第61期 事業報告(2023年4月1日から2024年3月31日まで)

1 経営の基本方針等

「ORIX Group Purpose & Culture」

オリックス(当社およびその子会社から成る企業集団をいう。以下同じとする。)は、2023年11月1日付で企業理念体系を改定し、新たに「ORIX Group Purpose & Culture」を導入しました。「Purpose」と「Culture」を軸に、グローバルでさらなる一体感を醸成し、企業価値の向上を目指します。

Purposeは、オリックスグループの社会における存在意義であり、私たちのすべての活動の根幹となるものです。
Cultureは、Purposeを実現するために、世界中のオリックスグループ社員が大切にする共通の価値観です。

2 オリックスの現況に関する事項

「2.オリックスの現況に関する事項」における記載は、米国預託証券の発行等に関して要請されている用語、様式および作成方法(以下、「米国会計基準」)に基づいています。

当期の事業の経過およびその成果

当期においては、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、イスラエル・ハマスの紛争など地政学リスクは依然として高く、加えて、エネルギーコスト高、欧米の金利高、中国の景気後退など、事業環境は不安定な状況にあります。一方で、インバウンドの戻りや、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行など、新型コロナウイルス感染症による影響はほぼ正常化している状況です。

このような環境下、オリックスでは、米国事業で米国の金利上昇によるM&Aマーケットの不況の影響を受けたことや、与信コストが増加したことにより減益、レンタカー、宿泊施設運営、航空機リース、空港コンセッション、生命保険等の新型コロナウイルス感染症の影響を受けていた事業で増益となりました。

以上により、ROEは9.2%と中期的な目標に掲げた11%には届かなかったものの、税引前当期純利益は前期に比べて20%増の4,700億円、当社株主に帰属する当期純利益は前期に比べて19%増の3,461億円になり過去最高益となりました。

財産および損益の状況(米国会計基準)

剰余金の配当等の決定に関する方針

当社は、事業活動で得られた利益を事業基盤の強化や成長のための投資に活用することにより、株主価値の増大に努めています。同時に、業績を反映した安定的かつ継続的な配当を実施致します。また、自己株式取得につきましては、経営環境、株価の動向、財務状況および目標とする経営指標等を勘案の上、弾力的・機動的に実施します。

これらの基本方針の下、当期の1株当たりの年間配当金につきましては、98.60円(中間配当金は支払済みの42.80円、期末配当金は55.80円)と致します。配当性向は、33.0%となります。なお、配当の決定につきましては、会社法第459条第1項に基づき、取締役会の決議により剰余金の配当をすることができる旨を定款に定めています。また、当期は、合計500億円の自己株式取得を行いました。

1株当たりの配当金の過去5年間の推移は以下のとおりです。

主要な事業内容および主要な営業所ならびに使用人の状況

(2024年3月31日現在)

セグメント情報

法人営業・メンテナンスリース

詳細はこちらを閉じる

法人営業では、グループ営業の中核的な役割を担い、全国の営業網を通じて、法人向けにリースや融資に加え、生命保険、環境エネルギーなどの商品・サービスを幅広く提供しています。メンテナンスリース事業では、専門性を強みに、自動車のトータルサービスおよび電子計測器やICT関連機器など多種多様なレンタル商材を提供しています。

主要な事業内容

金融・各種手数料ビジネス、自動車およびICT関連機器などのリースおよびレンタル

>業績等の概況

セグメント利益は、有価証券売却・評価損益および受取配当金やサービス収入が増加したことにより、前期に比べて8%増の812億円になりました。

セグメント資産は、オペレーティング・リース投資や営業貸付金が増加したことにより、前期に比べて3%増の1兆5,523億円になりました。

不動産

詳細はこちらを閉じる

物流施設・オフィスビル・商業施設・分譲マンションなどの開発・賃貸・管理や、不動産の資産運用などの事業を展開しています。また、ホテル・旅館、水族館など様々な施設を運営し、質の高いサービスを提供しています。

主要な事業内容

不動産開発・賃貸・管理、施設運営、不動産のアセットマネジメント

>業績等の概況

セグメント利益は、運営施設のサービス収入が増加したことにより、前期に比べて28%増の658億円になりました。

セグメント資産は、棚卸資産が増加したことにより、前期に比べて6%増の9,941億円になりました。

事業投資・コンセッション

詳細はこちらを閉じる

事業投資事業では、企業投資を行い、グループの専門性を活用して投資先の企業価値向上を図っています。コンセッション事業では、関西の3カ所の空港および上工下水処理場などの公共施設を運営しています。

主要な事業内容

企業投資、コンセッション

>業績等の概況

セグメント利益は、一部の投資先の売却により子会社・持分法投資売却損益を計上したこと、および関西3空港からの持分法投資損益が増加したことにより、前期に比べて405億円増の434億円になりました。

セグメント資産は、営業貸付金や持分法投資が増加したことにより、前期に比べて28%増の7,728億円になりました。

環境エネルギー

詳細はこちらを閉じる

再生可能エネルギー事業をグローバルに展開しています。また、電力小売、省エネルギーサービス、廃棄物の再資源化や処理など、総合的な環境エネルギー事業のトップランナーとして、幅広い領域で事業を行っています。

主要な事業内容

国内外の再生可能エネルギー、電力小売、省エネルギーサービス、ソーラーパネル販売、廃棄物処理、資源リサイクル

>業績等の概況

セグメント利益は、前期に大口の子会社・持分法投資売却損益を計上したことの反動により、前期に比べて9%減の299億円になりました。

セグメント資産は、為替影響により、前期に比べて9%増の8,470億円になりました。

保険

詳細はこちらを閉じる

「シンプルで分かりやすいこと」「合理的な保障をお手頃な価格でご提供すること」をコンセプトに、豊富な保険商品を取り揃え、保険代理店による販売、金融機関による販売、通信販売、当社社員による対面販売を行っています。

主要な事業内容

医療保険や死亡保険などの生命保険

>業績等の概況

セグメント利益は、生命保険料収入および運用益が増加したことにより、前期に比べて11%増の700億円になりました。

セグメント資産は、投資有価証券が増加したことにより、前期に比べて13%増の2兆3,094億円になりました。

銀行・クレジット

詳細はこちらを閉じる

銀行事業では、投資用不動産ローンを中心として、環境関連事業への融資にも注力しています。また、インターネットを通じた取引を中心にすることで運営費を抑え、お客様に高水準の預金金利を提供しています。クレジット事業では、カードローンに加え、他の金融機関が取り扱う無担保ローンの保証や住宅ローン(フラット35)も展開しています。

主要な事業内容

投資用不動産ローンを中心とした銀行業務、カードローン、信用保証、住宅ローン

>業績等の概況

セグメント利益は、オリックス・クレジット㈱の一部株式譲渡により子会社・持分法投資売却損益を計上したことにより、前期に比べて157%増の967億円になりました。

セグメント資産は、オリックス・クレジット㈱の一部株式譲渡により営業貸付金が減少し持分法投資が増加したこと、およびオリックス銀行㈱で投資有価証券が増加したことにより、前期に比べて1%増の2兆7,330億円になりました。

輸送機器

詳細はこちらを閉じる

航空機事業では、当社保有機体を航空会社にリースしています。また、国内外の投資家に対して航空機投資のアレンジメントや、機体の売却・再リースを含むアセットマネジメントサービスを提供しています。船舶事業では船舶のファイナンス、当社保有船の管理・運航、船舶の売買・仲介を行っています。

主要な事業内容

航空機投資・管理、船舶関連投融資

>業績等の概況

セグメント利益は、航空機事業においてオペレーティング・リース収益が増加したことにより、前期に比べて44%増の268億円になりました。

セグメント資産は、三徳船舶㈱を買収したことにより、前期に比べて42%増の1兆584億円になりました。

ORIX USA

詳細はこちらを閉じる

法人向けファイナンス事業、有価証券投資、不動産ファイナンス事業、企業投資事業を展開するとともに、これらの資産を対象としたアセットマネジメントサービス事業などを提供・展開しています。

主要な事業内容

米州における金融、投資、アセットマネジメント

>業績等の概況

セグメント利益は、米国でのインフレや金利上昇を背景に、有価証券売却・評価損益および受取配当金や子会社・持分法投資売却損益が減少したことにより、前期に比べて65%減の173億円になりました。

セグメント資産は、営業貸付金が減少したものの、為替影響で増加したことにより、前期に比べて5%増の1兆5,370億円になりました。

ORIX Europe

詳細はこちらを閉じる

株式から債券まで幅広いアクティブ運用の投資ソリューションを提供しています。また、1995年に初のサステナブル投資商品を開発し、以来、サステナブル投資分野をリードしています。

主要な事業内容

グローバル株式・債券のアセットマネジメント

>業績等の概況

セグメント利益は、運用実績に伴うパフォーマンスフィーが減少したことや支払利息が増加したことにより、前期に比べて30%減の286億円になりました。

セグメント資産は、為替影響により、前期に比べて10%増の4,592億円になりました。

アジア・豪州

詳細はこちらを閉じる

現地のお客様に対して機械・設備リース、自動車リース、割賦、融資、レンタルなどを提供しています。中華圏では、企業投資も行っています。各現地法人では、オリックスの国内事業で培ったノウハウを活用し、事業の多角化を図っています。

主要な事業内容

アジア・豪州における金融、投資

>業績等の概況

セグメント利益は、前期に子会社・持分法投資売却損益を計上したことの反動、および信用損失費用が増加したことにより、前期に比べて2%減の343億円になりました。

セグメント資産は、為替影響により、前期に比べて14%増の1兆5,875億円になりました。

資金調達等についての状況(重要なもの)

① 資金調達の状況

オリックスの長短借入債務および預金の受け入れによる資金調達は当期末で8兆4,463億円になっています。そのうち金融機関からの調達については大手銀行、地方銀行、外資系銀行、生損保会社等、調達先は多岐にわたり、その数は約200社です。資本市場での調達については、社債、ミディアム・ターム・ノート(MTN)、コマーシャル・ペーパー(CP)、資産の証券化に伴う支払債務などで構成されています。

当期は借入債務の長期化、返済額の集中緩和などの施策を実施しました。今後も調達のバランスを考慮しながら、財務の安定化を図っていきます。

② 設備投資の状況

当期中に、主に法人営業・メンテナンスリースセグメント、アジア・豪州セグメントおよび輸送機器セグメントにおいて、オペレーティング・リース事業用の賃貸設備として総額5,721億円の投資を行いました。また、環境エネルギーセグメントの太陽光発電設備・風力発電設備および不動産セグメントのホテル・旅館などを中心に、社用設備や賃貸目的以外の事業用設備として総額1,273億円の投資を行いました。

③ 事業の譲渡・譲受け、合併・分割、株式等の取得・処分等の状況

該当事項はありません。

④ 主要な借入先およびその借入額 (2024年3月31日現在)

オリックスの金融機関借入は当社を中心に行っており、当期末におけるオリックスの主な借入先は以下のとおりです。

対処すべき課題

オリックスは、企業の持続的な成長を可能にするために、以下のような取り組みを進めています。

    サステナビリティの推進

    変化を続ける経済や社会、地球環境の中で企業が存続し成長を続けるためには、いかにして「サステナビリティ(持続可能性)」を意識した経営を推進するかが基本的な課題となります。オリックスは経済や社会、環境変化がもたらすリスクと機会をグローバルな視野で的確に捉え、ステークホルダーとともに経済的発展や持続的成長に寄与することを目指します。具体的には、2021年11月に設定した「重要課題」をはじめとした社会・環境課題の解決に向けて、各事業部門ではそれぞれの事業活動を通じた社会課題解決に寄与すべく、事業特性に合った様々なサステナビリティ戦略を実践し、また経営管理部門においては、社員への浸透活動、情報開示の拡充、関連ポリシーの制定やアップデートを進めています。前期に実施した主な具体策は、「オリックスのサステナビリティ」の頁をご参照ください。

    リスク管理の強化

    経営戦略実現のために必要なリスク管理の方針や基準を策定し、それを実現するための体制づくりおよび内部統制システムの実効性を不断に向上させる仕組みづくりを進めています。また、リスクを適切に特定・評価、コントロール、マネジメントできる体制の整備とその運用強化に継続的に取り組んでいます。

    情報セキュリティの強化とデジタルトランスフォーメーションの推進

    業務のデジタル化を通じた業務改革の推進とデジタル化された経営情報のセキュリティ管理施策を実施しています。また、その次のステップとして、蓄積した膨大な取引データの有効利用に加え、ITを駆使した事業拡大と新規事業の開発を視野に入れています。

連結計算書類