事業報告(2023年1月1日から2023年12月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要は底堅かったものの、物価上昇により個人消費に陰りが見えはじめ、足踏み状態となりました。鉱工業生産は、製造業の部品不足問題などが解消されつつありますが、世界的な先行きの不透明感により、低下傾向にあります。
米国は、インフレを抑制するための金融引き締めが続いており、市場に影響が及んできました。設備投資や住宅投資は相応な堅調さを維持していますが、依然、先行きは不透明な状況です。中国は、不動産市場の低迷を受け、景気は減速しております。ウクライナ情勢だけでなく、中東情勢も緊張感が増す中、世界的な景気減速が懸念されております。

このような経済状況にあって、工作機械受注は内需で1-12月は前期比21.0%減、外需では同12.7%減となりました。また、鉱工業生産指数には鈍化が見られ、1-12月は同1.1%減となりました。建設関連では、建築着工床面積が1-12月は同6.9%減、新設住宅戸数が1-12月は同4.6%減となりました。

当社グループは、「感動提案で今を拓き、変化の先まで伴走する。」を日々果たすべき使命とし、10年後のありたい姿から遡って2026年度までの中期経営計画『UNISOL』を策定しております。2023年度は、1stステージの2年目であり、基盤構築を行い、成長軌道へ回帰する年としており、統合シナジーの早期具現化やプラットフォームの充実、戦略分野への注力を行っておりました。

このような状況の下、当連結会計年度の経営成績は、売上高は172,980百万円と前期比10,563百万円増(6.5%増)、営業利益は5,705百万円と前期比190万円減(3.2%減)となりました。また、経常利益は6,652百万円と前期比402百万円減(5.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、4,698百万円と前期比166百万円増(3.7%増)となりました。また、期初に設定した当連結会計年度の予想ROE6.1%に対して、実績は6.6%となりました。

セグメントの経営成績

セグメントの経営成績は次のとおりです。

売上高
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売上構成比 %

製造業の国内における景況感は総じて足踏み状態ではあるものの、状況は業界によって異なります。自動車業界では、半導体不足は解消し、生産は計画どおりに推移しました。設備投資に関しては、EV関連が中心となっており、電池・モーター・ギガキャストなどに重点投資がなされました。半導体業界は、落ち着いた状況が続いており、機器工具や消耗品の販売は微減となりました。半導体業界の増産は、2024年春以降に期待されている状況です。また、中小企業は、機械価格の上昇等により、設備投資を先送りにしています。

北米では、工作機械の設備投資意欲が戻っているように見受けられ、受注は堅調に推移していますが、射出成形機の需要は戻っておらず販売量は減少しました。中国では、若年層の高い失業率、不動産需要の低迷など消費に弱さがあり、景気減速が続いている一方で、自動車販売においては、中国メーカーを中心に好調を維持しております。販売の3分の1程度が新エネルギー車となっており、開発が遅れている当社の顧客層である日系自動車メーカーは、販売の低迷が続いています。以上の結果、売上高は117,128百万円、営業利益は3,758百万円となりました。

売上高
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売上構成比 %

国内の建築需要は、建築着工統計に基づく居住、非居住建築ともに減少しており、都市部再開発、半導体工場関連、物流倉庫などの大型案件は底堅い動きを見せたものの、中小案件は低調に推移しました。中小案件の低迷は、主力製品の販売にも影響しました。鉄鋼メーカーはコスト上昇などを理由に価格維持の姿勢を見せており、鋼材及び建材価格は高い水準を維持しています。住宅設備に関しては、コロナ禍以前の環境に戻りつつありますが、新築着工は低調が続いています。リフォームはカーボンニュートラル社会に向けた補助金制度により、対象商品の需要は高まっています。以上の結果、売上高は45,241百万円、営業利益は1,987百万円となりました。

売上高
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売上構成比 %

国内の建設投資は、公共投資は増加し、民間投資も堅調に推移しましたが、建設業界においては2024年問題を考慮し、設備投資に慎重な姿勢が見られました。また、一部の主要建設機械の受注に関しては、エンジン問題による出荷停止の影響を受けました。以上の結果、売上高は7,605百万円、営業利益は81百万円となりました。

売上高
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売上構成比 %

各業界において、監視カメラの需要は拡大傾向ですが、参入企業の増加や商品価格、物流費の上昇により、卸売市場の利益率低下が続いています。米中関係の影響で中国製監視カメラの取り扱いが限られる中、ノーブランド製品やOEM製品での提供が行われており、今後も価格競争は続くことが想定されています。当社はモノ売りからコト売りへ、付加価値の高いソリューションビジネスにシフトし、グループ会社との協業により案件数を増やしております。以上の結果、売上高は3,004百万円、営業利益は38百万円となりました。

対処すべき課題

当社グループは、グループ共通の理念として “「その手があったか」を、次々と。” をスローガンに掲げ、果たすべき使命として「感動提案で今を拓き、変化の先まで伴走する。」をミッションに、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しております。足元の新型コロナウイルスの影響は大幅に緩和されましたが、地政学リスクや円安などの要因が継続しており、依然として不透明な経営環境が続くものと予想されます。そのような状況下、グループとして優先的に対処すべき課題を設定し、それらの取り組みを通じて、持続可能な社会の構築と当社グループの企業価値向上につなげてまいります。

法令及び社会規範の遵守

当社グループは、グループ理念の7STANDARDS(7つの判断基準)の中で、「関係法令・社会のルールを守り、高い倫理観を持ちます」とうたっています。同基準に記されている「人権の尊重」、「公平・公正の履行」とともに、社会で活動する私たちの思考及び行動における重要な判断の基準として遵守してまいります。

生産性の向上

構造的なエネルギー不足や、少子高齢化の進行による今後の労働力不足等が予測される中で、競争力を維持し収益を拡大していくために、生産性の向上に取り組んでまいります。製造現場における自動化だけでなく、RPAをはじめとする様々なデジタルテクノロジーを活用した広範な業務の自動化を推進し、当社グループ全ての部署において労働生産性を向上させることにより、収益性のみならず、省エネルギーの推進や働き方改革にもつながるものと考えております。

人材の確保と育成

変動の激しい経営環境の下、柔軟な発想でビジネスを構築し、事業領域を拡大していくために、多様かつ優秀な人材の確保、発掘、育成が不可欠となっており、重要な経営課題であると認識しております。「オーナーシップマインドを備えたユニークな人財の育成」を人財育成方針に掲げ、「多様性を活かす」組織づくり、「挑戦を促す」意識の醸成、「自律性を育む」人財開発に取り組んでまいります。

プラットフォーム戦略の推進

それぞれの事業におけるユーザーに最適な価値を提供するための仕組みをプラットフォームと定義し、各々のビジネス領域で不足しているピース(機能、スケール等)を補完することによりソリューション力の強化を図る、プラットフォーム戦略を推進しております。今後も多様な企業との柔軟な協力体制の構築(資本・業務提携等)により、最適な価値の創出に努めてまいります。

グループガバナンスの強化

当社グループは、M&Aや業務提携等による事業領域の拡大を永続的な成長戦略と位置付け、それに伴うグループ経営における実効的なガバナンスの強化を、重要な経営課題であると認識しております。その課題への対処として、グループ各社のコーポレート機能の統合や内部統制システムの強化など、経営資源の集中投資を効率的かつ戦略的に実施し、グループガバナンスの強化を図ってまいります。

サステナビリティへの取り組み

今や地球環境や社会が抱える課題の解決は世界共通のものであり、多くの国が将来的なカーボンニュートラルの実現を表明しています。そのような中にあって、企業の果たす役割への期待も高まっております。当社グループにおいては、新たにサステナビリティ推進室を設置し、ESGの幅広いテーマに体系的に取り組むことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

連結計算書類