株主の皆様へ

株主の皆様には日頃より格別のご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
2021年度の事業報告をご覧いただくにあたり、ご挨拶を申し上げます。

2021年度は、好調な海運市況の恩恵を受けた各事業が当初の計画を大きく上回る業績となり、新型コロナウイルスの影響による厳しい環境が続いた一部の事業はあったものの、グループ全体では、過去最高益を大幅に更新する経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益を達成することができました。

コンテナ船事業では、Ocean Network Express社が前年度後半から回復した旺盛な輸送需要と高水準の運賃市況を背景に、想定を大きく上回る業績となりました。ドライバルク事業、自動車船事業は、市況回復を背景に業績が改善し、エネルギー・海洋事業においては、長期契約を主体とするLNG船・FPSOが安定的に利益を出しました。一方でフェリーRORO・客船事業は、前年度に続きコロナ禍での低調な旅客需要の影響を受け、油送船事業は石油需要の減少による市況低迷の影響により、いずれも厳しい損益となりました。

2021年度の配当につきましては、当期の収益を踏まえて株主の皆様への利益還元を実施すべく、連結配当性向20%を目安とし、1株当たりの年間配当金を前期比1,050円増の1,200円(中間配当300円、期末配当900円)とする予定です。

2022年度は、経営計画「Rolling Plan 2022(以下、RP2022)」のもと、売上高13,530億円、事業利益(営業利益+持分法投資損益)5,100億円、経常利益5,250億円、親会社株主に帰属する当期純利益5,000億円を計画しております。通期連結配当性向は25%を予定しております。

4月時点では海運市況は引き続き堅調であり、また足元の業績は好調を維持していることから、2022年度の利益計画は、相当に高い水準の利益目標を設定しました。しかしながら、ロシア・ウクライナ紛争など地政学的緊張の高まりや、広範なインフレの進展による世界経済の減速懸念、環境負荷低減に向けた施策強化に対する社会的要請の高まりなど、当社グループを取り巻く事業環境は依然として厳しく、重要な課題を克服し成長に繋げていくために、正確な情報を掴み、機敏かつ柔軟に対応してまいります。

2017年度のローリングプラン開始以来掲げてきた中長期利益目標の達成に目途をつけたことで、RP2022を以ってローリング方式の経営計画に区切りをつけることと致します。今年度は引き続きRP2022における各戦略への取り組みを進めつつ、当社の更なる飛躍に向けた新たな構想を、2023年度に発表を予定する10年後の世界を見据えた次期経営計画として纏めていきます。

成長への基盤作りとして、常に事業の最優先課題である安全品質の一層の強化に加え、戦略立案の為のインテリジェンス機能の拡充、外国人、女性幹部を積極的に登用するグローバルな人事政策、そして喫緊の課題である環境政策の推進に優先的に取り組みます。これらの課題解決に向け実効性を高めるため、これまでの経営方針である「環境戦略」「地域戦略」「ポートフォリオ戦略」、これら戦略を支える「組織の力の向上・働き方改革」に加え、RP2022では新たに「DX」への取り組み強化の方針を打ち出しました。今期中に、当社のDXビジョンを纏め発表します。

また、当社は4月に商船三井グループ サステナビリティ計画「MOLサステナビリティプラン(以下、MSP)」を発表しました。事業を通じて優先的に取り組むべき社会課題を「サステナビリティ課題」(マテリアリティ)として特定していますが、気候変動や人権問題等の外部環境や、当社グループを取り巻く事業環境の変化を踏まえ、これらを見直すとともに各課題に対応する目標・KPI・アクションプランを設定し、取り組みを加速させます。

当社は、海運業を中心に幅広い社会インフラ事業を担う企業グループとして、「RP2022」と「MSP」への取り組みを通じ、ステークホルダーの皆様に新たな価値を届けるため、サステナブルな成長と企業価値向上を実現してまいります。

引き続きご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

代表取締役 社長執行役員