事業報告 2023年4月1日から2024年3月31日まで

企業集団の現況に関する事項

事業の経過およびその成果

事業を取り巻く環境

当連結会計年度の世界経済は、不安定な国際情勢や不確実性の高まりが影響し、減速傾向となりました。インフレ・金融引き締めの長期化など、地域ごとに経済の方向感の違いも見られました。

自動車業界においては、原材料費や物流費の高止まりはあったものの、半導体不足が解消されたことによる増産などにより市場全体の売上規模は拡大しました。一方、カーボンニュートラルに向けて自動車のBEV※1シフトが急激に進んでまいりましたが、多数のメーカーが参入したことによる価格競争の激化や、欧米でのBEVの伸び率の鈍化など、業界の情勢変化は激しく速いものとなってきています。

当期の事業概況

①足許の競争力強化

当社は、原材料費、物流費が高止まりする中で、自動車生産台数の回復に柔軟な生産対応を行いつつ、販売価格と調達価格の両面で、適正な価格転嫁を行ってまいりました。またトヨタ紡織広瀬やトヨタ紡織精工等のシート骨格部品を開発生産する会社を仲間に加え、構成部品から完成シートまでの一貫した開発・生産体制を構築し、ものづくりのさらなる競争力強化を進めました。さらに、価格競争力を強化し稼ぐ力を向上させるため、原価企画やVA※2の推進による変動費改善、設備投資や経費等の固定費の効率化にも努め、各地域の事業体ごとにきめ細やかな収益改善策も実施し、過去最高の営業利益を実現することができました。

②中長期目線での取り組み

モビリティ環境の変化をふまえ、2030年に向けての中期経営計画を策定し、2023年11月に公表しました。当社の強みである「ユーザーに一番近い製品」に対する技術開発力やシートなどの大きな製品をジャストインタイムでグローバルにお届けできる展開力、また豊富なグローバル人材などを活かし、「インテリアスペースクリエイター※3として快適な移動空間を実現し、製品、顧客の幅を広げながら社会課題の解決に貢献している会社」を「2030年目指す姿」といたしました。実現に向けて取り組むため、今年4月1日付で組織・体制を見直し、製品事業分野と技術開発分野を統合し、移動空間企画本部、移動空間開発本部、ユニット部品事業本部、技術開発本部に改編しました。

また、JAPAN MOBILITY SHOW 2023におきましてMOOX-RIDEを発表しました。これは、車窓の景色に連動したVR/AR体験を搭載したモビリティエンターテイメントで、“あいちデジタルアイランドプロジェクト”※4にも参画し、公道走行での実証実験も行いました。これらの結果を評価し、事業化も検討する予定です。また、当該プロジェクトでは、当社が既に中部国際空港株式会社向けにサービスを提供しております行動・属性可視化システム※5を活用した行動変容につきましても、実証実験を行いました。今後も、車室空間全体を企画し体験価値を加えた新しいサービスや、生活空間における新価値を創造することで、新しいビジネス機会を獲得し、事業化に向けて推進していきます。

  • ※1 BEV(Battery Electric Vehicle):電気自動車
  • ※2 VA(Value Analysis):提案製品の品質や機能を落とすことなく設計変更や工程変更によりコストダウンを実現するための手法の一つ
  • ※3 インテリアスペースクリエイター:構成部品1つからトータルコーディネートまで、お客さまの期待を超えるソリューションを創造し、QUALITY OF TIME AND SPACE(すべてのモビリティーへ提供する“上質な時空間”)を提供できるリーディングカンパニー
  • ※4 あいちデジタルアイランドプロジェクト:2030年に世の中での普及が見込まれる近未来の事業・サービスを、中部国際空港島及び周辺地域において先行して実用化することを目指す愛知県のプロジェクト
  • ※5 行動・属性可視化システム:当社が開発した、人の行動・属性データを可視化し、分析するシステム

ご参考

1 シート事業のさらなる競争力強化に向けた取り組み

従来より進めておりましたアイシンシロキ株式会社からのシート骨格機構部品の営業・開発・生産機能等の事業譲受がさらに進展いたしました。2023年4月1日付で、アイシンシロキ株式会社が分社化した会社を「トヨタ紡織広瀬株式会社」として、当社の子会社といたしました。また、アイシンシロキ株式会社の海外子会社について、2023年11月にインドネシアのシロキインドネシア株式会社を、2024年3月にインドのシロキオートモーティブインディア株式会社(現トヨタ紡織デバイスインディア株式会社)を、トヨタ紡織アジア株式会社の子会社といたしました。今後、3社とも2025年を目途に、完全子会社化する予定です。さらに、シート骨格部品の主要メーカーである「トヨタ車体精工株式会社」を2023年10月1日付で「トヨタ紡織精工株式会社」として、当社の子会社といたしました。新たに仲間になったこれらの子会社とともに、さらなる競争力強化に向けて、一丸となって取り組んでまいります。

トヨタ紡織精工株式会社
2 2030年中期経営計画を発表

2023年11月に、2030年中期経営計画を発表いたしました。モビリティを取り巻く環境が大きく変化し、車室空間に対する価値観も“単なる移動価値から体験価値を提供するもの”へと変化が具体的になってきたことを受け、当社の2030年の目指す姿と、財務・非財務の目標を示しました。

我々の強みである技術開発力と、ものづくり力を踏まえた競争力を、人材、組織でしっかりと下支えし、創業の精神である「世のため、人のため」を受け継ぎ、当社らしく、地道に社会のお役に立つことを行い、それを事業に結び付け、着実な成長を目指してまいります。

2030年中期経営計画説明会
3 JAPAN MOBILITY SHOW 2023で未来へ向けた新価値を提案

2023年10月28日(土)~11月5日(日)東京ビッグサイトで行われたJAPAN MOBILITY SHOW 2023において、当社が考える未来のモビリティライフをテーマとした展示を行い、多くの反響をいただきました。

うち、「TOKYO FUTURE TOUR」においては、コンテンツ体験バス「MOOX-RIDE」を初出展し、車両の位置情報に合わせて、モニターや透明ディスプレイ、天井にコンテンツが再生され、車窓の景色に連動したVR/AR体験を提供しました。その他、自動運転を想定した近未来の移動空間「MX221」や、座ったままでの運動や健康サポートが可能な「スマートグライダー」など、お子さまから大人まで、だれもがワクワクする空間を体験してもらえるような展示を行い、多くのお客さまに当社が紡ぎだす未来を体験していただきました。

MOOX-RIDE
当期の業績

連結売上収益につきましては、グローバルでの車両生産台数の回復に伴う増産により、前連結会計年度に比べ3,495億円(21.8%)増加の1兆9,536億円となりました。

利益につきましては、増産効果や車種構成の変化に加え合理化などにより、連結営業利益は、前連結会計年度に比べ309億円(65.0%)増加の786億円、税引前利益は、前連結会計年度に比べ350億円(67.1%)増加の873億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ432億円(294.3%)増加の578億円となりました。

ご参考

ご参考

地域別売上収益

※各地域の売上収益は内部売上控除前

ご参考

シート・内外装事業

※2024年4月の組織変更に伴い、シート事業本部・内外装事業本部は一つになりました。

売上収益 14,902 億円
売上収益 3,389 億円
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2023年度の取り組み

内装システムサプライヤーとしてホーム※1を目指し、
顧客ニーズに沿った魅力ある製品を提案し、事業拡大を目指す

環境の変化にタイムリーに対応した製品開発

  • カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に向けた材料および製品の開発
  • 自動運転に対応し得る安全で快適なシート、内装の開発
  • BEV専用の薄型シートの開発
  • BEV専用の次世代NV防音材パッケージの開発

高効率な生産体制の構築

  • 生産基盤の強化に向けた自働化モデルラインをグローバルに展開
  • 地域特性・数量変動にフレキシブルに対応できる工法の導入
  • 骨格機構部品事業の再編による生産技術開発力の強化
  • 競合他社の徹底的なベンチマークを実施する事による、ものづくり力強化

良品廉価な製品開発

  • 競争力のあるシート骨格の開発
  • 電子制御技術の手の内化を推進
  • 付加価値を高めるシートデバイス部品の開発

事業規模拡大に向けた新規顧客の開拓と拡販活動の推進

  • 戦略OEM※2、RNCB※3への受注活動の推進
  • 内装製品の一括受注地域拡大と新規部品の受注獲得に向けた活動を推進
  • シートデバイス部品の拡販

TOPICS

新型レクサスLMにすべてのお客さまが使いやすい高品質な
おもてなしの提供やプライベートなくつろぎ空間を提案

乗り心地と静粛性を追求したリヤシート

車名が意味する「ラグジュアリームーバー」に相応しい、停車時から走行時まで乗員を優しく包み込むシートを開発しました。フルリクライニングも可能で、シートヒーターやリラクゼーション機能なども搭載しています。また、リヤシートの表皮にレクサス最高級本革であるL-ANILINEを採用し、上品な質感を演出しています。

快適性と利便性を両立した開放的なインテリア

天井には、上質かつソフトな質感・触感を持ったウルトラスエード®を採用し、プレミアムな室内空間を表現しました。
また、サイドテーブルに強度の高いマグネシウム製の天板を採用することで、操作性と省スペース化を両立しました。

新型レクサスLBXのオーダーメイドシステム
「Bespoke Build」※4に対応したシート、内装を提供

プレミアムに相応しいしつらえや、豊富なカラーバリエーションで個性や特別感を提供する「Bespoke Build」に対応しました。
刺繍の柄や、表皮の色・材質など大変多くの組み合わせを実現するために、取引先と設計・製造・生産技術部門が協力し、製品化することが出来ました。

  • ※1 ホーム:「現地現物」で、自分たちで付加価値をつけることができ、競合と比較しても競争力で勝っている事業や地域のこと
  • ※2 戦略OEM:トヨタ自動車株式会社とアライアンス関係にある自動車メーカー
  • ※3 RNCB:Regional New Customer Businessの略称。地域主体で受注活動をしているトヨタ以外の新しい顧客とのビジネスのこと
  • ※4 Bespoke Build:内装色・シート素材・刺繍パターンなど、豊富なバリエーションから組み合わせが可能なオーダーメイドシステム

ユニット部品事業

売上収益 1,243 億円
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2023年度の取り組み

人・技術を育て、多様化する次世代のクルマづくりに適用できる
技術・製品開発を推進する

FPT(フィルターパワートレーン)製品、電動製品ビジネスの拡販に向け、競争力強化と戦略立案を推進

FPT製品ビジネス

フィルター製品
エンジン周辺樹脂部品

  • 市場やお客さまニーズにマッチした良品廉価なフィルターの開発
  • 海外アフターマーケット市場で独自ブランドフィルターを販売開始
  • 2050年までの販売予測を基に、オイルフィルターの生産能力をグローバルで最適化
  • カーボンニュートラルへの貢献としてリサイクル樹脂の活用着手

電動製品ビジネス

モーターコア
燃料電池関連
リチウムイオン電池

  • 電磁鋼板の現調化、北米・アジアでのモーターコア現地生産に向けた戦略立案
  • FC(燃料電池)セパレーターの新モデルを生産開始
  • 自社開発した触媒を小型FC スタックへ適用検討着手
  • レース用ハイレート電池のモジュール化完了、評価開始

TOPICS

新規開発の「ハイドロジェンパワーシステム」を
JAPAN MOBILITY SHOW 2023で提案

自動車用燃料電池製品の技術とレース車用リチウムイオン電池の技術を組み合わせ、ハイドロジェンパワーシステムを開発しました。FCアシスト機能として、自転車や車いすなどの小型モビリティへの適用を検討しており、水素社会を推進する自治体との協業も開始しています。

2023年度 主な新製品のご紹介

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当社は製品を通じ、みなさまへ「快適・安全・安心」をご提供できるよう、日々の開発・生産に取り組んでいます。
2023年度、新たにご提供を開始した主な製品をご紹介いたします。

  • トヨタ新型アルファード/ヴェルファイアの快適な乗り心地と利便性の高いアレンジを実現した「シート」
  • トヨタ新型センチュリーのフルリクライニング可能な「リヤシート」
  • 従来品に対し、外形サイズを保ちながら流路を微細化し性能を向上させた「2.5世代燃料電池用セパレーター」
  • 0.3μmの粒子を95%以上除去するCN95規格に対応したろ材を内製し商品化した「CN95対応キャビンエアフィルター」

ご参考

世界中のお客さまに、最高のモビリティーライフを提供する2つの事業領域

トヨタ紡織グループは、「シート・内外装」「ユニット部品」の2つの事業領域で、モビリティーの中で人が過ごす、より豊かで上質な時間や空間を実現する、確かな品質と新たな価値を生む数々の製品をお届けしていきます。

対処すべき課題

当社は持続可能な成長を続けるために、以下の取り組みを推進してまいります。

①インテリアスペースクリエイターの実現に向けて、企画提案力と技術開発力の向上に取り組みます。

  • ・マーケティングおよび企画体制の整備による移動空間全体の企画提案推進
  • ・インテリアスペースクリエイター・マルチパスウェイ※1・新規事業創出への技術戦略の策定、推進
  • ・技術ロードマップ※2の明確化および開発リソーセスの確保
  • ・効率的な開発プロセスの再構築および確実な原価企画・収益確保

②サプライチェーン全体で、お客さまに信頼され・選ばれるための「ものづくり競争力」の確保を目指します。

  • ・2030ものづくり戦略※3の実現に向けた生産モデルラインを軸としたグローバル展開の基盤整備
  • ・労働力不足、カーボンニュートラルに対応した持続可能でつながる物流の実現
  • ・米州地域の持続可能な収益体質への改革
  • ・次世代骨格関連部品への不具合未然防止活動の推進

③世界中のさまざまなお客さまから選ばれるために、販売能力の引き上げを目指します。

  • ・ターゲット顧客、ターゲットプロジェクトの戦略的方向付け
  • ・顧客から選ばれるための提案力の強化と信頼の獲得
  • ・グローバル営業体制のさらなる充実

④上記①~③の実践を横断的に支える経営基盤の強化に取り組みます。

  • ・環境重点取組み(温暖化抑制・資源循環・自然共生)を通じた環境経営の実践
  • ・多様な人材が満足感・充実感をもって活躍することができる風土・組織づくり
  • ・2030年に向けた強固な収益・財務基盤の確立
  • ・CVC※4、アライアンス、新規事業の事業化を通じた社内イノベーションの促進・競争力強化
  • ・TQM※5の浸透による経営品質と業務品質の絶え間ない向上

当社は、インテリアスペースクリエイターとして快適な移動空間を実現し、製品、顧客の幅を広げながら社会課題の解決に貢献し、CSV経営※6を実践することにより経済的/社会的価値を向上し、「社会に必要とされ続ける企業」を目指してまいります。

なお、先日公表されたトヨタグループビジョン※7に則り、創業精神「世のため 人のため」という原点に立ち返り、信頼される企業に向けた努力を続けてまいります。

  • ※1 マルチパスウェイ:ハイブリッド車(HEV)から電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)に至るまで、多様なパワートレインの開発に焦点を当てた、トヨタ自動車株式会社の経営戦略
  • ※2 技術ロードマップ:快適・安全・安心な車室空間の実現に向け、技術を蓄積するとともに、将来必要となる技術や開発設備を計画的に獲得するために、必要となる技術アイテムと時期を明確化したもの
  • ※3 2030ものづくり戦略:開発から生産技術、製造まで、ものづくりを一気通貫でとらえ、 技術ロードマップと工法開発を紐づけ課題を明確にし、 解決のための取り組みを整理したもの
  • ※4 CVC(Corporate Venture Capitalの略):事業会社が自己資金でファンドを組成し、主に未上場の新興企業(ベンチャー企業)に出資や支援を行う活動・組織のこと
  • ※5 TQM(Total Quality Managementの略):総合的品質管理。柔軟で強靭な企業体質を保つため、基本理念の「全員参加」「お客さま第一」「絶え間ない改善」に基づき、「人」「組織」「プロセス」の能力を高め、業務品質向上を図る
  • ※6 CSV経営:Creating Shared Valueの略。本業の中で社会課題の解決に取り組み、経済的な価値と社会的な価値の両立を目指そうとする経営
  • ※7 トヨタグループビジョン:トヨタ自動車株式会社の豊田章男会長が2024年1月30日に発表した、トヨタグループ17社が進むべき方向を示した新たなビジョン

ご参考

2030年中期経営計画について

2030年の目指す姿

モビリティ環境の変化と当社の強みから2030年目指す姿及び財務・非財務の目標を定めました。

オペレーション各分野では競争力を高め、それを支えるサステナブルな経営基盤を強固にすることを経営戦略にし、目指す姿に向けて取り組みます。

  • ※1 DOE(Dividend On Equity Ratio):株主資本配当率
  • ※2 Scope3:原材料調達から製造、販売、消費、廃棄に至るまでの過程において排出される温室効果ガスの量(サプライチェーン排出量)を指し、Scope1(自社での直接排出量)、Scope2(自社での間接排出量)以外の部分
CSV経営の実践

本業を通じて社会課題を解決し、経済的価値と社会的価値の両輪を同時に高めていくCSV経営により、企業価値の向上を目指します。

2030年中期経営計画の詳細につきましては、当社ウェブサイトをご確認ください。

https://www.toyota-boshoku.com/jp/company/management/vision/

ご参考

インテリアスペースクリエイターに向けた取り組み

CASE※1やMaaS※2の進展が加速し、自動車に対するお客さまのニーズが大きく変化する中、当社は移動空間の新価値創造を主導する「インテリアスペースクリエイター」を目指しています。製品領域拡大のロードマップに沿い、既存の事業領域であるシートや内外装製品などのハードウェアに加え、制御、ソフトウェアといった、新たな能力を開発、拡充することにより、魅力ある製品の開発を進めてまいります。また、各種ロードマップアイテムを連携・融合させることにより、付加価値を拡大することで、インテリアスペースクリエイターの実現に向けた取り組みを加速していきます。

製品領域の拡大(ロードマップ)

これからの戦略

快適な移動空間の「企画提案力」と、それを実現するための「技術開発力」の進化
  • 移動空間企画力の
    向上
  • 技術開発戦略の
    策定・推進
  • 戦略実現のための
    技術ロードマップの推進
  • 確実なターゲットOEMへの
    提案とプロジェクト推進
  • プロジェクトの
    リーンな開発・供給

インテリアスペースクリエイターの実現に向け、2024年4月1日付で組織を改編し、シート事業本部と内外装事業本部を、新設した「移動空間企画/開発本部」へ統合しました。

取り組み事例① サーマルコンフォートシート

JAPAN MOBILITY SHOW 2023に出展。従来の空間全体を温める・冷やす考えから、ヒトを中心に直接温め・冷やすことにより効率的な温調効果を実現するとともに、車両全体での消費電力節約に貢献します。

取り組み事例② イルミネーション

車室内イルミネーションを、シート動作や空調、音響と連動制御させることにより、五感に働きかける先進的な照明システムを開発し、お客さまの様々な使用シーンに合わせた快適な空間を提供します。

  • ※1 CASE:Connected(コネクテッド)・Autonomous(自動運転)・Shared(シェアリング)・Electric(電動化)の頭文字をとった造語
  • ※2 MaaS(Mobility as a Serviceの略):マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティー(移動)を一つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ、新たな「移動」の概念
  • ※3 シルバーアント遮熱表皮:暑い場所に住む生物が太陽光を反射する体の構造を模倣して作成した表皮材

マルチパスウェイへの対応

マルチパスウェイへの対応として、内燃機関・ハイブリッド車・電気自動車・燃料電池車といった多様化する次世代のクルマづくりに追従する技術・製品開発を推進してまいります。

フィルター、エンジン周辺樹脂部品の拡販に加え、当社のコア技術である精密プレス技術を生かしたモーターコアや燃料電池セパレーター、リチウムイオン電池等の電動製品ビジネスの拡大を進めます。

これからの戦略

既存事業で培ったコア技術をベースに、現有事業領域での拡販および新規事業領域への拡張を進める
  • コア技術と社会動向に
    マッチした開発の推進
  • 協業も含めた
    周辺技術の開発と実装
  • 電動化製品の将来技術を
    手の内化
取り組み事例① モーターコア事業の戦略

カーボンニュートラルに貢献する新技術を確立・採用し、競争力ある製品を実現しました。さらに電磁鋼板を含めた地産・地消を実現し、生産拠点を日本から北米・アジアに拡大することでグローバルでの電動化シフトに対応し、拡販・売上拡大を行ってまいります。

環境に配慮した新技術・新工法の採用

取り組み事例② 燃料電池車用製品

第2世代の燃料電池車および、第2.5世代の外販用燃料電池モジュールにセパレーターやイオン交換器を供給しております。
燃料電池システムの外販や商用車への展開に呼応し、水素社会の実装に貢献するとともに売上拡大を行ってまいります。

ご参考

当社の人材戦略とその取り組み

当社は、社員のWell-being※1を実現することで、既存事業の拡大や新事業の創出といった事業戦略の実現を目指すと共に、世界中で「好きだな、トヨタ紡織」と言っていただける風土へと改革を進めています。

当社の人材戦略とその取り組みをよりご理解いただくため、2024年2月に「人的資本レポート2023」をウェブサイトに公開しました。是非、ご参照ください。

https://www.toyota-boshoku.com/_assets/dl/company/library/human_capital_2023.pdf

取り組み事例① 風通しの良い職場風土の醸成

トップ、上司部下間のコミュニケーションを活性化させ、聴ける・言える関係性を構築することで、風通しの良い職場風土の醸成に取り組んでいます。「社内教育」「トップメッセージの発信」「社員の声の認識」「あいさつ・感謝が自然とできる職場づくり」といった取り組みを様々な施策を通じて全社に浸透させることで、全員が主体性を持ったいきいきとした会社になるよう努めています。

白柳社長の職場訪問懇談会
取り組み事例② ENRG(エナジー)活動

多様なバックグラウンド・価値観を持つ人材が、互いの違いを尊重し生かすことで、新たな価値を創造できる組織を目指し、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の浸透を進めています。

2022年に開始したENRG(Employee Network Resource Group)活動では、これまでに女性、若手、障がい者、海外籍社員、シニアなど属性別のグループで課題解決に取り組み、経営層への提言を行うとともに、D&I Weekなどのイベントを通じ、社内の理解促進活動に取り組んでいます。

D&I Week「育児休職取得者体験談」
  • ※1 Well-being:個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること
取り組み事例③ 健康経営

1.心身のWell-being

Well-beingには、心身ともに健康であることが不可欠であり、CEOを最高責任者とした健康経営推進体制のもと、健康経営戦略マップを作成し、心身ともに健康でいきいきと働くことができる会社づくりを進めています。

その取り組みが認められ、2023年度「健康経営優良法人2024 ホワイト500」の認定を受けました。(3年連続)

2.心身ともに健康でいきいきと生活するための諸施策

下記の施策の参加率を増やすことで、社員の健康リテラシー※2向上を進め、心身の健康に繋げています。

  • ※2 健康リテラシー:自分に合った健康情報を理解し、評価した上で活用する力
  • ※3 ラインケア支援:管理監督者が主体となって取り組むメンタルヘルス対策の支援

剰余金の配当等の決定に関する方針

利益配分につきましては、当社は、株主のみなさまの利益確保を重要な経営課題のひとつとし、長期安定的な配当の継続を基本に、連結業績および配当性向などを総合的に勘案し、株主のみなさまのご期待にお応えしていくことを基本方針としております。

当社は、「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる。」旨定款に定めております。

2024年3月期の連結の業績などを総合的に検討した結果、1株当たり期末配当金を43円とし、中間配当金とあわせた年間配当金を1株当たり86円とすることといたしました。

連結計算書類