事業報告(2020年1月1日から2020年12月31日まで)
当社グループの現況に関する事項
<国際財務報告基準(IFRS)の適用>
当社グループは、連結財務諸表および連結計算書類等の国際的な比較可能性の向上とグループの経営管理強化を目的に、第158期より国際財務報告基準(以下、「IFRS」という。)を任意適用しています。また、第157期の財務数値についてもIFRSに準拠して表示しております。
1.直前3事業年度の損益および財産の状況

<ご参考> 事業報告サマリー




2.事業の経過およびその成果
当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、企業収益が大幅に減少し雇用情勢が悪化するなど、厳しい状況で推移しました。
当社グループが主に事業を展開する国内一般用消費財業界においては、訪日観光客数の減少によるインバウンド需要の減少がありましたが、衛生関連品等の需要増などにより、市場全体は拡大しました。
このような環境の中、当社グループは、中期経営計画「LIVE計画(LION Value Evolution Plan)」の基本戦略である、「新価値創造による事業の拡張・進化」、「グローカライゼーションによる海外事業の成長加速」、「事業構造改革による経営基盤の強化」、「変革に向けたダイナミズムの創出」にもとづく施策を推進しました。また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、国内外の事業活動に影響が生じましたが、当社グループは社会的責任を果たすべく、感染拡大の防止と従業員の安全確保に最大限努めるとともに、商品の供給継続に注力しました。
国内事業では、主力ブランドで高付加価値の新製品を投入し、効率的なマーケティング施策等で育成を図りました。
海外事業では、洗濯用洗剤等のホームケア分野の収益性向上、オーラルケア、ビューティケア等のパーソナルケア分野の事業規模拡大に取り組みました。
以上の結果、当期の連結業績は、売上高3,553億5千2百万円(前期比2.3%増、為替変動の影響を除いた実質前期比3.2%増)、事業利益359億3千7百万円(前期比19.6%増)、営業利益440億7千4百万円(同47.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益298億7千万円(同45.3%増)となりました。
部門別の状況


当事業は、「オーラルケア分野」、「ビューティケア分野」、「ファブリックケア分野」、「リビングケア分野」、「薬品分野」、「その他の分野」に分かれており、全体の売上高は、前期比4.8%の増加となりました。事業利益は、前期比25.5%の増加となりました。


オーラルケア分野
売上高664億7百万円(前期比 2.9%増)

当分野では、ハミガキ、ハブラシ、デンタルリンス等を取り扱っており、全体の売上高は前期比2.9%の増加となりました。
ハミガキは、前期に発売した「システマ ハグキプラス プレミアムハミガキ」がお客様のご好評をいただくとともに、“歯に蓄積した着色汚れによるくすみ”まで除去する「システマEX W ハミガキ」を新発売した「システマEX ハミガキ」が好調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
ハブラシは、前期に発売した「NONIO ハブラシ」がお客様のご好評をいただきましたが、「ビトイーン」が前期を下回り、全体の売上は前期比微減となりました。
デンタルリンスは、「NONIO マウスウォッシュ」が好調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。

ビューティケア分野
売上高314億89百万円(前期比 40.9%増)

当分野では、ハンドソープ、ボディソープ、制汗剤等を取り扱っており、全体の売上高は前期比40.9%の増加となりました。
ハンドソープは、「キレイキレイ薬用泡ハンドソープ」が前期を大幅に上回るとともに、きちんと殺菌して、“うるおいバリア”が手肌を守る新製品「キレイキレイ薬用ハンドコンディショニングソープ」がお客様のご好評をいただき、全体の売上は前期を大幅に上回りました。
ボディソープは、新たにオイルインタイプを追加した「hadakara ボディソープ」が順調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
制汗剤は、新配合の高密着成分(無水硫酸ナトリウム)により、こすれに強く、高い密着力を実現した新製品「Ban 汗ブロック プラチナロールオン」がお客様のご好評をいただきましたが、「Ban 汗ブロック 足用ジェル」が前期を下回り、全体の売上は前期を下回りました。

ファブリックケア分野
売上高591億19百万円(前期比 2.7%減)

当分野では、柔軟剤、洗濯用洗剤、漂白剤等を取り扱っており、全体の売上高は前期比2.7%の減少となりました。
柔軟剤は、「ソフラン プレミアム消臭」が伸び悩むとともに、「ソフラン アロマリッチ」が競争激化の影響で前期を下回り、全体の売上は前期比微減となりました。
洗濯用洗剤は、前期に発売した液体高濃度洗剤「トップ スーパーNANOX ニオイ専用」がお客様のご好評をいただきましたが、液体洗剤「トップ クリアリキッド」が前期を下回り、全体の売上は前期比微減となりました。

リビングケア分野
売上高240億63百万円(前期比 21.7%増)

当分野では、台所用洗剤、住居用洗剤、調理関連品を取り扱っており、全体の売上高は前期比21.7%の増加となりました。
台所用洗剤は、「CHARMY Magica」や食器洗い機専用洗剤「CHARMY クリスタ」が好調に推移し、全体の売上は前期を大幅に上回りました。
住居用洗剤は、銀イオン配合の新製品が加わった浴室用洗剤「ルックプラス バスタブクレンジング」や浴室用カビ防止剤「ルックプラス おふろの防カビくん煙剤」が好調に推移し、全体の売上は前期を大幅に上回りました。

薬品分野
売上高238億97百万円(前期比 8.9%減)

当分野では、解熱鎮痛薬、点眼剤、皮膚用薬等を取り扱っており、全体の売上高は前期比8.9%の減少となりました。
解熱鎮痛薬は、「バファリン プレミアム」が順調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
点眼剤は、「スマイル40 プレミアムDX」や「スマイル40 メディクリアDX」が好調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
皮膚用薬は、かゆみに悩む方が、部位を手がかりに症状に適した薬を選びやすいようにした新製品「メソッド」シリーズを発売し、全体の売上は前期を大幅に上回りました。
ニキビ薬、足用冷却シートの売上は、訪日観光客数の減少に伴うインバウンド需要の減少により、前期を下回りました。

その他の分野
売上高405億15百万円(前期比 0.4%減)

その他の分野では、通信販売商品、ペット用品等を取り扱っており、全体の売上高は前期比0.4%の減少となりました。
通信販売商品は、「ナイスリムエッセンス ラクトフェリン」が前期を下回り、全体の売上は前期を下回りました。
ペット用品は、猫用トイレの砂「ニオイをとる砂」が堅調に推移するとともに、オーラルケア用品が好調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。

当事業は、タイヤの防着剤等を取り扱う「自動車分野」、2次電池向け導電性カーボン等の「電気・電子分野」、施設・厨房向け洗浄剤等の「業務用洗浄剤分野」等で構成されており、全体の売上高は、前期比0.2%の減少となりました。事業利益は、前期比23.7%の増加となりました。
自動車分野では、タイヤの防着剤や自動車部品用カーボンが前期を下回り、全体の売上は前期を下回りました。
電気・電子分野では、機能性材料や導電性樹脂の需要が減少し、全体の売上は前期を下回りました。
業務用洗浄剤分野では、食器洗浄機用洗浄剤等が前期を下回りましたが、厨房向け消毒用アルコールやハンドソープが前期を大幅に上回り、全体の売上は前期を上回りました。


海外は、タイ、マレーシア等の東南アジア、韓国、中国等の北東アジアにおいて事業を展開しております。全体の売上高は、前期比0.5%の増加(為替変動の影響を除いた実質前期比4.0%の増加)となりました。事業利益は、前期比5.4%の減少となりました。

東南アジア
売上高664億94百万円(前期比 4.4%減)

東南アジア全体の売上高は、前期比4.4%の減少となりました。
タイでは、ハンドソープが好調に推移しましたが、洗濯用洗剤が前期を下回り、円貨換算後の全体の売上は前期を下回りました。
また、マレーシアでは洗濯用洗剤が前期を上回りましたが、為替変動の影響を受け円貨換算後の全体の売上は前期を下回りました。

北東アジア
売上高351億56百万円(前期比 11.5%増)

北東アジア全体の売上高は、前期比11.5%の増加となりました。
韓国では、ハンドソープが前期を大幅に上回り、円貨換算後の全体の売上は前期を上回りました。
また、中国では、「システマ」ハブラシが好調に推移するとともに、ハンドソープや日本からの輸入品の販売が大幅に増加し、円貨換算後の全体の売上は前期を大幅に上回りました。

建設請負事業等を含むその他では、全体の売上高は、前期比1.5%の減少、事業利益は、前期比52.2%の増加となりました。
剰余金の配当等の決定に関する方針
当社は、連結収益力の向上により、株主の皆さまへの継続的かつ安定的な利益還元を行うことを経営の最重要課題と考え、配当は連結配当性向30%を目安として継続的かつ安定的に実施し、自己株式の取得は中長期的な成長のための内部留保を総合的に判断して実施を検討してまいります。内部留保は、企業成長力の強化、永続的な事業基盤の整備を行うことを目的として、研究開発・生産設備等への投資や外部資源獲得に充当してまいります。
当期の剰余金の配当につきましては、過去の支払実績および配当性向を勘案して、取締役会決議により、1株につき、中間11円(支払開始日:2020年9月4日)、期末12円(支払開始日:2021年3月2日)とさせていただきました。
<ご参考> 1株当たりの配当金の推移
