事業報告(2023年1月1日から2023年12月31日まで)

企業集団の現況

当事業年度の事業の状況

事業の経過及び成果

当連結会計年度における我が国経済は、一部に足踏みもみられつつも緩やかな回復基調が持続しております。一方で、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、さらに、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分な注意が必要な状況が続いております。
当社グループの事業は必ずしも対面によることが必要とされるものではなく、オンラインによる非対面でのコミュニケーションによってもクライアントへのサービスの提供が成立することから、新型コロナウィルス感染症対策に基づく行動制限やその解消に伴う事業への直接的な影響は限定的でありました。また、行動制限が解消される中で、当社グループシナジーの追求や商品ラインナップの強化、クライアントポートフォリオの見直し、提供ソリューションの拡充とともに、2022年10月に子会社化した㈱ハイウェルのSES事業(システムエンジニアリングサービス)の売上が寄与し、当社グループ全体の連結売上高は成長基調を維持しております。
インターネット広告の市場規模は2兆7,052億円となり、「新聞広告費」「雑誌広告費」「ラジオ広告費」「テレビメディア広告費」を合計した「マスコミ四媒体広告費」の2兆4,538億円をインターネット広告費が初めて上回り(注1)、日本国内のDX市場は新型コロナウイルス感染症流行後も拡大を続け、2030年には6兆5,195億円の規模にまで成長すると予測されております(注2)。このように、事業変革をもたらすマーケティング領域でのDX化がさらに進んでいく中、当社グループが提供する、デジタル上の顧客体験を改善して事業成長を支援する「攻めのDX」のニーズもますます高まると想定され、当社グループの事業機会はさらに拡大していくものと考えています。
このような経営環境の中、当社グループはグロースセグメント及びトランスフォーメーションセグメントの既存 顧客の契約継続及び新規顧客の獲得に注力するとともに、新サービスの投入、プロダクトの開発・改善、顧客数増加に向けたマーケティングなどの先行投資を行ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は4,343,141千円(前連結会計年度比62.8%増)、営業損失25,661千円(前連結会計年度は102,839千円の営業損失)、経常利益11,603千円(前連結会計年度は127,314千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失21,696千円(前連結会計年度は285,792千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

出典
  • (注1)㈱電通「2022年 日本の広告費」
  • (注2)㈱富士キメラ総研「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」

セグメント別の状況

売上高
前期比 %減
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売上高構成比率 %

(単位:

グロースセグメントは、新たな生活様式及び勤務形態の浸透によりリモートワークの導入など企業のデジタル活用が進む中、これまでのWebサイト改善や動画制作だけではなく、子会社である㈱ディーゼロによるWebサイト制作やCRMの改善など顧客の課題に合わせたトータル提案に注力した結果、大手顧客を中心に受注を獲得し、顧客単価が向上しましたが、動画制作を中心とした集客領域においてクライアントポートフォリオの見直し等戦略の再構築に想定を上回る時間を要し、業績に影響を及ぼす結果となりました。
この結果、売上高は2,382,521千円(前連結会計年度比1.2%減)、セグメント損失は111,316千円(前連結会計年度は223,447千円の損失)となりました。

売上高
前期比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

トランスフォーメーションセグメントは、DXに関するコンサルティングやワークショップ及び2022年10月に子会社化した㈱ハイウェルの行う事業により売上が構成されております。なお、㈱ハイウェルが当連結会計年度より業績が連結されたことにより、売上高は大幅に伸長しております。
この結果、売上高は1,960,620千円(前連結会計年度比662.2%増)、セグメント利益は85,654千円(前連結会計年度比29.0%減)となりました。

設備投資の状況

イ.当連結会計年度中に完成した主要設備
当連結会計年度中において実施いたしました設備投資の総額は91,883千円であります。その主な内容は、弊社がお客様に提供しているソフトウェアプラットフォームへの設備投資となります。

ロ.当連結会計年度において継続中の主要設備の新設、拡充 該当事項はございません。

ハ.当連結会計年度中に実施した重要な固定資産の売却、撤去、滅失 該当事項はございません。

資金調達の状況

運転資金の効率的な調達を行うため金融機関とのコミットメントライン契約500,000千円を締結しております。当連結会計年度末の実行残高はありません。

他の会社の株式その他の持分又は新株予約権等の取得又は処分の状況

イ.2023年6月30日付で株式会社ディーゼロの株式を追加取得し、議決権比率を100%といたしました。

ロ.持分法を適用した非連結子会社であった株式会社DX Catalystは、株式の全部を譲渡したことにより、持分法適用の範囲から除外しております。

重要な子会社の状況

対処すべき課題

当社グループでは、以下の事項を主要な課題と捉えております。

① クライアントあたりの取引単価向上

当社グループが今後も持続的な成長を実現していくためには、クライアントあたりの取引単価向上が戦略的に重要だと考えております。引き続き高い成長が見込まれるマーケティングのDX化の領域において、多様な業種の大手クライアントに対し、コンサルティング力を最大限に活かしつつ、デジタル上の顧客体験の改善に向けて一層充実したサービスを幅広く提供していくことにより、国内におけるDXニーズを的確に捉えてクライアントとの関係強化を図り、クロスセルをさらに積極的に推進することで、クライアントあたりの取引単価向上を目指してまいります。

② グロースハッカーネットワークの健全な拡大

当社グループのソリューションはプラットフォーム上のグロースハッカーネットワークを活用して提供されており、グロースハッカーネットワークの健全な拡大により、当社グループの競争力をより高めていくことができると考えております。そのため、教育機関との連携によるグロースハッカーの育成、グロースハッカーが互いのノウハウや知識を 共有することができるコミュニティの運営及びトップレベルのグロースハッカーを表彰する「Growth Hacker Awards」の開催等を通じて、グロースハッカーネットワークの健全な拡大を目指してまいります。

(注)グロースハッカー…
Webサイトの効果や収益を高め、企業やサービスを成長させる施策を行う人材の総称。

③ システムの安定性強化

当社グループは、インターネットを介したサービスを展開していることから、サービス提供に係るシステム稼働の安定性を確保することが経営上重要な課題であると認識しております。そのため、突発的なアクセス増加にも耐えられるようなサーバー設備の強化や、そのための人員確保、教育・研修などを継続的に行ってまいります。

④ 情報管理体制の強化

当社グループは、グロースハッカーの個人情報を保有しており、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、個人情報保護方針及び社内規程に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修の実施やシステムの整備等を継続して行ってまいります。

⑤ 組織体制の強化と内部統制及びコンプライアンス体制の強化

当社グループは、今後更なる事業拡大を推進するにあたって、従業員のモチベーションを引き出す目標管理制度や福利厚生等の人事制度構築に努めながら、業務遂行能力、当社グループの企業文化及び経営方針への共感を兼ね備え、様々な分野で活躍できる優秀な人材の採用に取り組んでおります。組織設計においては少人数単位でのチーム制を採用すると同時に、チーム毎の自律性を促すよう権限の委譲を推し進めることで意思決定の質とスピードを維持するなど、従業員のパフォーマンスを最大化させる取り組みを継続していく方針であります。
当社グループは、持続的企業価値向上と透明性の高い健全な経営を実現することを経営の最重要課題の一つとして位置づけ、内部統制及びコンプライアンスの強化に取り組んでおります。関係法令・規則の遵守、役職員一人ひとりの高い倫理観の醸成、社会的良識を持った責任ある行動を目指し、社内教育を行ってまいります。また、代表取締役を委員長とする「コンプライアンス委員会」を設置して、コンプライアンス上の重要な問題を審議し、その結果を取締役会に報告する体制を取っており、これを適切に運用することによりコンプライアンスの徹底と社会的信用の向上を図っていく方針であります。

直前3事業年度の財産及び損益の状況

主要な事業内容(2023年12月31日現在)

連結計算書類