事業報告(2024年4月1日から2025年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当連結会計年度の世界経済を概観いたしますと、堅調を維持した米国経済とは対照的に、欧州の一部や中国等では景気低迷が続く等、各国で景気の基調に差が見られました。また、米欧の利下げや日銀の利上げ等、世界的に金融政策が転換した他、中東情勢の不安定化や第2次トランプ政権による保護主義的政策への懸念等により、地政学的リスクが高まりました。

米国経済は、家賃等のサービス価格を中心にインフレ圧力が根強く残り続けたものの、良好な所得環境と株高による資産効果が個人消費を押し上げました。一方で、新たな関税政策や移民政策の強化等により、景気の先行き不透明感が強まりました。欧州経済は、中国等の外需低迷により製造業の不振が重石となったものの、インフレ率の低下による家計の購買力回復等が個人消費を後押しし、持ち直しの動きが見られました。中国経済は、政府支援策が下支えするも不動産市場の低迷等で内需は弱含み、米国の対中関税引き上げによる輸出減速への懸念もあり、成長に力強さが欠けました。新興国経済は、IT関連輸出の回復や生産移転の加速等を背景に、インド、ASEANを中心に堅調に推移いたしました。

こうした中、わが国経済は、実質賃金の低下が個人消費の重石となったものの、インバウンド需要や輸出の回復等の外需が下支えし、緩やかに回復いたしました。また、日銀の段階的な利上げにより、円高急進による日経平均株価の一時急落や国内銀行の新規貸し出し金利が約12年ぶりの高水準となる等、「金利のある世界」の本格化が進みました。

このような環境の下、豊田通商グループの当連結会計年度の収益は、食料事業における市況下落の一方で、円安影響等により、前連結会計年度を1,206億円(1.2%)上回る10兆3,095億円となりました。

利益につきましては、営業活動に係る利益は、販売費及び一般管理費の増加の一方で、売上総利益の増加により、前連結会計年度を556億円(12.6%)上回る4,971億円となりました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は、資源市況悪化等による持分法投資損益の減少の一方で、営業活動に係る利益の増加等により、前連結会計年度を311億円(9.4%)上回る3,625億円となりました。

事業本部別の概況

事業本部別当期利益(親会社所有者帰属)構成比

当期利益(親会社所有者帰属)
前連結会計年度比 %増
詳細はこちらを閉じる
事業本部別
当期利益構成比
%

本部のミッション

“大胆な+(Plus)”で、サステナブルな未来をつくる

主な取扱品目及び事業

自動車用鋼板/アルミ板、特殊鋼板/ステンレス鋼板、条鋼鋼管、電磁鋼板、建材 他

日本国内における自動車鋼板事業の競争力強化を目的に、当社の金属事業の一部について、豊田スチールセンター(株)への会社分割と、(株)プロスチールへの事業譲渡を2024年4月に行いました。本取り組みにより、豊田通商グループ各社への国内自動車鋼板事業の移管、集約及び効率化を進めつつ、さらなる商権拡大を目指してまいります。

当期利益(親会社の所有者に帰属)については、利益率良化及び北米を中心とした自動車生産関連の取り扱い増加等により、前連結会計年度を74億円(20.6%)上回る434億円となりました。

豊田スチールセンター(株)の外観の様子

製造・販売を一体化した(株)プロスチール社員の様子

当期利益(親会社所有者帰属)
前連結会計年度比 %減
詳細はこちらを閉じる
事業本部別
当期利益構成比
%

本部のミッション

新しい資源循環のあり方をデザインし、未来の子どもたちに、より良い環境・新しい豊かさを届ける

主な取扱品目及び事業

非鉄金属地金、貴金属地金、レアアース・レアメタル、精密無機化学品、軽圧品、伸銅品、電子材料・電池材料、鉄くず、非鉄金属くず、合金鉄、使用済み自動車・部品、廃触媒、自動車構成用部品、再生樹脂、合成樹脂、ゴム、有機化学品、油脂化学品、添加剤、医薬原料 他

資源循環型社会の実現と環境負荷低減への貢献を目的に、(株)プラニックを核として、日本のプラスチックリサイクルを推進しております。(株)プラニックは2022年に国内最大級規模の御前崎工場を本格稼働させました。ヨーロッパで実用化された高度なプラスチック選別技術を国内で初めて導入し、従来有効利用されていなかった廃車由来等の使用済みプラスチックを使うことで、高品質なリサイクルプラスチックを生産しております。これにより、化石資源への依存度低減やCO₂排出量削減に貢献し、持続可能な社会の実現を目指してまいります。

当期利益(親会社の所有者に帰属)については、資源市況の悪化等により、前連結会計年度を31億円(6.2%)下回る469億円となりました。

再生プラスチック原料

(株)プラニック 工場 外観の様子

当期利益(親会社所有者帰属)
前連結会計年度比 %増
詳細はこちらを閉じる
事業本部別
当期利益構成比
%

本部のミッション

サプライチェーンを守りつなぐ機能をさらに磨きあげ、地政学リスクの課題やグローバルで多様化するニーズに幅広く対応する

主な取扱品目及び事業

ロジスティクス、モビリティパーツ製造/組付、モビリティアクセサリー開発/設計/販売、テクノパーク、空港運営、環境ソリューション、サプライチェーン/モビリティ関連事業開発 他

ラストマイル配送事業の拡大を目的に、同事業を行う(株)ロジクエストへ2024年10月に出資いたしました。エンドユーザーとの最終接点という重要なインフラとしての役割を担うラストマイル配送は、小型モビリティを活用した最適配送により、物流業界が抱えるドライバー不足やCO₂排出量削減の課題解決に寄与いたします。本取り組みにより、当社が保有する自動車業界を中心とした物流ネットワークと(株)ロジクエストの配送ネットワークを組み合わせ、Economy of Life分野を含む幅広い業界での物流最適化に貢献してまいります。

当期利益(親会社の所有者に帰属)については、北米を中心とした自動車生産関連の取り扱い増加等により、前連結会計年度を37億円(8.2%)上回る492億円となりました。

企業便を中心としたラストマイル配送

バイクによる緊急便

当期利益(親会社所有者帰属)
前連結会計年度比 %増
詳細はこちらを閉じる
事業本部別
当期利益構成比
%

本部のミッション

新たなビジネスモデルを構築することで、移動を通じてこれからの社会に幸せを量産していく

主な取扱品目及び事業

乗用車、商用車、二輪車、トラック、バス、産業車輌、補給部品の輸入・販売事業、販売周辺事業(架装、中古車、販売金融等)、車両組み立て(ノックダウン生産)事業 他

カンボジアにおけるモビリティ産業の発展に貢献することを目的に、車両組立事業会社であるToyota Tsusho Manufacturing (Cambodia) Co., Ltd.は、プノンペン経済特区内の新工場において、トヨタ自動車(株)のピックアップトラック「ハイラックス」及びSUV「フォーチュナー」のSKD (Semi Knock Down)生産を、2024年5月から開始いたしました。本取り組みにより、同国のモビリティバリューチェーンや雇用創出・人財育成にさらに深く関わり、モビリティ産業の発展、そして同国の経済、社会の発展に貢献してまいります。

当期利益(親会社の所有者に帰属)については、欧州を中心とした海外自動車販売台数減少の一方で、輸出台数増加等により、前連結会計年度を14億円(2.5% ) 上回る573億円となりました。

(注)SKD:ボディを溶接、塗装済みの状態で輸入し、主要構成部品をボディやシャーシに組み付ける車両組立方法

新設工場にてハイラックス・フォーチュナーをSKD生産

車両組立事業を通じた雇用創出・人財育成

当期利益(親会社所有者帰属)
前連結会計年度比 %増
詳細はこちらを閉じる
事業本部別
当期利益構成比
%

本部のミッション

再生可能エネルギーと機械ビジネス現場力のシナジーにより持続可能な地球環境を支える社会インフラの実現に貢献していく

主な取扱品目及び事業

自動車産業を中心とした製造・物流設備、部品・工具類、建設機械等、風力・太陽光、水力、地熱、バイオマス等の再生可能エネルギー発電事業、天然ガス・石油製品・バイオ燃料、電力・空港・港湾等のインフラ事業 他

2024年4月にテラスエナジー(株)を完全子会社化し、2025年4月1日に同社と(株)ユーラスエナジーホールディングスを経営統合いたしました。この統合により、国内でNo.1の風力・太陽光の発電容量を有する発電事業者となり、カーボンニュートラル実現を先導し、グローバルに選ばれ続ける再生可能エネルギー事業会社への飛躍を目指してまいります。

当期利益(親会社の所有者に帰属)については、北米発電事業における関係会社株式売却益等により、前連結会計年度を86億円(31.0%)上回る365億円となりました。

2025年2月に運転開始した、国内最大級の芦川ウインドファーム

国内最大級の蓄電池併設型の
テラスエナジー八雲ソーラーパーク
(「ユーラス八雲ソーラーパーク」に
名称変更手続き中)

当期利益(親会社所有者帰属)
前連結会計年度比 %増
詳細はこちらを閉じる
事業本部別
当期利益構成比
%

本部のミッション

技術革新、デジタル変革を常に先取りし、デバイス並びにソフトの活用で次世代モビリティ社会への課題解決を始めとしたソリューションビジネスを一層拡大していく

主な取扱品目及び事業

自動車用構成部品、半導体・電子部品、モジュール製品、自動車用組込みソフト、ネットワーク構築・保守・運用・ヘルプデスク、情報通信機器、海外ITインフラ輸出、パソコン・周辺機器及び各種ソフトウェア、サイバーセキュリティ、ソフト開発 他

2025年1月に、電子材料、電子部品、設備等の販売、加工・組立、設計及び製造受託を行うエレマテック(株)を株式公開買付けにより完全子会社化いたしました。今後は商材・市場・地域・機能・人材交流等、あらゆる面での連携を一層強化し、両社のさらなる企業価値の向上に努めてまいります。

当期利益(親会社の所有者に帰属)については、前期一過性損失の影響及びICT事業における案件増加等により、前連結会計年度を11億円(3.6%)上回る307億円となりました。

エレマテック(株)の会社ロゴ

電子材料から完成品(ODM)まで

当期利益(親会社所有者帰属)
前連結会計年度比 %増
詳細はこちらを閉じる
事業本部別
当期利益構成比
%

本部のミッション

Economy of Lifeビジネスの推進本部として、当社ならではの事業を創出する

(注)Economy of Life: ヘルスケアや食料等、人々の日々の生活に不可欠であり、快適で健やかな未来社会の実現に貢献するビジネス

主な取扱品目及び事業

飼料原料、穀物、加工食品、食品原料、農水畜産物、酒類、保険代理店事業・保険仲介事業、繊維製品、衣料、介護・医療関連用品、建築・住宅資材、オフィス家具、総合病院事業、ホテルレジデンス事業 他

千葉県九十九里町の農業振興と地域活性化を目的に、2024年12月に同町と包括連携協定を締結いたしました。当社が開発に携わった多収米「しきゆたか」の栽培をはじめ、同町と当社が持つ知見やリソースを相互に活用することで、地域農業課題を解決し、持続可能な社会の実現を目指してまいります。

当期利益(親会社の所有者に帰属)については、南米食料事業における市況下落の一方で、一過性利益等により、前連結会計年度を35億円(30.1%)上回る153億円となりました。

包括連携協定の署名式の様子

しきゆたかの稲穂:
人々がもっと豊かになれるよう願いが込められた
「しきゆたか」

当期利益(親会社所有者帰属)
前連結会計年度比 %増
詳細はこちらを閉じる
事業本部別
当期利益構成比
%

本部のミッション

アフリカNo.1プレゼンスをさらに加速し、変化を着実に先取り、アフリカの課題解決と未来の発展に貢献していく

主な取扱品目及び事業

モビリティ(新車及び中古車販売・アフターサービス・生産支援、他)、グリーンインフラ(再生可能エネルギー・港湾開発、他)、ヘルスケア(医薬品の生産・卸売・小売)、コンシューマー(リテール事業の開発、他)

アフリカにおける再生可能エネルギー事業の加速を目的に、2024年3月にともに当社の完全子会社であるCFAO SASと(株)ユーラスエナジーホールディングスは、合弁会社AEOLUS SASを設立し、同年8月には、同社を通じチュニジアで合計100MWの太陽光発電所の独立系発電事業(IPP事業)へ参画いたしました。また、同年11月には、当社が(株)ユーラスエナジーホールディングスと進めるエジプトのスエズ湾風力発電所IIを増設し、アフリカ最大の風力発電所となる654MWへ計画変更を行いました。今後もアフリカにおいて、グリーンで持続可能な経済成長に貢献してまいります。

当期利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車販売台数減少の一方で、モデルミックスの変化等により、前連結会計年度を104億円(15.0%)上回る795億円となりました。

CFAO・ユーラスエナジー各社の知見を融合した
合弁会社AEOLUSを設立

チュニジアで建設中の太陽光発電所

連結計算書類