事業報告(2024年4月1日から2025年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、年初に大手自動車メーカーの出荷停止などから一時停滞感を強めたものの、年央以降は個人消費の復調や好調なインバウンド需要により回復基調を維持しております。また、2024年3月にマイナス金利政策が終了となり、同年7月には日経平均株価が史上最高値を更新、公示地価上昇率や春闘賃上げ率がバブル期以来の伸びを記録するなど、幅広い分野でインフレ経済への回帰が見られました。一方で、円安や人手不足、海外景気の減速・停滞が逆風となり、依然としてデフレギャップ解消には至っておりませんが、賃金の持続的上昇、コスト増の販売価格への転嫁、サービスを含めた物価上昇の広がりにより、デフレからの脱却は着実に現実になりつつあります。
不動産業界におきましては、2025年度の公示地価が全国の全用途平均でバブル崩壊後最高となる前年比2.7%上昇となり、4年連続で公示価格は上昇、加えてインフレ及び人手不足に伴う建築コストの上昇も著しく、新築住宅の価格は高騰しました。更には日銀による政策金利の見直しもあり、購買力への影響も懸念されましたが、景気は緩やかに回復、賃金も上昇しており、金利上昇も僅少でしたので、不動産市場は堅調でありました。また、新築住宅の価格高騰により中古流通市場が活況となり、賃貸住宅等投資用不動産市場も好調に推移いたしました。
このような環境下におきまして、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高については安定的に拡大している賃貸及び管理事業と、住宅流通事業が伸長して全体を牽引し、利益については、特に分譲住宅事業において採算性が改善したことを主因に前期を大きく上回ることができました。富裕層を対象とした土地有効活用事業も引き続き順調でした。以上により、売上高、各段階利益ともに前期実績、期初予想を上回り、過去最高の業績を上げることができました。

セグメントの業績は、次のとおりであります。

分譲住宅セグメント

分譲住宅セグメントにおいては、当連結会計年度の分譲マンションの引渡戸数が284戸(前期は239戸)と前連結会計年度に比べて増加しましたが、戸建自由設計住宅等の引渡戸数が486戸(前期は537戸)と前連結会計年度に比べて大幅に減少した結果、当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む。)は34,718百万円(前期比2.1%減)となりました。一方で、利益率が大きく改善したことに加えて、広告宣伝費を中心に販売費及び一般管理費も減少したことにより、セグメント利益は2,251百万円(前期比21.3%増)となりました。

住宅流通セグメント

住宅流通セグメントにおいては、当連結会計年度の中古住宅の引渡戸数は1,081戸(前期は1,016戸)となり、前連結会計年度に比べ増加しました。新築住宅に比ベて割安な中古住宅に対する需要は根強く、販売は総じて好調に推移しており、当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む。)は26,661百万円(前期比7.2%増)と増加しましたが、利益率が下降したことにより、セグメント利益は876百万円(前期比3.6%減)となりました。

土地有効活用セグメント

土地有効活用セグメントにおいては、当連結会計年度の個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡棟数が135棟(前期は137棟)と前連結会計年度に比べて微減となり、賃貸住宅等建築請負及びサービス付き高齢者向け住宅の引渡件数は51件(前期は59件)と減少しました。また、新規受注が好調で建築請負工事が順調に進行したことにより売上高は若干増加しました。その結果、当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む。)は32,010百万円(前期比0.3%増)となり、セグメント利益は2,763百万円(前期比6.4%減)となりました。

賃貸及び管理セグメント

賃貸及び管理セグメントにおいては、主として土地有効活用事業にリンクした賃貸物件の引渡しに伴い管理物件の取扱い件数が増加したこと並びに前連結会計年度に自社保有のサービス付き高齢者向け住宅が増加したことにより、当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む。)は30,989百万円(前期比10.6%増)となり、セグメント利益は3,924百万円(前期比15.4%増)となりました。

建設関連セグメント

建設関連セグメントにおいては、当連結会計年度における建設工事が工程どおりに順調に進捗したことにより、当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む。)は2,600百万円(前期比12.8%増)となり、セグメント利益は94百万円(前期はセグメント損失19百万円)となりました。

また、報告セグメントに含まれないその他セグメントにおいては、保険代理店事業に係る収益を計上しており、当連結会計年度における当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む。)は178百万円(前期比2.1%増)となり、セグメント利益は132百万円(前期比2.6%増)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高123,927百万円(前期比2.9%増)を計上し、営業利益7,894百万円(前期比8.7%増)、経常利益6,987百万円(前期比5.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,764百万円(前期比4.5%増)となりました。

対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境は、個人消費の持ち直しやインバウンド需要の回復により、緩やかな回復基調が続いております。2024年3月には日銀がマイナス金利政策を解除し、同年7月には日経平均株価が史上最高値を更新するなど、経済全体にインフレ傾向が広がりつつあります。しかし、急激な円安や人手不足、海外経済の減速といった懸念材料も依然として存在し、先行き不透明な状況が続いております。
不動産業界におきましては、2025年度の公示地価が全用途で上昇となり、4年連続の上昇を記録いたしました。インフレや人手不足の影響を受け、建築資材費や労務費は依然として高水準で推移しており、新築住宅の販売価格にも継続的な上昇圧力がかかっております。更に、日銀による政策金利の見直しも実施されており、今後の金利動向や購買力への影響については注視が必要な状況にあります。

このような環境下におきまして、当社グループは2022年5月に策定した2022年度(2023年3月期)を初年度、2024年度(2025年3月期)を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画のもと、全社一丸となって取り組んでまいりました。その結果、3期全てにおいて売上高および各段階利益が計画値を上回り、当初掲げた目標を全て達成することができました。

(単位:億円)

当社グループは5つの事業分野の連携によるシナジーを最大化しながら、提案力・商品力の更なる向上、DXや生成AIを活用した業務革新、及び財務運営の最適化を図るとともに、人財育成を通じて持続可能な社会の実現への貢献を目指すべく、2025年5月2日に、2025年度(2026年3月期)を初年度とし2027年度(2028年3月期)を最終年度とする「中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)」を新たに発表いたしました。新中期経営計画の目標は下表のとおりです。

当社グループは「社員のため、社員の家族のため、顧客・取引先のため、株主のため、地域社会のため、ひいては国家のために当社を経営する」という経営理念のもと、創業以来、事業活動を通じて社会貢献活動に取り組んでまいりました。国連で採択された「SDGs」(持続可能な開発目標)など、社会課題に対する企業が果たす役割の重要性が一層高まっております。
ESG(環境・社会・企業統治)及びSDGsと地域密着型経営である当社の事業活動との関連を意識し、社会貢献・持続可能な社会の実現に取り組んでおります。
当社は、2025年3月7日付で厚生労働省「がん対策推進優良企業表彰制度」において、「がん対策推進優良企業」として3年連続の表彰を受け、2025年3月10日付で経済産業省が日本健康会議と共同で認定を行う「健康経営優良法人2025 大規模法人部門(ホワイト500)」で8回目の認定を受けました。経営トップが先頭に立ち、全ての社員が健康への意識を高め、心身の健康を維持できるよう、枠にとらわれない様々な環境を整えていることを評価いただいたものと認識しております。2025年1月には、スポーツ庁が社員の健康増進のためにスポーツの実施に向けた積極的な取組みを実施している企業を認定する「スポーツエールカンパニー2025」にも6年連続で選ばれております。また、当社で働く社員が柔軟な働き方ができる環境で、仕事上もプライベート上も充実した人生を送ることが大切であると考え、遠隔地の身障者支援のほか、社員と社員の家族のためのテレワーク活用、住宅現場・管理マンション・お客様宅等へ外出する社員のためのモバイルワーク推進、BCP(事業継続計画)対策のためのテレワーク活用等多岐にわたり、社員や業務のニーズに応えてテレワークを実践的に導入してまいりました。結果、2018年には「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」に選定され、2020年、2022年には「テレワーク推進賞優秀賞」を受賞、更に直近では「第25回記念テレワーク推進賞」において「実践部門 特別賞」に表彰されました。
DX(デジタルトランスフォーメーション)については、次世代基幹情報システム構築プロジェクトを推進しております。次世代基幹情報システム構築プロジェクトでは、売上拡大やコスト最小化を目的とした全社及び部署ごとの業務改善、経営判断に必要な情報をタイムリーに提供できる仕組みの構築、並びに将来のシステム人財の不足を見据えた安定的な開発、運用、保守体制の実現を目指してまいります。
気候変動リスクへの対応については、脱炭素化社会の実現に向けて「OSAKAゼロカーボン・スマートシティ・ファウンデーション」の活動に参加しております。また、当社グループでの脱炭素の取組みとして、和歌山県の「企業の森」による森林保全・管理活動に係る協定を締結し、和歌山県日高郡日高川町の森林を「フジ住宅の森」と名付けて当社グループ社員・家族のボランティアによる植林並びに育林活動を行っており、二酸化炭素の削減に貢献しております。
今後も引き続き、社会貢献及び持続可能な社会の実現に取り組むことにより、社会とともに持続的に成長し、信頼される企業グループを目指してまいります。株主の皆様におかれましては、今後ともなお一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申しあげます。

財産及び損益の状況

連結計算書類