事業報告(2022年1月1日から2022年12月31日まで)

企業集団の現況

当事業年度の事業の状況

① 事業の経過及び成果

当連結会計年度の我が国経済は、年初の新型コロナウイルス感染症第6波により消費は冷え込みましたが、3月22日のまん延防止等重点措置解除以降、少しずつ回復の兆しが見えてきました。しかし、新型コロナウイルス感染症第7波及び第8波により感染者数が増加し、消費者が自主的な外出を控えたことなどによる景気回復の遅れに加え、想定以上の円安の進行、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による地政学上のリスクなどの影響で原材料費・物流費・光熱費の高騰が顕著となり、厳しい経営環境が続いております。

このような状況下において、当連結会計年度の当社グループは、まん延防止等重点措置適用期間が当初想定より長引いたことや、想定外に発生した新型コロナウイルス感染症第7波、第8波とそれらの長期化により、売上が計画を下回りました。まん延防止等重点措置延長による時短協力金の追加計上が一定の利益押し上げ要因となりましたが、原材料価格や光熱費、物流費の高騰、店舗減損損失及び給与計算に関する臨時損失計上により当連結会計年度は営業損失となりました。

当連結会計年度において、当社グループでは以下の施策に取り組んでまいりました。

外食の機会が減少しても、お客様がわざわざ足を運びたくなるような魅力的なメニューを意識し、各ブランドの特性に合わせたメニューラインナップの強化に取り組みました。お客様が求めているものをいち早くキャッチして提供するとともに、健康感、プレミアム感、ニュース性を意識したメニュー開発を各ブランドで実施しております。

ガストは30周年を迎え、集大成としてコアメニューであるハンバーグをよりおいしくリニューアルしました。また、わざわざ足を運びたくなるようなメニューとして、11月にはミシュラン1つ星レストランのシェフと共同開発した4品コース料理をご提供し、東京に行かなくてもミシュランシェフの味が体験できる、とお客様から大きな反響をいただきました。さらに、健康を気にされるお客様のニーズにも対応し、「ガパオライスプレート」や「彩り野菜の黒酢から揚げ膳」など、野菜をたくさん使った商品を開発し、ご好評いただいております。

バーミヤンではお客様に「また来たい」と思っていただけるよう、チャーハンやラーメンなどの定番商品も調理工程を見直し、より熱々でおいしい状態でご提供できるようにしました。また、日本人が食べやすい本格台湾中華を手頃な価格でご提供するブランドになるべく、その第一弾として12月のフェアでは本格台湾料理をご提供し、お客様にお楽しみいただいております。

夢庵では、そば及びつゆを美味しくリニューアルしました。カジュアル和食としてのニーズ、また、「そば・うどん」ニーズなど、様々な場面で選んでいただける日常使いブランドとして今後も商品ラインナップを強化してまいります。

ステーキガストでは毎月29日に恒例の「肉(29)の日」商品ラインナップに6月から「サーロイン・みすじ食べ放題」コースを追加したことで新たな顧客ニーズを掘り起こすことに成功し、9月と11月には肉の日コースとして過去最高の販売数を記録しました。

また、店舗QSC(クオリティ・サービス・クレンリネス)の徹底的な磨き込みに取り組みました。当社グループの今後の成長には、1店1店のQSC(クオリティ・サービス・クレンリネス)を格段に向上させ、お客様の信頼と支持をいただくことが不可欠です。一人でも多くのお客様にまた来店したいと思っていただくことが最も重要であると考えています。

QSC向上委員会では引き続き、担当執行役員も含めたメンバーで日々お客様相談室に寄せられる声に真摯に向き合うとともに、いただいたご意見への対応を検討・実行し、お客様の満足度向上に向けて全社一丸となり、取り組んでおります。また、メニュー改定の頻度を減らし、店舗従業員の習熟度を上げることで質の高い商品の安定的な提供に取り組むとともに、マニュアルの整備や動画を活用したトレーニングの強化など、QSC改善活動を継続して進めています。

すかいらーくレストランツでは、覆面調査員による調査を四半期に1回実施しており、各店舗でのお客様対応の更なる向上に活かしております。実際にお客様からいただくお褒めの言葉は増えており、2022年10月から12月までの月当たり平均件数は、1月から3月までと比較して約10%増加しました。

さらに、DX投資を強力に推進いたしました。フロアサービスロボットは計画通り、ガスト、しゃぶ葉、バーミヤン、ジョナサンを中心に、12月末には2,092店舗に3,000台の導入が完了しました。

シニアの方にも使い勝手の良い仕様に変更した新しいデジタルメニューブック(テーブルオーダー端末)は、ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン、夢庵、ステーキガストへの導入が完了しました。幅広い層のお客様にストレスなくご利用いただきやすくなっています。

また、全店のPOSレジ刷新と、一部店舗へのキャッシュレスセルフレジの導入も完了しました。POSレジ刷新は2,857店(フロプレステージュや海外店舗など一部対象外店舗あり)で、キャッシュレスセルフレジは導入予定の771店で導入が完了しました。

以上の施策に加えて重点的に行った取り組みは次のとおりです。

QSC向上と従業員の習熟度の向上に注力するため、ガストやバーミヤンなど主力ブランドでは、年初よりプロモーションを大幅に抑制しておりました。しかし5月末からリモデル店舗の販促を含めたプロモーションを再開し、お客様のご来店を積極的に促しております。外食から遠ざかっていたお客様を呼び戻すきっかけ作りのため、5月26日から6週間にわたり、ブランド横断で特定の商品をお得に購入できる目玉クーポンを配信しました。6月16日から30日まで、ガスト、バーミヤン、夢庵、ステーキガスト、グラッチェガーデンズでは計19種類のキッズメニューを99円でご提供する大型キャンペーンを実施し、新型コロナウイルスへの感染を懸念して出控え傾向が顕著であったヤングファミリー層や、価格感応度が高い地方で効果が高かったと分析しております。キャンペーン終了後も一定の客数効果は見られたものの、新型コロナウイルス感染症第7波の発生によりその後のプロモーションは抑制いたしました。8月にはバーミヤンの日(8月3日)記念で餃子83円クーポンをアプリで配信し、期間中の客数増が見られました。年内2回目の値上げによるマイナス効果を和らげるため、ガストでは10月の値上げ実施にあわせて全品10%割引キャンペーンを2週間限定で実施し、客数減を最小限にすることに成功しました。11月下旬にガストで開始したミシュラン1つ星シェフ共同開発のコース料理は、高単価にもかかわらず安定して高い売上数を記録しました。12月上旬には同コース料理のTVCMを放映し、全国のお客様に広く認知いただけるようにしたほか、下旬には低単価層に向けてアプリクーポン利用で人気商品3品が399円になるキャンペーンを実施し、多様な客層からの集客に貢献しました。

次に、店舗開発の取り組みとしては、当連結会計年度の新規出店は11店舗、業態転換17店舗となりました。新規出店11店舗のうち、海外への出店が5店舗を占めており、台湾でしゃぶ葉2店舗、藍屋と橫濱牛排(ステーキ)各1店舗、マレーシアでは3店舗目のしゃぶ葉をオープンいたしました。

また、リモデル(店舗改装)・リフレッシュ(店舗機能回復工事)も積極的に行っており、当連結会計年度では248店舗のリモデル(リフレッシュ含む)を実施しました。

また、当連結会計年度を通して原価低減及び経費抑制に努めております。原価低減の打ち手として、メニュー改定による食材の見直しや総食材数絞り込み、商品や食材のモジュール化や社内製造拡大による原価低減、配送ルート及び頻度の見直しによる物流費の低減などの対策を強化しております。経費抑制では省エネ機器による水道光熱費の低減やDX推進による店舗生産性の向上、本部経費の削減などを実施しており、その削減額の一部を店舗環境向上のための支出に充てています。また、夜間の街中の人流減少の状況を鑑み、9月からは一部店舗で閉店時間を最大1時間繰り上げることで人件費や光熱費を削減し、利益の確保に努めています。一方、リオープンにより人流が回復している立地の店舗については今後、収益性分析を実施の上、再度営業時間を延長する計画です。

さらに、当連結会計年度では7月と10月に主要ブランドでの値上げを実施しました(ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン、ステーキガスト)。ガストとバーミヤンでは値上げに加え、7月には全国を2つの地域に分け(ガストでは「都市型」と「その他地域」、バーミヤンでは「関東圏」と「その他地域」)、異なる価格でご提供する地域別価格制度を導入しました。ガストでは10月にさらに1区分増やした3地域制に変更した地域別価格制度を導入し(「超都心」「都市部」「地方都市」)、地方都市の値上げ幅を抑えつつ、超都心地域ではコスト上昇分に応じた価格設定をさせていただき、客数減を最小限にするとともに利益の確保に努めております。計2回の値上げと地域別価格の導入の結果、客単価が上昇したとともに、P/L構造が改善しつつあります。今後も売上・利益の確保に向けて適切な価格戦略を実行してまいります。

上記のような取り組みを行っておりましたが、当連結会計年度において店舗固定資産に係る減損損失を55億円計上いたしました。これは主に新型コロナウイルス感染拡大影響の長期化により売上が減少している、または回復が遅れている店舗を幅広く抽出し、約100店舗が閉店の見通しとなったこと、ならびに本部費計上後営業赤字店舗の減損損失が増加したことによるものです。

加えて、5月13日に公表の通り、従業員の給与計算を1分単位での勤務管理方式に変更いたしました。時間勤務であるアルバイトと正社員を対象とし、当連結会計年度において20億円の臨時損失を計上しております。

以上の結果、当連結会計年度の売上収益は3,037億5百万円(前年同期比391億36百万円増)、営業損失は55億75百万円(前年同期営業利益182億13百万円)、税引前損失は82億25百万円(前年同期税引前利益143億25百万円)、親会社の所有者に帰属する当期損失は63億71百万円(前年同期親会社の所有者に帰属する当期利益87億42百万円)となりました。

EBITDA(注1)は419億74百万円(前年同期比237億32百万円減)、調整後EBITDA(注2)は490億58百万円(前年同期比232億74百万円減)、調整後当期損失(注3)は63億71百万円(前年同期調整後当期利益88億90百万円)となりました。当連結会計年度末時点での店舗数は3,056店舗(転換準備の為の未開店店舗2店舗。期首時点は3,098店舗)となりました。

  • (注1) EBITDA=税引前利益(損失)+支払利息+期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益+その他の金融関連費用(期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益を除く)-受取利息-その他の金融関連収益+減価償却費及び償却費+長期前払費用償却費+長期前払費用(保証金)償却費
    ・その他の金融関連費用は、連結純損益計算書上はその他の費用として記載しています。
    ・その他の金融関連収益は、連結純損益計算書上はその他の収益として記載しています。
  • (注2) 調整後EBITDA=EBITDA+固定資産除却損+非金融資産の減損損失-非金融資産の減損損失の戻入れ+株式発行関連費用等
  • (注3) 調整後当期利益(損失)=当期利益(損失)+株式発行関連費用等+期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益+IFRS第9号「金融商品」(2014)適用に伴う金融負債の条件変更に係る関連損益(会計方針変更による遡及適用に伴う影響額の再調整含む)+調整項目の税効果調整
  • (注4) 株式発行関連費用等とは、当社の株式発行並びに株式の上場及び売出し時に発生したアドバイザリー報酬額等の一時的な費用であります。
② 設備投資の状況

当連結会計年度の設備投資は総額157億88百万円であります(使用権資産の取得を除く)。

その主なものは、新規出店(11店)とブランド転換工事(17店)、リモデル(248店)を含む店舗設備、DX推進のためのPOSレジの刷新などのITデジタル投資等であります。

所要資金については自己資金及び2021年6月の公募増資により調達した資金の一部を充当いたしました。

③ 資金調達の状況

当社は当連結会計年度に運転資金の確保を目的として2021年2月12日付で締結したコミットメントライン契約に基づき20億円の借入を実施しております。

財産及び損益の状況

① 企業集団の財産及び損益の状況
  • (注1) 第4期より、会社計算規則第120条第1項の規定により国際会計基準に基づいて連結計算書類を作成しております。
  • (注2) 基本的1株当たり当期利益(△損失)は、期中平均発行済株式数により、また、1株当たり親会社所有者帰属持分は期末発行済株式数により算出しております。
  • (注3) 第8期より、国際財務報告基準(以下、「IFRS」という)第9号「金融商品」(2014) を適用しております。
  • (注4) 第9期より、IFRS第16号「リース」を適用しております。
② 当社の財産及び損益の状況
  • (注) 1株当たり当期純利益(△損失)は期中平均発行済株式数により、また、1株当たり純資産額は期末発行済株式数により算出しております。

重要な親会社及び子会社の状況

① 親会社の状況

該当事項はありません。

② 重要な子会社の状況
  • (注) 当社の当連結会計年度の連結子会社は、上記の重要な子会社4社を含む計9社であります。

対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染者数拡大に伴うまん延防止等重点措置の解除以降、少しずつ回復の兆しが見えてきました。コロナ禍で顕著になった、外食の際のより厳しい商品や店舗の選定、家では体験できないモノ・コト・空間への需要、テイクアウトや宅配など外食以外の選択肢の利活用は定着してきています。しかしながら、足元では物価高騰で生活防衛意識が高まったことにより消費マインドが低下しているとともに、想定以上の円安の進行、ロシア・ウクライナ情勢の長期化を背景とした地政学上のリスクなどの影響による原材料費・物流費・光熱費の高騰などのコストプッシュが継続することが予想され、事業環境が悪化する中、今後外食市場が淘汰の時代に入っていくことが考えられます。

当社グループが描くポストコロナのロードマップでは、下記に記載の3段階のフェーズで更なる成長を目指しております。全てのフェーズに於いて基軸となるのは、1.デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進 2.人財育成、オペレーション改革 3.ESGの推進 の3軸です。

第1フェーズ(2021年~2022年)

 コロナ禍により急変した事業環境に迅速に適応しました。不採算店舗の閉店や、コスト削減を実施したことでキャッシュアウトを抑制し、DXを活用して生産性向上に繋げました。また、デリバリーやテイクアウトなど店内飲食以外の事業を拡大し、価格戦略を通じて売上を確保しました。

第2フェーズ(2023年~2025年)

 消費者のライフスタイルの変化や原材料費、エネルギーコスト、人件費の高騰などポストコロナの課題に対応しながらビジネスを拡大いたします。既存店の収益改善プロジェクトやDXの推進および進化による全社生産性の向上、徹底したコスト削減と原価低減により、既存店の収益構造を改革します。顧客支持の拡大と売上成長を目的として、メニュー開発やプロモーションを戦略的に実施します。同時に、時代に即したストアポートフォリオを再構築するために新規出店や業態転換を進めるとともに、新業態も開発します。また、次世代ビジネスモデルである外販・通販事業の拡大を図るとともに海外事業の本格的な多店舗展開を準備します。

第3フェーズ(2025年~)

 M&Aによる事業規模拡大、第1・第2フェーズで着手・実行した事業の収益拡大をさらに推進するなど、外食に加え、内食の事業領域においても業界シェア拡大を目指します。

約3年間に及ぶコロナ禍を経て、お客様の選択眼はより厳しいものとなりました。足元では円安の進行や地政学上のリスクなどの影響による原材料費、物流費、光熱費の高騰などコストプッシュの事業環境の継続が懸念されます。この厳しい事業環境の先にある淘汰の時代を乗り越えていくには、堅牢な経営基盤を作り上げることが不可欠です。第2フェーズでは、この事業環境に迅速に対応するために、「既存店の品質向上」による売上成長の達成を最優先とすべきと考えており、既存店の顧客支持獲得をテーマにお客様に支持して頂ける店舗づくりを進め、既存店の客数増による売上成長を目指します。

①当社グループの成長戦略

 客数増による売上と収益の拡大を達成するため、次の3つを当社グループの成長戦略として実行してまいります。
(i) 徹底的なQSC(品質・サービス・クレンリネス)の向上、(ii) 商品のブラッシュアップ・プロモーションの進化、(iii) 全社・全業態でのDX推進、です。

 (i) 徹底的なQSC(品質・サービス・クレンリネス)の向上

  お客様に居心地の良い空間を提供し、おいしいお料理を味わって頂き、また来店したいと思って頂くため、QSC向上を徹底いたします。従業員のオペレーション負荷軽減によりお客様へのサービスに注力することで、お客様の満足度をより向上させます。具体的には、フロアサービスロボットやデジタルメニューブックにより従業員の作業量を削減し、その時間を店舗の清掃やより良いサービスへ充てる、メニュー改定頻度を適正化することにより調理技術の習熟を目指す、デジタルツールを活用したトレーニングで効果を最大化する、などです。
また、お客様にとって居心地の良い店舗環境の整備を進めます。次期も必要なリモデルとリフレッシュ工事を実施することにより、綺麗で居心地の良い店舗の整備を進めます。さらに従業員のトレーニングを強化し、お客様に気持ちの良い時間を過ごしていただけるよう、品質の高いサービス提供に努めてまいります。

 (ii) 商品のブラッシュアップ・プロモーションの進化

  お客様が外食をする際、せっかく外食するのならば、家では作れないプロの味を求める傾向が益々強くなっています。当社では継続的にコア商品の品質向上に努めるとともに、著名なシェフや有名店、料理研究家の先生とのコラボ商品など、わざわざ食べに行く価値のある商品の提供を目指しております。「ガスト」や「バーミヤン」などファミリーレストランブランドについては、多様な目的やオケージョンでご利用いただけるよう、小ポーションの商品を拡充し、サイドメニューやデザートメニューも、追加でご注文をしやすい価格帯の商品を引き続き強化してまいります。「しゃぶ葉」、「むさしの森珈琲」、「La Ohana」などの専門店ブランドについては、より専門性の高いメニューをご提案し、「健康感」、「ご当地感」など付加価値の高いメニューを提供してまいります。
プロモーションについては、デジタルとアナログ双方のツールを活用し、再来店頻度の向上に加え、これまでご来店頂けていなかったお客様の来店を促すなど、全方位的なマーケティングを推進します。
約2,020万人が利用するすかいらーくアプリを活用したクーポン配布による販促は、再来店されるお客様を多く獲得することができ、お客様のロイヤリティを高める効果も得ることができています。また、シニア層の来店頻度向上を目的とした「プラチナパスポート」の利用者数は既に170万人を超えており、大変好評となっております。今後は、実績のある施策の継続的な実施に加え、すかいらーくアプリ会員数増を目指した取組みを強化し、お客様の更なる来店頻度向上を目指してまいります。
お子様向けのキャンペーン、小皿などのプレゼントキャンペーン、店舗リモデルにより居住性が向上した旨のお知らせの配布など、再来店を促すプロモーションも強化します。
さらに、当社の商品・サービスを認知していただき、来店の選択肢に入れていただくための施策として、テレビCMを今後も実施するとともに、デジタル広告やソーシャルメディアマーケティングを強化します。特に若年層にアピールするためにはペイド及びアーンドメディアを活用し、お値打ち感やボリューム感、ニュース性などを訴求してまいります。

 (iii) 全社・全業態でのDX推進

  「お客様の利便性向上」と「従業員の生産性向上」に資するITデジタル投資について、必要なものは引き続き実行します。店舗オペレーションやバックオフィス業務の効率化を図り、従業員の作業負荷を低減するとともに、店舗及び本部の生産性を改善し、全社の業務生産性を飛躍的に向上させ、将来的な人件費増加に対する耐性をさらに強化いたします。結果として当社の高収益体制を確実なものにいたします。
シニアの方にも使い勝手の良い仕様に変更した新しいデジタルメニューブック(テーブルオーダー端末)は、ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン、夢庵、ステーキガストへの導入が完了しています。ご年配のお客様が多い和食業態においても従来型のメニューと併用することでお客様の利便性向上と店舗作業の生産性向上が実現できています。フロアサービスロボットは2022年末で「ガスト」「しゃぶ葉」「バーミヤン」「ジョナサン」「ステーキガスト」など2,092店舗に3,000台を導入済みです。お客様をお待たせしないサービスと、より品質の高いサービスの提供により顧客満足度を向上するとともに、従業員の作業負荷を軽減することができています。従業員が継続的に働くモチベーションにもつながり、サービスの習熟度の向上が促進され、さらに良いサービスを提供するという好循環を生み出すことが期待されます。また、2022年末には対象店舗全2,857店のPOSレジの刷新が完了し(フロプレステージュや海外店舗など一部対象外店舗あり)、キャッシュレスセルフレジも771店舗に導入済みで、従業員に負荷が高かった会計作業が軽減されています。
今後はデジタルメニューブックを介した客席でのテーブルセルフ決済機能も搭載予定で、お客様の利便性と従業員生産性の更なる向上が期待されます。同時に、従業員のデジタルデバイス利活用を促進し、コミュニケーションの円滑化と生産性のさらなる向上に努めます。

②継続的なコスト削減による高収益体制の確立

 コロナ禍で売上の伸びの見通しが不透明になるなか、自助努力としてのコスト削減、原価低減を継続的に行い、高収益体制の確立に努めています。メニュー改定頻度の見直しなどメニュー改革を進め、店舗人件費、広告宣伝費、本部経費などコスト削減を実行しております。また、工場の生産工程の見直し、配送頻度の低減、内製品の拡大、食材のブランド間での共通化等により食材総数の削減を進め、工場の生産性向上と原価低減に取り組みます。

③ESGへの取り組み

 当社グループの事業活動は「持続可能な開発目標(SDGs)」と深い関わりがあることを認識しています。国連が定めるグローバル目標に則した施策の実行など、持続可能な社会の実現に向けて当社が果たすべき責務をグループ横断で推進する体制を強化するため、2020年12月に「グループサステナビリティ委員会」を設置しました。
2021年には当社グループのパーパス(存在意義)を「食の未来を創造し、豊かな生活と社会の発展に貢献する」、2030年長期ビジョンを「一人ひとりの豊かな生活の実現、豊かな社会づくりへの貢献、環境への配慮」と定めたほか、当社が優先的に取組むべき課題であるマテリアリティについても、「食」を通じた持続的な社会と企業価値の向上の実現とのサステナビリティ方針に基づき、当社グループにとっての重要度とステークホルダーにとっての重要度の両面からの分析を行い、マテリアリティとして特定し、一覧及びマテリアリティ・マトリクスとしてホームページに開示しております。
https://corp.skylark.co.jp/sustainability/management/materiality/

 当社グループのESGへの取り組みは、調達・生産から店舗運営まで、当社の商品・サービス・企業活動を通じた地球環境保全と持続可能な社会の発展に貢献し、当社グループの成長を同時に実現するものです。
・宅配・テイクアウトの包装容器やカトラリー、レジ袋などの使い捨てプラスチック製品について、バイオマス素材や紙原料、木製などへの切り替えを進め、石油由来プラスチック使用量の削減を推進しています。2023年1月からはレジ袋の有料化を通じて使用量全体の抑制を推進しております。
・CO2削減の取り組みとして、節電活動や省エネ化、物流の最適化等を進めるとともに、今後代替エネルギーや再生エネルギーへの移行のために準備研究を進め、脱炭素に向けての取り組みを加速させていきます。当社グループでは『2050年までにCO2排出量を実質ゼロにする』ことを目標に設定しました。同時に、短期目標として売上1百万円に対するCO2排出量の年平均1%以上の改善、中期目標として2030年までに2018年比50%削減を目標に設定しております。
・当社グループは事業を通じて社会的責任を果たすべく、購買管理規程を設け、法令を遵守することはもとより、安全で高品質な食材購買の推進、社会的課題への対応を取り組んでいます。サプライヤーの選定においては、財務的な信頼性、品質の安定性のみならず、サプライヤーの従業員管理(労働安全衛生確保等)、人権配慮(児童労働、 強制労働、差別、結社の自由、団体交渉、長時間労働等)、環境への配慮(エネルギー、気候変動、水資源、生物多様性、その他環境問題、食品ロス、 資源利用等)、その他の反社会的行為の状況について確認し、社会的責任を果たしているサプライヤーから優先して選定しています。問題のある場合は取引を開始しない、という厳格なポリシーを実行することで責任ある調達に努めています。また、サプライヤースタッフに対して、当社環境方針に関する情報提供や当社とのコミュニケーション、トレーニング等への理解と協力を求め、共に企業活動と社会・環境の共存共栄を目指します。
・厳しい調達基準に基づき、環境・社会・人権への配慮、生物多様性につながる持続可能な原材料調達に努めています。紙製品におけるFSC/PEFC認証取得製品を積極的に採用(紙ストローや木製カトラリー、コピー用紙等)している他、主要業態のガストをはじめ複数業態で提供しているコーヒーは、レインフォレスト・アライアンス認証豆30%配合を使用しています。さらにフライ用オイルはRSPO認証を取得したパーム油導入に向けサプライヤーと協議しています。今後は国産野菜・米におけるJGAP認証またはそれに準じる農場管理基準を持つ産地比率を増やす新規産地開発を行っていく方針です。また、2022年6月に一部カテゴリにおいて、持続可能な調達の国際規格ISO20400認証を取得しました。
・お客様に安心してお食事を楽しんで頂けるよう、塩分値やカロリー、アレルギー物質の表示、主要食材原産地情報の開示などに取り組んでいます。また、アレルギー反応の重篤性を鑑み、メニューからも、指定アレルゲンからもアレルギー物質情報を検索いただけるアレルギー情報サイトをご提供しております。
・「食」を扱う企業として、食品ロス問題への対応も重要な責務です。当社は全国10か所の工場で必要な分だけ生産し発注された分だけをほぼ毎日店舗に配送する仕組みを導入したり、工場の食品廃棄物をおよそ90%リサイクルしたりするなど、食材廃棄の低減に努めています。
・店舗では、ご飯の量を選択可能にし、単品メニューをご提供するなど、お客様に残さず召し上がっていただける工夫をしています。また、2020年9月から、持ち帰り専用容器「すかいらーくもったいないパック」®を導入し、店内のデジタルメニューブックやホームページで食べきれなかった料理のお持ち帰りを推奨するなど、食品ロス削減への取り組みを強化しています。
・ダイバーシティを推進し、すべての従業員にとって働きがいのある職場環境を整備します。
・健康経営宣言のとおり、社員の健康診断受診100%、禁煙運動の継続実施、BMIコントロール対策を中心に健康経営の推進を行なっております。

※当社のESGに関する各種取り組みは、ホームページに開示しています。
https://corp.skylark.co.jp/sustainability/

※健康経営については、以下のサイトに開示しています。
https://corp.skylark.co.jp/sustainability/basic_policy/health/

④食の安全・安心に向けた取り組み

 すかいらーくグループで提供する食材は、調達から加工・流通・調理・提供に至るすべての工程で予見されるさまざまなリスクに対して、品質・衛生管理に関する基準を設け、徹底した管理を行うことを基本方針とすることを「品質憲章」に定めています。
国内の自社セントラルキッチン(10工場)、購買部門、メニュー開発部門、品質管理部門、内部監査部門を対象に、国際的な食品安全マネジメント規格であるISO22000の認証を取得し、店舗ではHACCPの考え方を取り入れた衛生管理手法を取り入れることで、サプライチェーン全体の食品安全管理体制を構築しています。

連結計算書類