事業報告(2023年4月1日から2024年3月31日まで)

当社グループの現況に関する事項

(1) 財産および損益の状況の推移

<ご参考>

(2) 当連結会計年度の事業の経過および成果

事業環境および取り組み

当連結会計年度の世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東地域の情勢悪化、物価上昇や金融資本市場の引き締めに伴う景気減速の恐れなど、先行きの不透明な状況が続きました。
我が国経済においては、一部に改善の遅れが見られたものの、緩やかな回復基調にて推移いたしました。
当連結会計年度の海外トラック市場においては、主にサプライチェーンの混乱の影響を受けた生産制限が緩和されたことにより、販売台数が増加いたしました。
国内トラック市場につきましては、需要が堅調に推移し、世界的な半導体不足に起因する生産面への影響も改善した結果、販売台数は前連結会計年度に引き続き増加いたしました。
このような状況の中、当社グループは、主に新興国を中心とした市況悪化の影響により販売台数が減少したものの、海外を中心とした価格対応および原価低減活動に取り組んだ結果、当連結会計年度の業績は、売上高3兆3,867億円、営業利益2,931億円となり、2021年5月に発表した「中期経営計画2024」における売上高および営業利益の目標を達成いたしました。
「中期経営計画2024」の期間中においては、資材費高騰をはじめとする事業環境の変化があったものの、当初より掲げておりました「既存事業の拡大・収益向上」、「イノベーションの基軸」、「ESGを視点とした経営の進化」を着実に推し進め、事業規模の拡大を実現いたしました。
当社グループは、新たに策定した中期経営計画「ISUZU Transformation - Growth to 2030」のもと、「安心×斬新」で世界のお客様・社会の課題解決をリードする「商用モビリティソリューションカンパニー」を目指し、絶えず変革に取り組み続けてまいります。

事業の成果

当連結会計年度における国内と海外を合わせた総販売台数は、前連結会計年度に比べ84,835台(11.3%)減少し、666,809台となりました。
国内車両販売台数につきましては、部品不足が改善し、前連結会計年度に比べ5,084台(8.8%)増加の62,932台になりました。海外車両販売台数につきましては、インフレーションおよび金利上昇による影響を受けた結果、CV(商用車(トラックおよびバス))は39,032台(13.8%)減少し244,305台、LCV(ピックアップトラックおよび派生車)はタイを中心に50,887台(12.4%)減少し359,572台となりました。
また、産業用エンジンの売上高は、前連結会計年度に比べ51億円(4.3%)減少の1,146億円となり、その他の売上高につきましては、保有事業等の伸長により前連結会計年度に比べ330億円(4.7%)増加の7,420億円となりました。
これらの結果、売上高につきましては、前連結会計年度に比べ1,911億円(6.0%)増加の3兆3,867億円となりました。内訳は、国内が1兆1,089億円(前連結会計年度比12.0%増)、海外が2兆2,778億円(前連結会計年度比3.3%増)です。
損益につきましては、新興国を中心とした市況悪化および資材費等の変動による減益影響はあるものの、価格対応、原価低減活動および円安影響が寄与し、営業利益は2,931億円(前連結会計年度比15.6%増)となりました。また、経常利益は3,130億円(前連結会計年度比16.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,764億円(前連結会計年度比16.3%増)となりました。

商品別の販売台数・売上高の内訳は、次の表のとおりです。

<ご参考>

<ご参考>トピックス
Japan Mobility Show 2023

当社とUDトラックスは、2023年10月26日(木)~11月5日(日)に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(JMS)」(主催:一般社団法人 日本自動車工業会)に共同出展いたしました。 JMS全体としては111万人、いすゞグループブースには42万人を超えるお客さまにご来場いただきました。
両ブランド共同では初めてとなる展示会出展で、いすゞグループが描く、ワクワクする「運ぶ」の未来を皆さまにご提案するため、<INNOVATION FOR YOU ~加速させよう、「運ぶ」の未来。~>をテーマに、いすゞ・UDトラックス両ブランドの商品やソリューションを「INNOVATION FOR EARTH / SOCIETY / LIFE」の3つのカテゴリーに分け、「運ぶ」にイノベーションを掛け合わせたモビリティとして展示いたしました。

さらに詳細な情報はこちらをご覧ください。

「INNOVATION FOR EARTH / SOCIETY / LIFE」の3つのカテゴリーより、11の展示物を出展。

多くのお客さまにご来場いただき、過去最高クラスの来場者数を記録。

展示した商品・ソリューションの一部を
ご紹介します。

いすゞ&UDトラックス 3つの
カテゴリーの出展物

INNOVATION FOR EARTH

2050年までに、製品のライフサイクル全体における温室効果ガス(GHG)ゼロと、事業活動から直接排出されるGHGゼロを目指して、地球にやさしい「運ぶ」で、経済成長と地球環境保護を両立させるプロダクトとソリューション。


INNOVATION FOR SOCIETY

トラックドライバーの長時間労働、Eコマース市場の急拡大による物流量の増加と2024年問題。社会の血流とも言える物流を取り巻くさまざまな課題を解決するプロダクトとソリューション。


INNOVATION FOR LIFE

ヒトとモノがいつでも、どこへでも、自由に行き来する。安全で、快適で、人にやさしく、便利に。そんな「運ぶ」を実現することが、明日の暮らしを豊かでワクワクさせる。その想いを形にしたプロダクトとソリューション。

<ご参考>(事業展開および商品展開)
トピックス

中型トラック「フォワード」をフルモデルチェンジし発売

当社は、中型トラック「フォワード」シリーズを16年ぶりにフルモデルチェンジし、2023年8月より発売しました。
デザイン面では「PLEASURE to CARRY」をコンセプトにタフさと華やかさを高い次元で両立し、セーフティ面では先進安全・運転支援機能を大幅に拡充しました。
また、「ホスピタリティ」「コネクテッド」の分野でも機能を進化させました。
フォワードの強みである豊富なラインアップはそのままに、先進安全装備の選択肢をさらに広げ、「運ぶ」を担うドライバーに安全と快適を提供してまいります。

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藤沢工場内に電動開発実験棟を新設
~2030年のCN対応車フルラインアップに向け、2026年に稼働開始へ~

当社は、2030年のカーボンニュートラル(CN)対応車フルラインアップに向けた車両開発を加速させるため、藤沢工場内に電動開発実験棟を新設します。商用電動車に最適なシステムやコンポーネントを開発するための実験・評価設備を導入する計画で、投資総額は約400億円を予定、2026年6月の稼働開始を目指します。
当社グループは2023年5月に、CNや物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進するため、1兆円のイノベーション投資を公表しました。本件もその一環と位置付けています。来るべきCN社会に向け、電動開発実験棟の新設と最新鋭の実験・評価設備の導入を通じて、CN対応車の開発体制強化およびその普及・促進を図ってまいります。

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ピックアップトラック「D-MAX」を大幅改良し発売

当社は、2023年10月に1トン積みピックアップトラック「いすゞD-MAX」を大幅改良し、タイで販売開始しました。順次、欧州等の他地域にグローバル展開してまいります。
3代目にあたるD-MAXは、2019年10月のデビュー以来、力強いデザイン、悪路走破性、優れた燃費性能などがお客さまに高く支持されています。今回の大幅改良では、好評の内外装デザインに磨きをかけ、また世界中のお客さまから求められる幅広いニーズに対応することで、市場により適したピックアップトラックを目指しました。
今後は、CN戦略の一環でピックアップトラック領域でも電動化を進める計画で、まずは2025年に欧州でバッテリーEV(BEV)のD-MAXを発売する予定です。

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FC大型トラック公道実証走行開始

当社と本田技研工業株式会社との共同研究による燃料電池(FC)大型トラック「GIGA FUEL CELL」の公道での実証走行を2023年12月に開始しました。2024年9月までの本実証実験を通じて、2027年の市場導入へ向けたデータの取得、知見の蓄積、技術的課題の抽出などを進め、水素燃料活用の可能性と燃料電池車両の実用性を検証します。

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片山正則CEOが自動車工業会会長に就任

2024年1月1日付で、当社代表取締役会長CEOの片山正則氏が一般社団法人 日本自動車工業会(自工会)の会長に就任いたしました。商用車メーカー出身としては初めての自工会会長就任となります。

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(資金調達)

当連結会計年度の資金調達につきましては、国内の販売金融機能を担う、いすゞリーシングサービス株式会社が調達した長期借入金920億円などがあります。

(設備投資)

当連結会計年度の設備投資につきましては、総額1,286億円の投資を行いました。設備投資の継続中の主なものといたしましては、中小型トラックのモデルチェンジ、基幹システム刷新、ならびに藤沢工場の生産ライン合理化および近代化に関する投資があります。
その他、当社グループの国内販売会社における建物の老朽化対応や土地の購入に関する設備投資などを実施しました。

(研究開発)

当連結会計年度における研究開発活動の主なものといたしましては、自動運転技術およびカーボンニュートラル技術の開発があります。
その他、ドライバーの労働環境改善のための居住性・利便性・快適性の向上、先進安全装置の充実化、車型展開の拡大および燃費改善などを実施しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は1,239億円です。

(3) 対処すべき課題

今後の世界経済は、持ち直しが続くことが期待される一方で、金融資本市場の変動や一部の国と地域における市場経済の停滞に伴う影響が懸念され、不確実性の高い状況となることが予想されます。このような事業環境においても、当社グループをはじめとする商用車業界は地球温暖化や物流の2024年問題(注1)等の社会課題の解決に向けた取り組みを引き続きリードしていくことが求められています。
当社グループは、社会課題の解決を通して、新経営理念体系「ISUZU ID」のミッションで掲げる「地球への優しさNo.1」、「お客様満足度No.1」、「働きがいNo.1」および「社会への影響力No.1」を実現すべく、中期経営計画「ISUZU Transformation - Growth to 2030」(以下、IX)を策定しました。
まずは2027年度までに自動運転レベル4(注2)トラック・バス事業を開始し物流・人流課題の解決を目指します。また、コネクテッドサービスの進化および海外市場への展開によりお客様の物流効率化をサポートするとともに、当社の強みである車両の稼働を守るサービスを強化していきます。さらに、多様な動力源での技術開発を進め、用途に適した商品展開をすることで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。そして、これらへの挑戦を加速させるため、DX活用を含めた構造改革およびグローバル基準の人財マネジメント基盤を整備していきます。
当社グループは、IXを達成するための経営基盤を確固たるものにするため、迅速かつ適切な意思決定を実現するガバナンス体制およびリスクマネジメントをはじめとした内部統制の強化にも引き続き力を入れていきます。
株主の皆様におかれましては、今後とも変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。

  • (注1)物流の2024年問題:働き方改革関連法の施行に伴い、2024年4月1日よりドライバーの労働時間の上限が規制されたことで、物流業界で起こるとされる様々な問題
  • (注2)自動運転レベル4:特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態

<ご参考>
中期経営計画「ISUZU Transformation - Growth to 2030」

さらに詳細な情報はこちらをご覧ください。

<ご参考>
持続可能な成長に向けた取り組み

「FTSE4Good Index Series」「FTSE Blossom Japan Index」
「MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数」の構成銘柄に初選定

当社は、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みが評価され、英国のFTSE Russell社が設定するESGの代表的指数「FTSE4Good Index Series」、「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄に初めて選定されました。
FTSE Russell社はロンドン証券取引所グループの完全子会社(情報サービス部門)で、グローバルなインデックスおよびデータを提供しています。「FTSE4Good Index Series」は、ESG を実践している企業のパフォーマンスを測定するように設計されており、さまざまな市場参加者により、責任ある投資ファンドやその他の金融商品の設定・評価に利用されています。「FTSE Blossom Japan Index」は、日本企業に特化した同社のESG投資の株価指数で、世界最大規模の年金運用機関である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資の指数として採用しています。
また、同じくGPIFがESG指数として採用する「MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数」にも初選定されました。「MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数」は、米国のモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)社が提供するESG投資インデックスです。MSCIジャパンIMI指数の構成銘柄から、各業種内でESG格付けの相対的に高い企業が選定されています。
今後も、ESGに対する取り組みを加速させ、お客様や社会の課題解決への取り組みを通じて、企業成長と価値向上に取り組んでまいります。

いすゞをMSCIインデックスに含めること、およびMSCIのロゴ、商標、サービスマーク、またはインデックス名を使用することは、MSCIまたはその関連会社がいすゞを後援、承認、または宣伝することを意味するものではありません。
MSCIインデックスはMSCIの独占的財産です。MSCIおよびMSCIインデックスの名称およびロゴは、MSCIまたはその関連会社の商標またはサービスマークです。

その他のESGインデックスへの採用情報は、当社ウェブサイトをご覧ください。

サステナビリティ推進体制

当社では、グループ全体でサステナビリティの推進を図るため、サステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を整備しています。サステナビリティ委員会は、サステナビリティに関する経営課題・事業方針・事業戦略の意思決定を行い、全社的なサステナビリティ活動を継続的に推進しています。取締役副社長を委員長とし(注)、各領域の担当役員をはじめとする経営層を常任委員として構成しており、定期的(年4回以上)に開催しています。サステナビリティ委員会の審議事項は、内容の重要度などを鑑み、必要に応じて経営会議・取締役会へ報告を行っています。
サステナビリティ委員会の傘下には、関連する常任委員を部会長とする環境系・社会系の専門部会を設置し、個別課題について具体的な議論を行っています。
また、主要な子会社とグループサステナビリティ連絡会を開催し、サステナビリティ活動に関する情報共有や指示を行っています。

(注)2024年3月31日現在

サステナビリティ推進体制図(2024年3月31日現在)

より詳しい情報は、当社ウェブサイトおよび「統合報告書2023」をご覧ください。

いすゞ環境長期ビジョン2050 / 2030環境ロードマップ

当社は、2050年の社会が豊かで持続可能な社会であるために、長期的視野で当社グループが地球環境問題に取り組むための方向性を示すべく、2020年3月に「いすゞ環境長期ビジョン2050」を策定しました。「いすゞ環境長期ビジョン2050」では、2050年までに当社グループが目指す姿(5つのAspiration)を示しています。
また、「いすゞ環境長期ビジョン2050」の取り組みを着実に実現するため、2022年には「2030環境ロードマップ」を策定しました。ロードマップでは、2030年までの当社がチャレンジする目標と、具体的なアクションプランを示しています。

新経営理念体系「ISUZU ID」を起点とする人的資本経営への進化

当社は、2023年5月に発表した新経営理念体系「ISUZU ID」のビジョン『「安心×斬新」で世界を進化させるイノベーションリーダー』およびミッション『あなたと共に「運ぶ」の課題を解決する』を起点に、人的資本経営への進化とグローバル視点でのグループ経営を実現します。従業員の専門性強化と挑戦を後押しするグローバル基準の人財マネジメント基盤を整備し、2026年度までに当社グループ全体へ制度展開します。

いすゞグループ人権方針の多言語化、責任ある鉱物調達方針を策定

当社は、2022年2月に「いすゞグループ人権方針」(以下、本方針)を制定しました。
また、2023年12月には、同年5月に発表した新経営理念体系「ISUZU ID」の内容を踏まえ、本方針を改定しました。
本方針は、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠したものであり、国際社会において、人権尊重に対する企業文化の醸成と事業活動全般にわたる取り組みが期待される中、企業の社会的責任として人権を尊重した事業活動を推進することで、持続可能な社会の実現に貢献する当社の考え方を改めて表明するものです。
当社は、本方針に従い、国際規範・法令・グループ規範などを遵守し、グループ人権推進体制の整備および人権デュー・ディリジェンスへ取り組むとともに、役員・従業員への適切な教育を行っていきます。また、ビジネスにおける人権尊重の重要性を踏まえ、ステークホルダーとの対話を行い、事業パートナーおよびお取引先様に対しても理解促進に努めていきます。
当社では、紛争地域における人権侵害、環境破壊や不正採掘を引き起こし、武装勢力の資金源となっている紛争鉱物の使用は、重大な問題として捉え、サプライチェーン上流までさかのぼって紛争に関与していないことの確認を「いすゞサプライヤーサステナビリティガイドライン」で要請しています。2021年度より、お取引先様のサプライチェーンにおける紛争鉱物の使用状況、責任ある鉱物調達に関する取り組み状況に関する調査を開始し、2022年度よりRMI(注)が提供する統一フォーマットを用いた調査を実施しています。また、2023年度には「いすゞグループ責任ある鉱物調達方針」を策定しました。今後もお取引先様への要請を継続し、責任ある鉱物調達を促進してまいります。

(注)RMI : Responsible Minerals Initiative (紛争鉱物問題に取り組む米国の組織)

より詳しい情報は、当社ウェブサイトをご覧ください。
人権尊重への取り組み
サプライチェーン・マネジメント

外部有識者との人権取り組みについてのダイアログ実施

2024年2月に外部有識者をお招きし、ビジネスと人権をテーマとしたステークホルダー・ダイアログを実施しました。前半は、サステナビリティ委員会メンバーの役員を対象に有識者の方よりご講演いただき、後半は当社役員とのダイアログを実施しました。ダイアログでは、当社の人権への取り組みおよび課題に対するアプローチについて意見を交わすとともに、有識者の方よりご助言をいただきました。
今後もグループ全体での人権推進活動を深化させるため、役員・従業員向けに各種人権教育を実施するとともに、様々なステークホルダーとの対話を重ねてまいります。

<ご参考>
コーポレート・ガバナンスに関する取り組み

コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方

当社が企業活動を通じて継続的に収益をあげ、企業価値を高めていくためには、その活動を律する枠組みであるコーポレート・ガバナンス(企業統治)の体制の整備は不可欠であると考えています。
また、当社を取り巻くあらゆるステークホルダーの立場を尊重し、円滑な関係を構築していくことが、コーポレート・ガバナンスの基本的な目的であると考え、そのために重要情報の適時適切な開示を通して、企業内容の公正性・透明性確保に努めています。特に、全てのステークホルダーの権利・利益を守り、ステークホルダー間の平等性を確保するために、社内体制および環境の整備を図ることは、コーポレート・ガバナンスの重要な要素であると考えています。

コーポレート・ガバナンス体制図

当社のコーポレート・ガバナンス体制の概要は下記のとおりです。(2024年4月1日現在)

取締役会実効性評価

当社は、取締役会の機能向上を図るため、毎年、取締役会の実効性について、分析・評価を実施しております。2023年度の分析・ 評価の概要は以下のとおりです。

1. 2023年度の分析・評価のプロセス

当社は、昨年実施した取締役会実効性評価で抽出された課題を基に、当社取締役会の持つ強みと課題解決の状況の継続的なモニタリングに焦点を当てて評価を実施いたしました。
全ての取締役を対象とした、アンケートおよび第三者機関によるインタビューを実施し、分析を行いました。また、分析結果から抽出される課題についての対応策を整理し、2024年4月の取締役会において報告の上、その評価と今後の取り組みを確認しました。

2. 評価結果の概要(強み)

当社の取締役会は、次の3点を強みとして評価、確認しました。

  • (1) 多様なバックグラウンドをもつ取締役に裏付けられた実効性のある取締役会の構成となっている。
  • (2) 取締役会の運営における改善策やグループCRMOによるリスク管理体制の構築、その他の課題として指摘された事項について、着実かつスピード感をもって取り組んでいる。
  • (3) 社外取締役を含む取締役に対する事前説明等が取締役会における実効的な議論のために効果的に機能しており、十分性が確保されている。
3. 評価結果の概要(課題)

当社の取締役会は、モニタリング機能強化に向け次の3点を課題として確認しました。

  • (1) 経営理念および中長期経営計画を軸とした取締役会の議論充実
  • (2) リスク管理体制を含む内部統制状況の報告の充実
  • (3) 資本コスト/事業ポートフォリオに関する議論の充実
4. 2022年度の主な課題および2023年度の取り組み状況
政策保有株式に関する考え方と縮減状況

当社は、長期取引を前提に取引先企業の株式を保有することは、安定的な関係構築の有効な手段であり、中長期的な企業価値の向上につながるものと考えています。なお、取引先企業の株式保有の合理性を確認するため、年に一回、取締役会において、個別銘柄ごとに保有に伴う便益が資本コストに見合っているかなどの定量的な評価と、保有意義といった定性的な評価の両面で検証を行っています。その結果、保有目的が失われたと判断した株式については、速やかに縮減を図ってまいります。
なお、当事業年度は3銘柄・約3,199百万円の売却を行いましたが、株式時価の増加により、当事業年度末における対連結純資産割合は11.4%となりました。

(ご参考)取締役会における保有合理性の検証プロセスおよび評価方法

当事業年度における政策保有株式の縮減額(売却額)

当事業年度末における政策保有株式の縮減状況は以下のとおりです。

株主としての議決権行使については、個別取引関係を有する株主として投資先企業の会社提案議案の趣旨や意向を尊重します。ただし、投資先企業との対話や議案精査の過程で当該企業の企業価値を毀損するリスクがあると判断した場合は、議案の取り下げや見直しを要請するほか、議決権行使の棄権なども含めた議案ごとの対応を行ってまいります。

各会議体の運営状況
取締役会

取締役会は、株主からの負託・信任に応えるとともに、企業価値を継続的に高めるため、経営に関わる重要な意思決定および監督を行います。取締役会は、原則として毎月定例取締役会を開催するほか、必要に応じて臨時取締役会を開催し、必要な事項に関して審議・決定しています。
現在の取締役会は、取締役13名で構成されています。なお、取締役13名のうち5名は、独立社外取締役です。
当事業年度は14回開催し、新中期経営計画の策定および人事制度改革等に関して活発な議論を行いました。

監査等委員会

監査等委員会は、監査等委員会で定めた監査計画に従い、取締役会の意思決定および取締役の業務執行の監査・監督を行うこととしています。
現在の監査等委員会は、3名(穴山眞、宮崎健司および渡邉正夫)を常勤監査等委員として選定しています。監査等委員である取締役5名のうち3名は独立社外取締役です。なお、監査等委員である取締役5名は、全員、選定監査等委員です。
当事業年度は監査等委員会を15回開催しました。

指名・報酬委員会

指名・報酬委員会は、企業統治に関する任意の機関として、役員候補者の指名や経営陣幹部などの選定・役員報酬の決定などに係る取締役会の機能の独立性・透明性・客観性を強化することを目指しています。
現在の指名・報酬委員会は、右表に記載の5名で構成され、取締役会のもとで、諮問を受けた内容について審議し答申を行っています。
当事業年度は9回開催し、役員報酬制度の見直し(報酬水準の改定など)、社外取締役候補者の選定および個別具体的な指名・報酬案について検討しました。

経営会議

当事業年度の経営会議は、取締役会長CEO、取締役社長COO、取締役副社長、各EVP、グループCxOおよび執行役員で構成され、取締役会からの権限委譲の範囲内で経営・業務執行に関する事項を審議・決定しました。

さらに詳細なガバナンスの状況につきましてはコーポレート・ガバナンス報告書に記載しております

連結計算書類

計算書類