事業報告(2023年3月1日から2024年2月29日まで)

1.企業集団の事業の概要

当社ならびに連結子会社309社の連結営業収益は9兆5,535億円、営業利益2,508億円、経常利益2,374億円となり、いずれも過去最高を更新しました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は446億円と大幅な増益となりました。
当期は、原材料価格の高騰や円安などに起因した物価の上昇が続き、高付加価値商品と値ごろ感のある商品への消費の二極化が顕著となるなか、その変化に対応してきたことで、すべての報告セグメントが増収となりました。営業利益については、収益性の高いプライベートブランド商品の拡販、デジタルを活用した生産性向上や使用電力の削減などのコストコントロールにより主力の小売事業を構成するGMS(総合スーパー)、SM(スーパーマーケット)、DS(ディスカウントストア)事業をはじめ、ディベロッパー、サービス・専門店の各事業が増益となりました。一方で、貸倒引当金繰入額が増加した総合金融事業、マクロ経済環境悪化の影響が顕著な国際事業、新型コロナウイルス感染症対策関連商品の需要減の影響を受けたヘルス&ウエルネス事業が減益となりました。

【グループ共通戦略】

当社は、イオングループ中期経営計画(2021〜2025年度)で掲げた5つの変革「デジタルシフトの加速と進化」「サプライチェーン発想での独自価値の創造」「新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化」「イオン生活圏の創造」「アジアシフトの更なる加速」を着実に推進するとともに、「環境・グリーン」の取り組みを進めています。

グループのスケールメリットを活かし、各事業においてAIを活用した効率化を加速し、荒利益率や生産性が改善しています。またネットスーパーの需要が拡大するなか、新たなオンラインマーケット「Green Beans(グリーンビーンズ)」を2023年7月に始動しました。本年、プライベートブランド商品発売から50年を迎えるトップバリュは、ナショナルブランド同等品質のお値打ち価格でのご提供から、企業理念を具現化した差別化や競争優位性の源泉へとポジションが変化しています。2025年までにトップバリュのすべての商品を環境配慮商品に切り替えるなど新たな価値を創造してまいります。ヘルス&ウエルネスでは、イオンウエルシア九州株式会社が調剤併設型ドラッグストアとSMが融合した新業態店舗の新たな展開を始めました。また、ウエルシアでの導入が完了したWAON POINTの新規会員数が750万名を突破するなどイオン生活圏に関わるお客さまは着実に増加しています。更に海外ではベトナムを最重要国として位置づけECを含むマルチフォーマットでのドミナント出店を進めています。

【グループ構造改革】

関東における1兆円のSM構想のもと、株式会社いなげやの株式公開買付を実施し、2023年11月、同社を連結子会社化しました。また、2024年2月、当社と株式会社ツルハホールディングス、ウエルシアホールディングス株式会社は、日本のみならずアセアンをはじめとするグローバル規模において、地域生活者のより高次なヘルス&ウエルネスの実現を目的として、経営統合の協議を開始することに合意しました。日本最大のドラッグストア連合体を創成し、アジアNo.1のグローバル企業への成長を目指してまいります。

■連結営業成績および財産の状況の推移
■事業の種類別セグメントの状況

(1)各事業の成果

小売・サービス

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  • ・GMS事業では、イオンリテール株式会社が、「荒利益額の最大化」「ショッピングセンター収益改善」「デジタル売上拡大」を実行しながら、様々なコスト上昇に耐えうる経営基盤を構築すべく「収益構造改革」を加速しました。荒利益額の最大化に向けては、食品・ヘルス&ビューティーケアが牽引し、衣料品では、商品や売場環境・ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)、オペレーションを刷新し接客を強化する「専門店モデル」を展開拡大することで、荒利益率の更なる改善を進めました。また、エリアごとの経営基盤強化としてリージョナルシフトを推進してきたイオン北海道株式会社、イオン東北株式会社、イオン九州株式会社が確実に効果を創出しました。地域ごとのお客さまニーズに合わせた商品改革を進めるとともに、ローカルプライベートブランド商品の開発、エリア単位での物流の効率化など構造改革を進めることで増益となりました。デジタルにおいては、ネットスーパーの規模拡大や店舗とEC一体で取り組んだ施策強化により売上が拡大しました。収益構造改革においても、店舗・本社の経費削減とデジタルを活用した生産性改善の両輪で推進したことにより営業利益の改善に寄与しました。
  • ・SM事業では、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社が、商品と店舗変革による店舗収益の拡大、店舗外収益の拡大、保有する知的財産を活用したビジネス領域の拡大を柱とする、3カ年の中期経営計画に着手しました。
    株式会社フジでは、新規出店に加え利便性と競争力向上を目指す既存店の活性化に取り組むとともにトップバリュを本格導入しました。マックスバリュ東海株式会社では、キャッシュレスセルフレジの導入や、生鮮食品の自動発注支援システムの農産部門への全店導入で、お客さまの利便性と生産性の向上を図りました。また、トップバリュの価格優位性を活かした集客が奏功したまいばすけっと株式会社は、大幅な増益となりました。
  • ・DS事業では、家計負担が増していく中、EDLP(Everyday Low Price)戦略によるDS専用プライベートブランド商品を開発するとともに、ケース販売、大容量商品を訴求することで売上増加に寄与しました。また物流コストや人件費増加への対応では、積載効率の改善による配送効率の見直し・物流網の再整備・セルフレジの導入などローコストオペレーションの構築にも注力しました。
  • ・ヘルス&ウエルネス事業では、ウエルシアホールディングス株式会社および同社連結子会社が、インフルエンザの早期流行による総合感冒薬などの医薬品や外出の増加による化粧品の需要増加、インバウンド需要の回復により、既存店売上高は堅調に推移しました。調剤部門においては、処方箋受付枚数が増加しました。また、店舗のエネルギー消費低減に向けた取り組みや、自動発注の推進による店舗業務の効率化により、経費適正化に努めました。
  • ・サービス・専門店事業では、イオンディライト株式会社が、顧客内シェアを拡大するとともに、お客さま起点の提案活動を継続することで、新たに多種多様な施設でサービスの提供を開始しました。また、複数の施設を効率的に管理する「エリア管理」の展開や、定型業務の自動化など、DXを強化しました。株式会社イオンファンタジーでは、戦略的小型店の出店に加え、プレイグラウンド事業の新業態「ちきゅうのにわ」をモーリーファンタジー業態に次ぐ大型業態として新たに開始しました。株式会社キャンドゥは、グループ内協業によるシナジーを最大限に発揮するため、「販路の拡大」「商品・ブランドの差別化」「企業価値の向上」を掲げ、お客さま満足の向上を図る取り組みを強化しています。

金融

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  • ・総合金融事業では、グループ共通ポイントを活用した利便性の向上、モバイルサービスの拡充、新規事業の創出など中長期的な成長に向けた投資および基盤整備を進めました。イオン生活圏を金融サービスでつなぎ、お客さまニーズに即した商品・サービスをシームレスに提供するため、総合金融窓口としてスマホアプリ「イオンウォレット」のリニューアルや、AEON Payの利用可能場所の拡大および加盟店と共同での利用促進企画などグループ内外で連携を強化した結果、カードショッピング取扱高は堅調に推移しました。海外では、カードショッピングおよび個品割賦の取扱高の増加が継続しています。また、各展開国におけるお客さまの消費動向や資金ニーズに対応した金融サービスの導入を強化しており、マレーシアでは初となる、イスラム金融方式デジタルバンクの営業許可を取得しました。

ディベロッパー

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  • ・ディベロッパー事業では、イオンモール株式会社が、新型コロナウイルス感染症の5類引き下げ後の人流回復を促進させるべく集客強化策としてイベントの継続的な実施に加え、アプリやWAON POINT施策との連動などお客さまの購買意欲を喚起する取り組みを強化しました。また海外では、最重点エリアのベトナムでドミナント出店を強化するなど、成長エリアへの新規出店を加速していきます。カンボジアでは通関および倉庫業務すべてを自社運営する新たな物流事業の拠点を2023年7月より稼働しました。今後も、各国および各地域が抱える課題を深掘りし、商業施設の枠組みにとらわれない新たな事業機会を探索していくことで、地域ごとの特性に合わせた新たな価値創造モデルで事業展開を図ってまいります。

国際

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  • ・マレーシアとベトナムでは、生活必需品を中心に消費者ニーズに応えたEDLPなどの価格訴求策が奏功し、好調を維持しました。また、SM新店舗で地域のお客さまのニーズに密着した品揃えを進めた結果、デリカなどの即食を中心に大きなご支持をいただいています。くわえてベトナムでは、先行するマレーシアでのネットスーパーのノウハウを共有し、お客さま基盤の拡大を図っています。中国では、不動産不況や輸出入低調といった困難な環境にある中、ゼロコロナ政策の解除により客数が回復し、衣料品の売上が増加傾向にあり、増益となりました。
●営業収益 構成比
●営業利益(百万円)

(2)環境・社会への取り組み

「持続可能な社会の実現」と「グループの成長」の両立を目指す「イオン サステナビリティ基本方針」のもと、事業活動を通じて様々な環境・社会課題の解決に取り組んでいます。

【脱炭素社会の実現】

2018年に策定した「イオン脱炭素ビジョン」のもと、店舗、商品・物流、お客さまとともに、3つの視点でCO2削減に継続的に取り組んでいます。2023年度は、更なる省エネを進めるとともに、店舗の屋上や駐車場屋根に設置した太陽光パネルからの再エネ調達(オンサイトPPA)や、店舗敷地外の太陽光パネルで発電した再エネを活用するオフサイトPPAの取り組みを、さらに拡大いたしました。また、お客さまのご家庭の太陽光パネルで発電された余剰再エネを、ポイント交換し店舗エネルギーに活用する取り組みや、地域ごとに適切な再エネ調達を進める「エネルギーの地産地消」も進めてまいりました。これらの取り組みにより、2023年12月には、再エネの調達量が国内店舗使用電力の約55%に達し、2030年までに50%を再生可能エネルギーに切り替えるという中間目標を7年前倒しで達成いたしました。

【資源循環の促進】

資源循環の促進を目指し、容器包装資材の削減や、環境配慮型の素材への転換を進めています。

2023年10月より、総合スーパーの「イオン」「イオンスタイル」では衣料、日用品・暮らしの品売場における有料レジ袋の配布を、これまでのプラスチック製から、環境配慮型の紙製へ切り替えいたしました。また、取り組み拡大を継続中のボトル to ボトルプロジェクトをはじめ、貴重な資源であるペットボトルの更なる有効活用の具現化や新たな実証なども、引き続き推進してまいります。

今後もお客さまとともに、資源の無駄使いや使い捨てを見直し、循環型社会の実現を目指してまいります。

【次世代育成・支援】

地域のこども食堂の活動を応援するため、引き続き2023年12月に「全国こども食堂応援募金」を実施、約3,111万円を認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえに寄付しました。

2023年度は更なるプロジェクトの深化を目指し、急激な物価高騰が続く中、地域の団体や企業、学校、自治体の皆さまとの連携を通じ、各取り組み事例や課題を共有、解決に向けた支援を進めてまいりました。今後も、食の支援に加え、地域の交流拠点としての役割も果たす「こども食堂」の活動を通じ、活気と喜びにあふれるコミュニティづくりに取り組んでまいります。

■イオンの森づくり

「自然の恵みを失うことは、豊かさの根源を失うこと」と危機感を抱き、植樹を通じて環境問題の解決に取り組むという想いのもと、1991年より植樹活動を継続して行っています。店舗の敷地内に、地域に自生する樹木を植樹する「イオン ふるさとの森づくり」や、公益財団法人イオン環境財団と連携のもと、伐採や自然災害等で荒廃した森林の再生に向けた植樹など、日本および世界各地のお客さまとともに進めてきた植樹活動は、植樹本数が累計約1,268万本となりました。

年数を経たイオンの森は、多くの地域固有の動植物が生息する自然豊かな森へ成長しています。こうしたイオンの森の生態系機能や生物多様性価値を、お客さまや従業員とともに学び、測定する「いきもの調査」を実施しており、2023年は全国95店舗のイオンの森で、1,000種以上の鳥、昆虫、植物などを観測しました。また、当社ホームページにて見つかったいきものの店舗別・ジャンル別の紹介を開始しました。

また、イオンの森づくりをさらに進化させ、持続可能な地域の実現に向けて自治体や行政、大学、国際機関等と協働した「イオンの里山づくり」に取り組んでいます。2023年は、公益財団法人イオン環境財団が京都大学・千葉大学・東京大学・東北大学・早稲田大学と合同で、里山が持つ新たな価値創造としてネイチャーポジティヴやWell-being(ウェルビーイング)など多面的な視点で考える、「イオンSATOYAMAフォーラム」を初めて開催しました。

イオンは、自然豊かな森・地域を次代につなぐため、これからも、お客さま、地域の皆さまとともに木を植え、育てていきます。

■次世代育成(イオン チアーズクラブ)

公益財団法人イオンワンパーセントクラブでは、1996年より、自然や環境などに興味を持ち、考える力を育む場として、小学生を中心に全国のイオングループ店舗を拠点に408クラブ、4,467名の子どもたちが体験学習を行っています。

2023年は、新たに、イオン チアーズクラブ「カスミつくば」や「ウエルシアしずおか」が活動を開始し、農場での田植え、稲刈りや、店舗での販売体験、また調剤薬局の店舗での薬剤師のお仕事体験などを行いました。今後も公益財団法人イオンワンパーセントクラブと連携し、子どもたちが楽しみながら環境や社会について学ぶ様々な活動を展開してまいります。

■「令和6年能登半島地震」の支援活動

被災地域の一日も早い復旧・復興を願い、2024年1月3日から1月31日までの期間、全国のグループ約1万カ所の店頭に加え、キャッシュレス等による緊急支援募金を実施しました。お客さまからお寄せいただいた募金約5億8,226万円に、当社およびイオングループ各社が寄付を行っている公益財団法人イオンワンパーセントクラブからの寄付金を加えた合計約11億6,452万円を石川県・富山県・新潟県に贈呈し、被災された地域の方々の支援にお役立ていただきました。イオンは発災直後から、地域のライフラインとしての使命を果たすため、避難場所の提供、店舗営業の早期再開や、必需品をはじめとする物資の提供などの支援活動を行いました。一日も早く平常の生活に戻られるよう、当社は今後も支援活動を継続してまいります。

■イオンの基本理念を具現化する公益財団法人

事業活動を通じた取り組みに加えて、「公益財団法人イオンワンパーセントクラブ」「公益財団法人イオン環境財団」と連携し、環境・社会貢献活動を推進しています。

【ダイバーシティ推進】イオンの“ダイ満足”の実現を目指して

グループの更なる成長と拡大、イオンピープルの誰もが活躍し、革新し続けることを目指し、すべての従業員が働きやすく、活躍できる企業環境づくりを実現するために、ダイバーシティが生み出す従業員とその家族、お客さま、会社の3者の満足の実現を目指す活動を“ダイ満足”と名づけ、グループ全体で様々な活動に取り組んでいます。革新し続ける企業集団であるためには、多様な人材がそれぞれの個性を活かして活躍できる、時代の変化に適した環境整備が重要となります。更なる女性活躍推進を目指し、その活躍を阻む偏見や思い込みを払拭するために、経営層、管理職層、一般従業員の3層に研修を実施し、合計3,822名が参加しました。研修に参加して終わるのではなく、そこでの気づきを研修後も意識し、その気づきを行動に変えるきっかけとし、継続性をもたせました。グループ各社のベストプラクティスを共有する、“ダイ満足”アワードは10回目を迎え、海外各社の事例共有を新たに加え、28社より30の取り組み施策が報告されました。女性社員による地域密着、お客さま視点の売場作り、商品開発、時間給社員店長活躍、意思決定の場への女性の登用の仕組み作り、風土改革、Well-being、LGBTQ+フレンドリーな買い物環境作りなど、優れた取り組みが生まれ、多様性が生み出す価値創造の実現に大きく貢献しています。なかでも障がい者雇用の拡大、活躍推進にはグループ各社の取り組みが進み、障がい者雇用率は、2.85%となりました。

【人的資本への投資】

イオンは、従業員の一人ひとりの成長を信じ、それぞれが自律的に成長する集団を目指しています。成長戦略の実現に向けた人材の育成、登用、採用の強化を図っており、DXが進展するなか、デジタル人材の育成に関しては、2025年までの目標を2千名と定め、社内育成と外部採用により人材確保に努めています。また、小売業では限定的な時間のなかで働く方が活躍するチャンスが大きく、こうした人材が柔軟に働くための環境整備にも力を注いでおり、従業員の8割を占める約40万人のパートタイマーの賃金を2年連続で7%引き上げる方針を発表しました。革新しつづける企業集団として、人的資本への投資と生産性向上への取り組みの両輪で持続可能な成長を目指してまいります。

2.企業集団の対処すべき課題

「中期経営計画(2021〜2025年度)」の始動から約3年が経過しました。計画発表当初の予想を超えた物価の高騰や地政学リスクの高まりなど、世界規模で未曾有の環境変化が生じ、常態化しつつあるなか、イオンは激動の環境下でこそ地域社会に貢献し続けることが存在価値であると考え、社会の変化を先取りした新たな商品・サービスをグループで創出してきました。その指針となるのが、「デジタルシフトの加速と進化」「サプライチェーン発想での独自価値の創造」「新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化」「イオン生活圏の創造」「アジアシフトの更なる加速」の5つの変革と「グリーン戦略」です。

<中期経営計画におけるグループ共通戦略>

デジタルシフトの加速と進化

デジタル事業の拡大と店舗デジタル化による生産性向上の両面でデジタルシフトに取り組み、着実に成果が出始めています。デジタル事業の拡大では、店舗出荷型のネットスーパーに加え、イオンネクスト株式会社が手掛ける「Green Beans(グリーンビーンズ)」が首都圏で稼働を始めました。リアルとデジタルが融合したOMO(Online Merges with Offline)の実現に向けて、お買い物の選択肢を拡大しています。店舗デジタル化では、レジゴーなどセルフレジの導入や、需要を予測して商品発注を最適化するAIを活用した業務効率化など、生産性向上のみならず、デジタルツールの活用によって、お買い物の楽しさの提供を進めてまいります。

サプライチェーン発想での独自価値の創造

トップバリュでは、お客さまの行動変容や新たなニーズに対応すべく、マーケットイン発想で商品開発を進め、昨年度は約2,500品目の新商品発売、リニューアルを実施しました。

また、物価上昇の中、お客さまのくらしを応援したいとの想いから、トップバリュベストプライスを中心に一部値下げとともに増量企画も行いました。今後もお客さまに支持されるトップバリュ商品をより多く提供し、売上・利益率の向上を図ってまいります。

新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化

イオンの持続的成長に向け、「ヘルス&ウエルネス」はグループを挙げて注力すべき領域です。ドラッグストアの再編・統合を含めた事業規模拡大を進め、手の届く価格で、ヘルス&ウエルネスにかかわる商品やサービス・場・情報を、都市部と地方を問わず享受できる社会の実現を目指します。そのため、新業態の開発や移動販売等、健康を中心に地域課題の解決や、各事業においてもウエルネスを軸に業容拡大を進めています。

イオン生活圏の創造

イオングループの提供する商品・サービス・場に加えて情報・決済等の基盤が、お客さまの便利で豊かなくらしと地域経済を支える状態を「イオン生活圏」とし、イオンが目指す姿としています。

その実現のため、イオングループは小売業から生活業へと事業領域を再定義し、事業各社においても、地域経済の活性化や地方都市の抱える社会課題の解決、地球環境の改善等の視点で各事業を推進しています。

アジアシフトの更なる加速

海外事業は、特に成長著しいベトナムを重点エリアとし、店舗開発力の強化、プライベートブランド商品開発の拠点化、リアル店舗とデジタル事業拡充に向けた投資へのシフトなど、将来の成長を享受すべく事業基盤の拡充を図っています。引き続きグループ一丸となり、今後も経済成長が見込まれるアジアでの事業拡大を推進してまいります。

グリーン戦略

環境負荷の低減は喫緊の事業課題としてだけでなく、重要な事業機会として、グループ・各社戦略の柱に位置づけています。従来の社会貢献活動に加え、事業活動そのものに組み込み、最優先施策の一つとして取り組んでいます。グループ共通施策としては、イオンが30年以上にわたり続けている植樹活動をはじめ、店舗・施設で使用する電力の再生可能エネルギーへの転換、消費されたモノを再び資源として活用するサーキュラーエコノミービジネス、環境配慮型商品の開発などを強化しています。

数字でみるイオン

イオンは、強い競争力を有する小売、金融、ディベロッパー、サービス等、グループ各事業・企業が有機的に結びつき、高いシナジーを創出する総合グループへの進化を目指し、革新に挑戦し続けています。

日本・中国・アセアンを中心に店舗を展開しています。

3.配当金について

当社の株主還元政策は、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元のバランスの最適化を図ることを重点施策と位置付け、連結業績を勘案した配当政策を行ってまいります。

1株当たり年間配当金につきましては、前年以上を維持しつつ、連結配当性向30%を目標として定め、更なる利益成長ならびに株主還元に努めていきます。

また、当社は株主の皆さまの利益還元の機会を充実させる目的で、剰余金の配当を年2回実施することとし、会社法第459条の規定に基づき取締役会の決議によって剰余金の期末配当を行うことができる旨を定めています。

【当期の剰余金の配当について】

当期の剰余金の期末配当は、2024年4月10日開催の取締役会決議により、1株当たり普通配当18円とさせていただきます。これにより、中間配当18円と合わせた当期の年間配当金は1株当たり36円となります。なお、期末配当金の支払開始日(効力発生日)は2024年5月1日(水曜日)とさせていただきます。

年間配当金の推移(1株当たり)

連結計算書類(要旨)