事業報告(2024年4月1日から2025年3月31日まで)
会社の現況に関する事項
事業の経過及び成果
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や企業の設備投資の持ち直しが見られ、緩やかながら景気の回復基調が続きました。しかしながら、物価上昇の継続による個人消費への影響、通商政策などアメリカの政策動向による影響など、企業を取り巻く環境は依然として先行き不透明な状況が続いております。
また、当社を取り巻く事業環境は、物資の高騰や医療従事者の慢性的な人手不足等、各医療機関の経営環境はより一層厳しさが増してきており、医療現場においてより効率的で効果的な医療サービスを提供できるような製品供給体制が望まれております。
このような状況のもと、当社は、高品質製品の常時安定供給を優先事項と掲げ、医療現場と密着した営業活動の推進、品質を確保しながらもコスト競争力をもった生産体制の構築並びに独創的な製品の研究開発活動の強化に取り組んでまいりました。




対処すべき課題
今後の当社を取り巻く経営環境につきましては、物資の高騰や医療従事者の慢性的な人手不足による医療人材確保等、各医療機関の経営環境はより一層厳しさが増してきている中で、国内外のメーカーとの価格競争及び原材料価格の高騰や円安進展による仕入価格の高騰等により、引き続き厳しい状況で推移するものと思われます。
このような状況のもと、当社の営業・技術・製造が一体となって、医療現場においてより効率的で効果的な医療サービスを提供できるよう市場競争力を高め、さらなる業績の向上、企業価値の増大に向けて邁進するとともに、顧客にとって不可欠なパートナーであり続けることを目指して取り組んでまいります。また当社が対処すべき課題として以下のことに取り組んでまいります。
①既存製品の拡充・新製品開発とその拡販
当社は、国内市場のマーケットリーダーとして「サクションの大研(吸引器…フィットフィックス、キューインポット)」、「ポンプの大研(注入器…シリンジェクター、バルーンジェクター)」のイメージをより一層定着させるとともに、独創的な製品の研究開発活動をさらに強化し、最先端医療を支える当社のイメージを確立するよう取り組んでおります。
中長期的な成長戦略として注力している「マイクロポンプ関連製品」の第1弾となる、「クーデックエイミーPCA」は、注入器の次世代製品であり、ポンプの大研医器として注入器分野でのさらなる医療現場のイノベーションを創出することを期待しております。医療現場からの評価が高く、急性期の術後疼痛緩和から無痛分娩や在宅分野まで着実に売上を伸ばし、普及が進んでおります。
今後も「クーデックエイミーPCA」に続く「マイクロポンプ関連製品」の早期開発、早期上市を実現することで新たな市場開拓、市場創出を推進し、新たな事業の柱へと育成してまいります。
②海外販売の拡充
当社の売上はそのほとんどを国内販売に依存しており、海外売上高の割合は、2025年3月期において3.2%となっております。国内だけでなく「世界で戦える競争力をもった医療機器メーカー」への変遷を掲げる中で、「クーデックエイミーPCA」の海外での拡販に向けた体制準備につきましては、欧州への展開を最優先事項として進めており、欧州での販売に向けた有力パートナーとの強固な関係性を維持しながら、遅れておりますMDR(欧州医療機器規則)の認証取得に向けた取り組みを推進、強化しております。今後も海外市場における製品ラインアップ及び販売網の拡充に努め、海外での競争力をより一層高めていけるよう取り組みます。
③サプライチェーンの更なる高度化
インフレ局面における原材料価格の高騰や2024年度までの円安の進展による為替変動に伴う製品・原材料等の仕入価格の上昇が顕著となっている中、製造コストの低減を図っていくことが大きな経営課題となっております。2024年度から生産・在庫・物流等のデータを活用し、生産活動の最適化を図り、生産効率の向上、原価低減を進めるべく取り組んでおります。具体的には、リードタイムの短縮及び在庫量の適正化による物流改革、複社購買・生産体制の再構築等によるサプライチェーンの最適化、加工歩留り等の製造効率の向上などに目標を定め継続的に取り組んでおります。
④優秀な人材の確保、育成の強化
当社の企業価値は個々の従業員から創出されるものです。当社の競争力を高めるため、新卒を対象とした定期採用に加え、即戦力として期待できる中途採用も積極的に活用すると同時に、人材育成として教育・研修プログラムの刷新を実施し、優秀な人材の確保に取り組んでおります。
加えて、従業員の給与水準の向上及び効率的な働き方を実践するなど、競争力確保のための人的投資強化施策を積極的に実施しております。
これらを踏まえ、クーデターバイテクノロジー(独創の技術でドラスティックな医療革命を目指す)という意味を持つ造語である「クーデック(COOPDECH)」のブランディング強化に努め、さらなる業績と顧客満足度の向上を図り、企業価値の増大に向けて取り組んでまいる所存でございますので、株主の皆様におかれましては、何卒一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申しあげます。