事業報告(2023年4月1日から2024年3月31日まで)
企業集団の現況に関する事項
事業の経過およびその成果
【業績の概要】
2024年3月期は、記録的な高気温の年となり、ガスや電気の販売量は低調となりましたが、原料価格の高騰が一服し、低水準で推移したことにより利幅が拡大、売上総利益を前期比+38億円の736億円と大きく伸長させました。人件費やIT費用等を積み増す一方、DXによる配送効率化等により経費の伸びを抑制、営業利益は前期比+23億円の174億円、経常利益は前期比+22億円の176億円と大幅な増益となりました。1月に実施したグループ内組織再編に関連し、特別損失を24億円計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は+2億円の108億円と伸び幅は営業利益と比較して小幅なものとなりましたが、前期に引き続き過去最高益を更新する決算となりました。
「不要な株主資本はお預かりしない」資本政策を徹底することで、ROICは11.2%と前年より2.2%伸長、ROEは14.7%と前年より0.3%伸長しております。
【組織再編】
当社はこれからの地域社会のエネルギーの在り方、近未来のエネルギー事業の在り方からバックキャストし、お客さま、地域社会、そしてエネルギー業界に向けて価値を提供する新ビジネスモデル(NICIGAS3.0)に事業を進化させることを目的とし、本年1月に、総合エネルギー小売会社『日本瓦斯株式会社(ニチガス)』、エネルギープラットフォーム会社『株式会社エナジー宇宙(読み:エナジーソラ)』およびソフトウェア開発・運用会社『株式会社雲の宇宙船』、『日本瓦斯工事株式会社』『日本瓦斯運輸整備株式会社』の5社体制へと組織を再編いたしました。
今回のグループ再編を通して、エネルギー自由化のもとで成長するにふさわしい企業体の在り方を集中的に議論し、グループ内の各機能を横断的に検討・再定義しました。営業領域では、「LPガス事業主体のニチガス」と「都市ガス事業主体のグループ会社」という旧来の枠組みを完全に取り払い、ガスと電気のセットを前提とした「総合エネルギー小売」として一体化しました。LPガス事業と都市ガス事業両方の強みを生かした、営業力の更なる強化を企図しています。異なる組織文化の融合は、いわゆるダイバーシティ&インクルージョンの体現であり、システムがこれを支えることで、継続的なイノベーション創出を確実なものにします。
当社はこれまで、地域社会の中で、エネルギー小売自由化の市場においてお客さまからの信頼を積み上げて成長してまいりました。一見、「変わらないだろう」、「変えられないだろう」と思われる社会課題や常識に直面する場面においても、自分たちのDNAを再確認しながら変化し続け、中長期的な企業価値の成長に向けて挑戦を続けます。今後も、ラストワンマイルのお客さまとの接点を強みに、ステークホルダーの皆さまからご支持頂けるよう、全力を尽くしてまいります。
(注)会計方針変更に伴い遡及適用が行われたため、前期数値および前期比は遡及適用後の数値を記載しております。
業績サマリー

当連結会計年度のセグメント別の概況は次のとおりであります。


事業区分別の概況
LPガス事業


LPガス事業セグメントは、売上高が847億98百万円(前年同期比22億73百万円減)、売上総利益が494億54百万円(前年同期比29億94百万円増)となりました。
LPガス事業は、ガス販売量が高気温の影響により家庭用・業務用とも前期を下回ったものの、LPG原料価格が23年3月以降大きく低下、24年4月以降は通期で原料価格が想定内で推移したことにより利幅が拡大し、売上総利益を伸長させることができました。
営業面では、行政処分による3か月間の訪問営業停止期間中に、既存のお客さまとの信頼回復と関係強化に注力し、解約数減に努めました。グループ内組織再編後は、グループ全体の営業を統合することにより、ニチガスおよび旧・グループ都市ガス会社の営業の強みを融合させ、お客さま数を伸長させております。長期契約が見込まれるファミリー層を中心にお客さま数を前期末から2万4千件積み重ね、99万7千件となりました。
電気事業


電気事業セグメントは、売上高が424億62百万円(前年同期比1億77百万円減)、売上総利益が36億87百万円(前年同期比7億27百万円増)となりました。
この利益の増加は、電気契約数の増加に加え、7月以降の料金改定による利幅拡大によるものです。
営業面では、訪問営業停止や、組織再編に伴い営業活動を控えた影響もありましたが、競合である新電力会社の料金やサービス内容に係る社内研修を実施するなど、営業強化の取組みを進め、お客さま数は前期末より2万5千件増加の34万5千件、電気のセット率は前期末20%から当期末22%に上昇しました。
今後、再エネ賦課金の値上げや激変緩和措置の終了に伴う全国的な電気料金の上昇が予定されており、お客さまの電気料金への意識が強まると見込まれます。当社はこの流れを追い風に、高使用量世帯に加え、二人暮らし世帯などの中使用量世帯に向けて、お客さまにメリットのあるメニューの提案やガスとセットではない電気単独プランの販売等を実施し、新規獲得数を増やしていく計画です。
都市ガス事業


都市ガス事業セグメントは、売上高が671億3百円(前年同期比111億26百万円減)、売上総利益が204億76百万円(前年同期比1億62百万円増)となりました。都市ガス事業は、LPガス事業同様、高気温を背景に家庭用のガス販売量が減少いたしましたが、都市ガス原料の下降基調を要因としたスライドタイムラグ*のプラス影響が上回り、売上総利益を伸長させることができました。グループ内組織再編により、お客さまとの契約は旧・グループ都市ガス会社からニチガスへ承継されました。既存のお客さまへ、電気セットや機器販売等の提案を行い、より一層の関係強化に努めてまいります。
* スライドタイムラグとは、都市ガスの原料費調整制度によるもので、原料価格の変動が先に売上原価、後に遅れて売価(料金)に反映されることから発生するタイムラグのことで、当期間は原料価格が下降基調であったことから、プラスの影響を受けております。






