事業報告(2023年4月1日から2024年3月31日まで)

企業集団の現況

当事業年度の事業の状況

事業の経過及び成果

業績の概況

当連結会計年度におけるわが国経済環境は、コロナ禍を乗り越え業況や収益などの企業活動は改善し、緩やかな持ち直しの動きとなった一方、賃金や投資に十分に結び付いておらず、輸入物価を起点とした財の物価、サービス価格の上昇を受けての個人消費の伸び悩み懸念や地政学的リスク、継続する円安の進行等により先行き不透明な状況で推移しております。

リユース業界におきましては、SDGsの考えの広まりや、物価高騰に伴う生活防衛策としての需要、消費者間取引や取り扱い店舗の増加などリユースへのアクセス性向上によりリユースの良さが改めて見直され、身近なライフスタイルへと変化するなど、様々な要因を背景に市場全体が継続的に成長しております。

このような環境のなか、当社グループは「豊かで楽しい日常の暮らしを提供する」ことを目指し、お客様の選択可能性を広げ利便性を向上するため、インターネットを介した電子商取引の拡充の他、2nd STREETを中心としたリユース店舗の新規出店を、国内・海外において積極的・継続的に推進し持続的成長と収益性向上の実現に取り組んでおります。

リユース系リユース商材の動向といたしましては、リユースラグジュアリー商材、特に高級時計を中心に扱うOKURA TOKYOは小売販売に注力し好調に推移いたしました。商品構成の中心であるリユース衣料・服飾雑貨は消費者の価値観や嗜好性にもとづく消費スタイルの変化などを理由に需要は継続拡大し、国内及び国外の2nd STREETが好調に推移した結果、リユース系リユース商材全体の売上は大幅に増加しております。

メディア系リユース商材の動向といたしまして、ゲーム関連商材は旧作ゲームソフトの根強い人気や、前年度下期より需給バランスが改善しておりました家庭用ゲーム機本体のリユース市場への供給増加を背景に、売上は堅調に推移いたしました。また、スマートフォンやタブレット端末等通信機器は、SIMロック販売の禁止や新品価格の高騰などでリユース市場が拡大しておりますが、それに対応する形で、「GEO mobile」の単独店出店やゲオ店舗への併設を積極的に展開することで通信機器の販売機会を創出し、販売を順調に伸ばしております。以上の理由によりメディア系リユース商材全体の売上は増加となりました。

新品商材の動向といたしましては、前期に比べ新作ゲームソフトのヒットタイトルには恵まれなかったものの、家庭用ゲーム機本体やトレーディングカードの販売増が牽引し、売上増加いたしました。

また、外国為替相場の円安進行により、為替差益1,043百万円を計上いたしました。

なお、収益性の悪化により、主に国内店舗等について減損損失を1,611百万円計上いたしました。

これらの結果、当連結会計年度における売上高は433,848百万円(前期比15.0%増)、営業利益は16,814百万円(前期比58.3%増)、経常利益は18,749百万円(前期比57.2%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は10,902百万円(前期比91.9%増)となりました。

主要商材の売上高は以下のとおりとなりました。

また、当連結会計年度末における当社グループの店舗数の状況は以下のとおりとなりました。
( )内は、前連結会計年度末からの増減数であります。

設備投資の状況

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)では、新規出店及び既存店におけるリニューアル工事などを中心に7,151百万円の設備投資を行いました。

なお、当連結会計年度において重要な設備の除却、売却等はありません。

資金調達の状況

当連結会計年度においては、借入金返済資金として第1回無担保社債の発行により6,600百万円、長期運転資金として金融機関より18,600百万円、計25,200百万円を調達しております。

事業の譲渡、吸収分割又は新設分割の状況

特記すべき事項はありません。

他の会社の事業の譲受けの状況

特記すべき事項はありません。

吸収合併又は吸収分割による他の法人等の事業に関する権利義務の承継の状況

特記すべき事項はありません。

他の会社の株式その他の持分又は新株予約権等の取得又は処分の状況

特記すべき事項はありません。

対処すべき課題

当社グループを取り巻く事業環境は、SDGsの考えが社会に広がり、価格だけに捉われないリユースへの価値観が改めて見直されるなど、リユース市場は継続成長が全世界的にも見込まれています。

このような環境のもと、当社グループにおきましては、「豊かで楽しい日常の暮らしを提供する」を企業理念とし、お客様の消費行動を理解し、オンライン・オフラインの境目をなくした双方で、商品・サービスを自在に選択してご利用いただける“ネットワークリテイラー”の体制を構築し、リユースとレンタルの循環型流通やリテールを通して、世界の方々に豊かで楽しい「日常」を届け続ける“グローバルプラットフォーマー” でなければならないという課題意識のもとに、以下の項目について取り組んでまいります。

①リユース市場の深耕

リユース市場の拡大の中、持続的成長のためお客様との直接接点となる多店舗展開を加速させるとともに買取サービスの拡充といった利便性の向上を図り、リユース市場におけるポジションを高めてまいります。

地域特性に合わせた新業態などの店舗開発や海外出店を含めた販売網の構築を行い、仕入れの強化として買取専門店・出張買取や買取ロッカーの設置によりお客様にリユース商品を身近に感じて頂ける環境づくりを展開してまいります。

②収益基盤の再構築と拡充

「買う」「借りる」「売る」「場の提供」というグループの各事業が持つ機能に多種多様な商材を掛け合わせることにより、新規フォーマットを提案してまいります。

映像・音楽ソフトのレンタル市場縮小傾向が続く中、全国1,000店舗以上のGEOの店舗網を活かし、メディア商材の市場占有率を高め利益最大化を図る一方で、リテール商材の開発・規模拡大やリユース通信機器の販売を強化し収益性の高い商材販売を促進することにより、収益基盤の再構築に取り組んでまいります。

また、オフプライスストア業態やデジタルコンテンツ事業を始めとした「リユース」に捉われない事業活動をお客様のニーズに即して推進し、多角化による事業拡大を行ってまいります。

③ITの積極活用とオンラインの強化

スマートフォン使用等オンラインでの情報認知と検索行動がますます一般化する中で、商品情報の検索性を高めることや決済方法の多様化対応により、ECサイトと店舗との併売等お客様への利便性を高め、よりシームレスな購買環境整備を物流体制及びIT・電子商取引対応への投資を行うことにより推進強化してまいります。

④グローバルマネジメントの構築

リユース企業の世界的リーディングカンパニーを目指す上で、これまで以上にグローバル情報の把握と、迅速でフレキシブルな経営判断を行い、海外企業に対する競争力を高めるマネジメント体制を構築してまいります。

海外共通のリユース基盤の仕組み構築を推進し、グループ分業体制、管理会計、在庫コントロールについて強化してまいります。

⑤人材の獲得と教育投資

各項目で述べてきた戦略を実現するため、人材獲得と教育投資による人材の活用を引き続き推進してまいります。

また、企業の持続的な成長・発展を実現するためには、従業員一人ひとりの個性や価値観を尊重し、その個性や能力を最大限に発揮することが必要となることから、多様な働き手を支援する環境の整備、グローバル教育・資格制度の再構築をしてまいります。

連結計算書類