事業報告(2024年4月1日から2025年3月31日まで)

みずほリースグループ(企業集団)の現況

(1) 事業の経過およびその成果

当社グループを取巻く環境

2024年度の経済情勢を顧みますと、米国では個人消費に牽引され、底堅い経済成長が続いた一方、欧州では個人消費が停滞しているほか、金融引き締めの影響で低成長が続きました。アジアでは、中国の不動産市場の調整長期化や個人消費の低迷等、景気は力強さを欠きました。

国内においては日銀の2度にわたる政策金利の引き上げが行われましたが、企業収益の改善を背景とした設備投資や雇用の増加、所得環境の改善に伴う個人消費の増加等により、緩やかな景気回復が続いております。

リース業界におきましては、設備投資の増加傾向を背景に、リース取扱高は前年度を上回る実績となりました。

営業および損益の状況等

当社グループは、2023年度より2025年度までの3年間を「変革に挑戦する3年間」とし、「中期経営計画2025」を推進しております。お客さまの事業や社会的課題の解決に寄与するマルチソリューション・プラットフォーマーを目指す姿とし、その実現に向けて飛躍的な成長を遂げるため、「挑戦」、「変革」、「成長」をキーワードとして掲げ、ビジネス基盤・経営基盤双方に対し、積極的に経営資源を投下するとともに、「事業ポートフォリオ運営の変革・高度化」、「アライアンス/インオーガニック戦略」、「サステナビリティ経営の推進」、「成長を支える経営基盤の強化・高度化」を重点戦略としております。

また、当社グループの更なる成長とステークホルダーの皆さまに提供する価値の向上を目指し、最終年度の連結数値目標として「当期利益420億円」、「ROA1.6%以上」および「ROE12%以上」を掲げております。

このような中、2024年度は、お客さまを取り巻く社会的課題・事業課題に対し、金融の枠を超えた価値共創のパートナーとして、各事業分野で様々なソリューションの提供に注力してまいりました。

〔国内リース事業〕

国内リース事業では、お客さまの事業戦略パートナーとして、価値を共創することを目指しております。〈みずほ〉を中心としたアライアンスパートナーとの連携も活かし、業務用自動掃除ロボットや自動配膳ロボット等の導入促進ビジネスをお客さまと共創するなど、お客さまの事業拡大と社会的課題である人手不足解消に貢献することを通じて、営業資産を積み上げ、収益基盤を拡充いたしました。

〔不動産・環境エネルギー事業〕

不動産事業では、既存コア事業の拡大と新たなビジネス領域を両輪で推進することを目指し、オフィス、物流施設等のさまざまな不動産を対象としたローンや不動産リース、オリジナルブランド物件の開発・取得に注力することで、不動産事業のバリューチェーン拡大・高度化を推進いたしました。

環境エネルギー事業では、子会社であるエムエル・パワー株式会社等を通じて再生可能エネルギー電源を確保し、新たなビジネス機会を創出することを目指し、太陽光発電等による電力や非化石証書(環境価値)を長期的かつ安定的にお客さまに供給するスキームに取り組んだほか、系統用蓄電池事業では、2025年3月に当社グループ初の系統用蓄電所の運転を開始するなど、新分野への取り組みにも注力することで、サプライチェーンにおけるサービス提供領域を拡充いたしました。

〔海外・航空機事業〕

海外事業では、M&Aを通じた新たな成長マーケットへの進出を重点戦略と位置付けております。2024年8月に「Rent Alpha Pvt. Ltd.」への出資比率を87.6%に引き上げ、2025年3月に「Mizuho RA Leasing Pvt. Ltd.」へ社名変更いたしました。株式の追加取得に加え、Mizuhoを社名に冠することにより、みずほフィナンシャルグループならびにみずほリースグループの一員として、今後更なる成長が見込まれるインド市場におけるビジネス拡大を追求してまいります。

航空機事業では、丸紅株式会社との協働を通じた航空機関連金融サービスの拡充を目指し、当社と丸紅株式会社、両社の持分法適用会社である米国航空機リース会社Aircastle Limitedを通じた航空機リースに注力しました。また、当社による航空機担保ローン等の航空機関連金融サービス、本邦投資家に対する運用商品の提供にも注力し、これらの取り組みを通じてお客さまへの価値提供に貢献いたしました。

〔ファイナンス・投資事業〕

ファイナンス・投資事業では、事業承継やMBO等のエクイティニーズに対応するため、当社連結子会社でファンド運営会社であるミライズ・キャピタル株式会社を設立しました。今後、エクイティを含めたファイナンス機能によるリスクマネーの供給を通じて、お客さまの企業価値向上や社会的課題解決に向けた価値共創を目指し、ファンド形態での取り組みに挑戦してまいります。

アライアンスパートナーとの連携、協業につきましては、2024年5月に丸紅株式会社と資本業務提携契約を締結し、同年6月に丸紅株式会社および株式会社みずほフィナンシャルグループを割当先とする第三者割当増資を実施した結果、丸紅株式会社は当社の発行済株式総数の20%を保有し、当社は丸紅株式会社の持分法適用会社となりました。また、株式会社みずほフィナンシャルグループは保有持分比率23.6%(間接所有分含む)を維持し、強固なパートナーシップを維持・強化いたしました。第三者割当増資による資金調達を通じて財務基盤を強化し、リスクテイク能力の量的拡大を図ることで、良質な営業資産の積み上げをさらに促進するとともに、インオーガニック手法を積極活用することで、事業および投資機会の拡充を図っております。

また、2024年4月にJFEグループの重仮設事業者大手であるジェコス株式会社と資本業務提携契約を締結し、同年5月に同社の議決権20.03%を取得いたしました。両社の有する強みや事業基盤等を有効活用し、省人化・省力化に寄与する技術開発による重仮設事業や建設機械事業での協業、共同事業展開による海外での協業など、新たな事業機会を創出してまいります。

以上の通り、「中期経営計画 2025」で定めた事業ポートフォリオ「コア、グロース、フロンティア」の国内外の各分野で様々なビジネスを展開し、社会的課題解決等に向けた取り組みを着実に進めました。

この結果、契約実行高は前年度に比べ22.3%増加して1兆7,957億円となり、営業資産残高は前年度末に比べ14.8%増加して3兆2,819億円となりました。

損益状況につきましては、売上総利益は、資金原価が増加したものの、営業資産の増加や堅調な利益率を背景に、前年度比17.3%増加して863億円となりました。営業利益は、人件費、物件費の増加等があったものの、売上総利益が好調に推移したことから、同23.9%増加して490億円となりました。経常利益は、持分法による投資利益の増加等により、同30.1%増加して662億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、同19.4%増加して420億円となりました。

純資産は丸紅株式会社との資本業務提携に伴う増資および期間利益の蓄積により増加し、4,015億円となりました。

なお、「中期経営計画2025」の財務目標・非財務目標に対する実績は下表のとおりです。

財務目標については、当期純利益420億円と過去最高益を更新し、ROA、ROE含め、1年前倒しで達成いたしました。

(2) 対処すべき課題

2025年度の経済環境については、国内においては、好調な企業業績や雇用・所得環境の改善、設備投資等に支えられ、緩やかな回復が続くと見込まれ、日銀の政策金利の更なる引き上げも想定されます。一方、米国の貿易・関税政策、米中対立の影響による世界経済の不確実性の高まり、ウクライナや中東情勢といった地政学リスク等には引き続き留意を要する状況にあり、経済・金融市場の動向については、一層意を用いる必要があると認識しております。

国内のリース業界を取り巻く環境については、テクノロジーの進化、脱炭素社会への移行等により大きく変化しており、労働力不足や環境負荷低減への対応として、リース会社が提供するソリューションの重要性は一層高まっております。一方で、政策金利引き上げやリース会計基準変更等、外部環境の変化に対応する必要があります。こうした中で、社会的課題やお客さまニーズを的確に捉え、金融の枠を超えた新たな価値を創造することが求められております。

こうした状況下、当社グループは、「中期経営計画2025」で掲げた諸課題への取り組みに加え、更なる成長に向け一層注力してまいります。金融にとどまらない高い自由度を活かしたサービスを提供することで、お客さまの抱える事業戦略上の課題や社会的課題に率先して取り組み、ステークホルダーの皆さまと共有できる新しい価値を創造し、お客さまの事業活動の発展と、それを通じた持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

また、成長を支える経営基盤の強化・高度化に向け、ガバナンス強化・リスクマネジメント高度化やDXの加速・人財戦略の高度化にも取り組んでまいります。

【サステナビリティに関する考え方および取組】

当社グループは、「ニーズをつなぎ、未来を創る」という経営理念に基づき、事業活動を通じてステークホルダーの皆さまと共有できる価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。環境・社会的課題への取り組みの重要性はますます高まっており、当社グループとして更なる持続可能な社会の実現と成長を目指していくため、社会と当社グループのそれぞれの機会とリスクの観点から、優先的に取り組むべき6つの重要課題(マテリアリティ)を特定し、これらのマテリアリティに対する取り組みを事業戦略と一体化させて推進しております。

【ガバナンス強化・リスクマネジメント高度化】

ビジネスの多様化、専門性の高まりを踏まえ、事業ポートフォリオ変革に向け、各事業の戦略策定・意思決定を迅速かつ機動的に行うために、資本コストを意識した収益管理、投資規律の導入、モニタリング体制の構築によるガバナンスの強化を行うとともに、多様化するリスクカテゴリに応じたリスクコントロールの高度化を図ってまいります。

【DXの加速・人財戦略の高度化】

ビジネス領域の拡大、新たなビジネスモデル実装に向けたデジタル技術の活用、次期システム導入等を通じた更なる業務効率化と顧客利便性の向上によりビジネス開発を加速させてまいります。また、人財への積極的な投資を行うことで、「最適な人財ポートフォリオの構築」、「個の強さの最大限の発揮」を目指し、人財戦略の高度化を図ってまいります。

「中期経営計画2025」の最終年度である2025年度は、将来の更なる飛躍に向け、「事業ポートフォリオ運営の変革・高度化」を一段と進め、「成長を支える経営基盤の強化・高度化」を図ってまいります。

株主の皆さまにおかれましては、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

(3) 設備投資の状況

当年度に実施した主な設備投資は新規契約に伴うオペレーティング・リース資産等の取得であり、その金額は5,073億50百万円であります。

(4) 資金調達の状況

当年度末の有利子負債は4,356億43百万円増加し3兆2,780億71百万円となりました。

(5) 直前3事業年度の財産および損益の状況

(注) 当社は2024年4月1日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行っております。これに伴い、2021年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり当期純利益を算定しております。

(6) 重要な子会社等の状況

① 重要な子会社の状況
② 重要な関連会社の状況

(7) 企業集団の主要な事業内容(2025年3月31日現在)

(8) 主要な営業所(2025年3月31日現在)

① 当社
本社
東京都港区虎ノ門一丁目2番6号
支店等
札幌支店、仙台支店、首都圏営業第二部(さいたま市)、富山支店、静岡支店、名古屋支店、京都支店、大阪営業部、広島支店、高松支店、福岡支店
② 子会社
第一リース株式会社
本社(東京都港区)
みずほ東芝リース株式会社
本社(東京都港区)
エムエル・エステート株式会社
本社(東京都港区)
みずほオートリース株式会社
本社(東京都港区)
エムエル・パワー株式会社
本社(東京都港区)
瑞穂融資租賃(中国)有限公司
中国
Mizuho Leasing(Singapore)Pte.Ltd.
シンガポール
Mizuho RA Leasing Pvt. Ltd.
インド
Capsave Finance Pvt. Ltd.(注)
インド
PT MIZUHO LEASING INDONESIA Tbk
インドネシア

(注)Capsave Finance Pvt. Ltd.は、2025年5月5日にMizuho Capsave Finance Pvt. Ltd.へ商号変更しております。

③ 関連会社
みずほ丸紅リース株式会社
本社(東京都千代田区)
リコーリース株式会社
本社(東京都千代田区)
日鉄興和不動産株式会社
本社(東京都港区)
みずほキャピタル株式会社
本社(東京都千代田区)
ジェコス株式会社
本社(東京都文京区)
Krungthai Mizuho Leasing Co., Ltd.
タイ
Vietnam International Leasing Co., Ltd.
ベトナム
PLM Fleet, LLC
米国
Aircastle Limited
米国
Affordable Car Leasing Pty Ltd
オーストラリア

(9) 使用人の状況(2025年3月31日現在)

① 企業集団の使用人の状況
② 当社の使用人の状況

(10) 企業集団の主要な借入先の状況(2025年3月31日現在)

連結計算書類