事業報告(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
企業集団の現況に関する事項
事業の経過及びその成果
当連結会計年度の当社グループを取り巻く環境は、期初から第3四半期にかけて、米国では緩やかながら景気拡大が持続した一方、日本・欧州では景気の足踏み状態が続き、中国では貿易摩擦の影響を受け景気は減速傾向にありました。第4四半期については、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受け、世界経済は不透明感が急速に強まりました。また、世界半導体市場は、ロジックデバイスでは市況は堅調であるものの、メモリデバイスでは需要減退による稼働調整局面が続き、シリコンウェハー市場も軟調に推移しました。
こうした状況下、当社グループでは一丸となって売上拡大とコスト削減に努めました結果、当連結会計年度の業績は、売上高38,408百万円(前期比2.7%増)、営業利益6,007百万円(前期比13.1%増)、経常利益6,177百万円(前期比9.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,270百万円(前期比0.1%増)となりました。
セグメント別売上高
日本

日本につきましては、非半導体向け製品の販売が減少したものの、最先端半導体デバイス向けCMP製品の販売が増加したことにより、売上高は21,894百万円(前期比1.6%増)、セグメント利益(営業利益)は5,434百万円(前期比5.0%増)となりました。
北米

北米につきましては、ロジックデバイス向けCMP製品の販売は堅調に推移しましたが、シリコンウェハー向け製品やメモリデバイス向けCMP製品の販売が減少したことから、売上高は5,738百万円(前期比4.7%減)、セグメント利益(営業利益)は売上減少に加え製品構成等の変化により、282百万円(前期比52.8%減)となりました。
アジア

アジアにつきましては、ハードディスク向け製品の販売が減少したものの、最先端ロジックデバイス向けCMP製品の販売が好調に推移したことから、売上高は9,252百万円(前期比13.2%増)、セグメント利益(営業利益)は1,954百万円(前期比47.2%増)となりました。
欧州

欧州につきましては、シリコンウェハー向け製品の販売が減少し、売上高は1,522百万円(前期比7.7%減)、セグメント利益(営業利益)は199百万円(前期比4.6%減)となりました。
用途別売上高
ウェハーラッピング

シリコンウェハー向け製品につきましては、特に小口径シリコンウェハー市場の減速により、ラッピング材の売上高は3,838百万円(前期比10.7%減)となりました。
ウェハーポリシング

ポリシング材につきましては、当社製品の採用が拡大したことから、売上高は9,006百万円(前期比4.5%増)となりました。
CMP向け

CMP向け製品につきましては、メモリデバイス市況は停滞したものの、最先端半導体デバイス向け製品の販売が増加したことにより、売上高は17,361百万円(前期比13.4%増)となりました。
ハードディスク向け

ハードディスク向け製品につきましては、SSD(ソリッドステート・ドライブ)への置き換えによる市場の縮小及び顧客の生産プロセス変更の影響により、売上高は2,164百万円(前期比4.5%減)となりました。
一般工業用研磨材

非半導体関連の一般工業用研磨材につきましては、中国の景気減速等の影響により需要が減少し、売上高は3,571百万円(前期比9.2%減)となりました。
対処すべき課題
当社が主に事業展開している半導体市場は好不況の波が激しい産業構造にあり、当社においては、その波から受ける影響を緩和させ、売上の安定化と更なる拡大を目指し、事業領域の拡大に努めてまいりました。しかしながら、2016年夏以降、ロジックデバイス、メモリデバイスともに堅調な需要に支えられ、シリコン事業及びCMP事業の売上が大きく伸長した結果、当社の半導体市場への依存度が高まる状況となっております。このように、依存度が高まっている半導体市場に対して、当社としては、中長期的にはかつてのように前年比二桁成長が続くことを期待することは困難であると考えております。このため、新規事業本部及び先端技術研究所においては引き続き短期及び中長期視点での研究開発と新規事業の探索・育成による事業領域の拡大に努めるとともに、機能材事業本部を中心に非半導体領域及び非研磨分野での用途拡大を進めていくことが当社の企業価値向上のための課題であると認識しております。
具体的な内容については、「7.会社の支配に関する基本方針 2.基本方針の実現に資する取組みの概要 ② 企業価値向上のための取組み(中長期経営計画)」に記載のとおりであります。