事業報告 2018年1月1日から2018年12月31日まで
企業集団の現況に関する事項
事業の経過及びその成果
全般的概況
当社グループは、モバイルメッセンジャー・アプリケーション「LINE」を入り口として、人々の生活すべてが完結する世界の実現を目指す、スマートポータル戦略を推進しております。
2018年12月末時点の主要4ヵ国(日本、台湾、タイ、インドネシア)における「LINE」のMAU*は1億6,400万人(前年末比2.1%減)、国内MAUは1年間で570万人増加し、7,900万人まで成長いたしました。
また、ユーザーとのエンゲージメントの強さを示す指標である主要4ヵ国DAU**/MAU比率は77%と引き続き高水準で安定し、特に日本においては85%と圧倒的な利用率を誇っております。
「LINE」のエンゲージメントの高さは、当社グループの戦略推進及び今後の事業拡大において優位にあります。当社グループは、この「LINE」を基盤とし、スタンプやゲーム、マンガ、ニュース等のコンテンツサービスや、決済やショッピングといった様々な領域でNo.1サービスを創出してまいりました。これらのサービスが発展することにより蓄積された膨大なノウハウやデータを活用し、さらに各ユーザーに最適なサービスを提供できるという好循環を実現しております。
なお、2018年度からは、コア事業と戦略事業に区分して業績を開示しております。コア事業は、コンテンツサービスや広告等、当社グループの成長と収益に貢献している事業で構成し、戦略事業は、LINE Payに代表されるFintech、AI及びLINE FRIENDSやLINEショッピング等のコマース等で構成しております。この区分は、コア事業でしっかりと収益をあげつつ、今後大きな成長が期待できる戦略事業に積極的な投資を実行することで、中長期的な事業成長を目指す当社グループの戦略を明確にしたものであります。



2018年度における当社グループの売上収益は前連結会計年度比24.0%増***の2,072億円となり、過去最高を達成いたしました。これは主にディスプレイ広告やアカウント広告サービスの順調な成長により広告売上が増加したことによるものです。営業利益は、事業拡大に伴う人件費の増加、戦略事業推進のための開発費用の増大、コンテンツサービス及びFintech等におけるマーケティング費用の増加等により、前連結会計年度比35.8%減の161億円となりました。
これらの結果、当社の株主に帰属する当期純利益は37億円の損失(前連結会計年度は81億円の利益)となりました。
* 月間アクティブユーザー数(MAU:Monthly Active Users):その特定の月において、モバイル端末から1回以上LINE若しくはLINE GAMEを起動したユーザーアカウント数、又はPCやモバイル端末からLINE若しくはLINEを基盤としたその他関連アプリケーションを起動しメッセージを送信したユーザーアカウント数をいいます。
** 日次アクティブユーザー数(DAU:Daily Active Users):その特定の日次において、モバイル端末から1回以上LINE若しくはLINE GAMEを起動したユーザーアカウント数、又はPCやモバイル端末からLINE若しくはLINEを基盤としたその他関連アプリケーションを起動しメッセージを送信したユーザーアカウント数をいいます。
***当社グループは、2018年度よりIFRS第15号を適用しておりますが、完全遡及アプローチではなく、修正遡及アプローチを採用しているため、2017年度の連結業績は従前の会計基準であるIAS第18号に基づく数値であり、2018年度の連結業績はIFRS第15号に基づく数値となります。


セグメント別の状況*
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売上収益構成比
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広告事業
主なサービス:
LINE Ads Platform、LINE公式アカウント、LINE@、スポンサードスタンプ、LINEバイト等■インターネット広告市場の堅調な拡大を背景に、広告サービスの売上収益は1,082億円(前連結会計年度比42.5%増)、全売上収益に占める割合は52.2%となり、当社グループの売上収益全体を押し上げる原動力となりました。
■運用型広告プラットフォームを提供するディスプレイ広告では、広告配信システムの更なる最適化を図るため、大幅なプラットフォームの刷新を実施しました。また、継続的な広告プラットフォームの機能向上や広告主の増加等により、売上収益は前連結会計年度比36.1%と大きな成長を達成しております。
■アカウント広告は、広告主の裾野の広がりに対応すべく、「LINE公式アカウント」において従量課金による新プランの提供を開始しました。また、引き続き、国内外において公式アカウントやLINE@のアカウント数が増加したことにより、売上収益は前連結会計年度比45.7%の増加となりました。
コンテンツ、コミュニケーション、その他
主なサービス:
スタンプ、着せかえ、LINE GAME、LINEマンガ、LINE MUSIC等■コンテンツ、コミュニケーション、その他の売上収益は702億円、前連結会計年度比4.1%の減少となりました。
■LINE GAMEは、大型のコラボレーションやイベント等を実施し、既存タイトルを中心に売上収益は底堅く推移しました。
■LINEマンガ、LINE MUSICにおいては、機能改善やコンテンツ強化等の施策を実施した結果、順調にサービスは成長し、決済高、ユーザー数も大幅に上昇しました。
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売上収益構成比
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Fintech、コマース、AI
主なサービス:
LINE Pay、LINEほけん、LINEスマート投資、LINE家計簿
LINE FRIENDS、LINEショッピング、LINEデリマ、LINE Clova等■LINE Payは、更なるコード決済普及のため、「LINEウォレット」タブの導入や、LINE Payの利用状況に応じた還元率でLINEポイントが付与される「マイカラー」プログラムを開始しました。加えて、「QUICPay」との提携やコード決済の認知度の高まりも追い風となり、LINE Pay国内スマホ決済対応箇所は100万箇所を達成しました。これらの施策により、台湾、タイを含むLINE Payの決済高は大きな成長を見せ、前連結会計年度比126.0%増の1兆687億円となりました。
■その他の金融事業に関しても、LINEほけん、LINEスマート投資、LINE家計簿を新たにリリースし、順調にサービスを拡大しました。
■LINE FRIENDSは、アイドルグループのBTSがプロデュースするBT21のキャラクターグッズが各国で人気を得ており、売上収益の成長に貢献しました。
■LINEショッピングは、2018年3月に月間アクティブユーザー数が1,000万人を突破し、取扱高は大幅に増加しました。LINEデリマにおいても、会員数が650万人を超え、順調にサービスを拡大しております。
■LINE Clovaは、新たに「Clova Friends mini」を発売しました。また、トヨタ自動車(株)との連携による「Clova Auto」を発表しました。
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売上収益構成比
広告事業
主なサービス:
LINE Ads Platform、LINE公式アカウント、LINE@、スポンサードスタンプ、LINEバイト等■インターネット広告市場の堅調な拡大を背景に、広告サービスの売上収益は1,082億円(前連結会計年度比42.5%増)、全売上収益に占める割合は52.2%となり、当社グループの売上収益全体を押し上げる原動力となりました。
■運用型広告プラットフォームを提供するディスプレイ広告では、広告配信システムの更なる最適化を図るため、大幅なプラットフォームの刷新を実施しました。また、継続的な広告プラットフォームの機能向上や広告主の増加等により、売上収益は前連結会計年度比36.1%と大きな成長を達成しております。
■アカウント広告は、広告主の裾野の広がりに対応すべく、「LINE公式アカウント」において従量課金による新プランの提供を開始しました。また、引き続き、国内外において公式アカウントやLINE@のアカウント数が増加したことにより、売上収益は前連結会計年度比45.7%の増加となりました。
コンテンツ、コミュニケーション、その他
主なサービス:
スタンプ、着せかえ、LINE GAME、LINEマンガ、LINE MUSIC等■コンテンツ、コミュニケーション、その他の売上収益は702億円、前連結会計年度比4.1%の減少となりました。
■LINE GAMEは、大型のコラボレーションやイベント等を実施し、既存タイトルを中心に売上収益は底堅く推移しました。
■LINEマンガ、LINE MUSICにおいては、機能改善やコンテンツ強化等の施策を実施した結果、順調にサービスは成長し、決済高、ユーザー数も大幅に上昇しました。
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売上収益構成比
Fintech、コマース、AI
主なサービス:
LINE Pay、LINEほけん、LINEスマート投資、LINE家計簿
LINE FRIENDS、LINEショッピング、LINEデリマ、LINE Clova等■LINE Payは、更なるコード決済普及のため、「LINEウォレット」タブの導入や、LINE Payの利用状況に応じた還元率でLINEポイントが付与される「マイカラー」プログラムを開始しました。加えて、「QUICPay」との提携やコード決済の認知度の高まりも追い風となり、LINE Pay国内スマホ決済対応箇所は100万箇所を達成しました。これらの施策により、台湾、タイを含むLINE Payの決済高は大きな成長を見せ、前連結会計年度比126.0%増の1兆687億円となりました。
■その他の金融事業に関しても、LINEほけん、LINEスマート投資、LINE家計簿を新たにリリースし、順調にサービスを拡大しました。
■LINE FRIENDSは、アイドルグループのBTSがプロデュースするBT21のキャラクターグッズが各国で人気を得ており、売上収益の成長に貢献しました。
■LINEショッピングは、2018年3月に月間アクティブユーザー数が1,000万人を突破し、取扱高は大幅に増加しました。LINEデリマにおいても、会員数が650万人を超え、順調にサービスを拡大しております。
■LINE Clovaは、新たに「Clova Friends mini」を発売しました。また、トヨタ自動車(株)との連携による「Clova Auto」を発表しました。
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* 当社グループは、2018年度よりIFRS第15号を適用しておりますが、完全遡及アプローチではなく、修正遡及アプローチを採用しているため、2017年度の連結業績は従前の会計基準であるIAS第18号に基づく数値であり、2018年度の連結業績はIFRS第15号に基づく数値となります。
また、当社グループは、2018年度よりセグメント別の損益管理を行っており、2017年度のセグメント別損益は実務上可能な範囲でのみ2018年度と同様の方法でセグメント別の損益を計算し、修正再表示しております。
対処すべき課題
当社グループが属するインターネット業界については、急激に市場が拡大しているものの、新規参入企業の増加に伴い、競争環境も激化しております。
このような状況の下、当社グループは「LINE」を社会的インフラとして成長させ、多様化するユーザーのニーズに応えるための継続的な新規コンテンツ及びサービスの拡充や、それを実現するための組織体制を整備し、今後の規模拡大に伴い、コーポレートガバナンスの強化も重要な課題として認識しております。
これらを具体化するため、以下の点を主な経営の課題と認識しております。
① 「LINE」の継続的成長
当社グループでは、「LINE」を通じてユーザーが必要とするコンテンツやサービスを提供し続けることが当社グループの安定的・継続的な発展に必要不可欠であると考えております。そのためには、「LINE」が日常生活に必要なコミュニケーションツールとして機能しながら、ゲーム、ニュース、音楽・動画等のコンテンツを提供したり、決済やオンラインショッピング等ユーザーの生活をより豊かにするサービスを追加したりすることで、「LINE」が生活の全ての入口となることを目指しております。
継続的な新規コンテンツの提供とサービスラインナップの拡大は、ユーザー数を増加させ、ユーザーエンゲージメントを高めるとともに、LINEプラットフォームをより強固なものにします。これにより、広告主に対してもターゲットを絞った双方向のマーケティングソリューションの提供を可能にし、当社グループの収益機会の増加につながります。
当社グループでは、今後も高い企画力・開発力により、革新的なサービスを提供することに取り組んでいく方針であります。
② 収益基盤の拡大
当社グループでは、常に新しい収益化の機会を探求しております。「LINE」を通じたユーザー基盤の拡大に加え、LINEプラットフォーム上でユーザーの生活をより豊かで便利なものにするコンテンツやサービスを提供し、これらのサービスがユーザーの利用に応じてそれぞれ成長することで収益基盤を拡大しております。さらに、これらのコンテンツサービスの提供を通じ高いユーザーエンゲージメントを維持することで、広告主にとってもメディア価値の高いプラットフォームとなり広告収益の拡大につながります。
また、当社グループでは、安定的かつ継続的な収益を確保するために、新サービスの導入を積極的に行っております。当社が「コア事業」と位置付けている広告、コミュニケーション及びコンテンツの分野におけるユーザー、広告主及びプラットフォーム提携先に対する提供価値の向上に加えて、中長期的な成長に貢献すると考え「戦略事業」と位置付けているFintech、コマース及びAIを中心とした注力領域において、既存サービスの発展及び新規サービスの導入を通じ新たな付加価値の創出を加速してまいります。
③ 海外における事業展開
当社グループは、2011年6月にモバイルメッセンジャー・アプリケーション「LINE」を日本でリリースし、その後、海外に順次展開いたしました。今日、「LINE」はユーザー規模において日本、タイ、台湾及びインドネシアにおけるモバイルメッセンジャー・アプリケーションの主要なプレーヤーであり、また、米国、大韓民国、ベトナム、サウジアラビア、マレーシア等を含むその他の世界各国においてもユーザーを獲得しております。
当社グループでは、これまで蓄積してきたマーケティングのノウハウ及び各地域の嗜好やニーズに合わせてコンテンツをカスタマイズしてきた経験を活かし、今後も特にアジアや「LINE」の認知度が高い市場に焦点をあて、メッセンジャーアプリケーションだけではなく、その他のサービスにおいてもユーザー基盤の拡大及びユーザーエンゲージメントの向上を目指してまいります。
④ 競合他社への対応
当社が事業を展開するインターネット及びモバイルアプリケーション市場において、ユーザーを誘致し確保するため競合他社も取組みを強化しており、今後競争が一層激しくなっていくことが予想されます。
当社グループが提供する「LINE」は、モバイルメッセンジャー・サービスとの直接的な競合関係だけでなく、幅広いソーシャル・ネットワーキング・サービス、オンライン広告サービス、ゲーム会社、携帯通信事業者、eコマース企業、音楽配信企業、AI関連企業、Fintech関連企業等、LINEプラットフォーム上で提供するサービスの特定機能と競合する可能性のある製品やサービスを提供する企業との競争に直面しております。当社グループでは、製品及びサービスの実用性、性能及び信頼性、プラットフォーム提携先との関係構築及び関係維持等により、ユーザーの拡大を進めるとともに、ユーザーの規模や構成により魅力的なコンテンツやサービスを提供する企業を惹きつけ、差別化を図っております。
さらに当社は、広告主の予算や宣伝活動の管理及び最適化用ツールやシステムの開発の面において、オンラインメディアを含むメディア媒体と競合しております。広告主の予算を獲得するため、当社グループでは、ユーザーのサービス利用の促進、広告在庫の確保、ターゲティング機能等を含む広告プラットフォームの機能改善を通じ、差別化を図っております。
モバイルアプリケーション市場全体が拡大することは、当社グループにとって大きなメリットになると思われ、上記の差別化を図りながら、既存サービスの利便性を強化し、更なる成長を進めるとともに、新規サービスの投入及び海外展開をより一層積極的に取り組んでまいります。
⑤ 優秀な人材の採用
当社グループでは、今後の更なる成長にとって優秀な人材を適時に採用することが経営上重要な課題と認識しております。特に上級管理者、エンジニア、デザイナー及びプロダクトマネージャー等、高度な技能を有する人材を巡って厳しい競争を迎えており、採用コストは増加傾向にあります。この競合環境は、特に先進的な技術分野や成長の早いインターネット事業に属する他の企業と競っております。当社グループでは、優秀な人材を採用していくために、独立性、創造性、イノベーションを奨励する労働環境等の従業員の高いモチベーションにつながる環境整備や、やりがい及び報酬等の人事制度の面から企業としての採用競争力を強化してまいります。
⑥ 経営管理体制及び法令遵守の強化
当社グループは、事業拡大により従業員数が急激に増大しており、市場動向、競合企業、顧客ニーズ等の変化に対して速やかにかつ柔軟に対応できる組織を運営するため、また、企業価値を継続的に向上させるため、諮問委員会によるガバナンス向上や、内部統制に係る体制、法令遵守の徹底に向けた体制の強化に努めてまいります。
⑦ システム基盤の強化
当社グループは、収益の基盤となるサービスをインターネット上で展開していることから、システムの安全性及び安定性の確保が経営上の重要な課題であると認識し、これまでも、ユーザーからの信頼構築と維持のため、ユーザーのプライバシー保護、安全なオンライン環境の推進、ユーザーデータの安全性を保証するプログラムの開発及び導入等を行ってまいりました。セキュリティに関しては、ユーザーの個人情報保護に対する取組みの一環として、技術及び人的資源への投資を行っており、当社グループのセキュリティ室は、商用ツール、コードの安全性の検討や侵入試験、内部及び外部監査を利用したセキュリティの脆弱性の調査を積極的に実施しております。また、当社グループは、情報の保護の方策を厳格に実行するための内部方針を制定し、加えてセキュリティ及びプライバシー両方の国際的な認証を取得しております。なお、ユーザーが誰と何を共有するかはユーザーの権限であるとの方針のもと、ユーザー間のプライベートなコミュニケーションの監視は行っておりません。
当社グループでは、今後も引き続きユーザー数の増加に対応するための負荷分散等、設備への先行投資をはじめ、継続的にシステム基盤の強化を図るとともに、大容量データのハンドリング技術や高い障害対応能力をさらに進化させ、ユーザーが安心して利用できる信頼性の高いシステム構築に取り組んでまいります。
⑧ サービスの安全性及び健全性の確保
当社グループが提供する「LINE」は、ユーザー同士の密接なコミュニケーションを補完するツールであります。そのクローズドなコミュニケーションの場というサービスの特質上、時としてユーザーがトラブルに巻き込まれてしまうことを当社としては非常に憂慮しており、各種対策を行っております。
「LINE」はユーザーが他のユーザーからのLINE IDによるアカウント検索を許すか否かについて選択できるように設計されている他、未成年の利用者のトラブルを未然に防ぐ目的で、年齢確認をしていない利用者や18歳未満の利用者は、「LINE」のID設定及びID検索機能をご利用いただけません。
また、当社グループでは青少年の健全なインターネット利用を啓発するための教材の開発や、学生、生徒、児童向けや、教職員、PTA等に向けた、安心安全な利用を呼びかける啓発講演活動を2012年以降継続して実施する等、情報モラル教育の発展に努めております。
今後も引き続き、利用者保護のための適切な措置を随時講じる等、サービスの安全性及び健全性の確保に努めてまいります。
連結計算書類
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