事業報告(2022年4月1日から2023年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

企業集団の事業の経過及び成果

当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症に起因する活動制限が緩和されたことで、経済活動の正常化が進んでおります。

しかしながら不安定な国際情勢によるエネルギーや原材料価格の上昇、また円安などに起因する物価高が個人消費を下押しするなど、依然として先行きの不透明感は強まっております。

このような経営環境において、当社グループは「生活文化創造企業」の経営理念の下、コロナ禍によって新たに発生した社会的ニーズを含めた幅広い社会課題の解決を事業機会と捉え、他にない製品やサービスの開発と事業化に努めてまいりました。

その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高30,170百万円(前期比6.1%増)、営業利益3,256百万円(同13.4%減)、経常利益3,440百万円(同13.2%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、2,063百万円(同25.1%減)となりました。

事業区分別の概況

企業集団の財産及び損益の状況

管理本部長メッセージ

2023年3月期は、売上高301億70百万円、経常利益34億40百万円と増収減益になりました。

新中期経営計画では、Evolve(進化する)ことで、社会課題の解決に資する価値を提供する存在であり続けることを目指しており、人財の育成、デジタルの積極的な活用等による製品の付加価値の向上や業務の一層の効率化の推進、健全な財務内容を堅持しつつ今後の成長に不可欠な投資を実行すること等によるキャッシュの創出を通じて、今後とも当社グループの持続的な成長と企業価値向上を図ってまいります。

(注)
  • 1株当たり当期純利益は、自己株式を控除した期中平均発行済株式総数により、1株当たり純資産額は、自己株式を控除した期末発行済株式総数により算出しております。
  • 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第68期の期首から適用しております。

対処すべき課題

【当社グループを取り巻く経営環境】

新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために制限されていた企業活動や個人消費が正常化しつつある中で、『コロナ禍』がもたらした生活様式の変化において、元に戻るものと恒常的に定着するものの選別が急速に進んでいる状況にあります。

また、近年SDGsに代表されるように企業に対してのサスティナビリティへの取り組み強化が強く要請される中で、社会課題の解決に資する価値の提供が事業の拡大につながる状況にあり、当社グループにとって新たな事業機会であると認識しております。

【中期経営計画】

当社グループは2023年4月に第7次中期経営計画『Evolve!!』を策定いたしました。当社グループを取り巻く経営環境は現在進行形で目まぐるしく変化していると捉え、『進化する』ことで社会課題の解決に資する価値を提供する存在であり続けることを目指しております。

第7次中計では経営ビジョンを『デジタルを活用し、アナログ的(エモい)価値を創り出す「ヒト(人財)」を育て、その価値を通して社会課題の解決に貢献する。』と設定し当社グループにしか創り出せない価値を提供してまいります。

ファインケミカル

一般消費者向け販売

サービスによる価値提供の強化をしつつ、業務用コーティング施策と連動した製品開発に努めてまいります。

またオンライン店舗の仕組構築や集客施策の強化や、新たな市場に対して意識を向けて当社製品が届いていない領域への進出に取り組んでまいります。

業務用製品販売

施工業者に対して、「磨き」を軸としたメニュー展開の推進や新たな得意先へのアプローチに力を入れるだけでなく、オンラインを活用することで集客システムの構築や海外G’ZOXショップへの研修強化に取り組んでまいります。

家庭用製品販売

主力であるメガネケア製品での販路開拓や、スポーツ用品向け等の販売カテゴリーでの売上拡大と、新たに業務用・眼科ルート開拓を軸にメガネケアの習慣化を推進してまいります。

海外向け販売

SNSを積極的に活用して日本の洗車習慣を世界へ発信し、海外専売品のラインナップ強化や販売増加に取り組んでまいります。

また、アフリカや米国などの新たな市場に進出するため、現地生産も視野に入れて化学規制に対する調査や販路の確立に努めてまいります。

TPMS(タイヤ空気圧監視装置)

得意先へのメンテナンスサービスの推進に加え、TPMSで得られる空気圧データを活用した運転管理サービスの推進により、提供価値の拡充に努めてまいります。

電子機器・ソフトウェア開発販売

従来取り組んできたインフラ設備に対する開発販売の知見を活かし、消費者向け製品の開発に積極的に取り組んでまいります。

ポーラスマテリアル

産業資材部門

前中期経営計画に続き半導体向けを中心とした販売シェアの拡大だけでなく、アイオン㈱とアズテック㈱のシナジー発揮により、医療分野での販売拡大に取り組んでまいります。

生活資材部門

ウェブを活用したアプローチによる販売拡大に取り組みつつ、自社ブランドの新たな開発に努めてまいります。

サービス

鈑金事業では、エンドユーザー向けのサービスの推進、自動車教習事業では、高齢者講習ビジネスやドローンライセンスの強化、生活用品企画販売事業では、自社開発や生協以外のネット販売の強化に努めてまいります。

不動産関連

不動産関連では、保有不動産の有効活用の推進、介護予防支援事業では、認知を高め、他社との差別化や新規入所者獲得に努めてまいります。

株主のみなさまにおかれましては、今後とも一層のご支援を賜りますよう、お願い申しあげます。

新中期経営計画について

当社グループは2023年4月より第7次中期経営計画“Evolve!!”をスタートいたしました。
前中期経営計画においては計画策定時には想定していなかった、『コロナ禍』によって、当社グループを取り巻く経営環境は大きく変化いたしました。
連結業績については、サービスセグメント・不動産関連セグメントは、外出自粛などにより苦戦したものの、ファインケミカルセグメントは、『巣ごもり消費』がカーケアに波及したことで製品・サービスの需要が拡大したことやポーラスマテリアルセグメントもテレワークの普及などによる半導体需要の拡大により、出荷が好調に推移したことでグループ全体では業績が伸長いたしました。
しかしながら当初計画していた施策実行については、経営環境の変化への対応を優先したことで課題が残りました。
新中期経営計画においては、前中期経営計画で積み残した施策に改めて挑戦するとともに、近年企業に対する社会的要請の高まりに対してその課題解決に資する施策の実行に取り組むことで、更なる事業領域の拡張を目指し、新中期経営計画の目標達成に向けて事業活動を推進してまいります。

新中期経営計画概要
― 経営理念・第7次中期経営計画テーマ

サプライチェーンの機能不全・気候変動・人口減少などソフト99グループを取り巻く事業環境は現在進行形でめまぐるしく変化しております。
これらの変化によって新たに発生する社会課題の解決に向けて、既存の延長線上の考え方・行動から脱却し、新たなステージから前に進むため、成長ではなく『進化』が必要となると考えております。
Evolve(進化する)ことで社会課題の解決に資する価値を提供する存在であり続けることを目指すという思いを込めて第7次中期経営計画のテーマを『Evolve!!~進化せよ!!~』としました。

― 経営ビジョン

― 強化すべき事業分野

第7次中期経営計画においては、既存分野拡大と併せて3つのEvolveすべき分野を設定、デジタルを足がかりにこれまでにないアナログ的な価値を創り出すことで事業の拡大を図ります。

― 人財育成について

『利益の成長(アナログ的価値の創出)』と『サスティナビリティ』を実現するうえで『ヒトの成長』が不可欠であると認識しております。
ソフト99グループにおける『ヒトの成長』とは推進力とコントロールをともに高めることであり、誰かに引っ張ってもらうのではなく自らエンジンとして動き正しい方向へ(ステアリング)コンロールし進むことができる人財を育成することにあると考えております。

― 計数目標(連結)

第7次中期経営計画においては、第6次中計期間中の特需的追い風がなくとも付加価値の向上によって営業利益の伸長を目指します。

第7次中期経営計画 “ Evolve!! ” 連結損益計画

― 計数目標(セグメント別)

第6次中計を踏襲しファインケミカルを3ヵ年の成長ドライバーと位置付ける。

第7次中期経営計画 “ Evolve!! ” セグメント別損益計画

― 株主還元について

株主還元のポリシーは第6次中計を踏襲し『安定的・継続的な配当』、『連結営業利益の25%を目安』といたします。内部留保は将来の事業拡大と経営体質の強化のための投資に活用いたします。
2024年3月期においては70期・第7次中計スタートを記念して7%※1 (+3.0円)の配当を記念配当として上乗せし1株当たり41.0円(中間20.0円・期末21.0円)といたします。
また、第7次中計中に7億円程度※2 の自己株式取得を予定し株主還元を強化いたします。

  • ※1 2024年3月期 普通配当1株当たり38.0円(中間19.0円 期末19.0円)に7%を上乗せした金額(通期3.0円)を記念配当とする。
  • ※2 3年間で総額7億円程度の自己株式買い付けを予定。

営業利益と株主還元推移

― ステークホルダーからの正当な評価と効率性指標

事業運営上の効率性指標として第6次中期経営計画より重要指標としているROICを第7次中期経営計画においても継続し、『利益の成長』によって将来的に効率性指標におけるステークホルダーからの正当な評価を目指します。

第7次中期経営計画 “Evolve!!” 効率性指標

連結計算書類