事業報告(2022年4月1日から2023年3月31日まで)

企業集団の現況

当連結会計年度の事業の状況

事業の経過及び成果

当連結会計年度における日本経済につきましては、マスク着用のルール見直しや2023年5月からの感染症法上の分類の引き下げが決定される等、新型コロナウイルス感染症による規制及び行動制限は転換点を迎え、経済活動が本格的に再開し始めました。

国内のコンタクトレンズ市場におきましては、社会活動の正常化に伴い、イベントや学校活動が活発化し外出の機会等も増えたことから、需要につきましてはコロナ前の水準まで回復しております。また、半導体不足に端を発する生産設備投資への制約が供給力に影響し、国際物流網の混乱等も生じていることから、市場全体では商品の供給不安も散見されております。

海外市場におきましては、資源価格の高騰に起因する物価上昇や供給不安を世界共通の問題として抱えておりますが、ウィズコロナの考えに基づいた行動緩和策が取られ、国や地域による差異はありながらも回復傾向を示しております。中国市場におきましては、ゼロコロナ政策による人やモノの流れへの厳しい移動制限が解除され社会活動は正常化しつつあります。しかしながら、完全な復活迄には更に時間を要する状況であり、コンタクトレンズの販売活動も大きな影響を受けました。

このような状況の下、2022年10月に創立65周年を迎えた当社グループは、中期3ヶ年(2021年4月~2024年3月)経営計画『~「見える」に新たな価値を~』の2年目である2023年3月期につきましても、引き続き『市場競争力の強化・収益力の強化』、『信頼されるモノづくり』、『SDGsの推進』、『安定した株主還元』を最重要施策として、日本国内での安定した成長を軸に、海外事業規模の拡大と収益基盤の強化を図ってまいりました。また、持続可能な社会の未来を築く活動に貢献することを重要な経営課題の一つであると捉え、使い終わったコンタクトレンズのブリスター(空ケース)を回収し、リサイクルする「BLUE SEED PROJECT」等のSDGs活動も積極的に推進してまいりました。なお、既存ビル老朽化の為、2022年12月から着工を始め2024年5月に竣工を予定しております新本社ビルにつきましては、業務の生産性を高めるだけではなく、環境への配慮、地域との共生をコンセプトとし、外部評価を取得した「グリーンローン・フレームワーク」を策定することで、各金融機関からの資金調達を計画しております。

商品戦略としましては、主力である国産の「ワンデーピュアシリーズ」を中心としながらも、ワンデー市場での売上伸長のため、2022年7月から九州・四国・中国エリア(沖縄除く)にて販売を開始した1日使い捨て国産シリコーンハイドロゲルレンズ「シード1daySilfa(シルファ)」及び2022年8月に発売したOEM商品である「シードAirGrade 1day UV W-Moisture(エアグレード ワンデー UV ダブルモイスチャー)」という異なる特性を持った2種類のシリコーンハイドロゲルレンズを市場に投入しております。また、サークル・カラーコンタクトレンズ市場においても多様なライフスタイル、トレンドに合わせるため2022年4月に「Belleme(ベルミー)」を、新商品としてラインナップいたしました。既存商品につきましては、主力である「ワンデーピュアシリーズ」を含む一部商品において、原材料やエネルギー価格の高騰、円安といった複合的な影響を受けたことによる価格改定を2022年4月より行っております。

これらの事業活動の結果、当連結会計年度において、主に国内のコンタクトレンズ販売が伸長したため、売上高は30,593百万円(前期比6.1%増)となりました。利益につきましては、広告宣伝費並びに販売促進費の効率的運用や配送コストの見直しを進め、販売費及び一般管理費の削減に努めてまいりました。一方で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に起因したエネルギー価格や原材料価格の高騰の影響により製造原価の上昇、円安による商品輸入原価の高騰により原価の上昇等があり、また、欧州の薬事管理制度の変更等に備えて欧州で積み上げを行った在庫の出荷期限到来と終売商品に関する評価損の計上を第4四半期に行いました結果、期間損益が悪化いたしました。

これらの事業活動の結果、営業利益629百万円(前期比46.5%減)、経常利益554百万円(前期比51.3%減)、連結子会社である英国のContact Lens Precision Laboratories Ltd.において、事業採算が継続的に悪化し資産の収益性の低下等による減損兆候が認められたことから当社が保有する無形資産・のれんについて424百万円の減損損失を計上したことの影響により親会社株主に帰属する当期純損失は316百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益1,153百万円)となりました。

セグメント別の概況

セグメントの経営成績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しております。そのため、当連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

コンタクトレンズ・ケア用品

国内のコンタクトレンズにつきましては、引き続き主力である国産の「ワンデーピュアシリーズ」を中心とし、2つの異なるベクトルを持つシリコーンハイドロゲルレンズを市場に提案することで、ワンデー市場での売上伸長を図ってまいりました。また、特に市場の成長が見込まれる遠近両用コンタクトレンズや、医療用のオルソケラトロジーレンズ等の高付加価値商品の拡販に注力してまいりました。オルソケラトロジーレンズにつきましては、市場が着実な成長を示し、前期比23.8%増、遠近両用コンタクトレンズも前期比19.2%増と大きく伸長しております。サークル・カラーコンタクトレンズ市場におきましても多様なライフスタイル、トレンドに合わせた「Belleme(ベルミー)」の販売を開始し、ポストコロナの活動活発化に伴う需要増を捉えるべく活動をしております。

ケア用品につきましては、オルソケラトロジーレンズ関連のケア用品は増加したものの、コンタクトレンズの使い捨てタイプへのシフト等の影響により、前期比0.2%減となりました。

海外へのコンタクトレンズ輸出等につきましては、海外事業を牽引している中国市場においてゼロコロナ政策の影響を受け、対前年度マイナスとなりました。

その結果、セグメント全体の売上高は30,472百万円(前期比6.5%増)、営業利益1,639百万円(前期比28.0%減)となりました。

その他

その他につきましては、眼鏡卸売事業から撤退した結果、売上高は120百万円(前期比48.2%減)、営業利益は0百万円(前期営業損失98百万円)となり、コンタクトレンズの事業への集中が反映された結果となっております。

連結計算書類