事業報告(2023年9月1日から2024年8月31日まで)
企業集団の現況に関する事項
事業の経過及び成果
当連結会計年度におけるわが国経済は、円安による物価の高騰や金利・賃金の上昇等がありながらも、史上最高値を更新する株価に見られるように「失われた30年」からの脱却を背景に様々な指標が30数年ぶりに更新されております。長年続いた日本のデフレ経済が終焉し、インフレ社会が現実となり、時代の転換期を迎えております。
当アパレル・ファッション業界におきましては、お客様の外出機会の増加やインバウンド需要の拡大により緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、気候変動や、コロナ後のリベンジ消費の反動や急激な物価上昇等による消費マインドの低迷が懸念され、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような経営環境の中、当社グループは「ものを創り 人を創り お客様と共に心豊かな毎日を創る」という不変のミッションのもと、人々のライフスタイルや価値観が様変わりする中で、いつの時代でも どのような環境下でも、お客様の不満や問題を解決し 求められるものを提供し 最初に想起される真のブランド「シン・ブランド創り」を目指しております。
これらを背景に始動した中期ビジョン「Yamato 2026」では10年後を視野に、既顧客の活性化を前提としながらも、次の世代の潜在顧客獲得に より比重を置いた戦略を実践してまいります。そして、10年後のあるべき姿として、次の世代のお客様が当社のブランドを認知認識し、私たち創り手の意図を理解し、詳細な特徴を語り他者へ共有できる、更にはお客様同士も共鳴できる状態。お客様も社員も誇れる真のブランドになっている姿を目指してまいります。
基幹事業である「クロコダイル」は、「〝大人のTPO〟をスマートに演出するブランド」をコンセプトに、改めて原点である顧客起点に立ち返り、既顧客の満足度向上と活性化に繋がる商品の強みや付加価値を戦略的に構築してまいります。
潜在顧客の獲得に向けましては、クロコダイルグループにおける先進的な役割を担う2つの「ストラテジックライン」に注力してまいります。デザイン性トレンド性を最も重視したラインである「クロコダイル コード」は、24年春夏から商品構成を拡充し、アパレルに加え、足元も含めたスタイル/コーディネート提案を強化しております。もう一方の「スウィッチモーション クロコダイル」は、先進的なスポーツ業界が取り組んでいる工夫や進化といった要素を取り入れ、「もの創り」を最も重視したラインとなり、引き続き戦略的に提供価値の構築を目指してまいります。
更に商品、店舗、コミュニケーション等すべてにおいて一貫性を保ち提供することで、お客様のブランドに対する認知認識を深め顧客を獲得し、事業の持続的な成長を目指してまいります。
「創造的な移動を続ける都市生活者のための機能服」をコンセプトに、オンラインショップをベースに展開する「CITERA(シテラ)」は、常に快適で洗練された時代に響くスタイルを創り出し、ブランドの顔となる商品開発等に引き続き注力することで更なる売上拡大を目指してまいります。また、米国発アウトドアファッションブランド「Penfield(ペンフィールド)」と、ハワイ発カジュアルサーフブランド「Lightning Bolt(ライトニングボルト)」は、ブランド認知度と価値向上に注力し、ライセンス事業の更なる拡大を目指してまいります。
一方、当社グループの物流業務を請け負う子会社ヤマト ファッションサービス株式会社は、自動ソーター及び自動製封函機に加え、新たにカメラ認証システムを導入し業務の自動化や省人化を推進することで、在庫管理や入出荷業務の精度向上に努めるとともに物流費や光熱費の高騰にも対応し、更なる生産性向上を図ってまいります。
以上の結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高が211億3千9百万円(前年同期比1.6%増)となりました。利益面では、売上総利益率は56.7%(前年同期比0.7ポイント減)となり、販売費及び一般管理費は117億3千1百万円(前年同期比0.7%増)、営業利益は2億6千2百万円(前年同期比13.2%減)、経常利益は3億8千5百万円(前年同期比34.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億5千2百万円(前年同期比37.4%減)となりました。
セグメントごとの売上高では、繊維製品製造販売業208億6千4百万円(前年同期比1.7%増)、不動産賃貸事業2億7千5百万円(前年同期比4.7%減)となりました。なお、事業報告に記載されている金額は、消費税等を含んでおりません。
セグメント別売上高
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対処すべき課題
来期の展望としましては、資源価格の高騰や円安を背景とした物価上昇による個人消費の落ち込みが引き続き懸念され、当社を取り巻く環境の先行き不透明感は継続するものと思われます。
このような状況の中、当社グループは、原点である顧客起点に立ち返り「ものを創り 人を創り お客様と共に心豊かな毎日を創る」という不変のミッションのもと、いつの時代でも どのような環境下でも、お客様の不満や問題を解決し 求められるものを提供し 最初に想起される真のブランド「シン・ブランド創り」を目指しております。
また、3年後のあるべき姿に向け新たにスタートした中期ビジョン「Yamato 2026」では、既顧客の活性化を大前提としながら、10年後を視野に次の世代の潜在顧客獲得に比重を置き、取り組みを強化してまいります。そして①収益率を高める分野(GMS)②売上を伸長させる分野(EC/CITERA)③将来の成長基盤を確立する分野(直営)、引き続きこれら各分野の課題や指標を達成することで、企業価値・ブランド価値・提供価値 それぞれの「価値拡大」を目指してまいります。
株主の皆様におかれましては、今後とも変わらぬご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。