事業報告(2019年5月1日から2020年4月30日まで)

当事業報告において、使用する名称の正式名称及びその説明は下記のとおりです。

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企業集団の現況

当連結会計年度の事業の状況

事業の経過及び成果

当社グループは、中期事業方針『SiLK VISION 2020』のもと、2020年4月期に連結売上高500億円、連結営業利益50億円の達成を目標に掲げ事業を推進しました。そして、その達成に向け、「成長領域に注力した新分野への進出と継続的発展」を戦略として位置付け、モバイル事業・アドテクノロジー事業の継続成長を図るとともに、生活領域(“Health Tech”、“IoT”、“不動産Tech”)に注力することで、中長期での事業拡大に努めました。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。事業セグメントの状況は以下のとおりです。

当社は、当社グループを取り巻く事業環境を以下のように捉えています。

(インフラテック市場)

光アクセス回線を主とする固定網による通信サービスは、高速ブロードバンド環境の普及が一巡したことに加え、モバイル網による通信サービスの高速化が進んだことで、成長は緩やかなものとなりました。そして、ネット動画やゲーム等のリッチコンテンツの利用増、クラウドサービスの利用拡大等による通信トラフィックの増加及びSNSやサブスクリプション型ネットサービスのようなアクセス頻度の高い製品の普及によりネットワーク原価は上昇しているため、インターネット接続サービスのAMPUは低下傾向にあります。

MVNO・MVNE市場においては、大手モバイル通信キャリアによるサブブランドの展開が独自型MVNOサービス事業者の成長に影響を与える傾向が続いています。しかし、市場の成長基調は継続していることに加え、IoT向けの需要がこれから急激に増加していくことが想定されるなど、市場規模は2023年には11兆円超に達すると予測され、引き続き拡大していく見込みです。

クラウド市場においては、様々なコンテンツ配信や電子商取引等に加え、IoT関連サービスのプラットフォームとしてもクラウドが不可欠な基盤となっており、それらの規模も引き続き伸張することが想定されます。また、新型コロナウイルス感染症によるテレワークの増加に伴い、光アクセス回線やモバイル通信サービス、DaaS(デスクトップ仮想化システム)やVPN(バーチャルプライベートネットワーク)といったクラウドサービス等の需要が急速に高まっており、今後もその需要は拡大していくものと想定されます。

(不動産テック市場)

光アクセス回線を主とする固定網による通信サービス市場自体は普及が一巡しているものの、当社グループがサービスを提供している賃貸の集合住宅向けインターネット接続サービス市場においては、新築物件は、金融機関における融資審査の厳格化の影響等により、新設着工戸数の減少傾向が続いております。一方、既存物件は、わが国の住宅政策の指針の一つである既存物件の流通や空き家の利活用促進の観点から、今後、新築中心の市場から既存活用型市場への転換が進むと考えられ、高速ブロードバンド環境導入による資産価値や入居率の向上を目的に、その導入がより一層進み、市場規模は拡大することが予想されます。

また、不動産業界全体においては、AIやIoT、VR等のテクノロジーを活用した不動産Techへの関心度が高く、各種IoT機器を活用することで、多様化する生活スタイルに合わせたスマートホームの実現等、新たなサービスの需要は更に拡大する見込みです。

(インターネット広告市場)

広告市場において、インターネット広告市場は6年連続2桁成長を続け、2019年はテレビメディア広告費を超え、2兆円を超える市場に成長しました。その中でも従来型の予約型広告からリスティング広告やアドテクノロジー活用広告といった運用型広告(膨大なデータを処理するプラットフォームの活用による最適な広告を自動・即時に表示する方式の広告)への移行がより一層進むとともに、動画広告やソーシャルメディア広告が牽引する形で市場が拡大し、特にモバイル向け広告の成長が顕著となりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響を受けやすい市場でありますので、今後の動向を注視する必要あるものと捉えております。

(ヘルステック市場)

日本では、2010年に65歳以上の人口の割合が全人口の21%を占める超高齢化社会に突入した後も高齢者人口は一貫して増加傾向にあり、2018年の推計では高齢者人口は3,557万人、高齢化率は28.1%と過去最高に達し、65歳以上人口は2042年まで増加傾向が続く見通しです。高齢化人口の増加と高齢化率の上昇、平均寿命の延伸やIT技術の発展により、ヘルスケア市場は2030年には国内市場が37兆円となり、就業者数において日本最大の産業に成長すると言われています。そして、高齢化率の急速な上昇による労働力減少で引き起こされる経済活動の停滞改善や医療関連サービスの品質維持費用抑制のためにICTの活用が必須であると位置付けられており、“Health Tech”は“健康×IT”によりヘルスケア領域に変革を起こし、次世代の健康管理メソッドを創出していくものとして期待されています。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、市場緩和等に伴うIT化が進むことも想定されています。

当社グループは、薬局向けソリューションサービスの提供を足掛かりとして、この市場における存在意義を高めていくことを目指しています。

(エドテック市場)

日本の教育市場は大きな変革の時代を迎えており、文部科学省の「教育の情報化ビジョン」では、子どもたちの情報活用能力を育成する情報教育や教科指導における情報通信技術の活用等による教育の質の向上を目指し、全ての学校で児童生徒1人1台の情報端末による教育が推進されています。新型コロナウイルス感染症拡大防止による一斉休校により、安全かつ公平な教育の提供のために、教育のICT化の必要性がより高まったこともあり、今後学校における情報端末の整備に伴って、教育コンテンツ市場も伸長することが想定されます。

当社グループは、2023年には3,000億円に達すると見込まれるEdTech市場において、教育コンテンツのICT化とアダプティブ・ラーニングをはじめとした教育ICTプラットフォームの整備の両面から取り組むことで、この市場における優位性を確立し、シェアの拡大を目指します。

上記市場環境のもと、当社グループは、中期事業方針『SiLK VISION 2020』の達成に向けて事業を推進しました。売上高は8期連続増収となり、過去最高の実績となりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に対する精査を行うとともに、同感染症の第2波、第3波の発生及びウィズコロナ(新常態時代)を視野に入れたBCP(事業継続計画)対応が不可欠との認識から、BCM(事業継続マネジメント)に則ったマネジメントプロセスによる検証も実行し、将来の当社グループの事業への影響も慎重に精査した結果、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純損益は前連結会計年度を下回ることとなりました。

継続成長事業の1つと位置付けているモバイル事業においては、2019年12月1日付で、株式会社ドリーム・トレイン・インターネットがMVNOとしてスマートフォンサービスを提供するトーンモバイル株式会社の全事業を会社分割(吸収分割)により承継しました。そのスマートフォンサービス「トーンモバイル」では、スマートフォン新端末を投入する等、ユーザー数拡大に尽力しました。当社グループが事業を展開するMVNO・MVNE市場においても、大手モバイル通信キャリアによる新プランの投入やサブブランドでの攻勢、参入事業者の増加並びに事業者再編といった市場環境の変化はあったものの、当社がMVNEとして提供するMVNO支援パッケージサービス「freebit MVNO Pack」においても提供先企業数が増加しました。

もう1つの継続成長事業と位置付けているアドテク事業では、株式会社フルスピード及びその子会社がDSP広告サービス等の拡販や動画広告市場向けのサービス展開に注力しました。また、アフィリエイターの利用満足度が極めて高いアフィリエイトサービス「afb」の利便性の向上及びサービスの海外展開に取り組んだことで、事業規模が拡大しました。

新分野である生活領域の各事業については、今後の当社グループ発展の一翼を担うものとするべくその育成に注力しており、“Health Tech”分野においては株式会社フリービットEPARKヘルスケアが、また、“IoT”分野においては当社が、“不動産Tech”分野においては株式会社ギガプライズが、そして“EdTech”分野においては株式会社アルクがそれぞれ中心となり、当社グループの事業リソースを最大限に活かす形で推し進めてきました。当社グループでは、現段階において事業規模の拡大を最優先事項と位置付けており、そのためには、性急な収益化よりも顧客基盤獲得のための投資を継続していくことが肝要であるとの認識のもと、事業活動に臨みました。

以上の結果、営業利益は2,587,802千円(前連結会計年度比13.2%減)、経常利益は2,481,053千円(前連結会計年度比3.4%減)と前連結会計年度を下回りましたが、売上高は55,295,010千円(前連結会計年度比9.8%増)と前連結会計年度を上回り過去最高実績の達成となりました。しかしながら、減損損失として1,461,952千円の特別損失を計上することとなり、親会社株主に帰属する当期純損失は619,352千円(前連結会計年度は279,337千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

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事業区分別の概況

報告セグメント別の業績は、次のとおりであります。

売上高
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(単位:

固定網通信関連サービスについては、スマートフォンやタブレット、AIアシスタント機器等のICT端末の普及に伴い、宅内Wi-Fi環境を通じたネット動画視聴、ゲームをはじめとしたリッチコンテンツやSNSの利用増加により固定回線向けインターネット接続サービスの帯域費用が高止まり傾向にあります。

モバイル通信関連サービスについては、当社がMVNEとしてサービスを提供するMVNO企業数が増加するとともに、エンドユーザー向けMVNOサービスの拡販にも注力しました。また、スマートフォンサービス「トーンモバイル」では自社ユーザー層に合わせ、社会問題化している子供のスマホ問題をAIで解決する機能などを搭載した新スマートフォン端末を発売しました。

クラウド関連サービスについては、パブリッククラウドサービス及びプライベートクラウドサービス、そしてそれらを組み合わせたハイブリッドクラウドサービスの拡販に注力しました。また、アルプスアルパイン株式会社と包括的提携し、インターネット/IoTインフラの改ざんをBlockChainを使って軽減する基礎技術を発表する等、CASE/MaaS時代の「シームレスカーライフ」実現に向けて様々な取り組みを実施しました。

以上の結果、売上高は15,705,886千円(前連結会計年度比1.6%減)、セグメント利益は856,938千円(前連結会計年度比4.3%増)となりました。

売上高
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(単位:

集合住宅向けインターネット接続サービスについては、提供戸数の拡大に向けて、大手顧客からの継続的な受注と新規獲得に注力いたしました。新築物件については、将来の機器交換時の工事を不要とする新商品「PWINS」を開発し、販売開始に向けて取り組んでまいりました。今後更なる需要が見込まれる既存物件については、その導入シェア拡大に向けて「SPES」を開発し、販売を開始しました。

以上の結果、売上高は13,648,405千円(前連結会計年度比25.2%増)、セグメント利益は1,356,888千円(前連結会計年度比17.0%増)となりました。

売上高
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(単位:

当社グループ独自のアドテクノロジー関連サービスであるDSP広告等の商材を中心としたインターネット広告サービスの提供に注力したことに加え、アフィリエイトサービスにおいては、得意とする業界での伸長に加え、その他の業界への提供も順調に広がり、引き続き、事業規模並びに売上規模が拡大しました。

以上の結果、売上高は17,081,876千円(前連結会計年度比5.3%増)となりました。なお、海外展開及び新規事業等のインキュベーション領域への先行投資による人材関連費の増加により、セグメント利益は873,143千円(前連結会計年度比16.3%減)となりましました。

売上高
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(単位:

株式会社フリービットEPARKヘルスケアが展開するお薬手帳アプリ利用者や調剤薬局向けソリューションサービス利用事業者の獲得等を企図した投資を継続したことに加え、医薬品の不動在庫管理や薬局の生産性改善を実現するファーマシーシステム事業が立ち上ったことにより事業規模が大きく拡大し、売上高は3,513,881千円(前連結会計年度比17.4%増)となりました。ただし、フリービット株式会社が担う介護施設事業者向けサービスにおいて、顧客基盤獲得のための投資に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるシステム導入延期や営業活動の停滞等により、セグメント損失が144,102千円(前連結会計年度は308,752千円のセグメント損失)となりましたが、株式会社フリービットEPARKヘルスケアは順調な事業進捗により黒字化しています。

売上高
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(単位:

当事業を担う株式会社アルクの主軸となる教育向け出版分野は、第4四半期偏重型のビジネスモデルですが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、第4四半期に見込んでいた売上が急減しました。加えて、同じく新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、キッズ向け英会話教室の休校や海外研修をはじめとする企業向け研修事業の受注が最需要期を迎える前に急減しましたが、売上高は5,907,322千円(前連結会計年度比23.7%増)となりました。第4四半期の売上高急減及びデジタル領域への事業転換の遅れ等により、セグメント損失が368,987千円(前連結会計年度は246,006千円のセグメント利益)となりました。

対処すべき課題

新型コロナウイルス感染症の世界各国での拡大により、経済活動や国民生活に大きな影響が及んでおり、今後も多方面にわたって先行きが不透明な状況となることが懸念されております。一方で、インターネットはあらゆる産業において「新常態」時代に必須の重要なインフラとしての役割が期待されております。また、近時ではモバイル通信網の普及が進み、新たな移動通信キャリアの参入や第5世代移動通信システム(5G)のサービス開始など大きな構造の変化も進んでおり、MVNE・MVNOサービスについても個人・法人向けの一般的なデータ通信サービスに限らず多様な利用方法が増えてきました。これらの事業環境は通信事業者の収益獲得のための活動をさらに活発にさせると同時に通信事業者の競争の激化を促進しております。

こうした状況下において、当連結会計年度はモバイル事業の継続成長を図るとともに、ヘルステック事業や不動産テック事業等の生活領域の事業及びMaaS、AI関連、Blockchainといった今後の成長が見込まれる新規事業に注力してまいりました。また、これら事業を実施するにあたり、当社グループの複数のサービスをレイヤーにとらわれない統合的なサービスとして提供するため、グループ内の技術や人的リソースの連携、ネットワーク資産の効率化などを進めております。

以上の取り組みにおいては、それぞれ次のような課題があると認識し、対応方針を策定しております。

① インターネット接続サービス市場環境の変化について

スマートフォンやタブレット端末などの高機能モバイル通信機器の普及によるモバイル通信環境における著しい利便性の向上により、インターネットへの接続がこれまでの固定回線によるものからモバイルデータ通信へと加速度的にシフトしております。ブロードバンドの固定回線は一定の普及により増加率は鈍化している一方で、NTTグループ(日本電信電話株式会社及びその連結子会社)を中心としてIPv6(IPoE)への移行が進みつつあります。一方で、各社のサービスの多様化や、新規のMNO事業者のサービス開始に象徴されるように、モバイル通信の提供事業者間の競争は激化しております。また、5Gサービスが開始され、各事業者の次世代通信網への対応も進みつつあります。

当社グループでは、このような環境の変化を機敏に捉え、ユーザーのニーズを見据えた新たなサービスを開発し、いち早く提供を行うなど、必要と考えられる施策を推進しておりますが、今後もインターネット接続サービス市場環境の変化に影響を受ける可能性があるため、これらの環境に即応するとともに、これまでの実績や経験に裏付けされた、利便性の高い安定した新しいサービスの開発が重要であると認識しております。

② 回線・帯域調達コストについて

インターネット上では帯域を多く利用するリッチコンテンツが急激に増加しており、利用者一人あたりの使用データ量は急激に増えております。また、政府の推進する「働き方改革」や今般の新型コロナウイルスの影響により在宅勤務・テレビ会議等の利用が多くなったことで、家庭での通信に対する需要が増えたことにより、インターネット業界全体で、通信回線整備が需要に追いつかなかったり、帯域の不足が生じたりしております。通信インフラの安定的な供給とコストのバランスは、関心の高いトピックとなっております。当社では回線・帯域調達の効率化やデータの最適化を含めた高効率のネットワーク運用を行うなどの努力を行い、また、長年培ってきたIPv6に関する技術力を最大限に活かし、これらの環境に対応すべく努めております。新たな設備機器への投資を含め、調達コスト増加は採算悪化の要因となるため、このような取り組みは継続的に行っていく必要があると認識しております。

③ モバイル端末を中心としたモバイル通信網サービスの対応について

MVNE・MVNO事業は、無線通信インフラ(移動体回線網)を有する事業者から借り受けてサービスを提供することになるため、他社のMVNE・MVNO事業との差別化が困難であると言われております。また、本格的な5Gサービスの開始に伴い、MVNE・MVNO事業者はインフラの提供のみならず、そのインフラ上で提供できる顧客体験が求められるようになってきています。

当社グループでは、長年のインターネット接続サービスの提供で培ってきたネットワーク技術やノウハウを活用し、また、グループ内の様々な付加価値サービスと組み合わせ、新しい仕組みやサービスを提供することにより差別化を図るとともに、より安価で高品質、そして安心・安全に利用できる無線通信サービスを提供できるよう、継続的な技術開発に努めることが必要であると認識しております。グループ内のコンシューマー向けMVNOサービスであるトーンモバイルにおいては、これらの具体的な実施例として、AIやBlockchainを活用した様々なサービスを提供しておりますが、そこで得た顧客の意見をサービスに反映することで、サービス向上及び差別化の優れた循環を目指していきます。

④ クラウドコンピューティング事業の展開について

仮想化技術を利用したクラウドコンピューティングの市場は近年急速に広がっており、当社グループにおいても巨大な仮想データセンターから個人利用目的のパーソナルサーバーまで、様々なサービスを提供しております。

このようなお客様のデータを預かるサービスでは、安定的な運用を行うことにより、顧客との良好な関係維持に努めることが重要です。

一方で、仮想化技術は高度な監視体制、効率的なシステムの冗長化と分散化、新しい技術の継続的な導入が必要な分野であり、人的体制も含めて、継続的な運用や開発体制の強化と改善が必要であると認識しております。

⑤ IoT/AI市場への対応について

インターネットの普及により、通信分野では、これまでの人対人を中心としたものに加え、機器と機器がデータをやりとりするIoTが急激に拡大しております。また、近年AI技術が急速に発達しており、通信とAIの技術が連携することにより、日々新たなビジネス手法が生まれております。これらの技術は“アフターコロナ”に社会が対応するための中心的役割を担う可能性もあると期待されております。

当社グループでは、これらの新たな市場において重要な役割を担うべく、グループ内で保有する技術やデータを有機的に管理するように推進し、アルプスアルパイン株式会社との業務提携によるMaaSサービスの展開を始めとして国内外を問わず多くのパートナー企業との連携を充実させるように努めております。今後、積極的に当社グループの技術・サービスを多くの顧客に提供すべく、新技術に関する営業力の強化、継続的な技術開発による最先端のサービスの提供及び当社グループの技術を保護するための知財関連の強化等が肝要であると認識しております。

⑥ ヘルステック事業における法規制等の対応について

当社グループでは生活領域の中心的な事業としてヘルステック事業を推し進めております。当社グループが扱うサービスは医療や医薬品提供などのメディカルサービスそのものではなく、病院や薬局のサービス向上やシステムの効率化に資するための周辺領域のものではありますが、人の健康に関連するものであるため、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(いわゆる「薬機法」)等の多くの法令や規制が存在しております。それらの法規制等に則りながら、より消費者の健康に資するため、常にサービスの向上に努めることが重要であると認識しております。

⑦ 関係会社管理の徹底及び社内管理体制と従業員教育の強化

当社グループでは、当社のみならず各子会社を通じて、インターネットインフラを中心として多岐にわたる事業を展開しており、各社にて新規人員の採用や教育を行っております。人員の交流も積極的に行っておりますが、事業の拡大に伴い、さらにグループ全体の管理の徹底及び従業員教育の向上が必要であると認識しております。

そのため、子会社の計数管理の徹底、統一的な監査の実施を通じて適切な子会社管理を行い、グループ内の内部通報制度の周知等を通じてコンプライアンス意識の向上に努めるとともに、企業理念や経営方針、統一的な教育プログラムをグループ各社で共有し浸透させることで、当社グループ社員の連帯意識の強化を図り、グループ会社間の枠に捉われない発展を促します。

また、内部統制の観点でも、金融商品取引法等に基づく財務報告の信頼性を確保するために必要な内部統制の整備や構築等を行ってまいりましたが、さらにグループを通じて、内部統制強化のための連携・改善等を継続的に行っていく必要があると認識しております。

そのため、各グループ会社の監査役、内部監査室の連携を促進し、また継続的な従業員教育を通して、コーポレートガバナンスの充実及び法令遵守の徹底にグループ全社をあげて取り組んでおります。

⑧ 新型コロナウイルス感染拡大防止対策について

新型コロナウイルス感染症に対して、当社グループでは、顧客、取引先及び従業員の健康と安全を第一に考え、また更なる感染拡大を防ぐために、国及び地方自治体の指針に従った感染防止策を徹底しております。従業員の移動を伴う業務の自粛や、社内会議やイベント・セミナー等の集会のオンライン化、テレワーク(在宅勤務)の推進等の対応を行うことで事業への影響の低減を図っており、また、インターネットのインフラを担う企業であるという自負のもと、取引先に対してもオンラインを活用した対策を提言することで、社会経済活動の支えとなるようなサービスの提供を目指しております。一方で、世界的な流通の停滞や人の移動の制限、景気悪化に伴う社会活動の停滞は、当社グループの事業にも少なからず影響を与えると認識しております。そのため、今後もネットワークを活用した新たな事業形態の創出や、安定的なサービス提供を行う健全な企業体力の維持、従業員及び関係者の健康と安全を守るための新しい働き方の推進等は優先的に取り組む必要があると考えております。

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