事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

事業の経過およびその成果

全般の状況

当連結会計年度における世界経済は、米国を中心に回復が継続したものの、夏場以降における新型コロナウイルス感染再拡大やそれにともなうサプライチェーン混乱の影響があったことに加え、ウクライナ情勢の悪化や原材料・エネルギー価格の上昇によるインフレの長期化が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。わが国経済は、海外経済の回復を背景に製造業での改善傾向が続きましたが、断続的な新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動が制限されるなど、回復は緩やかなものとなりました。

当社グループの関連市場であるエレクトロニクス業界におきましては、長期化する世界的な半導体の供給不足などの影響が自動車生産において見られたものの、自動車の電装化および電動化の進展や設備投資の回復が継続したことなどにより関連部品の需要が増加しました。

このような状況の中、アルミ電解コンデンサ用セパレータは、年間を通じて車載向けや産業機器向けが好調を維持し、通信設備関連の需要も堅調に推移したこともあり、当連結会計年度の売上高は14,210百万円(前連結会計年度比2,247百万円、18.8%増)となりました。

機能材は、リチウムイオン電池用セパレータが好調に推移したものの、海外における風力発電向けの電気二重層キャパシタ用セパレータが減少したため、当連結会計年度の売上高は3,863百万円(前連結会計年度比91百万円、2.3%減)となりました。

この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は18,074百万円(前連結会計年度比2,155百万円、13.5%増)となりました。

利益面におきましては、原材料やエネルギー価格上昇の影響はありましたが、売上高の増加にともなう稼働率向上および効率的な生産推進の取組みによる原価率の低減などもあり、営業利益は4,066百万円(前連結会計年度比1,304百万円、47.3%増)、経常利益は4,232百万円(前連結会計年度比1,436百万円、51.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,918百万円(前連結会計年度比912百万円、45.5%増)となりました。

当連結会計年度における事業セグメントの状況

対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、世界経済およびわが国経済は、コロナ禍からの経済正常化により引き続き景気拡大が進展するものと思われますが、新型コロナウイルスの感染状況、サプライチェーンの混乱、ウクライナ情勢、エネルギー価格をはじめとする物価上昇などが懸念され、先行きは極めて見通しにくい状況にあります。

このような状況の中においても、主力のアルミ電解コンデンサ用セパレータは、先進運転支援システム(ADAS)普及による電装化率の上昇や電動化の進展による車載向け需要の拡大、半導体の増産投資や自動化・省力化などを背景とした産業機器向けの高水準な需要および通信設備関連の堅調な推移を見込んでおります。これらの市場に向け、高品質・高信頼性製品を安定供給できる当社の強みを活かして拡販と新製品開発に取り組んでまいります。機能材では、カーボンニュートラルの観点から拡大する環境関連市場に向け、リチウムイオン電池用および電気二重層キャパシタ用セパレータなど当社製品の強みを訴求し、需要拡大を図ってまいります。

また、アルミ電解コンデンサ用セパレータおよび機能材ともに、生産性改善によるコスト低減およびSCMの観点から原料の安定調達に継続して努めてまいります。なお、高知県内生産拠点との同時被災リスクの低い米子工場において、車載用途など高付加価値セパレータの生産能力増強、製品出荷までの各工程(抄紙~裁断~出荷)を完結できる体制を構築するための設備投資を計画しており、2024年7月稼働開始に向けて、安定供給体制のさらなる強化の取組みを進めてまいります。

連結計算書類