事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)
企業集団の現況に関する事項
事業の経過及びその成果
当連結会計年度の当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルスに関しては新たな変異株のまん延で依然として世界経済に影響を与えており、国際情勢に関しては予てから悪化していた米中関係に2月からのロシア・ウクライナ情勢が加わり国際社会の分断は一層深まりました。これらを背景にした、資源・エネルギー価格の高騰による物価上昇圧力の強まり、世界的な物流混乱はますます進行し、世界経済の不透明感は強まりました。
一方、世界半導体市場は、サプライチェーンの混乱が見られたものの、5G、データセンター、自動車や産業機器向けなど、半導体デバイスの旺盛な需要が継続し、市況は堅調に推移しました。
こうした状況下、当連結会計年度の業績は、半導体の旺盛な需要に支えられた結果、売上高51,731百万円(前期比23.3%増)、営業利益12,059百万円(前期比57.9%増)、経常利益12,490百万円(前期比62.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9,156百万円(前期比63.3%増)となりました。
なお、2022 年2月20日に、当社および当社の子会社であるFUJIMI TAIWAN LIMITEDが受けたサイバー攻撃により、お取引先、株主・投資家の皆様をはじめとする関係者の皆様には、多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことをあらためて深くお詫び申し上げます。
セグメント別売上高
日本

日本につきましては、最先端半導体デバイス向けCMP製品及びシリコンウェハー向け製品の販売が増加したことにより、売上高は31,884百万円(前期比28.7%増)、セグメント利益(営業利益)は売上増加に加え製品構成の良化により10,692百万円(前期比45.2%増)となりました。
北米

北米につきましては、CMP製品及びシリコンウェハー向け製品の販売が増加したことにより、売上高は6,273百万円(前期比11.5%増)となりましたが、セグメント利益(営業利益)は原材料価格及び物流費の上昇等により364百万円(前期比12.6%減)となりました。
アジア

アジアにつきましては、最先端ロジックデバイス向けCMP製品の販売が好調に推移したことから、売上高は11,845百万円(前期比17.9%増)、セグメント利益(営業利益)は2,709百万円(前期比32.1%増)となりました。
欧州

欧州につきましては、CMP製品の販売増加により、売上高は1,728百万円(前期比15.1%増)、セグメント利益(営業利益)は190百万円(前期比19.4%増)となりました。
用途別売上高
ウェハーラッピング

シリコンウェハー向け製品につきましては、半導体業界の高い稼働に支えられ、ラッピング材の売上高は6,249百万円(前期比35.7%増)となりました。
ウェハーポリシング

ポリシング材の売上高は12,149百万円(前期比26.3%増)となりました。
CMP向け

CMP向け製品につきましては、ロジック、メモリ向けともに需要は好調に推移し、売上高は24,571百万円(前期比22.6%増)となりました。
ハードディスク向け

ハードディスク向け製品につきましては、SSD(ソリッドステート・ドライブ)への置き換え及び一部顧客の事業撤退に伴う生産終了の影響もありましたが、売上高は1,725百万円(前期比1.2%増)となりました。
一般工業用研磨材

非半導体関連の一般工業用研磨材につきましては、自動車及び産業機械向け需要の回復もみられ、売上高は4,408百万円(前期比16.7%増)となりました。
財産及び損益の状況
企業集団の財産及び損益の状況
対処すべき課題
当社が主たる事業領域としている半導体市場は、これまでシリコンサイクルと呼ばれる構造的な景気循環が見られましたが、昨今の技術革新に伴い新製品や新たなサービスが広がっていることからも、半導体の需要は所謂スーパーサイクルに転じ、需要の拡大が継続すると見込まれています。当社のお客様であるシリコンウェハーメーカー及び半導体デバイスメーカーの多くは、旺盛な半導体需要に応えるべく積極的に大規模な設備投資計画を公表・実施しております。また、半導体の技術革新の進展に伴い、次世代製品開発や品質保証に関するお客様からの要求水準も高まっております。
一方で、近年、激甚化する自然災害や頻発化する情報セキュリティインシデント(サイバー攻撃等を含む情報セキュリティにおける事件や事故)について、経営環境の変化の中で看過できないものであると認識しております。実際に当社において、2022年2月20日に、第三者からの不正アクセスを伴うサイバー攻撃を受け、システム障害が発生し、一部の生産と出荷を見合わせ、決算発表にも遅れが生じる事態となり、関係各位に多大なるご心配ご迷惑をお掛けすることになりました。
このような経営環境の中、半導体市場において将来的に更なる需要増加が見込まれることを鑑み、当社は供給責任を果たすべく、国内外で段階的に設備投資を進めるべく体制を整備していくこと、次世代製品開発や品質保証に関するお客様の高まる要求水準を満たすべく研究開発や品質保証のレベルアップを図ること、また、緊急事態に備える事業継続力を強化することが、当社の企業価値向上のための課題であると認識しております。特に、事業継続力の強化については、サイバーセキュリティも含めて事業継続計画を拡充し、より強靭な供給体制を整えるべく、全社一丸となって取り組んでまいります。
一方で、中長期的な企業価値向上の観点からは、半導体市場に過度に依存しない売上の安定化と更なる拡大を目指し、事業領域を拡大する必要があると認識しております。このため、中長期視点での研究開発と新規事業の探索・育成による事業領域の拡大に努めるとともに、非半導体領域及び非研磨分野での用途拡大を進めていくことも当社の企業価値向上のための課題であると認識しております。
具体的な内容については、「7.会社の支配に関する基本方針 2.基本方針の実現に資する取組みの概要 ② 企業価値向上のための取組み」に記載のとおりであります。