事業報告
事業の経過および成果
当期の経過および成果
当期の国内における景況感は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費に持ち直しの動きがみられるなど、緩やかな回復基調が続きました。国内化粧品市場は、全体として回復基調が継続したことに加え、増加傾向が続く訪日外国人によるインバウンド需要もあり、堅調に推移しましたが、夏から秋にかけては、台風や地震の影響を受けました。海外化粧品市場は、国によりばらつきがみられる欧州は弱い成長にとどまり、米州は成長が鈍化しているものの、中国やその他アジアでは堅調な成長が継続しました。
資生堂グループは2015年に、100年先も輝き続ける企業となるため中長期戦略VISION 2020をスタートさせました。日本発のグローバルビューティーカンパニーとして競争に勝ち抜くため、すべての活動をお客さま起点とし、グローバルでブランド価値向上に取り組んでいます。
当期は、VISION 2020の第2フェーズである後半3カ年の初年度であり、成長加速のための新戦略の実行に取り組みました。プレステージブランド事業を軸に積極的なマーケティング投資を継続しながら、デジタル化の加速や新規事業開発、さらにイノベーションによる新価値創造を進めました。また、日本、中国、トラベルリテール(空港免税店等)を一つの市場と捉え、主に中国のお客さまを対象としてアジア全域でクロスボーダーマーケティングを戦略的に実施しました。さらに、すべての価値を生み出す人材こそが成長の源泉と考え、人材への投資を積極的に行いました。
この結果、当期の売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のすべてにおいて、過去最高を更新しました。売上高は、戦略的に投資強化を続けているプレステージ領域が全体を牽引し現地通貨ベースで前期比8.8%増、前期のゾートスインターナショナルInc.(以下、ゾートス社)譲渡影響等を除く実質ベースでは前期比14%増となりました。円換算後では、前期比8.9%増の1兆948億円となりました。
営業利益は、売上増に伴う差益増に加え、収益性の高いプレステージブランド等の好調によるコスト構造の改善などにより、前期比34.7%増の1,084億円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比169.9%増の614億円となりました。なお、前期は、米国のベアエッセンシャルInc.に係る無形固定資産等の減損損失を特別損失として計上しています。
VISION 2020の当初の売上高目標1兆円超を前期に3年前倒しで達成したことに続き、当期は営業利益目標1,000億円超を2年前倒しで達成しました。
当期の連結売上高営業利益率は9.9%、連結ROE(自己資本当期純利益率)は14.1%、連結ROIC(投下資本利益率)は13.1%となりました。当期における財務諸表項目(収益および費用)の主な為替換算レートは、1ドル=110.4円、1ユーロ=130.4円、1中国元=16.7円です。
- (注)第116期の連結ROEは、当社および3月決算であった連結子会社は9カ月間、12月決算であった連結子会社は12カ月間を連結対象期間とした親会社株主に帰属する当期純利益を分子として算出しています。

- (注)1.当期より、当社グループ内の経営管理体制に合わせ、報告セグメントの区分方法を見直しています。従来“欧州事業”に計上していたアジアパシフィックのフレグランス事業は“アジアパシフィック事業”へ、“欧州事業”に計上していたトラベルリテールのフレグランス事業は“トラベルリテール事業”へ、“その他”に計上していた「2e(ドゥーエ)」と「NAVISION」は“日本事業”へ計上しています。また、業績管理区分の一部見直しに伴い、“米州事業”に計上していた「NARS」「bareMinerals」「LAURA MERCIER」のうち各地域で展開している一部の代理店商流の事業については、“アジアパシフィック事業” “欧州事業” “トラベルリテール事業”へ計上しています。また、従来“日本事業”に計上していた(株)イプサの業績は“その他”へ計上しています。
- 2.前期比の比率は、変更後の区分方法により作成した数値を記載しています。
- 3.“その他”は、本社機能部門、(株)イプサ、生産事業、フロンティアサイエンス事業(化粧品原料、医療用医薬品)および飲食業などを含んでいます。
事業別の取り組み
-
売上構成比
詳細はこちら
(単位:)
売上高
前期比%増
マーケティング投資強化によるブランド成長、インバウンド需要の獲得
日本事業は、マーケティング投資を強化してきた中高価格帯のブランドが好調を継続し日本のお客さまの売上が拡大したことに加え、アジア全域でのクロスボーダーマーケティングの強化により訪日外国人向けのインバウンド需要を確実に獲得したことなどから、市場を大きく上回る成長となりました。
持続的な成長に向けて、当社が強みを持つスキンケア、ベースメイクアップ、サンケアの“肌3分野”に引き続き注力しました。「SHISEIDO」では、美容液「アルティミューン」やメイクアップ商品をリニューアルするとともに、若年層に向けたマーケティング強化を行い、売上が大きく伸長しました。「エリクシール」では、前期に発売したしわ改善クリームが新たなお客さまの拡大に貢献したほか、化粧水・乳液の売上拡大がブランド全体の力強い成長につながりました。
以上のことから、売上高は前期比9.0%増の4,546億円となりました。営業利益は、マーケティング投資を強化している一方、売上増に伴う差益増や原価率の低減などが寄与し、前期比16.9%増の914億円となりました。 -
売上構成比
詳細はこちら
(単位:)
売上高
前期比%増
“メイド・イン・ジャパン”ブランドの飛躍的成長、収益性改善
中国事業では、「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「イプサ」、「NARS」などのプレステージブランドが高成長を持続したことに加え、コスメティクスブランドでは“メイド・イン・ジャパン”ブランドである「エリクシール」や「アネッサ」が大きく伸長しました。Eコマースは、プレステージやコスメティクスの商品を積極展開したことに加え、デジタルを活用したマーケティングの展開や、中国のネット通販大手との協業の強化などにより、大きく成長しました。課題としていた中国現地のコスメティクスブランドについては、「オプレ」で成長性が高い中規模の3~4級都市への投資を強化したほか、前期に取引制度改定を行った「Za」や「ピュア&マイルド」ではセルフ販売チャネルを強化するなど収益性改善に向けて取り組みました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前期比32.3%増、円換算後では前期比32.3%増の1,908億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増に加え、マーケティング投資効率の向上などにより、前期比116.4%増の245億円となりました。- 売上構成比 詳細はこちら
(単位:)
売上高
前期比%増
プレステージブランドの牽引とコスメティクス・パーソナルケアの伸長
アジアパシフィック事業では、プレステージブランドの「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「NARS」が韓国やタイを中心に大きく成長しました。また、東南アジア地域では、「NARS」の直営店展開を拡大し好調な実績となりました。コスメティクス・パーソナルケアの領域では、国や地域ごとに異なるお客さまの嗜好や生活習慣に合わせたマーケティングを強化し、アジア専用商品を発売した「SENKA」や、「アネッサ」の売上が伸長しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前期比13.1%増、円換算後では前期比13.9%増の681億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前期比8.7%増の78億円となりました。- 売上構成比 詳細はこちら
(単位:)
売上高
前期比%減
実質成長4%増
メイクアップやデジタル領域への積極投資
米州事業では、メイクアップやデジタル領域への投資を積極的に行い、「SHISEIDO」、「NARS」、「LAURAMERCIER」などのプレステージブランドが成長を継続したほか、フレグランスブランドの「Dolce&Gabbana」も好調に推移しました。一方、「bareMinerals」では、新たなブランド戦略のもと“THE POWER OF GOOD”をコンセプトとした新マーケティングをスタートし、ブランドの再生に取り組みました。収益性が低い直営店の閉鎖を進めたことにより、売上は前期を下回ったものの、売上・利益ともに期初の計画を達成しました。また、新たな価値創出を目指し、2018年1月にOlivo Laboratoriesの保有する最先端の人工皮膚形成技術“Second Skin”および関連事業に関する資産を取得しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前期比0.4%減、事業譲渡影響等を除く実質ベースでは前期比4%増、円換算後では前期比1.8%減の1,317億円となりました。営業損失は前期に対し30億円増の148億円となりました。米州事業を機能別に分けると、米州における販売事業、グローバルで展開するメイクアップのブランドホルダー機能、メイクアップ、デジタル、テクノロジーの価値創造の拠点となる“センター・オブ・エクセレンス”(CoE)※機能を持ち、このグローバル機能の戦略的投資も負担しています。販売事業では1桁半ばの営業利益率となりましたが、現状ではブランドホルダーの投資を吸収して、収益化はできていません。今後は「bareMinerals」の構造改革を実現し、収益性を改善していきます。- センター・オブ・エクセレンス(CoE):スキンケアは日本、メイクアップとデジタルは米州、フレグランスは欧州といった、各カテゴリーにおいてグローバルで最先端の地域が、当社のグローバルな戦略立案・商品開発をリードする体制のことです。
米州事業の収益構造
- 売上構成比 詳細はこちら
(単位:)
売上高
前期比%増
実質成長5%増
「Dolce&Gabbana」が確実に成長、投資を強化
欧州事業では、持続的な成長性拡大に向けてマーケティング投資を強化した「Dolce&Gabbana」が好調に推移しました。一方、その他のフレグランスブランドの売上が前期を下回りました。「SHISEIDO」はスキンケア商品が好調に推移しシェアを拡大したほか、「NARS」も成長を継続しました。また、収益性改善に向け、欧州地域で統合した組織の最適化を進めました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前期比1.4%増、事業譲渡影響等を除く実質ベースでは前期比5%増、円換算後では前期比4.3%増の1,132億円となりました。営業損失は前期に対し22億円増の80億円となりました。欧州事業を機能別に分けると、欧州における販売事業、フレグランスのブランドホルダー機能、フレグランスの“センター・オブ・エクセレンス”機能を持ち、このグローバル機能の戦略的投資も負担しています。販売事業では1桁後半の営業利益率となりましたが、現状ではブランドホルダーの投資を吸収して収益化できていません。今後、売上を拡大することで収益性を改善していきます。欧州事業の収益構造
- 売上構成比 詳細はこちら
(単位:)
売上高
前期比%増
実質成長40%増
アジアが高成長を牽引、高収益率を継続
トラベルリテール事業(空港免税店等での化粧品・フレグランスの販売)は、旅行者の増加に伴いアジアを中心に市場が拡大しています。当社は同事業について成長余地が大きいことから、グローバルプレステージ領域でのポジションを一層強化することをねらいに、最重要事業の一つとして積極的に取り組んでいます。
当期は、世界各地の空港での広告宣伝など積極的なマーケティング投資の効果により、韓国・中国・タイなどアジアを中心に「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「NARS」、「アネッサ」が前年を大きく上回る伸長を継続しました。成長加速に向け、新ブランドの導入や店頭対応力の向上に取り組んだほか、大手オペレーターとの関係強化にも努めました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前期比35.4%増、事業譲渡影響等を除く実質ベースでは前期比40%増、円換算後では前期比34.7%増の876億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前期比17.0%増の176億円となりました。- 売上構成比 詳細はこちら
(単位:)
売上高
前期比%減
実質成長1%増
中国・アジアの成長加速
プロフェッショナル事業は、ヘアサロン向けのヘアケア、スタイリング剤、ヘアカラー剤やパーマ剤などの技術商材を販売しているほか、日本とタイでは直営美容室も展開しています。当期は、中国・アジアにおける成長加速を目指し、商品やマーケティングの強化に取り組みました。なお、グローバルでの事業・ブランドポートフォリオの再構築の中で、前期にサロン向けヘアケア事業をグローバルに展開していた子会社のゾートス社の株式および関連資産をドイツのヘンケルAG& Co. KGaAに譲渡しました。
以上のことから、売上高は上記譲渡の影響により現地通貨ベースで前期比57.7%減、事業譲渡影響を除く実質ベースでは前期比1%増、円換算後では前期比57.6%減の203億円となりました。営業利益は売上減に伴う差益減などにより、前期比72.4%減の8億円となりました。∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧
-
売上構成比
(単位:)
売上高
前期比%増
マーケティング投資強化によるブランド成長、
インバウンド需要の獲得日本事業は、マーケティング投資を強化してきた中高価格帯のブランドが好調を継続し日本のお客さまの売上が拡大したことに加え、アジア全域でのクロスボーダーマーケティングの強化により訪日外国人向けのインバウンド需要を確実に獲得したことなどから、市場を大きく上回る成長となりました。
持続的な成長に向けて、当社が強みを持つスキンケア、ベースメイクアップ、サンケアの“肌3分野”に引き続き注力しました。「SHISEIDO」では、美容液「アルティミューン」やメイクアップ商品をリニューアルするとともに、若年層に向けたマーケティング強化を行い、売上が大きく伸長しました。「エリクシール」では、前期に発売したしわ改善クリームが新たなお客さまの拡大に貢献したほか、化粧水・乳液の売上拡大がブランド全体の力強い成長につながりました。
以上のことから、売上高は前期比9.0%増の4,546億円となりました。営業利益は、マーケティング投資を強化している一方、売上増に伴う差益増や原価率の低減などが寄与し、前期比16.9%増の914億円となりました。 -
売上構成比
(単位:)
売上高
前期比%増
“メイド・イン・ジャパン”ブランドの飛躍的成長、
収益性改善中国事業では、「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「イプサ」、「NARS」などのプレステージブランドが高成長を持続したことに加え、コスメティクスブランドでは“メイド・イン・ジャパン”ブランドである「エリクシール」や「アネッサ」が大きく伸長しました。Eコマースは、プレステージやコスメティクスの商品を積極展開したことに加え、デジタルを活用したマーケティングの展開や、中国のネット通販大手との協業の強化などにより、大きく成長しました。課題としていた中国現地のコスメティクスブランドについては、「オプレ」で成長性が高い中規模の3~4級都市への投資を強化したほか、前期に取引制度改定を行った「Za」や「ピュア&マイルド」ではセルフ販売チャネルを強化するなど収益性改善に向けて取り組みました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前期比32.3%増、円換算後では前期比32.3%増の1,908億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増に加え、マーケティング投資効率の向上などにより、前期比116.4%増の245億円となりました。売上構成比
(単位:)
売上高
前期比%増
プレステージブランドの牽引と
コスメティクス・パーソナルケアの伸長アジアパシフィック事業では、プレステージブランドの「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「NARS」が韓国やタイを中心に大きく成長しました。また、東南アジア地域では、「NARS」の直営店展開を拡大し好調な実績となりました。コスメティクス・パーソナルケアの領域では、国や地域ごとに異なるお客さまの嗜好や生活習慣に合わせたマーケティングを強化し、アジア専用商品を発売した「SENKA」や、「アネッサ」の売上が伸長しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前期比13.1%増、円換算後では前期比13.9%増の681億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前期比8.7%増の78億円となりました。売上構成比
(単位:)
売上高
前期比%減
実質成長4%増
メイクアップやデジタル領域への積極投資
米州事業では、メイクアップやデジタル領域への投資を積極的に行い、「SHISEIDO」、「NARS」、「LAURAMERCIER」などのプレステージブランドが成長を継続したほか、フレグランスブランドの「Dolce&Gabbana」も好調に推移しました。一方、「bareMinerals」では、新たなブランド戦略のもと“THE POWER OF GOOD”をコンセプトとした新マーケティングをスタートし、ブランドの再生に取り組みました。収益性が低い直営店の閉鎖を進めたことにより、売上は前期を下回ったものの、売上・利益ともに期初の計画を達成しました。また、新たな価値創出を目指し、2018年1月にOlivo Laboratoriesの保有する最先端の人工皮膚形成技術“Second Skin”および関連事業に関する資産を取得しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前期比0.4%減、事業譲渡影響等を除く実質ベースでは前期比4%増、円換算後では前期比1.8%減の1,317億円となりました。営業損失は前期に対し30億円増の148億円となりました。米州事業を機能別に分けると、米州における販売事業、グローバルで展開するメイクアップのブランドホルダー機能、メイクアップ、デジタル、テクノロジーの価値創造の拠点となる“センター・オブ・エクセレンス”(CoE)※機能を持ち、このグローバル機能の戦略的投資も負担しています。販売事業では1桁半ばの営業利益率となりましたが、現状ではブランドホルダーの投資を吸収して、収益化はできていません。今後は「bareMinerals」の構造改革を実現し、収益性を改善していきます。※センター・オブ・エクセレンス(CoE):スキンケアは日本、メイクアップとデジタルは米州、フレグランスは欧州といった、各カテゴリーにおいてグローバルで最先端の地域が、当社のグローバルな戦略立案・商品開発をリードする体制のことです。
米州事業の収益構造
売上構成比
(単位:)
売上高
前期比%増
実質成長5%増
「Dolce&Gabbana」が確実に成長、
投資を強化欧州事業では、持続的な成長性拡大に向けてマーケティング投資を強化した「Dolce&Gabbana」が好調に推移しました。一方、その他のフレグランスブランドの売上が前期を下回りました。「SHISEIDO」はスキンケア商品が好調に推移しシェアを拡大したほか、「NARS」も成長を継続しました。また、収益性改善に向け、欧州地域で統合した組織の最適化を進めました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前期比1.4%増、事業譲渡影響等を除く実質ベースでは前期比5%増、円換算後では前期比4.3%増の1,132億円となりました。営業損失は前期に対し22億円増の80億円となりました。欧州事業を機能別に分けると、欧州における販売事業、フレグランスのブランドホルダー機能、フレグランスの“センター・オブ・エクセレンス”機能を持ち、このグローバル機能の戦略的投資も負担しています。販売事業では1桁後半の営業利益率となりましたが、現状ではブランドホルダーの投資を吸収して収益化できていません。今後、売上を拡大することで収益性を改善していきます。欧州事業の収益構造
売上構成比
(単位:)
売上高
前期比%増
実質成長40%増
アジアが高成長を牽引、高収益率を継続
トラベルリテール事業(空港免税店等での化粧品・フレグランスの販売)は、旅行者の増加に伴いアジアを中心に市場が拡大しています。当社は同事業について成長余地が大きいことから、グローバルプレステージ領域でのポジションを一層強化することをねらいに、最重要事業の一つとして積極的に取り組んでいます。
当期は、世界各地の空港での広告宣伝など積極的なマーケティング投資の効果により、韓国・中国・タイなどアジアを中心に「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「NARS」、「アネッサ」が前年を大きく上回る伸長を継続しました。成長加速に向け、新ブランドの導入や店頭対応力の向上に取り組んだほか、大手オペレーターとの関係強化にも努めました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前期比35.4%増、事業譲渡影響等を除く実質ベースでは前期比40%増、円換算後では前期比34.7%増の876億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前期比17.0%増の176億円となりました。売上構成比
(単位:)
売上高
前期比%減
実質成長1%増
中国・アジアの成長加速
プロフェッショナル事業は、ヘアサロン向けのヘアケア、スタイリング剤、ヘアカラー剤やパーマ剤などの技術商材を販売しているほか、日本とタイでは直営美容室も展開しています。当期は、中国・アジアにおける成長加速を目指し、商品やマーケティングの強化に取り組みました。なお、グローバルでの事業・ブランドポートフォリオの再構築の中で、前期にサロン向けヘアケア事業をグローバルに展開していた子会社のゾートス社の株式および関連資産をドイツのヘンケルAG& Co. KGaAに譲渡しました。
以上のことから、売上高は上記譲渡の影響により現地通貨ベースで前期比57.7%減、事業譲渡影響を除く実質ベースでは前期比1%増、円換算後では前期比57.6%減の203億円となりました。営業利益は売上減に伴う差益減などにより、前期比72.4%減の8億円となりました。資本政策
資本政策の基本方針(2018年12月31日現在)
当社は持続的成長に向けて、必要と判断されるタイミングで迅速・果断に投資を行うため株主資本の水準保持に努めます。そのうえで、フリーキャッシュフローやキャッシュコンバージョンサイクルを重視して、キャッシュ・フローとバランスシートのマネジメントの強化により、資本効率を意識した経営を実践します。
資金調達に関しては、有利な条件で調達が可能となる格付シングルAレベルを維持すべく、デット・エクイティ・レシオ0.3、EBITDA有利子負債倍率1.0倍を目安としながら、市場環境などを勘案して最適な方法でタイムリーに実施します。ただし、今後の収益力およびキャッシュ・フロー創出力を考慮したうえで、上記指標は株主還元方針と併せて、さらなる資本効率の向上に資する最適資本構成になるよう、適宜見直します。
株主のみなさまへの利益還元については、直接的な利益還元と中長期的な株価上昇による“株式トータルリターンの実現”を目指しています。この考え方に基づき、持続的な成長のための戦略投資を最優先とし、企業価値の最大化を目指す一方で、資本コストを意識しながら投下資本効率を高め、中長期的に配当の増加と株価上昇につなげていくことを基本方針としています。
配当金の決定にあたっては、連結業績、フリーキャッシュフローの状況を重視し、資本政策を反映する指標の一つとして自己資本配当率(DOE)2.5%以上を目安とした長期安定的かつ継続的な還元拡充を実現します。
なお、自己株式取得については、市場環境を踏まえ、機動的に行う方針としています。利益還元の状況の推移
(注)第119期(当期)の1株当たり年間配当額および年間配当額は、2019年3月26日開催予定の定時株主総会の第1号議案(剰余金の配当の件)が原案どおり可決されることを前提とした金額です。
続きを見る閉じる連結計算書類
- 連結貸借対照表を見る
- 連結損益計算書を見る
議決権を行使する
- 売上構成比 詳細はこちら