第6号議案 取締役等に対する業績連動型株式報酬制度の一部改定の件

1.提案の理由および当該報酬を相当とする理由

当社は、2016年6月29日開催の第114回定時株主総会において、業績連動型株式報酬の導入の決議をいただき、2021年6月25日開催の第119回定時株主総会において、監査等委員会設置会社への移行に伴いこれを廃止し、取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く。)および執行役員(以下本議案において「取締役等」という。)に対する業績連動型株式報酬(以下「本制度」という。)の決定の決議をいただき、本制度を実施しております。
今般、新たに中期経営計画を策定したことから、中長期の経営目標の達成および企業価値の向上への取締役等の貢献意識をさらに高めるために、業績達成条件の内容等について一部改定のうえ本制度を継続いたしたく、本議案のご承認をお願いするものであります。
本議案は、取締役等の員数、経済環境や市場動向、他社水準等も考慮し、当社が拠出する金員の上限を原則3事業年度ごとに4,900百万円といたします。
本制度は、取締役等の報酬と当社の業績および株式価値との連動性をより明確にし、取締役等が株価上昇によるメリットのみならず株価下落によるリスクまでも共有することで、中長期の経営目標の達成および企業価値の向上に対する取締役等の意識をより一層高めることを目的としており、本議案の内容は相当であると考えております。当社が拠出する金員の上限については、経済環境や市場動向、他社水準等と比較して妥当であるとともに、優秀な人材を確保・維持するのに必要かつ適切な水準であり、取締役等の報酬を決定するにあたっての基本方針に照らして、相当であると考えております。また、指名・報酬委員会からもその旨の答申を受けております。
本議案は、第4号議案としてご承認をお願いしております取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬額とは別枠で取締役等に対して株式報酬(一部につき金銭報酬を含む。)を支給するものであります。
取締役(監査等委員である取締役を除く。)のうち本制度の対象者の員数は、第3号議案「取締役(監査等委員である取締役を除く。)9名選任の件」が原案どおり承認可決されますと、本総会の終結の時において、6名となります。また、上記のとおり、本制度は、執行役員も対象としており、本総会の終結の時における執行役員(取締役を除く。)のうち本制度の対象者の員数は、17名であります。
なお、本議案に関しまして、監査等委員会からは特段の指摘すべき事項はありません。

2.本制度における報酬の額・内容等

改定後の本制度の内容は次のとおりです。

(1) 本制度の概要

本制度は、当社の中期経営計画の対象となる期間(原則として3事業年度)を対象とし(以下当該期間を「対象期間」という。後記(2)参照)、中期経営計画の目標値に対する業績達成度等に応じて(後記(4)参照)、支給要件を充足する取締役等に対し、信託(当社が拠出する金員により設定されるもので、当該信託が、当該金員を原資として当社株式を取得する(後記(3)参照)。)から当社株式等の交付等を行うもの(後記(5)および(6)参照)です。なお、取締役等は、本制度を通じて取得した当社株式を、退任後1年が経過するまでは継続保有することといたします。
ただし、上記の対象期間の開始日以後、当該対象期間中に国外に居住したことがある取締役等(以下「非居住取締役等」という。)は、当該信託からの当社株式等の交付等に代えて、それに相当する額の金銭を当社から給付するもの(後記(8)参照)といたします。したがって、後記(3)から(6)までの記載のうち、当該信託から当社株式等の交付等がなされる旨の記載(それに関連する記載を含む。)は、非居住取締役等には適用されません。

(2) 本制度の対象期間

本制度は、当社の中期経営計画の対象となる期間を対象といたします。当社は、2024年4月1日から2027年3月31日までの3事業年度を対象とする中期経営計画を推進中であるため、本議案のご承認後最初に実施する対象期間(以下「本対象期間」という。)は、本制度の開始日から2027年3月31日までとなります。
また、本対象期間の満了後も、特段の事情がない限り、新たに設定する中期経営計画の対象となる期間をそれぞれ対象として、本制度の対象期間を更新いたします。

(3) 当社が拠出する金員の上限等

当社は、本制度のために、4,900百万円を上限とする金員を拠出することにより、取締役等を受益者とする信託(以下「本信託」という。)を設定いたします。
本信託は、信託管理人(当社から独立した第三者がこれに就任する。)の指図に従い、当社から拠出された本信託内の金員を原資として、当社株式を株式市場から取得し(そのため、本制度によって当社株式の希薄化は生じない。)、支給要件を充足する取締役等は、後記(4)に記載のとおり付与されるポイント数に応じ、本信託から当社株式および当社株式の換価処分金相当額の金銭(以下「当社株式等」という。)の交付および給付(以下「交付等」という。)を受けることができます。
本信託の信託期間は、各対象期間の満了後、当該対象期間における支給要件を充足する取締役等に対する当社株式等の交付等が完了するまでの期間などを踏まえて設定するものとし、本対象期間については、2027年8月31日までといたします。
また、前記(2)の対象期間の更新にあたっては、信託契約の変更および追加信託を行うことにより、更新された対象期間に応じて、本信託の信託期間を延長いたします。当社は、本信託の信託期間が延長されるごとに、4,900百万円の範囲内で、追加拠出を行います。ただし、係る追加拠出を行う場合において、延長する前の信託期間の末日時点で本信託内に残存する当社株式および金銭(以下「残存株式等」という。)があるときは、残存株式等の額と当社から追加拠出される金員の額の合計額は、4,900百万円の範囲内といたします。

(4) 取締役等に交付等がなされる当社株式の数の算定方法および上限

本制度によって取締役等に対して交付等がなされる当社株式(換価処分の対象となる株式を含む。)の数は、役位や中期経営計画の目標値に対する業績達成度等に基づき一定の算定式に従って付与されるポイントにより定まります。
各対象期間の開始時においては、交付等が行われる当社株式(換価処分の対象となる株式を含む。)の数は、1ポイント当たり1株といたします。ただし、当社株式が株式の分割、株式無償割当て、株式の併合等によって増加または減少した場合、当社は、その増加または減少の割合に応じて、1ポイント当たりの交付等が行われる当社株式(換価処分の対象となる株式を含む。)の数を調整いたします。
当社は、対象期間中における毎年所定の日(基本ポイント付与日)に、その時点で在任している取締役等に対し、以下の算定式に基づく基本ポイントを付与いたします。

(基本ポイント算定式)
役位別基準額(※1)×株式報酬構成比率(※2)÷当該対象期間の開始日の属する月の前月各日(取引が成立しない日を除く。)の東京証券取引所における当社株式の普通取引の終値の平均値(小数点以下の端数は切り捨てる。)

また、対象期間の満了日に在任していた取締役等に対しては、以下の算定式に基づく業績連動ポイントを、当該対象期間満了後の所定の時点で付与いたします。

(業績連動ポイント算定式)
当該対象期間の満了日までに累積した基本ポイントの数(以下「累積基本ポイント数」という。)×業績連動係数(※3)(小数点以下の端数は切り捨てる。)

ただし、取締役等に付与されるポイントに基づいて取締役等に交付等が行われる当社株式(換価処分の対象となる株式を含む。)の数は、対象期間ごとに3,000千株(※4)を上限とするものといたします。

  • (※1) 役位別基準額は、役位や職責等を考慮の上、あらかじめ当社が決定いたします。
  • (※2) 株式報酬構成比率は、基本報酬1.00に対し、本制度0.30~0.70とし、役位が上位の取締役等ほど高くなるように設定いたします。また、中期経営計画の更新時には、経済環境および他社水準等を考慮のうえ取締役会の決議により再設定することといたします。
  • (※3) 業績連動係数は、指名・報酬委員会で審議した上であらかじめ取締役会が定めた換算表に従い、対象期間中の最終事業年度における連結売上高、連結営業利益、ROE等の中期経営計画の目標値に対する業績達成度、カーボンニュートラル戦略の推進に向けたGHG排出削減率目標の達成度および株主価値の成長度等に基づいて、0~240.0%の範囲で定まることになります。株主価値の成長度は、対象期間における当社株主総利回り(Total Shareholder Return)とTOPIX(配当込み)の成長率との比較結果に基づきます。株主総利回りはキャピタルゲインと配当を合わせた株主にとっての総合投資利回りです。
  • (※4) 係る上限の1事業年度当たりのおよその平均である1,000千株の当社の発行済株式(自己株式を除く。)の総数(2024年3月31日時点)に対する割合は、約0.13%(当社では2024年4月26日に自己株式の消却を実施しており、当該自己株式の消却後の発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する割合は、約3.4%)となります。

(5) 取締役等に対する当社株式等の交付等

対象期間の満了日に在任していた支給要件を充足する取締役等は、対象期間の満了直後の7月頃に、当該対象期間の満了後に付与される業績連動ポイント数に相当する当社株式等の交付等を本信託から受けることができるものといたします。この場合、当該取締役等は、当該ポイント数のうち一定割合に相当する当社株式(単元未満株式は切り捨てる。)の交付を受け、残りのポイント数に相当する当社株式については、それが本信託内で換価されたことによる換価処分金相当額の金銭の給付を受けることができるものといたします(※5)。

(6) 対象期間の満了日より前に退任した取締役等の取扱い

対象期間中に在任していた取締役等が当該対象期間の満了日より前に退任した場合(解任された場合を除く。)、当該取締役等は、その退任時点における累積基本ポイント数に相当する当社株式等(換価処分については前記(5)の場合と同様)の交付等を本信託から受けることができるものといたします(※5)。

(※5) 前記(4)の定めに従ってポイントの付与を既に受けまたはその後に受けるべき取締役等が当社株式等の交付等を受ける前に死亡した場合、その相続人は、当該取締役等に代わって、当該ポイントに基づき、当社株式等(ただし、その全部について本信託内で換価されたことによる換価処分金相当額の金銭)の交付等を本信託から受けることができるものといたします。

(7) 本信託内の当社株式に関する議決権

本信託内の当社株式については、経営への中立性を確保するため、議決権は行使されないものといたします。

(8) 非居住取締役等の取扱い(キャッシュプラン)

以上の定めにかかわらず、対象期間の満了日に在任していた取締役等のうち、非居住取締役等は、当該対象期間の満了直後の7月頃に、本信託から当社株式等の交付等を受けることに代えて、当社から、当該対象期間の満了後に付与される業績連動ポイント数に相当する当社株式の市場価格に相当する額(小数点以下の端数は切り捨てる。)の金銭の給付を受けることができるものといたします。
また、対象期間中に在任していた非居住取締役等が当該対象期間の満了日より前に退任した場合(解任された場合を除く。)、当社から同様に金銭が給付されますが、給付する金銭の額を算定するための基礎となるポイント数および金銭の給付時期については、前記(6)に記載の定めを準用するものといたします(本制度のうち、当社が非居住取締役等に対して金銭を給付する上記の制度を、以下「キャッシュプラン」という。)(※6)。
対象期間ごとに、①上記のキャッシュプランにより当社が非居住取締役等に対して給付する金銭の総額と②前記(5)および(6)のとおり本信託から取締役等(非居住取締役等を除く。)に対して交付等がなされる当社株式(換価処分の対象となる株式を含む。)の取得価額の総額の合計額は、4,900百万円を超えないことといたします。

(※6) 前記(4)の定めに従ってポイントの付与を既に受けまたはその後に受けるべき非居住取締役等が当社から金銭の給付を受ける前に死亡した場合、その相続人は、当該非居住取締役等に代わって、当該ポイントに基づき、当社から金銭の給付を受けることができるものといたします。

(9) マルス・クローバック

取締役等に重大な不正・違反行為等が発生した場合には、当該取締役等に対して、本制度における当社株式等の交付等を受ける権利の喪失もしくは没収、または交付した当社株式等相当の金銭の返還請求(マルス・クローバック)ができる制度を設けています。

(10) 本制度に関するその他の事項

本制度に関するその他の事項については、取締役会にご一任願いたいと存じます。

<ご参考>