事業報告(2019年4月1日から2020年3月31日まで)

企業集団の現況

当事業年度の事業の状況

事業の経過および成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善が進み、雇用所得環境は緩やかな回復基調にあるものの、米中間の貿易摩擦の拡大や新型コロナウイルス感染症が世界的な広がりを見せ、依然として先行きは不透明な状況で推移いたしました。

当社グループが属する情報サービス業界におきましては、企業における効率化や生産性向上を目的とした投資需要に加え、AI、IoT、Fintech、クラウド型ITサービス等の分野に大きな注目が集まり、市場は拡大傾向となりました。しかしながら、人件費・外注費の高騰や、保守・運用コストの削減ニーズ等から、収益環境は厳しい状況で推移いたしました。

このような状況の中で、当社グループにおきましては、流通業における消費税対応案件ならびに新規マーケットでの展開、金融業におけるクレジット会社向け案件が拡大するも、製造業における建設機械メーカー向けシステム構築案件の終息により、当連結会計年度における売上高は14,708百万円(前期比2.7%増)と微増にて推移いたしました。

また、エンハンスサービスの高度化や派生する開発案件の受注拡大による収益改善に努めたことに加え、一部のプロジェクトにおける採算が好転し、営業利益は959百万円(同4.1%増)、経常利益は976百万円(同1.7%増)となりましたが、保有する非上場株式の一部について減損処理を実施したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は525百万円(同11.9%減)となりました。

連結業績
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事業区分別の概況

事業の品目別の業績を示すと次のとおりであります。

売上高
前期比 %増
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(単位:

流通業におけるホームファニチャリング事業会社向け案件の拡大ならびに成長領域での新規拡大、金融業におけるクレジット会社向けシステム構築案件の拡大等により、売上高は前期比5.9%増、売上総利益は前期比10.0%増となりました。

売上高
前期比 %増
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(単位:

流通業におけるアウトソーシングサービスの拡大により、売上高は前期比2.0%増、売上総利益は前期比3.8%減となりました。

売上高
前期比 %減
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(単位:

通信キャリア向けシステム構築案件終息に伴う縮小により、売上高は前期比11.7%減、売上総利益は前期比19.2%減となりました。

所在地別のセグメントの業績については、CUBE SYSTEM VIETNAM CO.,LTD.、上海求歩信息系統有限公司を連結の範囲に含めておりますが、当連結会計年度において本邦の売上高が、全セグメントの売上高の合計に占める割合の90%超であるため、所在地別セグメント情報の記載を省略しております。

設備投資の状況

特記すべき事項はありません。

資金調達の状況

当社は、運転資金の効率的な調達を行うため、主要取引金融機関と総額2,500百万円の当座貸越契約および貸出コミットメント契約を締結しております。

事業の譲渡、吸収分割または新設分割の状況

該当事項はありません。

他の会社の事業の譲受けの状況

該当事項はありません。

吸収合併または吸収分割による他の法人等の事業に関する権利義務の承継の状況

該当事項はありません。

他の会社の株式その他の持分または新株予約権等の取得または処分の状況

該当事項はありません。

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対処すべき課題

今日の日本経済における先行きは不透明であるものの、今後の情報サービス産業においては、新しいビジネスモデルの創出や競争力を強化する動きが高まり、継続して企業のICT投資への需要が拡大するものと思われます。

当社グループにおいては、中長期経営ビジョン≪VISION2020≫の最終年度(2021年3月期)を迎え、計画達成にあたり収益性の改善、人的リソース不足の解消、サービスメニューの創出、技術投資について、拡大するICT投資の需要に対応しつつ、推進し加速していくことが課題と捉えております。

重点施策

1)デジタルトランスフォーメーション事業の推進

ICT投資において、データとデジタル技術(クラウド、AI、IoT等)を活用し、業務や企業運営のモデル自体を変革することで競争上の優位性の確立や生産性の向上を推進する、「デジタルトランスフォーメーション」(以下、DX)への投資が目立っております。

当社においては事業拡大の好機と捉え、2016年度から積極的な研究開発投資を行い、AIやブロックチェーン、クラウドサービス等の技術を強みに転化させてまいりました。

また、新たなデジタル技術を有するパートナー企業との業務提携等により、サービスメニューの充実や事業化に向けた取り組みを推進しております。

これまでの強みと実績を基に、企画型ビジネス、システムコンサル事業の拡大を目的に、専任組織であるDX事業推進室を設立し、DXビジネスの推進や、継続した積極的技術投資を行うことで、サービスメニューを創出してまいります。

2)人材価値の向上

エンジニアリングのスキルは当社グループの競争力強化、差別化に直結するためシステムエンジニアの継続的なスキルアップは重要な経営課題と捉えております。技術力強化に向けた研修プログラムの充実に加え、先進的な技術を取り入れたプロジェクトの推進等による成長機会の創出や、研究開発によるエンジニアリング力の向上に努めてまいります。

また、事業展開を推し進める中核人材の育成に加え、女性社員の活躍推進やグローバルで活躍できる人材を育成するため、人員配置も含め社員が果敢にチャレンジできる機会を創出すると同時にフォロー・サポートのサイクルを確立し、実施してまいります。

今期においては引き続き新卒・中途採用の強化を継続するとともに、人材価値の向上を目的に、事業成長を持続的に推進する人材育成の立案および実行を担う組織として未来人材開発センターを設立いたしました。また、新設の人材開発会議を通じて、当社のあるべき人材像への成長のスピードアップを図り、高付加価値サービスを担う人的リソースを確保いたします。

3)品質向上の取り組み

当社の属する業界においては、予期せぬ不採算案件の発生による収益性の低下が懸念されます。今期よりシステム開発会議を新設し、見積もり・提案時のみならず、重要度の高いプロジェクトに対しては、全社横断的に工程毎のプロジェクトの状況把握・確認、次工程判定等のプロセスを経て全社に影響を及ぼすプロジェクトリスクを共有し、対策を講じております。今後も継続的にプロセスの見直し、品質マネジメントシステムの改善を行い、不採算案件の低減に努めてまいります。

4)ガバナンス体制の整備

前述の重点施策の実施をはじめ、お客様に満足いただけるソリューション・サービスを提供し続けるために、公正かつ効率的な経営に取り組むべく、コーポレートガバナンスの充実を課題と考え、的確・明確な経営の意思決定、迅速な業務執行、適切・適正な監督・モニタリングが機能する経営体制の構築に努めるとともに、役員・従業員の法令遵守を徹底いたします。

経営会議を刷新することで経営と執行の有機的な運営を行い、意思決定の迅速化を図ります。また、事業戦略、人事戦略といった経営リスクに対しての報告を強化し、対策について議論検討を進めてまいります。

昨今の世界各地での新型コロナウイルス感染拡大のようなパンデミックや、その他災害への対策、地政学的リスク等を加味した事業継続プログラム(BCP)の再構築も進めていくことで、持続可能な運営の仕組みを構築してまいります。

5)サステナビリティ経営

当社では経営理念を踏まえて事業活動を行い、持続的な事業成長を目指します。

また、社会への貢献を通じた企業価値向上にも取り組んでまいります。

当社の価値創造プロセスは、保有する財務資本や知的資本等を活用し、中期経営ビジョンの実践することで、お客様と社会に対して高付加価値なサービスを提供いたします。そして、事業成長を果たすとともに、事業を通じて社会に貢献し、企業価値の向上を目指してまいります。

当社は、この価値創造プロセスを実践することで、社会・顧客・社員にとって豊かな社会を実現していけるよう取り組んでまいります。

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連結計算書類