事業報告(2019年4月1日から2020年3月31日まで)
会社の現況
当事業年度の事業の状況
事業の経過及び成果
当事業年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦や英国のEU離脱などの世界情勢に加え、国内では消費税増税後の個人消費の落ち込みにより不透明な状況が続いておりましたが、更に新型コロナウイルスの感染拡大懸念が様々な企業活動に悪影響を及ぼしており、景況感は悪化の一途をたどっております。各企業では、社員の安全や企業活動継続手段の確保のため、テレワークの実施を強く推奨されており、従来注力してきた働き方改革や業務効率化と合わせ喫緊の課題となっております。
当社の属する情報サービス産業では、引き続きクラウドなどの技術を採用したサービスが数多く登場し、システムの面で企業の課題解決の一翼を担っています。
このような経済環境のもと、当社は「顧客第一主義」を念頭に置き、最新技術を活用した製品開発に注力し、さらに利便性と信頼性を高めたサービスの提供及びサポート体制の構築に注力してまいりました。
主な施策といたしまして、上期には、主に働き方改革や消費税改正などの制度改正を控え、企業の課題解決をサポートする提案を行いましたが、制度改正への対応にとどまらず長期的な導入につながる提案活動を行ってまいりました。
下期には、基幹業務システムの10製品が「奉行クラウド」としてラインナップを揃えたことにより、それぞれの業務がつながり、より新しい業務スタイルや効率化の提案が可能となりました。また、販売パートナー様を対象とした「OBCパートナーカンファレンス」、ユーザー企業様向けに「奉行クラウドフォーラム」を開催し、今後展開していく「奉行クラウド」のサービス展開について情報提供を行い、営業活動につなげてまいりました。
しかしながら当事業年度の後半におきましては、自社製品のサポート終了や消費税改正による売上好調の反動及び新型コロナウイルス感染拡大による経済の後退の影響を少なからず受けている状況になります。
当事業年度末の当企業集団は、関連会社1社、その他の関係会社1社及びその他の関係会社の子会社1社で構成されており、当企業集団における主な取引内容等は、次のとおりであります。
関連会社ユニオンソフト株式会社(当社出資比率20.1%)は、ビジネスソフトウェア(手形の達人等)の開発・販売を行っており、当社は当該ソフトウェアの仕入・販売を行っております。その他の関係会社株式会社オービックにおいては、コンピュータのシステムインテグレーション事業、システムサポート事業を行っており、当社ソフトウェアプロダクトの一部を販売しております。また、その他の関係会社の子会社株式会社オービックオフィスオートメーションにおいては、OA関連機器の販売及び消耗品の販売を行っており、当社ソフトウェアプロダクトの販売も行っております。
現時点では子会社がありませんので、連結計算書類は作成しておりません。
このような施策の結果、売上高300億68百万円(前期比1.8%増)、営業利益129億79百万円(同1.0%減)、経常利益140億30百万円(同0.1%減)、当期純利益99億57百万円(同1.1%減)となりました。
なお、売上高が前期比1.8%増加した主な要因は、前事業年度から当事業年度第2四半期まで続いた製品のサポート終了や消費税改正に伴う製品ライフサイクルの更新等の特殊要因によるものであります。なお、売上高は増加しておりますが、売上原価や販売費及び一般管理費の増加、また前事業年度に計上した投資有価証券売却益の影響により、営業利益が同1.0%、経常利益が同0.1%、当期純利益が同1.1%それぞれ減少となりました。
<ご参考>業績サマリー

増収要因
前事業年度から当事業年度第2四半期まで続いた製品のサポート終了や消費税改正に伴う製品ライフサイクルの更新等の特殊要因によるものであります。
減益の要因
売上原価や販売費及び一般管理費の増加、また、前事業年度に計上した投資有価証券売却益の影響によるものであります。
品目別の売上状況
当社はソフトウェア事業の単一セグメントとし、品目別に「プロダクト」(ソリューションテクノロジー及び関連製品)と「サービス」で区分し、販売実績の品目別に開示することにしております。なお当事業年度の品目別の売上状況は次のとおりです。
品目別の状況

ソリューションテクノロジー及び関連製品
当事業年度のプロダクト(ソリューションテクノロジー及び関連製品)の売上高は前期比12.1%減少し、123億63百万円となり売上高構成比41.1%となりました。
当事業年度は、前事業年度から当事業年度第2四半期まで続いた製品のサポート終了や消費税改正に伴う特殊要因が終了した反動を受け、特に下期は製品のバージョンアップ売上が前年に比べ大幅に落ち込んだことを背景に、ソリューションテクノロジー売上高は86億86百万円(前期比18.5%減)、関連製品売上高は36億77百万円(前期比7.7%増)となりました。
サービス
当事業年度におけるサービスの売上高は前期比14.5%増加し、177億4百万円となり売上高構成比58.9%となりました。これは、安定的な保守契約売上が寄与したことによるものです。

設備投資の状況
当事業年度における設備投資額は、4億73百万円であります。
その主なものは、建物92百万円、工具器具備品1億30百万円及びソフトウェア2億51百万円の設備投資であります。
資金調達の状況
該当事項はありません。
対処すべき課題
情報サービス産業については、社員の安全や企業活動継続手段の確保のためのテレワークや、労働力不足の解消・生産性の向上などの課題解決を目的とした投資は継続されることが予想され、自社に本当に必要なシステムや、従来のシステムとの連携も含めた全体最適の動きが強まる傾向にあります。その中でも、クラウド・アプリケーションの活用はますます加速し、コアとなるシステムと、そのシステムに不足する機能を複数のアプリケーションで補完し活用する動きが高まり、システムの俊敏性や柔軟性の向上を図る対応が求められております。
このような状況の中で、当社は「顧客第一主義」を念頭におき、広く顧客及びパートナー企業に、今まで以上に利便性や信頼性を備え、高い満足をいただけるクラウドシステムや業務サービスの企画・開発、サポート&サービスの提供をし続けることに努めてまいります。
そのために対処すべき課題として、以下の内容を推進してまいります。
(コアコンピタンスの強化)
当社は、以下の「コアコンピタンスの強化」を実現することで、引き続きクラウドを活用した新たなビジネスモデルを創出し、イノベーションを起こしてまいります。
①企業業務(会計・人事・給与等)の業務サービスにフォーカスする
②中堅及び中規模・小規模企業にフォーカスする
③Microsoftのテクノロジーにフォーカスする
④パートナー戦略にフォーカスする
⑤ブランド戦略にフォーカスする
(クラウド製品及び業務サービスのさらなる進化・充実)
テレワークや、労働力不足の解消・生産性の向上などの課題に対し、当社は、2019年にフルラインナップ化を実現した「奉行クラウド」を引き続き進化させていくとともに、様々な業務とつながる・広がるシステムとして成長させ、顧客のニーズに的確かつ柔軟にお応えできる製品の開発・提供を続けてまいります。
また、主力の奉行シリーズを補完し、お客様に生産性や対応力の向上を提供する「奉行クラウドEdge」のさらなる充実を図り、顧客やパートナー企業に今まで以上の利便性と信頼性、付加価値をご提供し、ご満足いただくことによって、良好で長期的な取引関係を築き、安定した収益基盤の充実を図ってまいります。
(新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響への対応)
新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響が鎮静化する時期の予測は大変困難であり、その時期次第では当社の業績に影響を与える可能性がありますが、テレワークなどの需要の高まりに合わせて、「奉行クラウド」をはじめとするクラウドサービスの強みをお客様にアピールしてまいります。また、当社では、社員の安全確保とともに徹底した衛生管理を呼びかけ、時差出勤・テレワーク・情報収集等を実施し、新型コロナウイルスの感染拡大を抑え、企業活動の継続を維持することで、この難局の中であっても、2020年度事業計画を達成するよう全社一丸となって取り組んでまいります。
(社員(人材)の確保と育成)
当社の基本方針でもある「採用と教育」は最重要方針として位置付けております。また、先を見通す論理性と人間の機微が分かる感性を持つ人材を育てること、そして社員が自らの専門性を高めるための仕組みづくりを行うことに尽力いたします。
最新テクノロジーの開発環境であっても、人が創造し開発し顧客へ提供してまいりますので、そこには人間力が必要となります。
従いまして、今後においても知識の習得などの技術的研修と社員一人ひとりの意識改革(マインド)研修の両軸から、人間力を強化し、さらに敏捷性・積極性を兼ね備えた人材の育成に取り組み、常に成長し続けられる組織づくりを行うことで「お客様貢献度」の高い人材を育成してまいります。