事業報告(2024年 1 月 1 日から2024年12月31日まで)
企業集団の現況
当事業年度の事業の状況
事業の経過及び成果
当連結会計年度におけるわが国経済は、物価上昇の影響を受けながらも雇用や所得環境の改善に加え、インバウンド需要の拡大等により緩やかに回復しました。また、企業の設備投資は人手不足を背景として緩やかに増加し、生産活動は資源や原材料価格の高止まりの影響を受けながらも堅調に推移しました。
世界経済につきましては、米国では個人消費を中心に底堅く推移する一方、中国では不動産市場の低迷や個人消費の落ち込み等により厳しい状況が続きました。また、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化、資源や原材料価格の高止まりに加え、各国の金融引き締め等に伴う景気後退懸念や不安定な為替相場の影響により、先行き不透明な状況が続きました。
当社グループの属しておりますエレクトロニクス業界につきましては、AI、IoT分野に関連する設備投資の需要は回復の兆しが見え始めたものの、中国市場の低迷等の影響により電子部品や製造設備の生産活動は低調に推移しました。
このような状況下、当社グループは、「第11次中期経営計画(2024年~2026年)」の基本方針に基づき、オリジナル製品の拡販や海外事業の拡大、新たな収益基盤となる新規ビジネスの創出に取組みました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は93,542百万円(前年同期比1.5%増)、営業利益は6,200百万円(前年同期比4.3%増)、経常利益は6,335百万円(前年同期比5.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,382百万円(前年同期比9.1%増)となりました。
セグメントごとの概況
セグメントごとの概況は以下のとおりであります。
(単位:)
当セグメントにつきましては、製造装置では、半導体材料の生産向け「半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置」や通信用デバイスの生産向け「電子部品製造装置」の販売が増加しました。電子機器及び部品では、「画像関連機器・部品」のレンズ・照明や「情報システム」のコミュニケーションシステムの販売が増加しましたが、半導体製造設備や産業用機械の生産向け「電子部品&アセンブリ商品」のコネクタや「半導体」のアナログIC、「画像関連機器・部品」のカメラ・画像処理装置、「エンベデッドシステム」の産業用ネットワークボードの販売が減少しました。これらの要因により、売上、利益共に前年同期の実績を下回りました。
この結果、当セグメントの売上高は65,184百万円(前年同期比5.9%減)となり、セグメント利益(営業利益)は3,760百万円(前年同期比14.9%減)となりました。
(単位:)
当セグメントにつきましては、電子機器及び部品を手掛ける部品事業部門では、特殊ハーネスの販売が増加しました。製造装置を手掛ける装置事業部門では、通信用デバイス向け加工機や検査装置の販売が減少しました。これらの要因により、売上、利益共に前年同期の実績を下回りました。
この結果、セグメント間の内部売上高を含めた当セグメントの総売上高は11,484百万円(前年同期比0.4%減)となりました。外部顧客への売上高は3,888百万円(前年同期比1.7%減)となり、セグメント利益(営業利益)は755百万円(前年同期比4.0%減)となりました。
(単位:)
当セグメントにつきましては、電子機器及び部品では、米国市場で「電子部品&アセンブリ商品」、「画像関連機器・部品」、中国市場で「画像関連機器・部品」の販売が増加しました。製造装置では、韓国及び中国、東南アジア市場で「半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置」、中国市場で「電子部品製造装置」の販売が増加しました。これらの要因により、売上、利益共に前年同期の実績を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は24,470百万円(前年同期比29.2%増)となり、セグメント利益(営業利益)は1,838百万円(前年同期比113.2%増)となりました。
財産及び損益の状況
対処すべき課題
当社グループが属するエレクトロニクス業界は、国内外で技術の進歩や高度化・複雑化が加速する中で合従連衡が進むなど、変化の激しい事業環境が続いております。こうした環境下で生き残りを果たしていくためには、グローバルな視点で成長が期待される市場に注力し、付加価値の高い製品や商品の提供を行うことで安定的な成長と収益性を高めていくことが必要不可欠であると認識しております。
このような中、当社グループの更なる成長に向けた課題として、引き続き「事業の安定と新たな挑戦の指標である事業別構成比の変革」、「高収益体質の指標であるオリジナル製品比率の向上」、「成長の指標である売上高ベースの海外事業比率の向上」、「新たな収益となる柱の育成に向けた新規事業の創出」を推進していくことが必要不可欠であると認識しております。
これらの課題に対処すべく、2024年を初年度とする三ヵ年の中期経営計画「第11次中期経営計画(2024年~2026年)」を策定いたしました。「第11次中期経営計画」では、第10次中期経営計画から引き続き成長性を重視した経営により、事業構造の変革を図り、持続的な拡大を推し進めて行くため、長期ビジョンとして「グループ・ステートメント」を基軸とし、第11次中期経営計画の「大方針」、「事業戦略」を規定しております。
[長期ビジョン]
- ○
- グループ・ステートメント
「Creator for the NEXT」
~グローバルな観点で市場を捉え、お客様ニーズの一歩先の価値を創造し、提供する~
[第11次中期経営計画]
- ○
- 大方針
- ・「技術立社として、グローバル市場で成長し、売上高1,000億円を超える企業」
- ・「電機・電子を通じて広く社会へ豊かな暮らしを提供する企業」
- ・「社員にとって、働き甲斐があり、誇りに思える企業」
- ・「一致団結の強さと同時に、自律能動的に動く組織文化を持つ企業」
- ○
- 事業戦略
- ①
-
安定成長の基礎となる国内ビジネスの補強
当社の強みである、地域に密着した営業を更に推し進めるべく、有望地域への拠点新設も検討しております。また、成長・拡大が見込める顧客に対して、より深く、より広く展開し、更に関係を強化してまいります。
- ②
-
成長戦略の核となる海外ビジネスの強化
中国をはじめとした東アジア、東南アジア市場における電子商材関連の拡充や、欧米における電子ビジネスの拡充など、重点的に深耕、開拓する市場を選定し、販売を強化してまいります。また、インド、米国、中国の販売拠点新設や東南アジアの製造拠点新設も検討してまいります。
- ③
-
グローバル生産体制の強化
第10次中期経営計画で中部工場を中核とした体制を構築してきました。これらの体制を基礎に、引き続き国内外における生産能力の強化、効率化を進めてまいります。
- ④
-
製品の高付加価値化に向け技術・製品開発と知財戦略の強化
中部工場を中核とした体制強化を引き続き推し進め、今後の技術・製品の高付加価値化に必要不可欠なソフトウェア関連技術を強化してまいります。また、コア技術の明確化と保有する技術の棚卸による知財管理の基盤整備を進めてまいります。
- ⑤
-
事業サポート機能の強化
持続的な成長を支えていくための基盤づくりとして、DXの推進、広報・IRといったコーポレート部門の強化を行ってまいります。また、人的資本経営による人財価値の向上にも注力してまいります。
- ⑥
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ESG経営の推進
サステナビリティへの取組みによる持続可能な社会実現への貢献のため、サステナビリティ委員会活動を推進しております。また、コーポレートガバナンス・コードへの対応、コーポレート・ガバナンスの強化も注力してまいります。
当社グループが属するエレクトロニクス業界は、AI、IoT等が関連するICT市場の拡大に加え、自動車やロボットの自動化に関連する機器や設備の需要拡大が見込まれる状況であります。
当社グループは前述の事業戦略に基づき、“エレクトロニクス業界の技術立社”として、すべてのステークホルダーとともに、グローバル市場に新たな価値を共創してまいります。