事業報告(平成29年4月1日から平成30年3月31日まで)

企業集団の現況

当事業年度の事業の状況

事業の経過および成果

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用所得環境の改善や底堅い企業収益が下支えとなり、緩やかな回復基調が続きましたが、海外の不安定な政治動向や地政学的リスクの影響が懸念され、先行きは不透明な状況で推移しました。
 当社グループが属する情報サービス業界におきましては、企業における効率化や生産性向上を目的とした投資需要に加え、AI、IoT、Fintech、クラウド型ITサービス等の分野に大きな注目が集まり、市場は拡大傾向となりました。しかしながらソフトウェア開発においては、企業や官公庁のシステム大型投資によりプラスの基調となるものの、システム高度化への対応等が人件費・外注費の高騰に繋がっていることや、保守・運用コストの削減ニーズなどから、収益環境は楽観視し難い状況が続いております。
 このような状況の中で、当社グループにおきましては、流通業におけるスーパー向けシステム構築案件および通信業における通信キャリア向け基盤構築案件等を中心に受注拡大に努めた結果、売上高は堅調に推移いたしました。
 その結果、当社グループの売上高は13,559百万円(前期比5.1%増)となりました。また、営業利益は855百万円(同9.5%増)、経常利益は892百万円(同10.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は567百万円(同2.9%増)となりました。
 また、当連結会計年度は中期経営計画「V2020 2ndSTEP」の最終年度でありました。「2ndSTEP」では、SIビジネスの立ち上げに取り組み、一定の成果を見ることができましたが、数値目標である平成29年度の連結売上高150億円、営業利益率9%に対しては未達となりました。

連結業績

続きを見る閉じる

事業区分別の概況

 事業の品目別の業績を示すと次のとおりであります。

システムインテグレーション・
サービス

 流通業におけるスーパー向け基幹システム開発案件および金融業における銀行向けシステム構築案件の拡大により、売上高は9,564百万円(前期比5.0%増)となりました。

続きを見る閉じる

システムアウトソーシング・
サービス

 流通業におけるコンビニエンスストア向け案件の縮小により、売上高は2,079百万円(同0.3%減)となりました。

続きを見る閉じる

プロフェッショナル・サービス

 通信業における通信キャリア向け基盤構築案件の拡大により、売上高は1,915百万円(同12.3%増)となりました。

続きを見る閉じる

 所在地別のセグメントの業績については、CUBE SYSTEM VIETNAM CO.,LTD.、上海求歩信息系統有限公司を連結の範囲に含めておりますが、当連結会計年度において本邦の売上高が、全セグメントの売上高の合計に占める割合の90%超であるため、所在地別セグメント情報の記載を省略しております。

対処すべき課題

 中長期経営ビジョン≪VISION 2020≫を踏まえ、当社グループは、お客様にご満足いただけるソリューション・サービスを提供し続けるために、以下の課題に取り組み、企業体質および競争力の強化を図り、収益の向上を目指してまいります。

① 事業拡大に向けた取り組み

 継続的かつ安定的な事業成長を遂げていくためには、システムソリューション・サービス事業における当社の強みを最大限に発揮出来る領域の拡大と強みを活用した新たな成長領域の開拓が重要であります。また積極的な技術開発や技術投資による新たな事業を創出していくことも欠かせない事業活動です。当社グループは、事業領域の拡大と新たなサービスの提供を進める中、既存事業に対する収益構造改革を進めるとともに、人的リソースの確保によるサービス体制の充実を進め、事業の拡大を図ってまいります。

1)既存領域の拡大

 主要顧客に対してアカウントマネージャを任命し、関係性や信頼性の強化に努め、当社担当範囲の拡大に向けた提案活動の強化や新領域での受注拡大に注力いたします。また、当社の技術と業務での強みを活かした提案活動を実施していくことで、新たな大規模案件の獲得、新規顧客の開拓を進め、グループ全体の総合力をもって取引の拡大に注力いたします。

2)新規領域への展開

 流通・通信・金融業を中心とした当社グループの得意領域でのサービス提供をもとに新規領域となるネットワークサービス企業、ノンバンク企業、グローバル企業への事業展開や当社の強みであるエネルギー関連事業における業務ノウハウを活用した新たなチャネル展開を進めてまいります。 また、顧客の海外展開時におけるシステムソリューション・サービスの更なる拡充に加え、海外子会社による現地ビジネスの拡大を進め、アジアを軸としたグローバルな事業展開に注力してまいります。

3)既存スキームからの転換による新規事業の創発

 今後においては、「デジタル・トランスフォーメーション」関連のシステム投資が、新たなマーケットの成長の原動力になると言われており、こうした中で、当社グループが競争優位性を確保するためには、新たなサービスや新しいビジネスモデルなどを通じて新たな価値を創出することが重要であります。当社グループでは、得意分野であるブロックチェーン技術によるPoCを通じた共創型ビジネス展開や、アジャイル開発を取り入れたソリューション・サービスを提供することで、新規事業展開を進めてまいります。

4)収益性の改善

 当社の属する業界においては、予期せぬ不採算案件の発生に加え、サービスの品質および価格の両面に対するお客さまからの強い要請や競合他社との価格競争の激化による収益性の低下が懸念されます。そうした中、生産性の向上として開発フレームワークの改善や自動化ツールの活用ならびにプロジェクト管理ツール等の整備を進めるとともに既存のビジネスにおいてサービス提供型へのモデル変革等を行い、収益性・生産性を抜本的に改善してまいります。
 また、不採算案件を未然に防ぐため、プロジェクト状況の定期的なモニタリングを通じて、プロジェクトリスクの見える化と対策を講じていき、リスクの早期発見、継続的な品質の向上に努めてまいります。

5)ビジネスパートナー連携

 事業の拡大を進める上で、サービス提供体制の充実を目的とした人的リソースの確保ならびに新たな事業を加速度的に展開していく上でのビジネス共創は重要であります。当社は、既存ビジネスにおけるビジネスパートナーの選択と集中に加え、集約化/大型化を図っていくことで関係性の強化を進め開発体制の充実を進めてまいります。

続きを見る閉じる

② 技術力強化・研究開発投資

1)お客さまの事業成長に直結するIT投資への対応

 当社グループは、インキュベーションを促進する当社独自のプログラムによる新規事業化推進のための研究開発投資を2016年度より積極的に進めてまいりました。特にオラクルクラウドサービスの提供やブロックチェーン技術を活用した顧客との実証実験、スタートアップ企業との事業連携等を進めてまいりました。今後もオラクルクラウドサービスにかかる研究投資やあらゆる業種に活用が期待されるブロックチェーン技術投資を進めるとともに、AI、IoTに係る研究開発を進め、競争優位を高めてまいります。

2)技術教育強化

 エンジニアリングのスキルは当社グループの競争力、差別化に直結するためシステムエンジニアの継続的なスキルアップは重要な経営課題と捉えております。座学だけではなく、現場に行く機会を積極的に提供し、お客さまの課題に向き合う実務経験を積むことで、ソリューション提案できる人材の育成に注力しています。

続きを見る閉じる

③ 経営基盤の強化

 当社グループの属する業界においては、高度・複雑化する技術への対応、人的リソース不足、同業他社・アジアIT企業との競争激化等の課題を抱えており、当社グループにおきましても人材採用や育成ならびに一人当たりの生産性の向上に加え、事業環境に柔軟に対応していくための意思決定のスピード化等を図り、持続的な成長と企業価値の向上を進めてまいります。

1)人的リソースの確保

 当社グループのビジョンを共有し、社員と会社がともに成長し、喜びや豊かさを分かち合える優秀な人材を確保することを前提とし、新卒採用につきましては、採用プロセスの継続的な改善や大学との関係性の強化を進める一方、グローバルでの人材採用も併せて進めてまいります。また、中途採用につきましては、高度な技術力やプロジェクトマネージメント能力を備えた人材の採用のため、新卒同様に採用プロセス改善を進めるとともに第2新卒や未経験者の採用についても積極的に進め、採用数の拡大とレベルアップを図ってまいります。
 人材育成に関しましては、お客さまの事業成長に直結するIT投資に対応する人材の育成や事業展開を推し進める中核人材の育成に加え、女性社員の活躍推進やグローバルで活躍できる人材の育成のため、社員が果敢にチャレンジできる機会を創出すると同時にフォロー・サポートのサイクルを継続的に実施してまいります。

2)ガバナンスの強化

 お客さまに満足いただけるソリューション・サービスを提供し続けるために、公正かつ効率的な経営に取り組むべく、コーポレート・ガバナンスの充実を重要課題と考え、意思決定、業務執行、監督・モニタリングが機能する経営体制の構築に努めるとともに、役員・従業員の法令遵守を徹底いたします。
 経営管理体制の強化では、任意の委員会や統合リスクの観点から経営リスクへの対応も含め、取締役会のモニタリング機能の強化を図り実効性を高めていくことで、透明かつ適正な意思決定を進めてまいります。また、中長期に継続した業績の向上と企業価値の増大への貢献意識を高めることを目的とした株式報酬制度の内容改善や従業員に対するインセンティブプランの検討等、ステークホルダーとの価値共有を進めることで持続的な成長と企業価値の向上を図っていきます。

3)働く環境の質的向上

 企業としての安全配慮義務をより着実に実行し、労務管理・健康管理の徹底と社員、役員の意識改革を進めることはもちろんのこと、オフィス環境の改善や、働き方改革を推進し、魅力的な職場環境を構築してまいります。

4)ESGへの対応

 当社グループは、持続的な社会の実現に向けてESG視点でITが豊かな社会生活を支えるとの信念の元、ITを活用したビジネスを展開する事で、社会的価値の最大化を進めてまいります。

続きを見る閉じる

 これら3つの課題に対する取り組みを実施し、信頼されるキューブシステムグループとなるべく、≪VISION 2020≫の実現に向けて進めてまいります。

連結計算書類

  • 連結貸借対照表を見る
  • 連結損益計算書を見る
議決権を行使する