事業報告(2023年4月1日から2024年3月31日まで)
みずほリースグループ(企業集団)の現況
(1) 事業の経過およびその成果
当社グループを取巻く環境
2023年度の経済情勢を顧みますと、欧米では高インフレと金融引き締めの影響が徐々に顕在化しております。米国では景気は堅調に推移している一方、欧州では消費や企業活動に弱さがみられ、中国では不動産市場の調整長期化等により停滞感がみられます。日本経済においては、物価高により個人消費が伸び悩んでいるものの、設備投資の持ち直し等により、緩やかな回復が続いております。
リース業界におきましては、設備投資の持ち直しを背景に、リース取扱高は前年度を上回る実績となりました。
営業および損益の状況等
当社グループは、持続的に成長し、目指す姿の実現に向け更なる飛躍を遂げるため、2023年度より2025年度までの3年間を計画期間とする「中期経営計画2025」を策定、開始いたしました。リース会社という枠に捉われることなく、お客さまの抱える事業課題や社会的課題を解決するための価値共創のパートナーとして、多様なソリューションを提供するとともに、〈みずほ〉グループや丸紅グループ等のアライアンスパートナーとの連携・協業による事業基盤の拡充と新たな事業領域への挑戦を行ってまいります。
また、当社グループの更なる成長とステークホルダーの皆さまに提供する価値の向上を目指し、最終年度の連結数値目標として「当期利益 420億円」、「ROA1.6%以上」および「ROE12%以上」を掲げております。
このような中、2023年度は、お客さまを取り巻く社会的課題・事業課題に対し、金融の枠を超えた価値共創のパートナーとして、各事業分野で様々なソリューションの提供に注力してまいりました。
〔国内リース事業〕
お客さまの事業戦略パートナーとして、価値共創・課題解決型の提案に注力いたしました。冷凍自動販売機を対象としたベンダーファイナンスに関する業務提携や、家具やドローンを対象としたサブスクリプションサービスなど、「モノを貸す」だけではなく、サービスの内容やレベルを向上させる「サービスビジネス」にも積極的に取り組み、〈みずほ〉との連携も活かして顧客基盤をさらに拡大いたしました。
〔不動産・環境エネルギー事業〕
不動産事業では、子会社であるエムエル・エステート株式会社を通じてリート等のお客さまのニーズに合った期間で不動産を一時的に保有するビジネスに引き続き取り組んだほか、持分法適用会社である日鉄興和不動産株式会社との連携を一段と深化させ、CRE提案力の強化、商品ラインナップの拡充を図るなど、新しいビジネスへの挑戦にも取り組みました。
環境エネルギー事業では、再生可能エネルギー導入拡大と電力需給安定化へ向けた系統用蓄電池事業への参入、国内6か所の特別高圧太陽光発電所プロジェクトへの出資等、設備のリースに留まらず事業そのものへの取り組みを推進しました。また、国内ラストワンマイル輸送のEVシフトに向けた実証事業を開始するなど、お客さまの脱炭素、サステナビリティの取り組みを支援しております。
〔ファイナンス・投資事業〕
ファイナンス・投資事業では、コーポレートベンチャーキャピタルファンドである未来創造投資事業有限責任組合を通じて、業務DXロボットの開発を手掛ける企業への出資や、自律ロボット遠隔支援サービスを手掛ける企業への出資を行うなど、既存ビジネスの枠組みに留まることなく、事業パートナーとの連携・協業による新たなビジネスに挑戦しております。
〔海外・航空機事業〕
アライアンスパートナーとの協業を推進し、インドのエクイップメント(機器設備)リース会社のRent Alpha Pvt.Ltd.の51%の株式を取得するなど、ビジネスフィールドの拡大に取り組みました。
また、当社と丸紅株式会社は、両社の持分法適用会社である米国航空機リース会社Aircastle Limitedの増資を共同で引き受けることについて、関連契約を締結いたしました。Aircastle Limitedは、環境負荷の低い機材をリースにて提供するなど航空会社への財務的支援を通じて、航空業界の持続的成長に貢献してまいります。
アライアンスパートナーとの連携・協業につきましては、〈みずほ〉グループ各社と当社グループとの連携を一段と深化させ、双方の機能を掛け合わせることにより、様々なソリューションをお客さまに提供してまいりました。みずほ銀行と当社が連携して取り組んだ「バーチャルPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)」は、国内最大規模の取り組みとなります。また、丸紅グループとの海外ビジネスでの連携や株式会社リコーおよびリコーリース株式会社との業務提携では、既存事業の強化および新たな事業機会の創出に向けた取り組みを推進いたしました。
さらに、新たな事業領域への挑戦として、先進的な蓄電池の制御技術を保有するNExT-e Solutions株式会社に出資するとともに、当社が保有するモビリティ由来蓄電池の活用を企図し、同社との蓄電池関連ビジネスの業務提携に向けた基本合意書を締結しました。バッテリー制御技術に強みを有するNExT-eSolutions株式会社との協業により、新品蓄電池のサービス提供に加え、モビリティ由来の蓄電池を利活用したリユース蓄電池(定置用)のサービス提供に向けた事業開発を検討し、この取り組みを通じて、蓄電池の普及と再生可能エネルギーの拡大に貢献してまいります。
以上のとおり、「中期経営計画 2025」で定めた事業ポートフォリオ「コア、グロース、フロンティア」の国内外の各分野で様々なビジネスを展開し、社会的課題解決に向けた取り組みを着実に進めました。
この結果、契約実行高は前年度に比べ0.1%減少して1兆4,684億円となり、営業資産残高は前年度末に比べ10.8%増加して2兆8,589億円となりました。
損益状況につきましては、売上高は、大口の不動産案件の満了に伴う物件の売却により、前年同期比23.9%増加して6,561億円となり、売上総利益は、同20.0%増加して736億円となりました。営業利益は、資金原価や人件費、物件費、信用コストの増加等があったものの、売上総利益が好調に推移したことから、同24.4%増加して395億円となりました。経常利益は、船舶案件の売却に伴う配当金、海外不動産売却の配当金、持分法による投資利益の増加等もあり、同26.9%増加して509億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、同24.0%増加して352億円となりました。
純資産は期間利益の蓄積により引き続き増加し、3,298億円となりました。
なお、「中期経営計画2025」の財務目標・非財務目標に対する実績は以下のとおりです。
(2) 対処すべき課題
2024年度の経済環境は、脱炭素関連投資等の経済構造の変化に対応する投資需要に支えられ、緩やかな回復が続くと見込まれる一方、欧米の金融引き締めの長期化に伴う海外経済の減速や中国経済低迷の影響、ウクライナ情勢・中東情勢等には引き続き留意を要する状況にあると認識しております。
事業環境は激しい変化の中にあり、テクノロジーの進化や気候変動、脱炭素といった社会的課題に対するお客さまニーズの変化を的確に捉え、それらに対応するためのソリューションを提供していくことがより一層重要となっていくものと考えております。
こうした状況下、当社グループは、「中期経営計画2025」の目標達成に向け一層注力してまいります。金融にとどまらない高い自由度を活かしたサービスを提供することで、お客さまの抱える事業戦略上の課題や社会的課題に率先して取り組み、ステークホルダーの皆さまと共有できる新しい価値を創造し、お客さまの事業活動の発展と、それを通じた持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
当社グループは、サステナビリティへの取組方針として、豊かな未来を創り、持続可能な社会の実現に貢献するため、社会全体と当社グループのそれぞれの機会とリスクの観点から特定した、優先的に取り組むべき6つの重要課題(マテリアリティ)、「脱炭素社会実現への貢献」「健康で豊かな生活への貢献」「生活を支える社会基盤づくりへの貢献」「循環型経済の牽引」「テクノロジーによる新しい価値の創出」「あらゆる人が活躍できる社会・職場づくり」に対する取り組みを事業戦略と一体化させて推進いたします。ファイナンスを超える新たな発想と飽くなき挑戦により循環型社会を共創し、再生可能エネルギー電源の確保、Scope1,2 CO2排出量削減等を通じた脱炭素社会の実現、サーキュラーエコノミーへの取り組みにも注力してまいります。
また、ビジネスの多様化、専門性の高まりを踏まえ、各事業の戦略策定・意思決定を迅速かつ機動的に行い、多様化するリスクカテゴリに応じたリスクコントロールの高度化、モニタリングの強化、リスク・リターン運営の更なる高度化を図ることで、ガバナンス・リスクマネジメント体制の高度化を図ってまいります。
さらに、ビジネス領域の拡大、新たなビジネスモデル実装に向けたデジタル技術の活用、次期システム導入等を通じた更なる業務効率化と顧客利便性の向上によりビジネス開発を加速させるとともに、女性活躍の推進、介護・育児と仕事の両立支援およびテレワーク等による柔軟な働き方の推進等の実施により、従業員が健康かつ充分にその能力を発揮できる環境の整備を行ってまいります。
株主の皆さまにおかれましては、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。
(3)設備投資の状況
当年度に実施した主な設備投資は新規契約に伴うオペレーティング・リース資産の取得であり、その金額は3,571億16百万円であります。
(4)資金調達の状況
当年度末の有利子負債は3,048億72百万円増加し2兆8,424億28百万円となりました。
(5)直前3事業年度の財産および損益の状況
(注)
- 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2021年度の期首から適用しており、2021年度以降に係る各数値については、当該会計基準等を適用した場合の数値を記載しております。
- 当社は2024年4月1日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行っております。これに伴い、2020年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり当期純利益を算定しております。
(6)重要な子会社等の状況
① 重要な子会社の状況
② 重要な関連会社の状況
(7)企業集団の主要な事業内容(2024年3月31日現在)
(8)主要な営業所(2024年3月31日現在)
① 当社
- 本社
- 東京都港区虎ノ門一丁目2番6号
- 支店等
- 札幌支店、仙台支店、首都圏営業第二部(さいたま市)、富山支店、静岡支店、名古屋支店、京都支店、大阪営業部、広島支店、高松支店、福岡支店
② 子会社
- 第一リース株式会社
- 本社(東京都港区)
- みずほ東芝リース株式会社
- 本社(東京都港区)
- エムエル・エステート株式会社
- 本社(東京都港区)
- みずほオートリース株式会社
- 本社(東京都港区)
- 瑞穂融資租賃(中国)有限公司
- 中国(上海市、広州市)
- Mizuho Leasing(Singapore)Pte.Ltd.
- シンガポール
- PT MIZUHO LEASING INDONESIA Tbk
- インドネシア
- Rent Alpha Pvt. Ltd.
- インド
- Capsave Finance Pvt. Ltd.
- インド
③ 関連会社
- みずほ丸紅リース株式会社
- 本社(東京都千代田区)
- リコーリース株式会社
- 本社(東京都千代田区)
- 日鉄興和不動産株式会社
- 本社(東京都港区)
- みずほキャピタル株式会社
- 本社(東京都千代田区)
- Krungthai Mizuho Leasing Co., Ltd.
- タイ
- PLM Fleet, LLC
- 米国
- Aircastle Limited
- 米国
- Vietnam International Leasing Co., Ltd.
- ベトナム
- Affordable Car Leasing Pty Ltd
- オーストラリア