事業報告(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過および成果

当期における当社グループは、強固な顧客基盤と豊富なサービスラインナップ、当社グループの総合力を強みとする、持続可能な社会の創造に貢献するデジタル・トランスフォーメーション(DX)企業グループへの変革を図ってまいりました。

なかでも、当社の主要事業である自治体ビジネス分野におきましては、総務省策定の「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」に基づき、自治体業務システムの標準化仕様に沿って、2025年度末までの当社自治体情報システムWebRingsの標準化移行を進めるとともに、自治体AI・RPAの利用促進、自治体の行政手続きのオンライン化に注力し、各種ソリューションの提供を推進いたしました。

業務資本提携先である株式会社三菱総合研究所グループや他企業とのアライアンスを推進し、かねてより販売中のAIを活用した自治体向けソリューションの拡販、自治体職員のDXスキル向上のための教育支援サービスの提供など、DX分野に取り組みました。2023年4月にアライアンス推進のための専任組織を強化し、今後とも、他社とのアライアンスを起点に、自治体から地域、民間分野におけるお客様のDX化を強力に支援してまいります。

また社内では、DX企業としてサステナブルな事業、経営を支える人材を育成すべく、テクニカル人材育成体系を構築し、DXリテラシーの底上げ、対象者への集中教育等によるDX人材の強化に注力し、IT人材育成の指標としてすでに導入している「iCD(iコンピテンシ ディクショナリ)」による可視化を図り、人材育成施策に着実に取り組みました。

さらに、2023年4月には、当社グループ内の事業再編を行いました。グループ内のBPOビジネスならびにシステム運用ビジネスの集約による事業の効率化と人的リソースの専門性・機動性を高め、収益性の向上を図ります。また、この事業再編を通じてガバナンスの高度化を図り、グループ経営基盤の強化に取り組んでまいります。

当期の売上高は424億4百万円と、主に公共分野や産業分野での増収を主因として前期比5.9%増となりました。

公共分野につきましては、新型コロナワクチン接種等に関わるBPO案件および福祉システム新規開発案件などにより、177億5百万円(前期比6.2%増)となりました。

金融分野につきましては、生保システム開発案件の縮小などにより109億65百万円(同4.0%減)となりました。

産業分野につきましては、小売業などのIT投資需要の回復に伴い82億17百万円(同18.4%増)となりました。

グループ会社につきましては、クラウドサービス案件が好調に推移したことなどにより55億15百万円(同10.2%増)となりました。

商品・サービス別では、公共分野における福祉システム新規開発案件などによりシステム開発が増加しました。

損益面においては、公共・産業分野を中心とした増収効果および前期に発生した自治体向けソフトウェア投資戦略の見直しに伴う一時的な費用計上の反動減により、営業利益は38億1百万円(前期比93.7%増)、経常利益は38億82百万円(同88.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は25億41百万円(同95.4%増)となり、営業利益・経常利益・当期純利益いずれもコロナ禍前の業績水準まで回復いたしました。

【業種別連結売上高】

対処すべき課題

① 当社グループの経営環境について

2022年度の日本経済は、2022年3月に新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置が全面的に解除となって以降、景気は緩やかに回復の兆しを見せています。一方で、ウクライナ情勢に伴う世界的な物価の上昇や、2022年度半ばにかけての円安に伴う国内物価の上昇は、個人消費・企業活動に影響を及ぼしました。ウクライナ情勢や世界経済の減速など、日本経済を取り巻く環境は依然として不透明感が強く、成長が失速する懸念が残っています。

しかしながら、国内のデジタル化に向けた動きは、堅調に推移しています。デジタル庁における「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の推進や政府によるアナログ規制の見直しなどの動きは、デジタル化を強く牽引していくとみられています。さらに、コロナ禍で浸透したテレワークや企業システムのクラウド化などは、今後もIT市場に追い風となることが想定されます。

また、2023年4月には「こども家庭庁」が発足しました。こどもを取り巻く支援やサービスに関するデジタル化の動きは、当社が強みを持つ福祉分野での需要の拡大や、DX需要につながると期待されます。

② 当社の経営戦略について

当社グループは、「創造と和と挑戦をもって お客さまからの信頼をもとに未来をひらき、世界中のお客さまと感動と喜びを分かち合い、豊かで安全・安心な社会の創生に貢献する」という経営理念に基づき、事業活動を通じた社会課題解決と、ITテクノロジーを活用した新たな価値の創造に取り組んでいます。

2024年3月期は、「2023中期経営計画」の最終年度にあたり、当社の強みである「強固な顧客基盤」、「豊富なサービスラインナップ」、「当社グループの総合力」を活かし、中期経営計画の実現とともに、持続可能な社会の創造に貢献するDX企業として、各種施策を推進してまいります。

【自治体情報システム標準化対応】

当社の自治体情報システムWebRingsの標準化対応を推進し、自治体の標準準拠システムへのスムーズな移行を支援いたします。確実な移行支援に向けて、組織体制の強化を図り、今年度後半より導入作業を開始する予定です。

また、政府の掲げる「異次元の少子化対策」や、「こどもまんなか」社会の実現を目的としたこども家庭庁が発足し、こどもと家庭の福祉や健康の向上支援が進められる中、WebRingsの福祉業務の拡販に努めてまいります。

【DX事業の推進】

地域社会の抱える課題解決に貢献すべく、当社に強みのある自治体分野でのDXを起点として、地域・民間分野における顧客のDX化を推進してまいります。

AI相談パートナーや手続きBatonをはじめとした自治体のAI・RPAの利用促進、自治体行政手続きのオンライン化支援に取り組むとともに、株式会社三菱総合研究所グループや他企業とのアライアンスによる競争力のあるDXサービスを推進してまいります。

【サステナブル経営の推進】

経営基盤の強化を図るべく、「コーポレート・ガバナンスの高度化・強化」、「品質向上への取り組み」、「アイネスウェルビーイング」施策を推進してまいります。

監査等委員会設置会社移行によるガバナンスの高度化・強化、WebRings標準化対応に向けた品質向上施策に重点を置いて取り組んでまいります。

また、DX企業として当社がサステナブルな経営を推進していくためには、DX人材の確保・育成が必要不可欠です。引き続きテクニカル人材育成体系に基づくDXリテラシーの向上、集中教育によるDX人材の強化を図るとともに、同業他社との人材交流、外部プロフェッショナル人材の登用を積極的に行ってまいります。

社員一人ひとりが輝き、持続的に成長し、活躍することのできる環境・風土を醸成し、「アイネスウェルビーイング」を実現することにより、「お客様のウェルビーイング」に資するサステナブル経営を推進してまいります。

連結計算書類