事業報告(自 2020年8月1日 至 2021年7月31日)

企業集団の現況に関する事項

▪ 当社グループの経営理念

------------ 経営理念 ------------

「みんなで幸せになれる会社
にすること」
「今から100年続く会社
にすること」

当社グループは「みんなで幸せになれる会社にすること」、「今から100年続く会社にすること」を経営理念としております。この経営理念のもとすべての役員及び従業員が一丸となり、様々な技術領域・ビジネス領域において、インターネットを通じて個人の利用者の皆様に支持・利用していただけるゲームコンテンツ、比較サイト・情報サイトやECサイトなどの企画・開発及び運営を行っています。具体的には、「人と人とのつながりの実現」をテーマに、世界中の人々に娯楽を提供するゲームやツールアプリケーションの企画・開発及び運営を行う「エンターテインメント事業」、人生のイベントや日常生活に密着し、有益な情報を提供する様々なウェブサービスの企画・開発及び運営を行う「ライフスタイルサポート事業」、自転車専門通販サイトを運営する「cyma-サイマ-」をはじめ、様々な商材を取り扱う複数のECサイトの企画・開発及び運営を行う「EC事業」の3つの事業軸でビジネスを展開しています。

事業の経過及びその成果

▪ 全般的概況

2021年7月期の連結売上高は、EC事業においてオペレーション効率の改善を実施したことにより、前期比で増加するも、ライフスタイルサポート事業において新型コロナウイルス感染症の影響(以下「コロナ影響」という。)で利用件数が引き続き減少したことに加え、エンターテインメント事業において既存タイトルが引き続き減収となり、前期比で微減しました。営業利益、経常利益につきましては、EC事業の売上高増加に伴う利益が増加したものの、エンターテインメント事業における新規ゲームの開発費を先行して計上したため、前期比で減少しました。

親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度において、Increments株式会社に係るのれん及び商標権の減損損失を計上いたしましたが、当連結会計年度においては投資有価証券の売却益の計上により、前期比で増加となりました。

具体的には、当連結会計年度の売上高は31,252百万円(前連結会計年度比1.5%減)、営業利益は701百万円(前連結会計年度比44.9%減)、経常利益は895百万円(前連結会計年度比28.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は877百万円(前連結会計年度は519百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

セグメント別概況

当連結会計年度におけるセグメント別の業績は次のとおりであります。

エンターテインメント事業

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主な事業内容

スマートデバイス(スマートフォン・タブレット端末)向けゲーム&ツールアプリの企画・開発・運営

代表的なサービス

▪ ゲームアプリ
  • ヴァルキリーコネクト
  • ユニゾンリーグ
  • 少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-
▪ ツールアプリ
  • [+]HOME
  • Game Boost Master

エンターテインメント事業では、主に自社で開発したスマートデバイス向けゲームアプリケーション(以下「ゲームアプリ」という。)をApple Inc.が運営するApp Store及びGoogle LLCが運営するGoogle Play等の専用配信プラットフォームを通じて、世界中の人々に提供しております。ゲームアプリ自体は基本無料で提供し、ユーザーがゲームをより効率よく優位に進めるためのアイテムを購入することで、そのアイテム購入代金がゲームアプリとしての売上となります。

近年のグローバルにおけるゲーム市場環境及びユーザーニーズの変化、そして技術の進化等を踏まえ、エンターテインメント事業はスマートフォンゲーム専業から脱却し、グローバルのデジタル配信ゲーム市場(スマートデバイス向けゲーム、PCゲームデジタル配信、家庭用ゲームデジタル配信)全体をターゲットに、グローバルで人気のIPと連携し、展開することを中長期方針とし、さらなる成長を狙います。

2021年7月期においては、売上高につきましては引き続き既存ゲームが減少傾向にあり、前期比で減少となりました。セグメント利益につきましては、既存ゲームアプリの効率的な運用をしつつも、株式会社スクウェア・エニックスとの共同開発による、グローバル市場を対象としたスマートデバイス向けゲームアプリ『FINAL FANTASY VII THE FIRST SOLDIER(ファイナルファンタジーVII ザ ファーストソルジャー)』の開発費を計上しているため、前期比では減少となりました。

以上の結果、当連結会計年度におけるエンターテインメント事業の売上高は7,272百万円(前連結会計年度比13.9%減)、セグメント利益は369百万円(前連結会計年度比52.4%減)となりました。

ライフスタイルサポート事業

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主な事業内容

人生のイベントや日常生活に密着した比較サイト、情報サイト等様々なウェブサービスの企画・開発・運営

代表的なサービス

▪ 引越し比較・予約サイト「引越し侍」

▪ 車査定・車買取サイト「ナビクル」

▪ 結婚式場情報サイト「ハナユメ」

▪ キャッシング・カードローン総合検索サイト「ナビナビキャッシング」

ライフスタイルサポート事業では、様々な事業領域において個人の利用者に向けてサービスを展開する事業者と提携し、「三方よし」のサービス理念のもと、人生のイベントや日常生活に密着した比較サイト・情報サイト等便利なウェブサービスを展開しております。

2020年7月期より、サブセグメント区分を「デジタルマーケティング支援ビジネス」と「プラットフォームビジネス」の2つに変更いたしました。また、2021年7月期より、「プラットフォームビジネス」において展開していたヘルスケア領域のEC(「minorie(ミノリエ)」等)を「その他」と区分いたしました。

「デジタルマーケティング支援ビジネス」は、オウンドメディア等を通じて、提携事業者へ見込み顧客を送客するデジタルマーケティング支援を中心に、スピーディに事業を横展開できる特徴を持っています。多様な事業領域におけるサービスを急速に立ち上げ、拡張させることで、収益を積み上げるビジネスモデルです。個人の利用者へは基本無料でサービスを提供し、パートナー企業に当該利用者を見込客として紹介することに対する紹介手数料及び成約報酬が主な売上であります。

「プラットフォームビジネス」はアプリケーションやウェブサイトなどを通じて情報を集めた「場」を提供し、ユーザーデータの蓄積と活用、そして独自価値の向上により、市場での優位性を構築し、さらにデータを活用したソリューションを提供することで、価値向上のサイクルを図っていくビジネスモデルです。主な収益は広告収入や有料会員向けの利用料、そしてツールやEC等のソリューション提供による売上であります。

2021年7月期は、売上高につきましては、主に結婚式情報サイト「ハナユメ」が引き続きコロナ影響により前期比で減少したものの、引越し比較サイト「引越し侍」の繁忙期が堅調に推移したことにより、ライフスタイルサポート事業全体において前期比で微増となりました。

セグメント利益につきましては、「ハナユメ」の売上減少に伴う利益の減少に加え、2020年12月に行われたGoogleアルゴリズムアップデートによるキャッシング・カードローン総合検索サイト「ナビナビキャッシング」やクレジットカード総合検索サイト「ナビナビクレジットカード」のSEO(検索エンジン最適化)への影響が続き、リスティング広告への投資が増加したため、全体として前期比で減少となりました。

以上の結果、当連結会計年度におけるライフスタイルサポート事業の売上高は20,384百万円(前連結会計年度比1.5%増)、セグメント利益は1,450百万円(前連結会計年度比23.5%減)となりました。

EC事業

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主な事業内容

プロが整備した完全組立自転車をお届けする自転車専門通販サイトの企画・開発・運営

代表的なサービス

▪ 自転車専門通販サイト「cyma -サイマ-」

EC事業では、自転車専門通販サイトを運営する「cyma-サイマ-」をはじめ、複数の商材を取り扱うECサイトを運営しております。

「cyma-サイマ-」は2013年12月にサービスを立ち上げて以来、東海、関東、関西3カ所に物流倉庫を構え、国内外から仕入れた200種類以上の完成品自転車を専属のプロ整備士により整備を行い完全組立自転車としてオンラインで販売、自宅までお届けする独自性の高い自転車専門通販サイトです。

今後も「ココロが動く買い物を」をミッションに、品揃えや販売方法、配送品質を日々改善し、ユーザーの期待を大きく超える購入体験ができるサービスを提供してまいります。

2021年7月期においては、引き続きオペレーション効率の改善及び在庫管理の徹底、品揃えの見直し等が功を奏したことに加え、コロナ影響における「三密」を避ける外出手段として引き続き高い自転車需要が追い風になるとともに、2021年7月期下半期より、タレントを起用したマスプロモーションを実施し、前期比で売上増収、セグメント利益も大幅に改善し、はじめての通期黒字化を達成することができました。引き続き「cyma-サイマ-」の安定的な事業成長を実現するとともに、2021年8月30日より新たに国内素材調達・国内生産、合成添加物を使わないことにこだわったヒューマングレードドッグフード「Obremo(オブレモ)」をリリースし、今後は複数商材での成長を目指してまいります。

以上の結果、当連結会計年度におけるEC事業の売上高は3,595百万円(前連結会計年度比12.5%増)、セグメント利益は84百万円(前連結会計年度は43百万円の損失)となりました。

対処すべき課題

当社グループは「みんなで幸せになれる会社にすること」、「今から100年続く会社にすること」を経営理念に、中長期的な成長を図るため、以下10点を主な経営課題として認識し、迅速に対処してまいります。

①エンターテインメント事業におけるグローバル市場での成長及び有力なIPの獲得

グローバルのデジタル配信ゲーム市場(スマートデバイス向けゲーム、PCゲームデジタル配信、家庭用ゲームデジタル配信)規模は約20兆円で、東アジア、北米、欧州の主要3地域では前年比二桁増のプラス成長を遂げています(『ファミ通ゲーム白書2021』)。一方、国内外多くのゲームメーカーの本格参入により競争が激化しています。このような事業環境の中、持続的な成長を遂げるために、既存ゲームの健全な収益性の確保を維持するとともに、グローバルでの利用者のニーズに即したゲームを適切なタイミングでリリースするほか、スマートデバイスのみならず、PCゲームや家庭用ゲームのデジタル配信を拡充し、収益の最大化を図ってまいります。また、外部有力パートナーと提携し、「IP」・「グローバル」・「マルチデバイス」に対応したゲームの開発を進めてまいります。

②ライフスタイルサポート事業における既存サービスの強化及び新規サービスの拡充

ライフスタイルサポート事業は、人生のイベントや日常生活に密着した便利なサービスを多数提供しております。それぞれのサービスにおいて利用者のニーズに即した周辺サービスを拡充しつつ、今後はこれらのサービス間で相互送客を強化することにより、集客効率並びに利益率の向上につながるものと考えております。新規サービスにおいても、同様にサービス間での相互送客を行いながら、継続顧客を確保するための施策に積極的に取り組み、事業を拡大してまいります。

③EC事業における新商材の成功及び利益率向上

EC事業の主要サービスである自転車専門通販サイトは、立上げから順調に利用者数を増やし、現在では組織体制の再整備を行うことで、フルフィルメントの強化を実現し、通期黒字化を達成することができました。今後の中長期的な成長を見据え、これまでの経験を活かして他新商材の参入及び成功を実現するとともに、EC事業全体での利益率向上を追求してまいります。

④中長期的な成長に向けた事業ポートフォリオの強化

当社グループは、事業の転換・拡大とともに経営の安定性と高い成長性のバランスを実現しながら、自社サービス開始以来継続して売上を向上してまいりました。現在はエンターテインメント事業、ライフスタイルサポート事業、EC事業の3つの軸で事業を展開しています。今後も持続的な成長ならびに中長期的な企業価値の向上を目指し、「ITにできることを、次々と。」をもとに新たな事業の創出、他の企業との協業やM&A等多様な戦略を用いて、先行投資を進めながら事業ポートフォリオの強化を図ってまいります。

⑤優秀な人材の確保と育成

優秀な人材を確保することは当社グループの持続的な成長に必要不可欠であります。そのため、職場環境の改善、福利厚生の充実、人事考課制度の整備・運用及び採用活動の多様化に努め、人材の確保に力を入れております。

採用においては優れた専門性のみならず、人間性・協調性を重視した人材の選考を心がけており、企業文化と経営理念の共有により、みんなで協力し合いながら長く楽しく働ける組織作りを大切にしております。

また、社内外での研修・教育の強化などを含む人材育成制度の整備を進めるとともに、ジョブポスティング制度・フリーエージェント制度等といった機動的な人材活用を制度的にも実施しながら、事業間で経験とノウハウを共有することで企業とともに成長していく人材の育成に努めております。

⑥コーポレートブランドの向上

当社グループが持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現していくためには、提供するサービス自体のユーザビリティ、品質等に加え、各サービスの知名度を向上し、利用者数を拡大していくことが不可欠であります。

また、グループ全体の事業を支える優秀な人材の獲得や他社との提携等をより有利に進めるためにも、当社グループでは、今後も費用対効果を見極めながら、サービスの広告宣伝活動のみならず、企業認知度の向上や企業イメージの確立に取り組んでまいります。なお、ステークホルダーに対する適切な情報開示及び積極的な広報活動を試みることにより、コーポレートブランドの向上を目指していく所存であります。

⑦グループ経営体制及びコーポレート・ガバナンスの強化

当社グループは、国内連結子会社10社及び海外連結子会社1社により構成されたグループ企業体制であります。持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、経営の公正性・透明性を確保するとともに、取締役会及び監査役会による内部統制の強化並びにコーポレート・ガバナンス・コードの基本原則に沿った各種施策の実施、取締役会の実効性評価・分析・改善に継続的に取り組んでまいります。

⑧コンプライアンス及びリスク管理体制の強化

当社グループは、グループ企業としての持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて経営基盤を強化し、コンプライアンス及びリスク管理体制を強化し、企業倫理の一層の向上を図っていく所存であります。

⑨新技術の活用

当社グループが属するスマートデバイス向けゲーム業界を含むインターネット業界は、技術革新が絶え間なく行われております。このような環境のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現していくためには、AIをはじめとする様々な新技術に適切に対応していくことが必要不可欠であると考えております。グループ横断プロジェクトとして技術研究活動を行い、新技術を活用できる人材育成に取り組んでまいります。

⑩商品・サービスの品質と安全性の確保

当社グループは、スマートデバイス向けゲームやライフイベントにまつわる様々なオンラインサービスの提供に加え、EC事業において自転車やパーツ商品を取り扱っております。すべての商品・サービスにおいて利用者が安全かつ安心して利用できる環境を提供し、高い品質が担保されるよう努めてまいります。

連結計算書類