事業報告(2021年1月1日から2021年12月31日まで)

当社は、2020年12月24日開催の臨時株主総会で、「定款一部変更の件」が承認されたことを受けて、前連結会計年度より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。また、国内子会社の決算期も3月31日から12月31日に変更いたしました。これに伴い、当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)と、比較対象となる前連結会計年度(2020年4月1日から2020年12月31日まで)の期間が異なるため、当連結会計年度の経営成績に関する前期比較の記載は省略しております。

なお、当連結会計年度より金額の表示単位を千円単位から百万円単位に変更しております。

企業集団の現況

(1)当連結会計年度の事業の状況

事業の経過及び成果

当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が、長期間にわたって継続されたことにより、依然として厳しい状況でありましたが、新型コロナウイルスワクチンの普及により個人消費や企業収益、経済活動などに持ち直しの動きもあり、一部に明るい兆しもみられました。

一方で、一部の国でロックダウンが実施されたほか、半導体や電子部品をはじめとする材料の供給が国際的にひっ迫し、物流も滞ったことで、全体としては先行きへの不透明感が未だ残る中で推移いたしました。

不動産及び不動産金融業界におきましては、一部の商業施設や宿泊施設においては引き続き収益が低迷し、オフィスの空室率も高い水準で推移したものの、不動産投資マーケット全体では、低金利等を背景に、投資家の旺盛な投資マインドが継続し、引き続き安定した市場を形成しております。

なお、当社が展開するJINUSHIビジネスのテナントは、スーパー、ホームセンター、ドラッグストアをはじめとした生活必需品を取扱う業種(物流を含む)で約8割を構成しており、このようなテナントは、コロナ禍でも概ね経営成績は好調に推移いたしました。

このような状況のもと、当社グループにおきましては、昨年5月に優良な不動産を所有する株式会社ツノダの発行済株式の全てを取得して子会社化するなど、販売用不動産の仕入を推し進めました。また、コロナ禍でもテナントの退店や賃料の減額などが発生していない長期安定収益を生み出すJINUSHIビジネスに対する評価が、金融機関や投資家を中心に高まり、販売用不動産の包括的な売買取引に係る枠を設定する基本協定書(以下、「包括的売買枠」といいます。)に基づき、大手リース会社等への売却が進みました。

財務戦略といたしましては、リーマンショックの教訓を活かし、借入金の返済期間は概ね5〜30年超の長期借入金であり、開発案件にかかる借入金は財務制限条項が付いておらず、途中弁済(約定弁済を除く)も求められません。なお、当社グループにおける当連結会計年度末の現金及び預金残高(連結)は17,264百万円であり、常に積極的な土地の仕入活動を行うために、手元流動性を高めております。

また、JINUSHIビジネスによる不動産金融商品の一部を、自己資金の活用により、売却せずに保有することで、安定的な賃料収入を得る長期賃貸事業を拡大し、当連結会計年度末の固定資産(土地)残高(連結)は16,994百万円となりました。当社は独自の不動産投資手法「JINUSHIビジネス」により、追加投資がかからず、安定的な収益が長期にわたって見込める不動産金融商品を開発し、売却する、いわゆるフロービジネスによって大半の売上、利益を計上してまいりました。自然災害やマーケットボラティリティに強く、長期にわたり安定的に収益を得ることができる当社商品へのニーズは根強く、底地マーケットは更に拡大していくものと考えております。一方、将来の予期せぬマーケット環境の変動に備え、より安定した事業構造への変革を図る必要があると考え、保有する現預金を一部活用することで、JINUSHIビジネスによる不動産金融商品を長期保有し、安定的な収益の拡大により事業構造の安定化を推し進めてまいります。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は56,177百万円、営業利益は5,475百万円、経常利益は5,002百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,124百万円となりました。

当社は、地主アセットマネジメント株式会社及び地主プライベートリート投資法人(以下、「地主リート」といいます。)との間でスポンサーサポート契約を締結しており、地主リートのスポンサー会社であります。このスポンサーサポート契約に基づいて、地主リートへ2022年1月7日にJINUSHIビジネスによる不動産金融商品を3物件売却(売却価格4,915百万円)しております。

地主リートは、機関投資家を対象とした第6回目の増資で25物件を取得し、運用資産規模は1,515億円となりました。今後は中期で3,000億円以上の規模を目指してまいります。

当社の新しいブランディングといたしまして、2022年1月10日付で商号を「日本商業開発株式会社」から「地主株式会社」へ変更いたしました。テレビCMの制作及び放映、新聞広告を掲載するなど、引き続き市場において、自然災害やマーケットボラティリティに強く、長期にわたり安定的に収益を得ることができるJINUSHIビジネスをより一層広めてまいります。

(2)財産及び損益の状況の推移

①当社グループの財産及び損益の状況

②当社の財産及び損益の状況

対処すべき課題

当社は「JINUSHIビジネスを通じて安全な不動産金融商品を創り出し、世界の人々の資産を守る一翼を担う。」ことを経営理念として掲げ、安定的な収益が長期にわたって見込め、追加投資のかからない独自の不動産投資手法「JINUSHIビジネス」を基本戦略に事業を展開しております。また、不動産で資金を運用する機関投資家の皆様のニーズに応えることで社会に貢献し、結果として、高い成長と企業価値の向上を実現し、あらゆるステークホルダーの信頼を得られるよう邁進しております。

当社グループを取り巻く経営環境は、足下では新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対して、個人消費は減少し、一部の企業の経済活動が停滞をきたすなど、景気の先行きについては引き続き慎重な姿勢がみられます。

このような経営環境のもと、当社グループは引き続きJINUSHIビジネスを中心に新規販売用不動産の仕入に注力してまいります。今回の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う個人消費の顕著な例として、生活必需品を取扱う業種の業績は好調に推移したことを踏まえて、スーパー、ホームセンター、ドラッグストアや物流施設をテナントとして誘致し、底地マーケットの拡大を行ってまいります。

地主リートの資産規模につきましては、今後は中期で3,000億円以上の規模を目指してまいります。地主リートの資産規模拡大に合わせて、収受するアセットマネジメント報酬及びプロパティマネジメント報酬を増加させ、ストック収益の拡大を図ってまいります。

また、自己資金の活用により、JINUSHIビジネスによる不動産金融商品を長期保有し、安定的な賃料収入を得る長期賃貸事業を拡大させることにより、将来の予期せぬマーケット環境の変動に備えた安定した事業構造への変革を推し進めてまいります。

JINUSHIビジネスの海外(米国)展開につきましては、海外経済の動向に注視しながら、案件の仕入を推し進めてまいります。

財務戦略といたしましては、資金調達は、借入金につきまして従前より借入期間の長期化や財務制限条項を撤廃する等、金融市場の変動に備えた調達を行っており、引き続き強固な財務体質の構築を目指してまいります。また、大手リース会社との販売用不動産の包括的売買枠に基づき、機動的な物件売却によるバランスシートのマネジメントを継続してまいります。

当社は、2022年1月11日付で、株式会社東京証券取引所より公表されました新市場区分の選択結果のとおり、同年4月4日より「プライム市場」に移行することが決定いたしました。今後とも株主の皆様にご支援いただけますよう、コーポレートガバナンスの遵守に努め、中長期的かつ持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

配当政策につきましては、長期的かつ安定的な事業基盤の強化のために必要な内部留保の充実をはかるとともに、株主の皆様への利益還元を狙いとして、安定した配当を継続することを基本方針としております。また、業績動向を踏まえた配当とすることも同様に重要と考えております。

株主の皆様におかれましては、今後も変わらぬご支援を賜りますよう心よりお願い申しあげます。

連結計算書類