事業報告(2018年6月1日から2019年5月31日まで)
企業集団の現況に関する事項
(1) 事業の経過および成果
当連結会計年度(2018年6月1日から2019年5月31日まで)における世界経済は、米国では堅調な景気拡大が続きましたが、欧州では減速が続きました。新興国経済においては、中国、インド、ブラジルとも、それぞれ減速基調となりました。
わが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に穏やかな回復傾向を維持しましたが、海外経済の弱含みを受け、力強さを失う展開となりました。
当種苗業界におきましては、このような経済状況の影響のほか、世界的に異常気象が頻発していることから、厳しい生育環境にも適応する高品質種子への需要がますます高まってきております。
このような状況のなか、当社グループの当連結会計年度における業績は、国内の天候不順により小売事業を中心に大きなマイナスの影響を受けましたが、海外における売上が引き続き堅調に推移したことや、造園緑花分野において、2018年4月に設立した新子会社が、事業の譲り受けを含め、順調にその業務をスタートさせた増収効果もあり、売上高は627億46百万円(前期比3億33百万円、0.5%増)となりました。営業利益は、粗利益率が改善し、修繕費や人件費などの経費増加を吸収できた結果、77億17百万円(前期比1億63百万円、2.2%増)となりました。また経常利益は、為替差損益の改善もあり、83億31百万円(前期比4億50百万円、5.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益も、資産の売却益計上などにより、68億56百万円(前期比10億89百万円、18.9%増)となりました。
本年1月に公表した業績予想に対しては、為替レートは想定に比べ、ドル、ユーロとも円安となりましたが、欧州・中近東、ブラジル、インドなどで、現地通貨ベースの売上高が計画を下回ったことや、国内における資材の売上が減速したことなどから、売上高は予想を下回りました。一方、営業利益は、粗利益率が計画を上回ったこと、経費が計画を下回ったことから、予想を上回りました。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益も、営業利益の上振れや為替差損益の改善を受け、それぞれ予想を上回りました。なお、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、過去最高となりました。
セグメント別の業績の概要
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売上高構成比
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(単位:)
売上高
前期比7百万円
%増ブロッコリー「こんにちは」 事業内容
国内の種苗会社等への農園芸商材(野菜種子・花種子・球根・苗木・農園芸資材)の卸売国内卸売事業の売上高は、野菜種子は増加しましたが、花種子と資材が減少し、前期比横ばいとなりました。品目別では、野菜種子は、ネギは新品種が貢献し、またレタスは高冷地を中心に新たな産地での利用が増え、ブロッコリー、トマト、キャベツなどとともに増加しました。一方、トウモロコシ、メロンなどは減少となりました。花種子は、マーケットの縮小が続いていることもあり、ガーベラなどは増加しましたが、トルコギキョウ、パンジー、ケイトウなどが減少し、前期比減収となりました。資材は、オリジナルハウス関連システム機材の取組みや台風などによる災害の復興需要もありましたが、園芸資材商品の売上が減少し、減収となりました。
営業利益は、粗利益率の低下および経費の増加により、減益となりました。
これらの結果、売上高は168億45百万円(前期比7百万円、0.0%増)、営業利益は49億25百万円(前期比2億41百万円、4.7%減)となりました。 -
売上高構成比
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(単位:)
売上高
前期比848百万円
%増ヒマワリ「ビンセント」 事業内容
海外の種苗会社等への農園芸商材(野菜種子・花種子・苗木)の卸売海外卸売事業の売上高は、北中米とアジアで大きく増加したことから、前期比増収となりました。営業利益は、粗利益率が向上し、経費の増加を吸収できたことから、前期比増益となりました。
地域別の状況を見ますと、アジアでは、ブロッコリー、ネギ、ペッパー、ヒマワリなどが好調に推移したことにより、前期比増収となりました。アジアの国別では、中国や韓国、新たに拠点を設立したベトナムでは堅調に推移いたしましたが、インドでは、天候不順の影響によるビートなどの販売低迷により、売上高は減少いたしました。北中米では、ニンジン、スイカなどは減少いたしましたが、ブロッコリー、トマト、カボチャ、メロン、ヒマワリなどが増加した結果、前期比増収となりました。欧州・中近東では、トマト、メロン、キュウリ、ペッパー、トルコギキョウなどが増加し、現地通貨ベースの売上高は6%増加いたしましたが、為替レートが円高となった影響を受け、円ベースでは前期比横ばいとなりました。南米につきましては、ブラジルでの市況回復の足取りが重く、現地通貨ベースの売上高は微増にとどまりました。円ベースでは、現地通貨安の影響を大きく受け、前期比で大幅な減収となりました。
これらの結果、売上高は381億22百万円(前期比8億48百万円、2.3%増)、営業利益は116億13百万円(前期比4億39百万円、3.9%増)となりました。 -
売上高構成比
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(単位:)
売上高
前期比1,142百万円
%減事業内容
ホームセンター・通信販売・直営ガーデンセンターを通じた園芸愛好家への園芸商材(野菜種子・花種子・球根・苗木・園芸資材)の販売ホームガーデン分野は、サンパチェンスが過去最高の販売本数を記録するなど貢献しましたが、猛暑や台風などによる園芸資材や野菜種子、苗木などの店頭販売が鈍化した影響が大きく、また、低調な園芸マーケットの影響を受け、一部の資材商品の販売が大きく減少したことも加わり、売上高は前期比大幅な減収となりました。
通信販売やガーデンセンターなどの直売分野では、猛暑や台風などによる影響を強く受け、売上高は前期比減収となりました。
これらの結果、売上高は59億59百万円(前期比11億42百万円、16.1%減)、営業利益は68百万円悪化し、16百万円の損失(前期は51百万円の営業利益)となりました。
なお、2018年12月に通信販売サイトを刷新いたしました。今後ともお客様の利便性の向上に努めてまいります。 -
売上高構成比
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(単位:)
売上高
前期比620百万円
%増事業内容
造園工事・管理・その他造園緑花分野は、2018年4月にサカタのタネ グリーンサービス株式会社を設立し、現在、当社の造園緑花事業はすべて同社にて運営しております。10月31日に、株式会社日産クリエイティブサービスのグリーンサービス事業等を同社が吸収分割により譲り受け、11月1日に当社の造園緑花部事業を移管し、新会社として正式に営業を開始いたしました。
これらの結果、売上高は新たに譲り受けた事業が加わり18億18百万円(前期比6億20百万円、51.8%増)になりました。営業損益は、会社設立および事業移行関係の費用を当期計上したことから、前期比34百万円悪化し、26百万円の損失(前期は7百万円の営業利益)となりました。なお、新会社につきましては実働初年度から黒字となっております。
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売上高構成比
(単位:)
売上高
前期比7百万円
%増ブロッコリー「こんにちは」 事業内容
国内の種苗会社等への農園芸商材(野菜種子・花種子・球根・苗木・農園芸資材)の卸売国内卸売事業の売上高は、野菜種子は増加しましたが、花種子と資材が減少し、前期比横ばいとなりました。品目別では、野菜種子は、ネギは新品種が貢献し、またレタスは高冷地を中心に新たな産地での利用が増え、ブロッコリー、トマト、キャベツなどとともに増加しました。一方、トウモロコシ、メロンなどは減少となりました。花種子は、マーケットの縮小が続いていることもあり、ガーベラなどは増加しましたが、トルコギキョウ、パンジー、ケイトウなどが減少し、前期比減収となりました。資材は、オリジナルハウス関連システム機材の取組みや台風などによる災害の復興需要もありましたが、園芸資材商品の売上が減少し、減収となりました。
営業利益は、粗利益率の低下および経費の増加により、減益となりました。
これらの結果、売上高は168億45百万円(前期比7百万円、0.0%増)、営業利益は49億25百万円(前期比2億41百万円、4.7%減)となりました。 -
売上高構成比
(単位:)
売上高
前期比848百万円
%増ヒマワリ「ビンセント」 事業内容
海外の種苗会社等への農園芸商材(野菜種子・花種子・苗木)の卸売海外卸売事業の売上高は、北中米とアジアで大きく増加したことから、前期比増収となりました。営業利益は、粗利益率が向上し、経費の増加を吸収できたことから、前期比増益となりました。
地域別の状況を見ますと、アジアでは、ブロッコリー、ネギ、ペッパー、ヒマワリなどが好調に推移したことにより、前期比増収となりました。アジアの国別では、中国や韓国、新たに拠点を設立したベトナムでは堅調に推移いたしましたが、インドでは、天候不順の影響によるビートなどの販売低迷により、売上高は減少いたしました。北中米では、ニンジン、スイカなどは減少いたしましたが、ブロッコリー、トマト、カボチャ、メロン、ヒマワリなどが増加した結果、前期比増収となりました。欧州・中近東では、トマト、メロン、キュウリ、ペッパー、トルコギキョウなどが増加し、現地通貨ベースの売上高は6%増加いたしましたが、為替レートが円高となった影響を受け、円ベースでは前期比横ばいとなりました。南米につきましては、ブラジルでの市況回復の足取りが重く、現地通貨ベースの売上高は微増にとどまりました。円ベースでは、現地通貨安の影響を大きく受け、前期比で大幅な減収となりました。
これらの結果、売上高は381億22百万円(前期比8億48百万円、2.3%増)、営業利益は116億13百万円(前期比4億39百万円、3.9%増)となりました。 -
売上高構成比
(単位:)
売上高
前期比1,142百万円
%減事業内容
ホームセンター・通信販売・直営ガーデンセンターを通じた園芸愛好家への園芸商材(野菜種子・花種子・球根・苗木・園芸資材)の販売ホームガーデン分野は、サンパチェンスが過去最高の販売本数を記録するなど貢献しましたが、猛暑や台風などによる園芸資材や野菜種子、苗木などの店頭販売が鈍化した影響が大きく、また、低調な園芸マーケットの影響を受け、一部の資材商品の販売が大きく減少したことも加わり、売上高は前期比大幅な減収となりました。
通信販売やガーデンセンターなどの直売分野では、猛暑や台風などによる影響を強く受け、売上高は前期比減収となりました。
これらの結果、売上高は59億59百万円(前期比11億42百万円、16.1%減)、営業利益は68百万円悪化し、16百万円の損失(前期は51百万円の営業利益)となりました。
なお、2018年12月に通信販売サイトを刷新いたしました。今後ともお客様の利便性の向上に努めてまいります。 -
売上高構成比
(単位:)
売上高
前期比620百万円
%増事業内容
造園工事・管理・その他造園緑花分野は、2018年4月にサカタのタネ グリーンサービス株式会社を設立し、現在、当社の造園緑花事業はすべて同社にて運営しております。10月31日に、株式会社日産クリエイティブサービスのグリーンサービス事業等を同社が吸収分割により譲り受け、11月1日に当社の造園緑花部事業を移管し、新会社として正式に営業を開始いたしました。
これらの結果、売上高は新たに譲り受けた事業が加わり18億18百万円(前期比6億20百万円、51.8%増)になりました。営業損益は、会社設立および事業移行関係の費用を当期計上したことから、前期比34百万円悪化し、26百万円の損失(前期は7百万円の営業利益)となりました。なお、新会社につきましては実働初年度から黒字となっております。
次に当社グループの研究開発についてご報告いたします。
主力商品である野菜と花の品種開発は、研究本部が統括し、全世界の市場に向けた品種の育成を行っております。研究拠点として、日本国内では静岡県掛川市をはじめ5か所に、海外では北米、南米、欧州、アジア圏など、13か所に農場を配しております。
当連結会計年度の主な研究内容および成果は、次のとおりであります。
【野菜】
当連結会計年度は、一般社団法人日本種苗協会主催の第69回全日本野菜品種審査会におきまして、コマツナ「C5-040」および「C5-042」、ダイコン「SC3-295」(冬馬力)が1等特別賞を受賞いたしました。その中から特に優秀な品種として、ダイコン「SC3-295」(冬馬力)が農林水産大臣賞も受賞し、またキャベツ「SK3-326」が第66回千葉県野菜品種審査会において農林水産大臣賞を受賞するなど国内外における高いシェア獲得の原動力でもある研究開発力が評価されました。
新品種におきましては、褐色根腐病および青枯病に優れた耐病性を持つ台木トマト「シャットアウト」、耐暑性に優れ夏越しに強い一本ネギ「夏扇タフナー」、肥大性が非常によく晩抽性のダイコン「冬馬力」、極晩抽で作業性にも優れたダイコン「春の守」、アントシアンフリーのブロッコリー「こんにちは」と「こんばんは」など、オリジナル性を重視した品種を数多く発表いたしました。今後も生産者にも消費者にも喜ばれる品種開発に邁進いたします。
海外市場におきましては、日本国内で開発された品種のみならず、海外の各農場で育成された品種が現地市場でご好評を頂き、販売増加に貢献しております。米国では新研究拠点となる「ウッドランド イノベーションセンター」がカリフォルニア州にて開所するなど、今後も研究活動を活性化するとともに優良品種の開発を加速させてまいります。
【花】
当連結会計年度は、一般社団法人日本種苗協会主催の第64回全日本花卉品種審査会におきましてアスター「SM6-458」が1等を、また、第65回全日本花卉品種審査会ではトルコギキョウ「M7-894」が1等特別賞を受賞いたしました。
海外におきましては、世界二大花卉品評会のひとつであるオール アメリカ セレクションズ(全米審査会)でデンマークのオーデンセ研究農場育成のベゴニア種間雑種「バイキング XL レッド オン チョコレート」が最高賞を受賞いたしました。
差別性と新規性において、雨に強い実生系ペチュニアシリーズ「バカラiQ」、花持ちの良いポットカーネーション「感謝の気持ち」「ホットハート」、よりコンパクトで狭いスペースでも楽しめるサンパチェンスの姉妹シリーズ「サンパティオ」の新品種を発表しております。さらに主力のトルコギキョウで9品種、パンジー・ビオラで5品種、切花ハボタンで1品種の新品種を発表いたしました。
研究部門では、差別性と新規性を追求したサカタオリジナル商品の開発に精励し、全世界へ「心と体の栄養」をお届けできるように努めてまいります。
(2) 設備投資の状況
当連結会計年度に実施いたしました設備投資の総額は、61億63百万円であります。
主な内容は、当社の富士見ヶ丘農場の新設に伴う固定資産取得(7億41百万円)および次期以降に完成が予定されている基幹システム構築への投資(5億55百万円)のほか、海外連結子会社であるSakata Seed America, Inc.における倉庫・研究施設(ウッドランド イノベーションセンター)への投資(5億79百万円)とSakata Seed India Pvt Ltd.における倉庫・研究施設(ベンガルール イノベーションセンター)への投資(1億83百万円)となります。
なお、富士見ヶ丘農場は、従来「千葉農場(仮称)」としてご紹介していたものです。また、富士見ヶ丘農場、ウッドランド イノベーションセンター、ベンガルール イノベーションセンターは、当連結会計年度に完成いたしました。
(3) 資金調達の状況
当社は、運転資金、借入金の返済などに必要な資金は自己資金の充当および金融機関からの借入により調達しております。
また、一部の子会社におきましては、金融機関から運転資金などの借入を行っております。
対処すべき課題
国内の農業分野は、農業人口の減少や高齢化に歯止めがかからず、また、作付け延べ面積が減少しているほか耕作放棄地の再生も思うように進んでおりません。そのような中、政府が掲げる成長戦略の一環として農産物の輸出増大、農家の所得倍増計画が注目されております。これらを実現するためには、付加価値の高い種苗の安定供給がますます重要となっており、種子を提供する種苗会社の社会的な役割がこれまで以上に高まりつつあります。
一方、農薬や穀物種子を含む世界のアグロケミカル産業を俯瞰すると、多国籍大手による業界再編の動きも見られます。
このような中、人々に心の安らぎをもたらす花、体に健康をもたらす野菜の種子を提供する種苗会社は、より一層グローバルな役割を担っていると言えます。
当社グループではこうした状況の下、下記に掲げた課題に取り組みながら、持続的な研究開発活動とグローバルな営業展開をさらに推し進め、高い収益力と健全な財務体質を兼ね備えた種苗業界のリーディングカンパニーを目指してまいります。
①高収益ビジネスモデルの確立
生産者が安心して栽培を実現し、高い収益の確保につなげられるよう、当社では高品質で、オリジナル性の高い種苗を継続的に創出する研究体制の構築を行っております。
また、新たにトップシェアを狙う戦略品目の開発・拡販に努め、経営資源の重点戦略品目への集中とアジアを中心とした新興国市場における成長機会の取り込みによる高収益体制を確立いたします。
②各地域における健全な収益構造の構築と重点戦略の推進
成長市場における市場拡大、成熟市場における高収益モデルの確立を行うことによって、アジア・北米・南米・欧州アフリカの各地域における健全な収益構造を確立いたします。また、各地域毎に抱える課題を洗い出し、具体的な重点戦略を立案、実行いたします。
③安定供給と効率化を実現するサプライチェーンインフラの整備
種子の安定供給を実現する生産体制・技術・機能を強化し、効率的なグローバルサプライチェーンマネジメント体制の実現に向けた仕組みづくりを行い、コストと在庫の削減を目指します。
④グローバルカンパニー実現に向けた人材育成、組織、マネジメント体制の構築
日本国籍のグローバルカンパニー実現に向けたグローバルな人的資源の管理体制の構築や、グローバル経営体制の整備とグループマネジメントの高度化をさらに進めます。
連結計算書類
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