事業報告(平成28年4月1日から平成29年3月31日まで)
企業集団の現況
当事業年度の事業の状況
事業の経過及び成果
業績の概況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境を概観いたしますと、メディアショップにつきましては、海外市場で先行する動画配信が国内市場においても活性化し、参入する企業が増え競争が激化する中、加えてスマートフォン等によるお客様の時間消費選択肢の多様化に拍車がかかっていることで、パッケージソフト産業からネットワーク産業へと市場が移行しつつあります。
一方、リユースショップにつきましては、個人間売買やネット販売の活性化等で、市場が推計1兆6,000億円を超えており、今後もさらに拡大し続けることにより、「リユース」の認知度は益々高まり、着実な成長が見込まれております。
加えて、両業態に共通する商材である通信機器においても、総務省によるスマートフォンの料金負担の軽減及び端末販売の適正化の促進や、新規・大手のMVNO事業者等の参入によりモバイル市場の活性化と同時に「格安スマホ」需要が高まっており、市場が急速に拡大しております。
このような環境のもと、当社グループにおきましては、「豊かで楽しい日常の暮らしを提供する」を企業理念とし、環境の変化に合わせた取り組みを試行しながら、販売網及びシェアの拡大に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度における売上高は、リオ五輪等の影響でレンタル売上が軟調であった一方、台風や残暑の影響下でも堅調であったリユース商材と年末商戦や新型ゲーム機の発売等で新品商材の売上が寄与したことにより、268,079百万円(前期比0.1%増)となり、売上構成が前連結会計年度と比してかわったことにより売上総利益率が1.6%低下したほか、積極的な販促活動及びリユース系店舗の出店に伴う人件費や家賃などの影響で、営業利益は8,662百万円(前期比47.7%減)、経常利益は9,040百万円(前期比49.3%減)となり、店舗関連の減損損失1,862百万円等の特別損失が発生したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は4,223百万円(前期比60.0%減)となりました。
※「メディアショップ」
パッケージソフトを中心にレンタル・中古品買取販売・新品販売を行う店舗。
屋号は「ゲオ」「ゲオモバイル」で営業。
※「リユースショップ」
衣料・雑貨・家電製品等の中古品の買取販売を行う店舗。
屋号は「セカンドストリート」「スーパーセカンドストリート」「セカンドアウトドア」「ジャンブルストア」等で営業。
当連結会計年度末における当社グループの店舗数の状況は以下のとおりとなりました。
( )内は、前連結会計年度末からの増減数であります。
(注)1.屋号毎の店舗数をカウントしています。
2.メディア系店舗はDVDレンタルや家庭用ゲームの買取販売等を行う店舗をカウントしています。
3.ゲオモバイルはメディア系店舗に併設されていないモバイルショップを指します。なお、店舗数はメディア系店舗の内数として記載しております。
4.リユース系店舗は衣料品や家電製品等の買取販売を行う店舗をカウントしています。
また、主要部門の売上高は以下のとおりとなりました。
会社の対処すべき課題と中長期的な会社の経営戦略
当社グループを取り巻く環境は変化が激しく、今後益々の競争激化が予想されます。
メディアショップにおいては、市場は縮小しているものの、寡占市場において占有率を高めて規模を維持することにより、いわゆる「残存者利益」を享受している状況にありますが、HDDレコーダーやスマートフォンによる時間消費との競争関係を意識する必要があることに加え、海外からのVOD大手事業者の参入、民放各社による見逃し配信の本格展開など、有料・無料を問わずインターネットを通じた映像配信サービスが活性化しており、市場がパッケージソフト産業からネットワーク産業へと移行していることから、さらなる占有率の向上を図る必要があるため、店舗の価値を高めていくことが課題であると認識しております。
一方、リユースショップにおいては、リユース品を取り扱う店舗の増加やネット販売・個人間売買支援サイトの成長等により、リユース品の売買がしやすい環境が広がり、さらなる高い成長が期待される市場ではありますが、他企業の出店や異業種からの参入など、競争も激しさを増していることから、出店を加速し、他企業を凌駕する圧倒的リーディングカンパニーとしての地位を確保することが課題であると認識しております。
なお、両業態に共通する商材として通信機器を扱っており、総務省から携帯電話の料金その他の提供条件の適正化が促されたことにより、「格安SIM」に注目が集まるとともに、「格安SIM」と相性が良い中古携帯市場も活性化しております。そのような状況の中、専門業態の育成をはじめとする取扱強化が有効に働き始めており、市場における占有率を高めてまいりました。しかしながら、他企業の参入も多く、競争も激しさを増していることから、成長を続けている市場において確固たる地位を確保するためには、さらなる規模の拡大が必要であり、品質の向上、サポート体制の充実などのリユース品への不安を払拭する取り組みや在庫の確保が課題であると認識しております。
これらの課題意識のもとに、以下の項目について取り組んでまいります。
①事業ポートフォリオの転換(メディアからリユースへ)
リユース部門においては、実店舗が500店舗を超え、今後も市場全体の成長が期待されるリユース事業へ経営資源の配分ウェイトを高めていくことで、さらなる規模の拡大と認知度の向上を図ってまいります。
また、既存店舗とは異なるコンセプトの店舗展開、プライベートブランドの拡大や海外展開等さらなる発展の礎を築いてまいります。
②メディアショップの集客力を活用した新規事業・商材の開拓とメディア事業の収益最大化の確保
メディア部門においては、直営を中心に全国に1,000店舗以上を有するメディアショップの集客力を事業展開の核として、顧客志向からの新規事業・商材を開拓していくとともに、実店舗ならではの価値を再考し、実店舗だからこそ体験できる価値の提供を行うことで店舗の魅力向上を図ってまいります。併せて、成長市場であるモバイル商材の拡大を図るとともにサービスの充実に取り組んでまいります。
また、「本部」が「個店」を一括運営していく考え方に捉われず、「エリア」でよりきめ細かにお客様のニーズに応えていくことで、利益の最大化に取り組んでまいります。
③オムニチャネル・リテイリングの実現
オムニチャネル・リテイリングの実現に向けた足がかりとして、ゲオとセカンドストリートの公式アプリ、実店舗とECでの併売、当社グループ独自のペイメントサービス「Lueca(ルエカ)」、レビューSNSアプリ「クチコ」の導入などを進めてまいりました。
これらの基盤を活用し、実店舗とネット事業を融合するとともにさらなるサービスの充実を図ることで、当社グループならではのオムニチャネル・リテイリングの実現を進めてまいります。
④事業多角化による成長機会の創出
新たな柱となる事業領域を、既存ビジネスの延長上は勿論、M&A手法の活用等により積極的に模索獲得致します。
⑤人材の獲得と教育投資
各項目で述べてきた戦略を実現するため、適切なコスト負担による人材獲得と教育投資による人材の活用を引き続き推進してまいります。
また、企業の持続的な成長・発展を実現するためには、従業員一人ひとりの個性や価値観を尊重し、その個性や能力を最大限に発揮することが必要となることから、多様な働き手を支援する環境を整備してまいります。
連結計算書類
- 連結貸借対照表を見る
- 連結損益計算書を見る