事業報告(2022年4月1日から2023年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過およびその成果

当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における当社グループの経営環境は、国内については、新型コロナウイルス感染拡大防止のため緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が実施された前期と比較して、人の移動量が大幅に増加し、外食の客数も回復基調で推移しました。海外においては、欧米では行動規制がほぼ撤廃され、アジアでも規制緩和が進んだことで商況の回復が見られました。
このような環境において当社グループは、国内では訴求力の高い商品開発、店舗設計と来店動機の訴求に取り組みました。海外ではアジア、欧州、北米を中心に積極的に出店したことに加えて、グローバル展開を視野に入れたリブランディングや新しい事業パートナー(ローカルバディ(注1))の開拓に注力しました。

これらの結果、本格讃岐うどん専門店の丸亀製麺、海外事業が過去最高の売上収益を達成し、その他を含む全セグメントで増収となったことにより、売上収益は過去最高の1,883億20百万円(前期比22.8%増)となりました。
利益面では、世界的な原材料、人件費、水道光熱費の高騰の影響を受けましたが、増収で吸収し、丸亀製麺、海外事業に加えて、過去最高となったその他の全セグメントで増益となり、全社費用である調整額が増加したものの、事業利益(注2)は69億84百万円(前期比28.6%増)と大幅な増益となりました。
一方、前期は新型コロナウイルス感染症に係る時短協力金などの政府補助金128億66百万円を計上しましたが、当期は44億3百万円に留まったことにより、その他の営業収益は前期比99億66百万円減少しました。また、その他の営業費用に中国事業にかかる一過性の事業整理費用12億27百万円を計上しました。これらの結果、営業利益(注3)は74億66百万円(前期比47.6%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は38億27百万円(前期比57.4%減)と減益となりました。

  • (注1)ローカルバディ:感動体験に共感した特別な知識とノウハウを持つ世界中の仲間
  • (注2)事業利益:売上収益-売上原価-販売費及び一般管理費
  • (注3)営業利益:事業利益-減損損失+その他の営業収益-その他の営業費用

事業区分別の概況

事業のセグメント別の業績は、次のとおりであります。

丸亀製麺

売上高
前期比 %増
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売上収益構成比 %
主要な事業内容

本格讃岐うどん専門店で、各店舗に製麺機を設置することで「打ちたて」、「ゆでたて」を実現し、オープンキッチンを採用しお客様の目の前で調理を行うなど、「できたて感」、「手づくり感」、「安心感」を感じていただける、臨場感あふれる店舗です。

丸亀製麺セグメントにおいては、ブランド戦略と商品戦略をハイブリッド型で組み合わせ、オフライン(店舗)とオンライン(TVCM、デジタルマーケティング、SNS等)をマージして展開する統合マーケティングが奏功したことにより、年間を通して好調に推移しました。
2022年6月15日から「うどんで、あなたを驚かせたい。」をキャッチフレーズに新たなブランドキャンペーンを開始し、打ち立てのうどんのおいしさと職人による手づくりの価値を訴求するとともに、ブランドへの共感と好意度を高めるコミュニケーションを強化しました。
商品戦略においては、お客様から多くの支持をいただいたシーズナルの人気フェア商品をさらに改良し、品質を高めただけでなく、新作も投入して食材や味の違いを楽しんでいただき、リピート促進やシリーズ認知の強化につなげました。
共創型パートナーである株式会社TOKIOの松岡昌宏さんと共同開発した新商品「俺たちの豚汁うどん」と「俺たちのニラバタ豚汁うどん」は、うどんに最も合う独自の豚汁を追究し、松岡昌宏さんならではのアイデアと丸亀製麺の商品開発力およびマーケティング力が融合した結果、2023年1月23日までに255万食を販売する大ヒットとなりました。続いて販売した「肉がさね玉子あんかけうどん」も2023年3月6日までに163万食を販売し、冬季の大ヒット商品となりました。
当期においては原材料費、水道光熱費、人件費の高騰に対処するため、2022年10月25日に一部商品の価格改定を実施、さらに2023年3月7日に看板商品の釜揚げうどんを含む価格改定を実施しました。また既存店70店舗で老朽化した店舗の改修・改装を実施しました。
これらの取り組みにより、売上収益は1,021億円(前期比10.8%増)と過去最高を達成しました。原価、人件費、電気料金、広告宣伝費も増加しましたが、増収で吸収し、事業利益は116億24百万円(前期比9.8%増)と大幅な増益となりました。

海外事業(海外における飲食事業全般)

売上高
前期比 %増
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売上収益構成比 %
主要な事業内容

30以上の国と地域で直営店およびFC等にて出店しております。

世界各国で人の移動量が回復する中、2023年1月に中国でゼロコロナ規制が撤廃され、周辺国にも経済効果の波及が期待されました。このような環境において、香港を拠点とするスパイシーヌードル業態のTam Jaiはアジアで40店舗増加し、大幅な増収となりました。利益面では当第4四半期連結会計期間に徐々に回復したものの、当第3四半期まで中国の行動規制の影響を強く受けたことにより減益となりました。
Marugame Udonは、米国ではハワイ店の好調が持続したことに加えて新店も順調に推移し、大幅な増収となりました。台湾はコロナ影響下で人材教育に注力した成果やプロモーションが奏功したことなどにより大幅な増収増益となりました。英国では当期6店出店して計10店舗となり、現地メディアに掲載されたりアワードに選出されたりするなど認知度が高まりました。
これらの結果、為替影響もあって売上収益は614億83百万円(前期比49.7%増)と大幅な増収となり、過去最高を達成しました。利益面では、原材料高騰や人件費上昇に加えて、複数業態においてグローバル展開に伴うマーケティング費用などの先行投資が増加しましたが、増収で吸収し、事業利益は18億9百万円(前期比24.9%増)と増益となりました。

その他

売上高
前期比 %減
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売上収益構成比 %
主要な事業内容

「コナズ珈琲」、「肉のヤマキ商店」、「豚屋とん一」、「とりどーる」、「長田本庄軒」、「天ぷらまきの」、「らー麺ずんどう屋」、「晩杯屋」等が含まれております。

その他セグメントには、「コナズ珈琲」、「肉のヤマキ商店」、「豚屋とん一」、「とりどーる」、「長田本庄軒」、「天ぷらまきの」、「らー麺ずんどう屋」、「晩杯屋」等が含まれております。
「らー麺ずんどう屋」「晩杯屋」「とりどーる」は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により休業・時短営業を余儀なくされた前期と比較して事業環境が改善したことにより、増収増益となりました。特に姫路発祥の濃厚豚骨ラーメン業態の「らー麺ずんどう屋」は、当期19店舗出店して大幅な増収となり、原価および人件費の比率低下により事業利益率が大きく上昇し、当セグメントの増収増益を牽引しました。
「いちばん近いハワイの食卓」をコンセプトとする「コナズ珈琲」は、期間限定のフェアメニューやイベントなどの施策が奏功したほか、2022年10月にオープンした多摩ニュータウン店も好調に推移し、増収増益となりました。
「とりどーる」は、「もも一枚焼き弁当」の看板商品化に成功し、客数が大幅に増加したことで、大幅な増収増益となりました。
「豚屋とんー」は、注文を受けてから肉を切り、その都度店内で製造したパン粉を付けるなど手の込んだ職人技を訴求する店舗作りに注力した一方で、不採算店の整理も進めたことから大幅な増益となりました。
「肉のヤマキ商店」は、手づくり出来たての焼肉丼と総菜を日常使い出来る価格で提供する商品戦略が顧客の支持を獲得し、2022年11月にオープンした新店もグローサラントモデルを早期確立するなど堅調に推移し、増収増益となりました。
これらの結果、売上収益は247億37百万円(前期比22.7%増)となり、増収に加えて、人員配置の適正化などにより原価率と販管費率がともに低下したことから、事業利益は過去最高の30億44百万円(前期比264.2%増)と大幅な増益となりました。

設備投資の状況

当社グループは、販売拡大を目的として店舗展開のための設備投資を継続的に実施しております。
当連結会計年度は、国内におきましては、丸亀製麺で14店舗、その他で29店舗の計43店舗を直営店にて出店いたしました。
また、海外におきましては、香港、台湾、シンガポール、米国等で76店舗を直営店にて出店いたしました。

資金調達の状況

当連結会計年度においては、自己資金に加え、金融機関からの長期借入により210億円、社債の発行により40億円の資金を調達し、事業資金に充当いたしました。

対処すべき課題

2023-2028年3月期 中長期経営計画

当社グループは、名実ともにグローバルフードカンパニーとなることを目指して、2022年5月に「2023-2028年3月期 中長期経営計画」を策定し、2028年3月期に売上収益 3,000億円、事業利益率12%以上を目標に掲げております。初年度である当期の売上収益については丸亀製麺、海外事業が2024年3月期計画を超え、事業利益については丸亀製麺、国内その他が2024年3月期計画を上回ったことから、2024-2025年3月期の連結での売上収益と事業利益を引き上げ、2026年3月期を最終年度とする新3か年計画を策定いたしました。

詳細につきましては、2023年3月期決算説明資料(https://pdf.irpocket.com/C3397/bU43/mFTh/Dj2z.pdf)をご参照ください。

財産および損益の状況

(注)
  • 当社は、2020年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。2020年3月期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、基本的1株当たり当期利益または損失を算定しております。
  • 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ253億95百万円増加し、2,662億35百万円(前期比10.5%増)となりました。これは主に現金及び現金同等物、無形資産及びのれんがそれぞれ前連結会計年度末に比べ139億93百万円、28億74百万円増加したことによるものです。
  • 「基本的1株当たり当期利益または損失」は、「親会社の所有者に帰属する当期利益または損失」から当社普通株主に帰属しない金額を控除し算定しております。
ご参考 連結財務ハイライト(国際会計基準)

連結計算書類