事業報告(2024年3月1日から2025年2月28日まで)
会社の現況に関する事項
(1) 当期の経営成績の概況
当事業年度における国内及び北海道の経済活動は、雇用・所得環境が改善しているものの、燃料価格の高騰や各種コストの上昇による物価高が続き、生活防衛意識は依然として高いまま推移しました。
このような環境下、当社は経営ビジョンである「北海道のヘルス&ウエルネスを支える企業」の実現に向け、中期5カ年経営計画の4年目となる2024年度は、成長を加速する年度と位置づけ、株式会社西友の北海道地域の総合スーパー9店舗を承継するとともに、「独自商品の強化」「新オペレーションへの移行と定着」などの施策に取り組みました。
当事業年度における経営成績は、売上高3,540億18百万円(前期比106.3%)となりました。営業総利益は、1,128億90百万円(前期比105.2%)となりました。
販売費及び一般管理費は、株式会社西友の北海道事業承継に伴う一時的な費用の発生、積極的な投資や出店、各種コスト上昇などの影響で1,049億97百万円(前期比108.3%)と増加しましたが、計画内で管理することができました。営業利益は、営業総利益が想定を下回り、増加した販売費及び一般管理費をカバーできず、78億92百万円(前期比76.1%)、経常利益は80億20百万円(前期比77.1%)、当期純利益は36億6百万円(前期比58.2%)となりました。
業態別の売上高は、GMS(総合スーパー)は1,952億36百万円(前期比104.7%、既存店前期比101.7%)、SM(スーパーマーケット)は1,074億97百万円(前期比107.7%、既存店前期比102.0%)、DS(ディスカウントストア)は563億71百万円(前期比108.8%、既存店前期比106.3%)となりました。なお、業態別の売上高、前期比、既存店前期比においては、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)を適用していない数値となります。ライン別の売上高は、衣料部門は前期比99.2%(既存店前期比98.4%)、食品部門は前期比107.0%(既存店前期比102.8%)、住居余暇部門は前期比105.3%(既存店前期比102.4%)となりました。
当事業年度において、当社が実施した取り組みは次のとおりであります。
2024年10月1日、株式会社西友から承継した総合スーパー9店舗においては、営業再開を優先しつつ、限られた期間の中で設備や品揃えの転換を着実かつ効果的に進めました。2店舗はフルリニューアルしてオープンし、そのうちイオン札幌手稲駅前店においては、ファミリー層向けにショッピングセンター内にお子さまが遊べる室内広場を設置し、地域の方々の憩いの場として親しまれております。
最重点取り組みの一つである「独自商品の強化」については、地元の逸品や地域に親しまれている名店とコラボレーションしながら商品開発し、9月に販売した有名ラーメン店「蜂屋」監修鍋スープは発売直後から好調に推移し、カテゴリー売上をけん引しました。イオンのPB「トップバリュ」は、「ベストプライス」が売上高前期比は112.8%と好調に推移しました。
「新オペレーションへの移行と定着」については、生産性の向上を図るべく、セルフレジ、電子棚札を継続して導入するとともに、情報デバイスで店舗のリアルタイム情報を容易かつ迅速に把握できる「モバイルアシスタント」システムを全店舗に導入しました。同システムの活用により作業を効率化し、売場のメンテナンスや接客強化につなげております。これらの取り組みにより、総労働時間は前期比98.8%となりました。
節約志向を背景にDSは好調に推移しており、当事業年度において帯広市内の3店舗をDSに業態転換しました。価格政策に加え、差別化商品の販売にも取り組み、地元人気店が監修した「胡椒が決め手!鶏の塩から揚げ」は、デリカの月間売上で1位となるなど非常に好調に推移し、3店舗合計の売上高前年同期比は150%超となりました。
人口減少や環境の変化により、道内における商業施設の減少が進み、社会行事や学校行事関連商品の買い場がなくなってきている状況下、当社としてはこれらの関連商品の展開強化に加え、メディア露出を高め訴求を行いました。
衣料・住居余暇の取り組みにおいて、衣料では従前より売上規模別のフォーマット構築に注力しており、モデル店舗において実験や軌道修正を行ってまいりました。専門店のようなシーン別、年齢別の売場展開を行い、好調に推移しております。住居余暇ではPB のHOME COORDYを中心に取り扱う売場を立ち上げました。
新規出店においては、GMS1店舗、SM2店舗、小型SM2店舗出店し、シェア拡大を図るとともに、大型活性化をGMS3店舗、SM2店舗の合計5店舗で実施し、店舗の魅力向上に努めました。
サステナブル経営の推進においては、当事業年度で植樹活動を5回実施し、10月に実施した厚真町植樹ではイオン環境財団と地域の皆さま、イオン株式会社の株主さまとともに1,000本植樹しました。12月には当社と包括連携協定を締結している酪農学園のフェアを実施し、イオン江別店で排出された食品廃棄物を飼料に用いて生産された豚の肉を販売しました。
当社は、これからもサステナブル経営を実践し、お客さまに「イオンのあるまちに住みたい」と思っていただけるよう事業改革を進めてまいります。

(2) 設備投資の状況
当事業年度における設備投資額の総額は、207億96百万円であります。主たるものは、新店(イオン旭川春光店・イオン北郷店・マックスバリュ苫小牧清水店)の出店、旧西友店舗及び既存店の維持修繕並びに売場活性化によるものであります。
(3) 資金調達の状況
当事業年度は、株式会社西友の北海道事業承継による対価及び上記設備投資資金を目的に、長期借入金で230億円を調達いたしました。
(4) 重要な組織再編等の状況
当社は、2024年10月1日を効力発生日として、吸収分割の方法により、株式会社西友が営んでいました北海道事業に関する全ての権利義務を承継いたしました。
(5) 財産及び損益の状況







- 百万円単位の記載金額は、百万円未満を切捨て表示しております。
- 1株当たり当期純利益は、期中平均発行済株式総数(自己株式を除く)に基づき算出しております。
- 1株当たり純資産は、期末発行済株式数(自己株式を除く)に基づき算出しております。
(6) 重要な親会社及び子会社の状況
- ①
- 親会社の状況
当社の親会社は、イオン株式会社であり、同社は当社の議決権比率67.1%(うち間接保有1.5%)を保有しております。
- ②
- 親会社等との間の取引に関する事項
- イ.
-
当該取引をするにあたり当社の利益を害さないように留意した事項
親会社等の取引をするにあたっては、当該取引の必要性及び取引条件が第三者との通常の取引と著しく相違ないこと等に留意し、合理的な判断に基づき決定しております。
- ロ.
-
当該取引が当社の利益を害さないかどうかについての取締役会の判断及びその理由
親会社等との重要な取引については、独立性確保の観点等も踏まえ、独立社外取締役が出席する取締役会において多面的な議論のうえ、実施の可否を決定しており、当該取引が当社の利益を害するものではないと判断しております。
- ハ.
-
取締役会の判断が社外取締役の意見と異なる場合の当該意見
該当事項はございません。
- ③
- 子会社の状況
該当事項はございません。
(7) 対処すべき課題
当社は、中期5ヵ年経営計画(2021-2025)において、以下の4つの方針を定め、経営課題の解決に取り組んでおります。
- ①
-
商品と店舗の付加価値向上
市場競争が激化する中で競争力を格段に高めるために、事業の核である「商品」と「店舗」の継続的な付加価値向上が、最重要の課題であると認識しております。
商品においては、売上高の約8割を占める食品を最重点とし、安全・安心、鮮度や美味しさを基本に、当社にしかない魅力ある商品を強化いたします。当事業年度、食品においてはイオングループのプライベートブランド「トップバリュ」を継続強化いたしました。50周年記念商品やMZ世代向け新商品の投入に加え、値下げや増量などの施策が長引くインフレの中のお客さまにご支持いただき、業績を牽引いたしました。また、イオン石狩プロセスセンターによる自社開発のデリカや畜産商品の製造・供給の拡大により、店舗の品揃え強化と作業削減による効率化がすすんでおります。衣料においては、これまで実験・検証をすすめてまいりました売場面積別・商圏別の新しいフォーマットをイオン札幌苗穂店の活性化にて導入し、フォーマットが形になってまいりました。翌事業年度においては、中期経営計画の最終年度として、引き続き各商品施策の徹底を図ってまいります。
店舗においては、継続的な出店と既存店舗の価値向上をすすめており、当事業年度は多様な業態を地域ニーズに合わせ進化させ、5店舗を出店いたしました。5月には従来のマックスバリュに化粧品や医薬品、書籍や文具の売場をプラスした進化型スーパーマーケット「イオン北郷店」をオープンいたしました。また、7月には苫小牧市内で7店舗目となる「マックスバリュ苫小牧清水店」を、9月には旧イオン旭川春光店をスクラップ&ビルドした「イオン旭川春光ショッピングセンター」をオープンいたしました。加えて、札幌市内にて小型食品スーパーの「まいばすけっと」を2店舗オープンしております。10月には株式会社西友より道内9店舗(すべて札幌市)を承継し、12月までに各店舗の設備や立地、地域ニーズに適した業態に改装し、再開店いたしました。
既存店舗においては、お客さまの生活防衛意識の継続により好調なDS業態を強化すべく、帯広市内のマックスバリュ3店舗を7~9月にかけ、DS業態(ザ・ビッグ、ザ・ビッグエクスプレス)に業態変更いたしました。加えて、品揃えの見直しや設備を刷新する大型の店舗活性化を5店舗で実施しております。また、お客さまの利便性の向上と働き手不足に対応する店舗DX投資においては、導入がほぼ完了したセルフレジから電子棚札にシフトし、導入店舗は全体の5割を超えました。
翌事業年度においては、出店をまいばすけっと1店舗に止め、当事業年度の新店及び活性化店舗の効果を最大限に発揮させるとともに、積極的な既存店舗の活性化により店舗価値を更に高めてまいります。
- ②
-
顧客化の推進
厳しい競争環境下においてもお客さまに選ばれる、強固な顧客基盤の構築を課題としております。イオンカード、電子マネーWAON、iAEONアプリ等の会員さまへ、決済やアプリ利用を通じてお預かりしたデータを活用し、お一人おひとりに最適な商品やサービスを提案・提供し、顧客の利便性と満足度を格段に高めることで、顧客基盤を強化いたします。当事業年度は、アプリ会員の拡大と決済利用の促進、クーポン販促に注力いたしました。翌事業年度も、販促の強化に加え、特にデータ分析と活用領域の拡大を図り、顧客満足の向上に取り組んでまいります。
- ③
-
地域との連携
地域の毎日の暮らしに寄り添う小売業として、地域の成長なくして当社の成長はありません。「ご当地WAON」や「iAEONアプリ」など、当社のプラットフォームを最大限に活用し、地域の様々なパートナーとともに、地域経済の活性化や生活サービスの向上を図り、「住みよいまち」の実現を目指してまいります。行政との連携においては、北海道及び12市・1都市圏と包括連携協定を締結し、各地域課題の解決に取り組んでおります。また、当社は防災拠点の役割を担っており、店舗が所在する42市町村と防災協定を締結しております。当事業年度においては、フードドライブの活動を新たに10店舗でスタートし、道内45店舗での実施となりました。翌事業年度においても、引き続き地域課題の解決に取り組んでまいります。
- ④
-
収益構造の改革
さまざまな経費高騰に耐えうる収益構造の確立を課題としております。当事業年度はグループのスケールメリットを最大限に活用し、競争力の高いトップバリュの売上拡大やグループ共同調達の拡大による値入改善を図りました。また、店舗業務オペレーションの改革に注力いたしました。翌事業年度においても、全社を挙げた荒利対策と、人件費の上昇や働き手不足に対応する高効率の店舗業務オペレーションの確立に取り組んでまいります。