事業報告(2025年4月1日から2026年3月31日まで)
企業集団の現況
事業の経過および成果
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善等を背景に景気が緩やかな回復基調で推移しました。一方、米国の政策動向による影響や物価上昇、為替相場の変動、中東情勢の緊迫化等、先行きは極めて不透明な状況にあります。また、当社事業と関連性が強い国内証券市場において、当連結会計年度の日経平均株価は、米国の通商政策等による不透明感から一時31,000円台まで下落したものの、国内外の景気回復への期待等により初めて終値で58,000円台(前期の最高値は42,000円台)を突破しました。
このような状況のもと、公認会計士を中心とした会計コンサルティングファームの株式会社JBAホールディングスを昨年8月に連結子会社化し、同社の売上が同年9月より計上されたことに加え、根強い業務効率化ニーズにより決算支援・開示書類作成にかかるアウトソーシングサービスが増収となりました。また、当社連結子会社である株式会社シネ・フォーカスにおける医学会や企業関連のイベント支援の受注が拡大しました。さらに、当社主力製品である株主総会招集通知は電子提供制度の緩やかな進展により印刷ページ数が減少したものの、個人投資家数の増加に伴う印刷部数の増加により、マイナス影響を補い増収となりました。これらの結果、当連結会計年度の連結売上収益は、前期比1,825百万円増(同5.9%増)の32,821百万円となりました。
売上原価は、M&Aや開示書類作成支援システムのバージョンアップにかかる費用の増加等により前期比717百万円増加しました。一方、売上原価率は増収効果により前期比1.3ポイント減の62.6%となりました。これらの結果、売上総利益は前期比1,109百万円増(同9.9%増)の12,291百万円となりました。
販売費及び一般管理費は主にM&Aや、営業体制強化に伴う人件費の増加により前期比822百万円増(同9.6%増)の9,365百万円となり、販売費及び一般管理費率は前期比0.9ポイント増の28.5%となりました。加えて、前期に連結子会社ののれんにかかる減損損失2,503百万円をその他の費用に計上した反動増により、営業利益は前期比2,697百万円増の2,906百万円となりました。
また、前期に計上した持分法適用関連会社の全株式譲渡に伴う持分法で会計処理されている投資の売却益1,411百万円の反動減が影響したものの、前述ののれんにかかる減損損失の反動増がそれを上回り、税引前利益は前期比1,331百万円増(同79.1%増)の3,012百万円となりました。これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比1,657百万円増(同367.5%増)の2,108百万円となりました。
製品区分別の概況
(単位:)
取扱製品
- 株主総会関連書類(招集通知等)
- 決算関連書類(決算短信、有価証券報告書等)
- IPO・ファイナンス関連書類(目論見書等)
- 開示書類作成支援システム
株式会社JBAホールディングスのM&A効果に加え、根強い業務効率化ニーズにより決算支援・開示書類作成にかかるアウトソーシングサービスが増収となりました。また、当社主力製品である株主総会招集通知は電子提供制度の緩やかな進展により印刷ページ数が減少したものの、個人投資家数の増加に伴う印刷部数の増加により、マイナス影響を補い増収となりました。加えて、国内証券市場の活況を背景にIPO・ファイナンス関連製品が増収となりました。これらの結果、上場会社ディスクロージャー関連の売上収益は前期比1,625百万円増(同13.1%増)の14,072百万円となりました。
(単位:)
取扱製品
- 和英コミュニケーションツール
- IRサイト構築・更新サービス
- 英文翻訳
- 株主総会等イベント運営支援
当社連結子会社である株式会社シネ・フォーカスにおける医学会や企業関連のイベント支援の受注が拡大しました。また、株主・投資家との対話促進ニーズの高まりや、昨年4月からのプライム上場会社における決算情報・適時開示情報の日英同時開示義務化を背景に、英文翻訳サービスが増収となりました。さらに、新分野として取り組む人財採用支援サービスも増収となりました。一方、株主通信は作成企業の減少に伴い減収となったものの、増収要因がこれらを上回った結果、上場会社IR・イベント関連等の売上収益は前期比259百万円増(同2.4%増)の10,916百万円となりました。
(単位:)
取扱製品
- 目論見書、有価証券届出書、運用報告書
- 投資信託開示書類作成支援システム
- 販売用資料・Webコンテンツ制作
不動産証券関連では、Webサイトのリニューアル増加等により増収となりました。一方、投資信託関連においては、販売会社向けWebサイト等の販促ツールの受注が減少したことやファンドの償還等による目論見書・運用報告書の印刷部数の減少により減収となりました。これらの結果、金融商品ディスクロージャー関連の売上収益は前期比117百万円減(同1.7%減)の6,735百万円となりました。
(単位:)
取扱製品
- 企業情報データベース
- 経済統計データベース
- ファイナンスデータベース
データベース関連では、既存顧客との契約更改に際し一部単価ダウンがあったものの、主要顧客である大学を中心に単価アップや新規顧客の受注に努めました結果、データベース関連の売上収益は前期比57百万円増(同5.5%増)の1,099百万円となりました。
対処すべき課題
当社グループは、事業環境が大きく変化する中、以下の課題に取り組むことにより、事業領域の拡張、競争力・収益力・顧客満足の向上に努めてまいります。
- ① ディスクロージャー分野の電子化・ペーパーレス化、上場会社数の減少、開示制度の変化に対応した既存ビジネスの強化と拡張
- ② 企業イベント・人財採用支援・BPO領域等の新たなビジネス領域の拡大
- ③ 積極的なDX投資によるシステムサービスの機能開発やAIを活用したソリューション開発
- ④ 新領域の専門人財の確保育成とM&A・アライアンス推進による外部リソースの活用
- ⑤ ESG・サステナビリティ戦略の推進
- ⑥ 制作・製造プロセスの電子化対応と生産性向上・収益性改善
株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。
剰余金の配当等の決定に関する方針
当社は、株主への利益還元を経営の重要課題と認識し、諸施策を実施しております。配当につきましては、安定配当をベースに業績および経営環境等を総合的に加味した配当の継続を基本方針としております。株主還元に関する指標につきましては、原則連結配当性向50%以上を基準としておりましたが、資本効率を意識した、より安定的な利益還元を実施するため、これまでの基準に加えてDOE(連結親会社所有者帰属持分配当率)を新たな指標として追加し、DOE4.0%を下限とし、かつ連結配当性向50%以上を基準とすることといたしました。
当社は会社法第459条の規定にもとづき、剰余金の配当を株主総会の決議によらず、取締役会の決議によっておこなうことができる旨を当社定款に定めております。当事業年度の期末配当につきましては、変更後の配当方針を適用し、2026年5月20日の取締役会決議にもとづき、当初予想から4円増配し、当社普通株式1株につき22円とさせていただく予定です。なお、2025年11月10日の取締役会決議にもとづき、当社普通株式1株につき、20円(普通配当18円、創業95周年記念配当2円)の中間配当を実施しておりますので、この結果、年間配当は42円となり、連結配当性向は50.5%、DOEは4.3%となります。
また当社は、株主への利益還元と資本効率の向上に資する自己株式取得を重視しております。当連結会計年度においては、854千株の自己株式を取得いたしました結果、2026年3月末時点で発行済株式総数の11.0%、3,062千株の自己株式を保有しております。また、配当と当連結会計年度中の自己株式取得を合わせた総還元性向は、97.4%と高水準にあります。