事業報告(抜粋)(2020年4月1日から2021年3月31日まで)
事業の経過およびその成果
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けるなか、社会経済活動のレベルを引き上げつつ持ち直しに向かっておりますが、感染の再拡大により先行きについては不透明な状況が続いております。
このような環境のもと、当社グループは中期経営計画〔Good chemistry Good growth 2020〕の最終年度を迎え統合効果の最大化とグループ全体の成長力、収益力を強化するための施策を実行し、今後の着実な成長に向けた体制整備に注力してまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は1,344億7千万円(前年同期比3.6%減)、営業利益は85億1千1百万円(前年同期比15.4%増)、経常利益は88億7百万円(前年同期比15.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度に当社連結子会社における固定資産の譲渡による特別利益を計上した反動があり53億3千2百万円(前年同期比59.3%減)となりました。
(ご参考)

次に、事業のセグメント別の概況をご報告申しあげます。
(単位:)
住設建材事業は、主力のポリカーボネート製採光建材および住設資材において、コロナ禍における巣ごもり需要によりホームセンター向けの販売は引き続き堅調に推移しましたが、新設住宅着工戸数の低迷が影響し減収となりました。また、サイネージ事業についてもユーザーの広告宣伝費削減の影響を受け、企業向け需要が大幅に落ち込み、事業全体としては減収となりました。
床・建装事業は、床部門において、コロナ禍によるマンション改修工事案件の中止、延期の影響が大きく減収となりました。建装部門においても、国内の建築物件向けは大きく落ち込み、海外向けが一部回復基調にあるものの、北米、中国市場の回復がみられず、事業全体としては減収となりました。
その結果、建築資材事業セグメントの売上高は421億4千7百万円(前年同期比9.0%減)、営業利益は20億6千9百万円(前年同期比38.0%減)となりました。
(単位:)
アグリ事業は、年度末に一部ハウス用資材で値上げ前の駆け込み需要等があったものの、総じて前年風害需要の反動やコロナ禍による生産者買い控え、事業物件の遅れ、延期等の影響から本格的な需要回復には至らず、農業用フィルム・ハウス関連資材ともに減収となりました。
インフラマテリアル事業は、コロナ禍と大雪による工事遅延の影響が依然として続いたため、わずかに減収となりましたが、災害復興需要や更生管事業は堅調に推移したこと、ハウエル管の大型物件への販売が好調を維持したこともあり、利益は大きく伸長しました。
その結果、環境資材事業セグメントの売上高は549億3千万円(前年同期比1.3%減)、営業利益は23億2千9百万円(前年同期比68.7%増)となりました。
(単位:)
高機能材事業は、半導体製造設備の需要拡大を受けて、主力の工業用プレートが急回復しました。PETプレートも飛沫防止パネル向けを中心に好調を持続しました。ナノ材料は通信機器やデータセンター設備の旺盛な需要に牽引され伸長しました。一方、光学用ポリカーボネートシート、眼鏡フレーム材料は一部で持ち直しの兆しがあるものの、コロナ禍の影響により減収となりました。
その結果、高機能材事業セグメントの売上高は174億7千8百万円(前年同期比1.2%増)、営業利益は18億3百万円(前年同期比37.3%増)となりました。
(単位:)
ボンセット事業は、シュリンクフィルムが国内販売および欧州市場で苦戦し、北米市場のコロナ禍における巣ごもり需要があったものの減収となりました。
サンジップ事業は、ジッパーテープが日本国内、アジア、欧米を中心に堅調に推移し、増収となりました。
その結果、機能フィルム事業セグメントの売上高は194億6千4百万円(前年同期比1.1%減)、営業利益は19億8千4百万円(前年同期比71.7%増)となりました。
対処すべき課題
2021年度のわが国経済の見通しにつきましては、新型コロナウイルスの感染状況次第ながら、ワクチン接種の開始による経済活動の正常化に向けた動きなどにより、緩やかな上向き傾向が期待されるものの、依然として先行きは不透明な状況であります。
このような状況下タキロンシーアイグループとしましては、企業グループの理念体系を再構築するとともに、新中期経営計画「変革への決意 Commit to Transformation 2023」を策定し、その初年度として、「1.社会課題の解決、2.新事業・新製品・新技術の獲得、3.ボーダレスの加速、4.デジタルの実装、5.グループ経営の再整備、6.経営基盤の進化」の6つの重点実施項目を設定し計画達成に向け第一歩を踏み出しました。グループ企業理念および重点実施項目の内容については以下の通りです。
<グループ企業理念>

【使命】これまでに磨いてきた様々な経営資源を通じて、人びとの暮らしと地球環境に対し責任と役割を果たし続けるということ。1919年の創立から、今日の暮らしを支え、明日の社会を変えてきたタキロンシーアイグループは、これからも「安心と心地よさ」という価値を未来に向けて創造する企業グループでありたいと考えます。
【実現したい企業文化】使命を実現するために備えるべき大切なもの。100年を超えて技術を磨き、信頼を積み重ねてきたことを私たちの「誇り」としつつも、現状に満足せず、自らの変革をいとわず、果敢に挑戦する「勇気」を常に持ち続けることを企業文化として育んでいきます。
<重点実施項目>
1.社会課題の解決
社会の持続可能性(サステナビリティ)を意識し、SDGsを踏まえた事業活動とマテリアリティの着実な実行により具体的な社会課題の解決に寄与します。
2.新事業・新製品・新技術の獲得
未来の変化・需要を見据えて、次世代を担う新事業・新製品・新技術の創出にチャレンジし、実現します。
3.ボーダレスの加速
販売・生産拠点のグローバル進出、新しい価値基準でのマーケティング、ダイバーシティ(性別、人種、国籍、宗教、年齢)の組織・企業文化での実現など、ボーダレスな視点で企業価値向上と事業成長を追求します。
4.デジタルの実装
全ての業務プロセスにおいて最先端技術の活用を検討し、作業の効率化、省力化、コストダウンなどの成果を追求します。販売面において新たな付加価値を生むようなデジタル活用を推進し、新たなビジネスモデルの創出を目指します。
5.グループ経営の再整備
主管事業部による連結事業戦略の立案、グループ内での共有を図り、複合的な事業協働や投資効率の最大化を果たすことで、連結事業体としての価値創造を実現します。
6.経営基盤の進化
ワークライフバランスによる制度設計を進化させ、全社員による「充実人生 経営宣言」を実践します。無事故、ハラスメント撲滅など、職場環境や日常のコミュニケーションを再度見直し、安全・安心に働ける職場への進化も追求します。