の構築(資本・業務提携等)により、最適な価値の創出に努めてまいります。

グループガバナンスの強化

当社グループは、M&Aや業務提携等による事業領域の拡大を永続的な成長戦略と位置付け、それに伴うグループ経営における実効的なガバナンスの強化を、重要な経営課題であると認識しております。その課題への対処として、グループ各社のコーポレート機能の統合や内部統制システムの強化など、経営資源の集中投資を効率的かつ戦略的に実施し、グループガバナンスの強化を図ってまいります。

サステナビリティへの取り組み

今や地球環境や社会が抱える課題の解決は世界共通のものであり、多くの国が将来的なカーボンニュートラルの実現を表明しています。そのような中にあって、企業の果たす役割への期待も高まっております。当社グループにおいては、サステナビリティ推進室が中心となり、ESGの幅広いテーマに体系的に取り組むことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

連結計算書類