事業報告(2017年4月1日から2018年3月31日まで)
企業集団の現況
当事業年度の事業の状況
事業の経過及びその成果
当連結会計年度におけるわが国経済は、生産活動が緩やかに回復し、企業業績や雇用環境の改善が見られ比較的堅調に推移しました。一方世界経済は、成長を続けているものの、保護主義の台頭や地政学リスク等により先行き不透明な状況が続きました。
このような環境のもと、当社グループとしましては、2015年度よりスタートした中期経営計画「Project -NANA-」に掲げる成長戦略であるeコマース事業、海外事業、新規商材の企画・開拓の推進等の諸施策を主軸とし、各種カタログの発刊、WEBサイトの充実、各種サービスの拡充などによる積極的な営業活動に注力いたしました。特にeコマース事業については、経営資源を集中的に投入したところ、当社電子カタログを顧客購買システムに直接接続して研究機材を購入いただくeコマース型集中購買の対象先が大幅に増え135社(前期比34社増)となりました。ネット通販業者向け売上も堅調に推移し、両チャネルを合わせたeコマース事業は前期比35.9%増と会社全体の成長を牽引しました。
商品展開としては、英語や中国語版を含め8種類のカタログを発刊し、プライベートブランド商品を含めた新商品を多数投入しました。2017年6月には、欧州各国の理化学機器販社で構成する理化学機器共同卸組合Lab Logistics Group GmbH(LLG)に資本参加し、欧州製理化学機器の調達力を強化するとともに、欧州に対する販路としても活用できるようになりました。また、インターネットサイト「AXEL」においては、カタログに掲載しきれない専門的アイテムを多数掲載し、取扱商品点数を期初約140万点から期末約200万点を超えるまで拡大いたしました。
グループ展開としましては、期初より米国子会社AS ONE INTERNATIONAL, INC.が稼動を開始し、中国子会社亚速旺(上海)商贸有限公司では瀋陽に分公司を開設し、2018年3月には国内でWEB購買代行システムを提供する株式会社トライアンフ・ニジュウイチの株式51%を取得し子会社としました。
財務面では、自己株式を19億99百万円取得し、目標としていた2017年度までの3年間の平均総還元性向70%への達成の目処をつけることができました。
この結果、当連結会計年度の連結売上高は609億59百万円(前期比9.0%増)、営業利益は65億96百万円(同8.3%増)、経常利益は68億43百万円(同8.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は46億84百万円(同11.2%増)となりました。
また、ROEは9.2%となり前年の8.5%から向上しました。


部門別の概況
企業集団の部門別売上状況は次のとおりであります。
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研究・産業機器部門
売上高構成比 詳細はこちら
研究・産業機器部門
科学機器分野では、民間企業の積極的な研究開発需要に支えられたことに加え、eコマース型集中購買向けやネット通販業者向けの売上が大幅に伸長したこと、WEB掲載品の拡充によりカタログに掲載していないWEB単独掲載品の販売が倍増近い伸びを示したこと等により、売上高は352億93百万円(前期比9.1%増)となりました。
また、製造現場を対象とする産業機器分野は、電子部品業界をはじめとした広範な民間企業の旺盛な需要に支えられクリーンルーム向けの消耗品や汎用器具が好調に推移したことと共に、製造現場向けを主力とするネット通販業者向けも大幅に伸長し、売上高は136億49百万円(同12.2%増)と引続き好調に推移しました。
この結果、当部門の売上高合計は489億42百万円(同9.9%増)となりました。 -
病院・介護部門
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病院・介護部門
病院・介護部門では、医療費抑制など医療機関を取り巻く厳しい経営環境が続いています。この環境のもと、当社は消耗品など低価格帯商品の販売に力を注ぎつつ、サプライヤーとの共同販促等も行い、病院向け医療キャビネットや検査器具等の売上を伸ばしました。また、2017年11月には医療機関向け総合カタログ「Navis」のボリュームアップに着手し、3割増となる1,887頁、業界最大頁のカタログとしての発刊に踏み切りました。掲載品の拡充はもちろん、プライベートブランド商品の充実を図ったことで、当部門の売上高は120億17百万円(前期比5.2%増)となりました。

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研究・産業機器部門
科学機器分野では、民間企業の積極的な研究開発需要に支えられたことに加え、eコマース型集中購買向けやネット通販業者向けの売上が大幅に伸長したこと、WEB掲載品の拡充によりカタログに掲載していないWEB単独掲載品の販売が倍増近い伸びを示したこと等により、売上高は352億93百万円(前期比9.1%増)となりました。
また、製造現場を対象とする産業機器分野は、電子部品業界をはじめとした広範な民間企業の旺盛な需要に支えられクリーンルーム向けの消耗品や汎用器具が好調に推移したことと共に、製造現場向けを主力とするネット通販業者向けも大幅に伸長し、売上高は136億49百万円(同12.2%増)と引続き好調に推移しました。
この結果、当部門の売上高合計は489億42百万円(同9.9%増)となりました。 -
病院・介護部門
病院・介護部門では、医療費抑制など医療機関を取り巻く厳しい経営環境が続いています。この環境のもと、当社は消耗品など低価格帯商品の販売に力を注ぎつつ、サプライヤーとの共同販促等も行い、病院向け医療キャビネットや検査器具等の売上を伸ばしました。また、2017年11月には医療機関向け総合カタログ「Navis」のボリュームアップに着手し、3割増となる1,887頁、業界最大頁のカタログとしての発刊に踏み切りました。掲載品の拡充はもちろん、プライベートブランド商品の充実を図ったことで、当部門の売上高は120億17百万円(前期比5.2%増)となりました。
直前3事業年度の財産及び損益の状況
対処すべき課題
「Project -NANA-」の推進
当社グループでは、2015年度よりスタートした中期経営計画「Project -NANA-」を基本方針とし、3つの目指すべき姿として「成長への再加速」「高収益性の追求」「株主価値の最大化」を掲げております。2019年度に達成すべき目標は、売上高700億円、営業利益率13.0%、ROE11.0%であり、残り2年、当社グループのリソースを最大限活用し、目標達成に尽力するとともに、さらに先を見据えた事業の裾野を拡大させてまいります。
中期経営計画(2015年度~2019年度)


3つの目指すべき姿

Ⅰ成長への再加速
中期経営計画Project -NANA 2.0-(進捗)
2017年度にバージョンアップさせたProject -NANA 2.0-で挑んだ取り組みが、目に見える形で成果を上げ、まさに「成長への再加速」が現実のものとなってきました。2018年度も、中期経営計画を上回る意欲的な売上目標を立て、成長を加速させていきます。
eコマース事業
ECビジネスの複合化を目指す
2015年3月期41億円→
2020年3月期 売上高110億円へ
「Project -NANA-」のスタート以後、紙面に限りのある紙カタログにおいて取扱っていた7万点の商品は、インターネットを最大限に活用することで、取扱商品点数を200万点超に拡大することができました。さらに、専門的な絞込検索で瞬時に商品を探し出せる検索システム「AXEL」をリリースし、ワンストップで商品を探せるサイトとして販売店様やお客様にご愛用いただけるようになりました。今後は、品揃えの充実をさらに推進するとともに、在庫情報としてサプライヤー在庫の見える化や写真カットの詳細化など掲載情報の充実を図ることで他社の追随を許さないユーザビリティを追求してまいります。
また、電子的に購買業務等の効率化等を図る集中購買による取扱い、未開拓の小口ユーザーにインターネットでアプローチするネット通販業者向けの取扱いについては、30~40%の成長率を示し、順調に推移しております。2018年3月にはWEB購買代行業務を行う株式会社トライアンフ・ニジュウイチを子会社化し、eコマースメニューの複合化を図りました。今後もこれらを有機的に融合し、お取引先数や各売上高の拡大に邁進してまいります。
海外事業
AXEL_GLOBALでグローバル展開を加速
2015年3月期16億円→
2020年3月期 売上高53億円へ
海外事業は、中国を中心として展開し、東南アジアや北米、欧州へと世界4極への展開を考えております。中国では当連結会計年度末現在、上海、広州、蘇州、北京、大連、瀋陽を拠点に営業しており、上海及び北京の物流センターから中国全土への配送を行っております。今後は、現地販売店の開拓及びお取引の深耕を図るとともに、物流拠点を含めた面の拡大を図り、中国事業のさらなる発展に努めてまいります。
また、当社は海外向けに理化学機器専門の英文eコマースサイトである「AXEL_GLOBAL」を提供しております。特に東南アジアにつきましては、日系を含む海外拠点ディーラーやそのユーザーに「AXEL_GLOBAL」を浸透させ活用いただくことで、売上獲得につなげてまいります。
北米においては、米国現地法人が2017年度より営業を開始し、北米製品の日本への輸出や欧米への販売を手掛けております。当面は、北米のバイオサイエンス機器や試薬等の先端製品の情報を収集し、日本へ輸出する調達業務を中心とした役割を担いますが、米国での日本製品の販売も将来の課題として、取引先の開拓等に力を入れてまいります。
欧州においては、共同仕入れを行うLLG*との資本提携を活用し、欧州理化学商品の調達の効率化を図るとともに、日本製品をLLGの発行するカタログに掲載するほか、30社を超える欧州各地の組合企業への営業を強化し、欧州向け輸出の拡大を図ってまいります。
*Lab Logistics Group GmbH
新規商材
物販+サービスメニューの拡大
2015年3月期0億円→
2020年3月期 売上高46億円へ
「Project -NANA-」で新たに取り組んだ新規商材としては、オリジナル医療機器や生産現場向けMRO品、試薬などの物販と、研究者へのサービスを強化する取組みを行っております。なかでも、品質やトレーサビリティへのニーズが高まっており、機器メンテナンスや校正・修理あるいはレンタルなどのサービスメニューの充実を図っております。また、ライフサイエンス研究機関が集積している川崎市殿町地区において、遺伝子解析等の受託を行う「殿町 ソリューションリサーチラボ」を開設いたしました。
当社のメインのお客様である研究者の周辺には、研究機材というモノだけでなく、研究を実現するために解決しなければならない課題がたくさんあります。それら課題の解決策をワンストップで提供できる流通の要となり、本当に無くてはならないパートナーとしての地位を固めてまいります。
Ⅱ高収益性の追求
収益性の向上に向けて
- 売上成長の加速
- 付加価値の向上
- 働き方改革
物流業界の労務費の上昇、在庫の拡充、事業拡大に伴う新たな物流センター設置などの物流コストは当面増加が見込まれます。また、成長のための人材拡充や他社に先駆けたIT投資も積極的に行っていく予定です。当社グループは卸でありながら10%以上の営業利益率を確保してまいりましたが、こうした環境の中でも、さらなる収益性の向上を目指しております。生産性を高め売上成長の加速度を高めていくことが第一ですが、付加価値の高いサービスメニューやオリジナル商品の企画・販売の強化を図ること、働き方改革を含めた業務効率化を推進し、抜本的に販売管理費の抑制を図ることで、営業利益率の向上に努めてまいります。
本年4月に、ヒトが判断していたことやパソコン上での繰り返し作業などをAI(人工知能)や仮想ロボット、所謂デジタルレイバーに置き換えていくことを推進する「AI・RPA推進グループ」を発足しました。ITでできる業務はデジタルレイバーに任せ、ヒトはより創造性を発揮していくことを推進してまいります。それらにより、売上高の増加に伴うオペレーションの増加を抑えるとともに、より付加価値の高い事業を創造し、収益性を高めてまいります。
Ⅲ株主価値の最大化
当社グループは、資本効率を意識してさらなる成長への積極的な投資を行い、1株当たりの利益を高めてまいります。また、資本コストを意識し、ROE(株主資本利益率)を高めることで、企業価値の向上に努めてまいります。
「革新と創造」という経営理念のもと、常に新しいことにチャレンジし、新しい仕組みを作り出し、中期経営計画「Project -NANA-」を推進することにより、業容を拡大させてまいります。
連結計算書類
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