第62期 事業報告(2024年4月1日から2025年3月31日まで)

1 経営の基本方針

中長期的な事業戦略「ORIX Group Growth Strategy」

2023年に当社が策定したパーパスを実現するため、以下の3つの戦略的投資領域を定めた上で、オリックスの強みとして長年培ってきた「事業価値創造」と「顧客課題解決」の2つのビジネスモデルを生かした事業戦略を通じて、社会にインパクトをもたらしてまいります。

「テクノロジーの進化」に焦点をあて、未来経済における新たなインパクト創造を目指す“Pathways”
「世界の人口増加・動態変化」に着目し、変化する世界の中で、持続可能な成長をサポートする“Growth”
「地球温暖化・限りある資源」をテーマとし、これらの課題に対してポジティブなインパクトを与える“Impact”
これらの領域において、各セグメントの強みを掛け合わせ、協業をより一層強化していくことで、規模感のある事業展開を実現してまいります。

目標とする経営指標

当社は、純利益成長に加えてROEを最重要の経営指標として位置づけ、TSR(株主総利回り)の向上を図ってまいります。長期ビジョンとして、2035年3月期のROE15%、当期純利益1兆円を定量目標とし、その中間目標として2028年3月期のROE11%を目指します。

安定的な株主還元として、「配当性向39%もしくは前期実績の高い方」の配当実施を継続するとともに、信用格付けA格相当の財務健全性を維持することを前提に、ROE目標を重視し、機動的な自社株買いを実施します。また、第三者からの運用受託資産を増やし、2025年3月時点で74兆円の受託資産残高(AUM)を、2028年3月期には100兆円まで伸長させることを目標とし、長期的にはさらなる拡大を目指していきます。

「ORIX Group Purpose & Culture」

中長期的な事業戦略、目標とする経営指標の基礎となるものは「ORIX Group Purpose & Culture」です。
「Purpose」と「Culture」を軸に、グローバルでさらなる一体感を醸成し、企業価値向上を目指します。

Purposeは、オリックスグループの社会における存在意義であり、私たちのすべての活動の根幹となるものです。
Cultureは、Purposeを実現するために、世界中のオリックスグループ社員が大切にする共通の価値観です。

2 オリックスの現況に関する事項

「2.オリックスの現況に関する事項」における記載は、米国預託証券の発行等に関して要請されている用語、様式および作成方法(以下、「米国会計基準」)に基づいています。

当期の事業の経過およびその成果

当期は、世界的に不安定な事業環境下にあったものの、当期純利益は過去最高益を2期連続で更新し、3,516億円となりました。ROEは中期的な目標に掲げた11%には届かず8.8%となりました。

財産および損益の状況(米国会計基準)

剰余金の配当等の決定に関する方針

当社は、事業活動で得られた利益を事業基盤の強化や成長のための投資に活用することにより、株主価値の増大に努めています。同時に、業績を反映した安定的かつ継続的な配当を実施致します。また、自己株式取得につきましては、経営環境、株価の動向、財務状況および目標とする経営指標等を勘案の上、弾力的・機動的に実施します。

これらの基本方針の下、当期の配当性向は39%とし、1株当たりの年間配当金を120.01円(中間配当金は支払済みの62.17円、期末配当金は57.84円)と致します。なお、配当の決定につきましては、会社法第459条第1項に基づき、取締役会の決議により剰余金の配当をすることができる旨を定款に定めています。また、当期は、合計500億円の自己株式取得を行いました。

1株当たりの配当金の過去5年間の推移は以下のとおりです。

主要な事業内容および主要な営業所ならびに使用人の状況

セグメント情報 <業績等の概況>

法人営業・メンテナンスリース

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セグメント利益は、子会社・持分法投資売却損益が増加したこと、およびオペレーティング・リース収益が増加したことにより、前期に比べて9%増の903億円になりました。

不動産

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セグメント利益は、賃貸不動産の売却益が増加したことにより、前期に比べて5%増の705億円になりました。

事業投資・コンセッション

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セグメント利益は、持分法投資損益が増加したこと、および投資先の売却による子会社・持分法投資売却損益が増加したことにより、前期に比べて125%増の989億円になりました。

環境エネルギー

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セグメント利益は、長期性資産評価損が増加したこと、および持分法投資損益が減少したことにより、前期に比べて430億円減の49億円の損失になりました。

保険

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セグメント利益は、生命保険料収入が増加したことにより、前期に比べて5%増の744億円になりました。

銀行・クレジット

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セグメント利益は、前期にオリックス・クレジット㈱の一部株式譲渡を行い、子会社・持分法投資売却損益が計上されたことによる反動で減少したことにより、前期に比べて70%減の293億円になりました。

輸送機器

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セグメント利益は、前期に三徳船舶㈱を取得した影響でオペレーティング・リース収益が増加したことにより、前期に比べて52%増の674億円になりました。

ORIX USA

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セグメント利益は、販売費および一般管理費が増加したこと、および有価証券売却・評価損益および受取配当金が減少したものの、子会社・持分法投資売却損益が増加したことにより、前期に比べて43%増の399億円になりました。

ORIX Europe

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セグメント利益は、運用資産残高の増加に伴い、サービス収入が増加したことにより、前期に比べて7%増の444億円になりました。

アジア・豪州

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セグメント利益は、中華圏において有価証券売却・評価損益および受取配当金が減少したこと、および持分法投資損益が減少したことにより、前期に比べて27%減の345億円になりました。

資金調達等についての状況(重要なもの)

① 資金調達の状況

オリックスの長短借入債務および預金の受け入れによる資金調達は当期末で8兆7,326億円になっています。そのうち金融機関からの調達については大手銀行、地方銀行、外資系銀行、生損保会社等、調達先は多岐にわたり、その数は約200社です。資本市場での調達については、社債、ミディアム・ターム・ノート(MTN)、コマーシャル・ペーパー(CP)、資産の証券化に伴う支払債務などで構成されています。

当期は借入債務の長期化、返済額の集中緩和などの施策を実施しました。今後も調達のバランスを考慮しながら、財務の安定化を図っていきます。

② 設備投資の状況

当期中に、主に法人営業・メンテナンスリースセグメント、アジア・豪州セグメントおよび輸送機器セグメントにおいて、オペレーティング・リース事業用の賃貸設備として総額7,588億円の投資を行いました。また、環境エネルギーセグメントの太陽光発電設備・風力発電設備・地熱発電設備および不動産セグメントのホテル・旅館などを中心に、社用設備や賃貸目的以外の事業用設備として総額522億円の投資を行いました。

③ 事業の譲渡・譲受け、合併・分割、株式等の取得・処分等の状況

該当事項はありません。

④ 主要な借入先およびその借入額(2025年3月31日現在)

オリックスの金融機関借入は当社を中心に行っており、当期末におけるオリックスの主な借入先は以下のとおりです。

対処すべき課題

オリックスは、企業の持続的な成長を可能にするために、以下のような取組を進めています。

    サステナビリティの推進

    変化を続ける経済や社会、地球環境の中で企業が存続し成長を続けるためには、いかにして「サステナビリティ(持続可能性)」を意識した経営を推進するかが基本的な課題となります。オリックスは経済や社会、環境変化がもたらすリスクと機会をグローバルな視野で的確に捉え、ステークホルダーとともに経済的発展や持続的成長に寄与することを目指します。具体的には、2021年11月に設定した「重要課題」をはじめとした社会・環境課題の解決に向けて、各事業部門ではそれぞれの事業活動を通じた社会課題解決に寄与すべく、事業特性に合った様々なサステナビリティ戦略を実践し、また経営管理部門においては、社員への浸透活動、情報開示の拡充、関連ポリシーの制定やアップデートを進めています。前期に実施した主な具体策は、「オリックスのサステナビリティ」の頁をご参照ください。

    リスク管理の強化

    経営戦略実現のために必要なリスク管理の方針や基準を策定し、それを実現するための体制づくりおよび内部統制システムの実効性を不断に向上させる仕組みづくりを進めています。また、リスクを適切に特定・評価、コントロール、マネジメントできる体制の整備とその運用強化に継続的に取り組んでいます。

    情報セキュリティの強化とデジタルトランスフォーメーションの推進

    業務のデジタル化を通じた業務改革の推進とデジタル化された経営情報のセキュリティ管理施策を実施しています。また、その次のステップとして、蓄積した膨大な取引データの有効利用に加え、ITを駆使した事業拡大と新規事業の開発を視野に入れています。

連結計算書類