事業報告(2022年1月1日から2022年12月31日まで)

企業集団の現況

当事業年度の事業の状況

事業の経過及び成果

当連結会計年度における我が国経済は、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあり景気は持ち直しの動きが見られるものの、世界的な金融引き締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、また、物価上昇や供給面での制約、金融資本市場の変動等に十分注意する必要がある状況が続いております。
当社グループの事業は必ずしも対面によることが必要とされるものではなく、オンラインによる非対面でのコミュニケーションによってもクライアントへのサービスの提供が成立することから、事業への直接的な影響は限定的でありました。一方で、クライアントの予算凍結や見直しによる商談や受注の遅れや、動画ソリューションにおけるクライアントポートフォリオの見直しにより、売上高に影響がありましたが、㈱ディーゼロの子会社化による提供ソリューションの充実や、加速する企業のDX化のニーズにいち早く対応して、DXに関するクライアントへのソリューションを拡充することにより、当社グループ全体の連結売上高は成長基調を維持しております。
国内コンサルティングサービス市場は、2025年には1兆2,551億円に達すると予測され(注1)、インターネット広告の市場規模は2兆7,052億円となり、「新聞広告費」「雑誌広告費」「ラジオ広告費」「テレビメディア広告費」を合計した「マスコミ四媒体広告費」の2兆4,538億円をインターネット広告費が初めて上回り(注2)、5G携帯端末の契約台数は5,736万台に達し(注3)、5G化に伴って動画広告は2025年には1兆円規模に達すると見込まれております(注4)。マーケティング領域でのデジタル化はさらに進んでいくと想定される中、当社グループの事業機会はさらに拡大していくものと考えています。
また、日本国内のDX市場は2030年には6兆5,195億円の規模にまで成長すると予測されており(注5)、DXの市場拡大は当社グループのさらなる展開につながっていくものと考えております。
このような経営環境の中、当社グループはUX/DXソリューション及び動画ソリューションの既存顧客の契約継続及び新規顧客の獲得に注力するとともに、新サービスの投入、プロダクトの開発・改善、顧客数増加に向けたマーケティングなどの先行投資を行ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は2,667,797千円(前連結会計年度比18.0%増)、営業損失102,839千円(前連結会計年度は45,720千円の営業利益)、経常損失127,314千円(前連結会計年度は25,627千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失285,792千円(前連結会計年度は101,657千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

出典
  • (注1)International Data Corporation(IDC) 「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2021年~2025年」
  • (注2)㈱電通「2021年 日本の広告費」
  • (注3)総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和4年度第2四半期(9月末)) 」
  • (注4)㈱サイバーエージェント、㈱デジタルインファクト「2021年 国内動画広告の市場調査」
  • (注5)㈱富士キメラ総研「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」

セグメント別の状況

売上高
前期比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

UX/DXソリューションは、新型コロナウイルス感染症の影響拡大・長期化によりリモートワークの導入など企 業のデジタル活用が進む中、これまでのWebサイト改善だけではなく、2021年8月に子会社化した㈱ディーゼロによるWebサイト制作を入口として、企業のDX支援のコンサルティングや人材育成のサポートなど周辺領域への事業拡大やクロスセルが進んでおります。また、金融、B to B、高単価のB to Cサービスを提供する業種を中心に、非対面チャネル強化が主要テーマとなり底堅い需要が続いております。
この結果、売上高は1,984,881千円(前連結会計年度比37.0%増)、セグメント損失は23,542千円(前連結会計年度は26,691千円の利益)となりました。

売上高
前期比 %減
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売上高構成比率 %

(単位:

動画ソリューションは、拡大する顧客の動画広告制作のニーズに加え、動画活用方法の変化により従来の小売 りやB to C企業だけでなくB to B企業から受注するなど、制作する動画の多様化が進みました。また、コロナ禍 において進みつつある動画活用の需要を捉え、商品ラインナップの強化や積極的な営業活動を行いましたが、市 場の競争環境が激しくなりつつあり、クライアントポートフォリオの見直し等戦略転換に想定以上の時間を要し、業績に影響を及ぼす結果となりました。
この結果、売上高は683,075千円(前連結会計年度比15.8%減)、セグメント損失は79,296千円(前連結会計年度は19,028千円の利益)となりました。

設備投資の状況

イ.当連結会計年度中に完成した主要設備
当連結会計年度中において実施いたしました設備投資の総額は209,741千円であります。その主な内容は、弊社がお客様に提供しているソフトウェアプラットフォームへの設備投資となります。

ロ.当連結会計年度において継続中の主要設備の新設、拡充 該当事項はございません。

ハ.当連結会計年度中に実施した重要な固定資産の売却、撤去、滅失
該当事項はございません。

資金調達の状況

株式会社ハイウェルの株式取得に必要な資金として2022年10月31日に金融機関より長期借入金200,000千円及び短期借入金290,000千円の調達を行いました。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し今後の売上が継続的に減少した場合等に対処すべく、金融機関とのコミットメントライン契約1,300,000千円を締結しております。

他の会社の株式その他の持分又は新株予約権等の取得又は処分の状況

2022年10月31日付で株式会社ハイウェルの発行済株式70.0%を取得し連結子会社といたしました。

重要な子会社の状況

対処すべき課題

当社グループでは、以下の事項を主要な課題と捉えております。

サービス認知度の向上、新規顧客の獲得

当社グループが今後も高い成長率を持続していくためには、当社グループのサービス認知度を向上させ、新規顧客を獲得することが必要不可欠であると考えております。従来より、積極的な広報活動に加え、インターネットを利用したマーケティング・広告活動・大手企業との提携等により認知度向上に向けた取り組みを行ってまいりましたが、今後、これらの活動をより一層強化・推進してまいります。

グロースハッカーネットワークの健全な拡大(注)

当社グループのソリューションはプラットフォーム上のグロースハッカーネットワークを活用して提供されており、グロースハッカーネットワークの健全な拡大により、当社グループの競争力をより高めていくことができると考えております。
そのため、教育機関との連携によるグロースハッカーの育成、グロースハッカーが互いのノウハウや知識共有することができるコミュニティの運営及びトップレベルのグロースハッカーを表彰する「Growth Hacker Awards」の開催等を通じて、グロースハッカーネットワークの健全な拡大を目指してまいります。

(注)グロースハッカー…
Webサイトの効果や収益を高め、企業やサービスを成長させる施策を行う人材の総称。

システムの安定性強化

当社グループは、インターネットを介したサービスを展開していることから、サービス提供に係るシステム稼働の安定性を確保することが経営上重要な課題であると認識しております。
そのため、突発的なアクセス増加にも耐えられるようなサーバー設備の強化や、そのための人員確保、教育・研修などを継続的に行ってまいります。

情報管理体制の強化

当社グループは、グロースハッカーの個人情報を保有しており、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、個人情報保護方針及び社内規程に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修の実施やシステムの整備等を継続して行ってまいります。

組織体制の強化と内部統制及びコンプライアンス体制の強化

当社グループは、今後更なる事業拡大を推進するにあたって、従業員のモチベーションを引き出す目標管理制度や福利厚生等の人事制度構築に努めながら、業務遂行能力、当社グループの企業文化及び経営方針への共感を兼ね備え、様々な分野で活躍できる優秀な人材の採用に取り組んでおります。組織設計においては少人数単位でのチーム制を採用すると同時に、チーム毎の自律性を促すよう権限の委譲を推し進めることで意思決定の質とスピードを維持するなど、従業員のパフォーマンスを最大化させる取り組みを継続していく方針であります。
当社グループは、持続的企業価値向上と透明性の高い健全な経営を実現することを経営の最重要課題の一つとして位置づけ、内部統制及びコンプライアンスの強化に取り組んでおります。関係法令・規則の遵守、役職員一人ひとりの高い倫理観の醸成、社会的良識を持った責任ある行動を目指し、社内教育を行ってまいります。また、代表取締役を委員長とする「コンプライアンス委員会」を設置して、コンプライアンス上の重要な問題を審議し、その結果を取締役会に報告する体制を取っており、これを適切に運用することによりコンプライアンスの徹底と社会的信用の向上を図っていく方針であります。

新型コロナウイルス感染症への対応

当社グループは、リモートワークの推奨や会議室における座席間隔の確保等を実施し、柔軟に事業を継続できる体制の整備に努めております。今後におきましても、引き続き新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う経済活動への影響を注視するとともに、想定外のリスクや不測の事態を想定し、経営環境の変化に臨機応変に対応できる体制の構築を図ってまいります。

直前3事業年度の財産及び損益の状況

主要な事業内容(2022年12月31日現在)

連結計算書類