事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日 まで)
企業集団の現況に関する事項
事業の経過及び成果
当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中、ワクチン接種の進展や海外需要の回復により景気持ち直しの動きが続きましたが、感染者数の増減に伴い社会・経済活動の制限と緩和が繰り返され、不安定な状況で推移いたしました。世界経済についても、先進国を中心に経済活動の制限が緩和され需要が回復基調にあるものの、断続的に訪れる感染症拡大の波や資源価格の高騰、インフレ圧力の上昇・長期化、世界的な供給網の混乱などの景気減速要因に加え、足元ではロシアのウクライナ侵攻や中国上海のロックダウンなどが下押し要因となり、先行きは依然として不透明な状況にあります。
このような情勢下、当社グループの連結業績については、売上高は、ナフサ等の原燃料価格及び海外製品市況の上昇による販売価格の上昇に加え、需要の回復による販売数量の増加により、9,186億円と前期に比べ1,857億円(25.3%)の増収となりました。営業利益は、販売価格の上昇が原燃料高の影響を上回ることで交易条件が改善し、1,440億円と前期に比べ562億円(64.0%)の増益となりました。経常利益は、1,605億円と前期に比べ653億円(68.7%)の増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益については、1,079億円と前期に比べ447億円(70.6%)の増益となりました。
事業セグメント別の概況
当期の事業セグメント別の概況は、次のとおりであります。


主要製品
エチレン・プロピレン等オレフィン製品、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及び樹脂加工製品、機能性ポリマー 等
プロピレン及びキュメンは、需要の回復や生産量の増加に伴い出荷が増加いたしました。また、ナフサ等の原燃料価格及び海外製品市況の上昇により、製品価格が上昇いたしました。
ポリエチレン樹脂は、需要の回復に伴い国内輸出ともに出荷が増加いたしました。また、ナフサ価格及び海外市況の上昇を反映して製品価格が上昇いたしました。クロロプレンゴムは、需要の回復に伴い国内輸出ともに出荷が増加いたしました。また、堅調な海外需要を背景に製品価格が上昇いたしました。
この結果、売上高は、前期に比べ458億円(34.9%)増加し1,772億円となり、営業利益は、幅広い製品の出荷増加に加え、ナフサ等原料価格上昇による製品受払差の改善により、前期に比べ80億円(103.2%)増加し157億円となりました。


主要製品
苛性ソーダ、塩化ビニルモノマー、塩化ビニル樹脂、無機・有機化学品、セメント、ウレタン原料 等
苛性ソーダは、輸出を中心に出荷が減少いたしましたが、海外市況の上昇を反映し製品価格は上昇いたしました。塩化ビニルモノマー及び塩化ビニル樹脂は、いずれも生産量の減少に伴い出荷が減少いたしましたが、ナフサ価格及び海外市況の上昇を反映し塩ビ製品の製品価格は上昇いたしました。
セメントは、国内輸出とも出荷が堅調に推移いたしました。
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、前期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により稼働を停止していた中国の生産子会社が順調に稼働したことや需要の回復に伴い、国内外で出荷が増加いたしました。また、海外市況の上昇を反映し製品価格が上昇いたしました。
この結果、売上高は前期に比べ868億円(31.6%)増加し3,616億円となり、営業利益は、塩ビ製品やウレタン原料の交易条件の改善により、前期に比べ280億円(67.4%)増加し695億円となりました。


主要製品
無機・有機ファイン製品、計測・診断商品、ハイシリカゼオライト、ジルコニア、電子材料(石英ガラス、スパッタリングターゲット) 等
エチレンアミンは、需要の回復に伴い国内輸出ともに出荷が増加いたしました。また、海外市況の上昇により製品価格は上昇いたしました。
計測関連商品は、欧米及び中国向けで液体クロマトグラフィー用充填剤の出荷が増加いたしました。診断関連商品は、需要の回復に伴い国内、欧米及びアジア向けで体外診断用医薬品の出荷が増加いたしました。
ハイシリカゼオライトは、需要の回復に伴い自動車排ガス触媒用途を中心に国内外で出荷が増加いたしました。ジルコニアは、需要の回復に伴い歯科材料用途の輸出が増加いたしました。石英ガラスは、半導体需要の拡大に伴い出荷が増加いたしました。電解二酸化マンガンは、需要の回復に伴い乾電池・二次電池用途で出荷が増加いたしました。
この結果、売上高は、前期に比べ456億円(25.3%)増加し2,262億円となり、営業利益は、主に需要の回復による販売数量増加の影響により、前期に比べ200億円(85.0%)増加し435億円となりました。


主要製品・事業
水処理装置、建設・修繕 等
水処理エンジニアリング事業は、電子産業分野を中心に受注した国内外の大型案件の工事が順調に進捗したことから、売上高が増加いたしました。
建設子会社の売上高は増加いたしました。
この結果、売上高は前期に比べ101億円(9.5%)増加し1,163億円となり、営業利益は前期に比べ3億円(2.4%)増加し123億円となりました。


主要事業
運送・倉庫、検査・分析、情報処理 等
商社等その他事業会社の売上高は減少いたしました。
この結果、売上高は前期に比べ25億円(6.4%)減少し373億円となり、営業利益は前期に比べ0億円(0.6%)減少し31億円となりました。