株主の皆様へ

創業420周年を迎えて

 綿半グループは初代・綿屋仁兵衛が綿商いを始めて、今年で420周年を迎えました。長野県を地盤とし、地元の人たちの生活を支えるために必要なものを、時代の変化に応じて提供していくなかで、祖業の綿問屋から、今ではスーパーセンター事業、建設事業、貿易事業を擁する企業グループへと変化してきました。しかし、時代が変化し続ける限り、私たちの商売も常に変化していきます。今の形に囚われることなく、時代が求めるモノ・サービスの提供者として、これからも地域の暮らしを豊かなものにしていく所存です。

「綿半グループ420年史」を発刊

中期経営計画を1年前倒しで達成

 2018年3月期の売上高は、前期比10.3%増の1,023億円、経常利益で前期比25.4%増の25億円となりました。2016年5月に発表した、2019年3月期を最終年度とする中期経営計画の目標値である売上高1,000億円、経常利益22億円を、1年前倒しで達成したことになります。
 スーパーセンター事業では、2017年1月に設立したグループ共同仕入会社、綿半パートナーズが同年8月から本格稼働し、仕入原価の低減、並びに物流合理化によってコスト削減効果が高まりました。今後、さらに物流コストを下げるため、新たに物流センターを立ち上げる予定です。それと同時に、インターネット通販にはないリアル店舗の強みとして、生鮮食品やペット、ガーデニング用品の品揃えを強化するとともに、各店舗ごとにインターネットを通じて、お客様に生の商品情報をお届けしています。
 また、お客様がゆったりお買物をしながら会話も楽しめる空間として、「cotton1598コミュニティスペース」を設置しました。今はカフェ・ホットスナック販売がメインですが、いずれは食事を提供できる空間にしたいと考えています。
 建設事業は期初の立ち上がりがやや低迷しましたが、第3四半期から大型物件の工事が順調に進み、第4四半期に入って大きく取り戻すことができました。今後は自社製品を製造・販売するとともに、鉄骨加工に関しては工場の自動化を進め、生産性の向上を図ってまいります。
 貿易事業も前半はやや苦しみましたが、後半に入ってから円高が進んだことで業績のプラス効果が高まり、通年ではプラスを維持できました。同事業では医薬品原料の製造、輸入販売の他、天然由来成分100%のスキンケアオイルやワックスなど、自然原料を使用した商品の開発を行っています。
 このように貿易事業は単に輸入販売を行うだけでなく、製造部門を保有していることで高い利益率を維持しています。スーパーセンター事業、建設事業もここ数年、売上よりも収益を重視してきた結果、グループ全体として、利益率が改善しつつあり、長期的には経常利益率5%を目指しています。

中長期的な成長に向けて

 中長期的な成長を実現するうえで大事なのは、やはり人財育成です。他の会社にはなかなか見られないほど、さまざまな教育プログラムを用意しています。
 たとえばこの10年くらい取り組んでいるものとしては、次世代経営者の育成研修です。毎年約20人を選抜し、経営に関する勉強会を定期的に開催しています。また、グローバルプロジェクトと称して、世界で活躍する人財を育成するため、多様な価値観を理解するためのディベート講座やフィリピンでの語学研修など、様々な取り組みを行っています。
 こうした教育プログラムの狙いは、グループの活性化にあります。長いことひとつの事業に関わっていると、モノの見方が一方向になりがちですが、こうした研修を通じて、他の事業の人たちと交わることによって、お互いに触発され、多様なモノの見方ができるようになり、組織の活性化を促します。それによって、時代の変化に応じた新しい業態が生まれる可能性も高まります。
 さらなるIT化も進めています。すでに6年前から社員にスマートフォンやタブレットを支給し、フレックスタイム制、在宅勤務などが可能な環境を整備しています。これによって生産性を向上させると同時に、社員一人一人がIT環境に触れることで、自分たちの仕事のやり方を工夫してもらい、最終的には既存事業の新たな付加価値の追求につなげていきます。
 長い目で会社の持続性を考えた時、大事なのは不況でも安定した事業を維持できることです。そのためには、グループ各社が横連携をし、同じベクトルで進んでいく必要があります。そのためのブランドづくりも大事で、現在ブランディングの再構築を進めています。今までは個社の独自性を尊重し、各社それぞれのロゴを使用してきましたが、420周年の節目として一度原点に立ち返り、創業以前から存在する「力を合わせて一つになる」という意味を持つ「合」マークに各社ロゴの統一を進めています。
 グループのミッションとしては、生鮮食品・ガーデニング用品の取り扱いを拡大しているスーパーセンター事業、建物とガーデンをトータル提案する建設事業、そして天然植物のオイルなどを輸入・製造している貿易事業ということで、「Green Life」を主軸に、グループの統一感を打ち出しています。

株主還元について

 上場後、配当については毎年、増配を続けてきました。また2018年3月期に関しては、創業420周年の記念配当も含めて32円の配当を予定しています。今後も、業績を勘案しながら安定的に配当を続けていく所存です。
 私たちはグループを挙げて、景気変動に左右されず、安定的に成長することを経営方針として掲げています。また、安定配当を続けることによって、株主の皆様がいつまでも安心して株式を保有し続けられる会社でありたいと考えています。
 そのためには、単に売上を追い求めるのではなく、筋肉質な体制を整備し、収益力に重きを置いた経営を行い、着実に成長し続けてまいります。