事業報告(2024年4月1日から2025年3月31日まで)

企業集団の現況

事業の経過及び成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用環境や実質所得の改善、インバウンド需要の増加などにより景気は緩やかな回復基調にあります。一方で資源高や円安等を背景とした物価上昇をはじめ、米国の政策動向や金融市場の変動などにより、世界経済は緩やかな減速が見込まれ、先行き不透明な状況で推移しております。

貨物自動車運送業界におきましては、物流の2024年問題や環境問題などの対応に加え、人件費や燃料費をはじめとするコストアップ要因もあり、厳しい経営状況が続いております。

このような状況のもと当社グループにおきましては、輸送コストの上昇が継続するなか、契約運賃の見直しによる収益性の改善に努めるとともに、中核事業である運送事業の継続的な輸送サービスの向上に加え、貸切輸送やロジスティクスサービスの提供、コールドチェーンの全国展開を目指す企業との資本業務提携、フォワーディング事業の拡大など、その他の事業のサービス強化にも取り組み、お客様のサプライチェーン構築を担える輸送体制の構築に努めてまいりました。

また物流業界における輸送力低下のリスクが高まるなか、当社グループでは持続可能な輸送サービスの提供の実現に向け、レベル4自動運転(※1)トラックによる幹線輸送の実現に向けた実証実験への参加や長距離輸送に対応するため、中継拠点で他社と自社のトラクターを交換する「トレーラー・トラクター方式」による中継輸送の開始に向けた企業間の協業に取り組むとともに、人材の確保・定着に向けて、全国のセールスドライバーに機能性及び安全性、環境負荷の低減に配慮した制服(※2)を配布するなど、人的資本における従業員満足を高めるための取り組みを推進してまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は3,024億95百万円(前期比5.2%増)、営業利益は73億63百万円(前期比29.5%減)、経常利益は99億17百万円(前期比23.6%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は87億48百万円(前期比11.7%増)となりました。

事業区分別の概況

これらを事業別に見た事業の概要は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、第6次中期経営計画「Change & Growth 2026」の方針に基づき、貸切事業を新たな収益の柱として位置づけ、当社グループの報告セグメントについて、従来の3区分(運送事業、流通加工事業、国際事業)から、4区分(運送事業、貸切事業、流通加工事業、国際事業)に変更しております。以下の前期比較については、前期の数値を変更後の報告セグメントの区分に基づき、組み替えた数値で比較しております。

売上高
前期比 %増
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売上構成比 %

(単位:

運送事業におきましては、全国21店所で展開する重量・サイズ計測機能を搭載した自動仕分装置による生産性の向上と適正重量の収受に努めるとともに、お客様との関係の深化を図るため、アカウントマネジメントを強化し取扱物量の確保に努めてまいりました。

また、2024年7月にいばらき五霞支店、2025年1月に関西空港泉佐野支店を新設し、3PL事業の施設を併設した複合一貫輸送サービスの強化と輸送効率の改善に取り組んでまいりましたが、人件費及び外注費をはじめとしたコストの増加により減益となりました。

以上の結果、売上高は2,345億38百万円(前期比4.3%増)、営業利益49億28百万円(前期比39.5%減)となりました。

売上高
前期比 %増
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売上構成比 %

(単位:

貸切事業におきましては、自社の輸送力である専用ブロックトレインとダブル連結トラックを活用した効率的かつ環境負荷の低減も意識した貸切輸送サービスの営業強化と自社貸切システムの機能増強等により、取扱件数が堅調に推移いたしました。

以上の結果、売上高は262億49百万円(前期比9.5%増)、営業利益は22億9百万円(前期比6.8%増)となりました。

売上高
前期比 %増
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売上構成比 %

(単位:

流通加工事業におきましては、拡充している倉庫機能を活用した複合一貫輸送サービスの提供を中心とした積極的な新規営業展開により売上拡大を図るとともに、高付加価値貨物(医療機器・建材関連)などのシェアを拡張するなか、人件費・光熱費等のコストに適応した単価改定に取り組み、利益確保に努めてまいりました。

以上の結果、売上高は223億59百万円(前期比7.1%増)、営業利益は32億95百万円(前期比10.9%増)となりました。

売上高
前期比 %増
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売上構成比 %

(単位:

国際事業におきましては、新設したマレーシアの倉庫への入庫貨物の獲得などによる越境輸送の取り扱いの増加と、フォワーディング・通関事業における新規連結の効果や海上運賃の上昇などにより増収となりました。

また、運送事業、流通加工事業との共同営業を強化し、新規荷主の取り込みによる粗利の確保にも努めてまいりましたが、海上輸送の粗利率の低下や通関取扱件数の減少などにより減益となりました。

以上の結果、売上高は118億61百万円(前期比10.8%増)、営業利益は2億82百万円(前期比8.1%減)となりました。

売上高
前期比 %増
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売上構成比 %

(単位:

その他事業におきましては、大口案件の獲得による工事収入の増加や国内外の団体旅行の回復により、商品販売収入が増加いたしました。

以上の結果、売上高は74億86百万円(前期比4.8%増)、営業利益は12億25百万円(前期比1.7%増)となりました。

  • ※1 特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態
  • ※2 広島県福山市産のデニム生地を使用し、機能性及び安全性、環境負荷の低減に配慮し製作した制服であり、第41回ベストジーニスト2024において「協議会選出部門 特別貢献賞」を受賞いたしました

企業集団の財産及び損益の状況の推移

対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、物価高、燃料費の高止まり、米国関税政策の影響などにより経済活動の不確実性がさらに高まり、国内景気回復への前向きな動きは鈍化し、先の見通せない状況が続くものと予想されます。

貨物自動車運送業界におきましては、引き続き物流の2024問題に伴う深刻な輸送力不足、国内のカーボンニュートラルの実現に向けた対応、継続的な物価・人件費等のコスト上昇など、対応すべき課題は多岐にわたり、依然として厳しい経営環境が続くものと予想されます。

こうしたなか当社グループは、持続可能な輸送サービスの提供に向けた「物流の効率化」「輸送力の確保」「賃金水準向上に向けた適正運賃の収受」に取り組むとともに、専用ブロックトレインやダブル連結トラックの活用、環境に配慮した車両や設備の導入を進め、第6次中期経営計画のもと運送事業はもとより各事業の基盤をより強化し、お客様のサプライチェーンを支える総合物流ソリューションを提供してまいります。

連結計算書類