株主の皆様へ
クボタグループは「食料・水・環境」分野で世界に貢献します。

企業理念クボタグローバルアイデンティティ



クボタグループがめざす社会価値と重なる国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」

2015年9月、国連本部において「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳の参加のもと、その成果文書として「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。本アジェンダでは、行動計画として17の目標・169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」が掲げられました。
クボタグループは、これらの内容も踏まえ、事業活動を通じたグローバルな課題の解決にチャレンジしています。
株主の皆様へ

「On Your Side」と「One Kubota」でイノベーションを加速
株主の皆様には、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申しあげます。
昨年は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済の停滞により、当社の事業も非常に厳しい状況に直面いたしました。しかしながら従業員をはじめ事業に関わる皆様の一丸となった努力のおかげで、この難局を何とか切り抜けることができました。改めて、当社の事業を支えていただいた関係者の方々全員に感謝を申しあげます。
今年は新しく作成した長期ビジョンおよび新中期経営計画がスタートします。クボタグループは2030年にむけて世界中の「食料・水・環境」の課題解決をめざし、お客様に寄り添い、お客様が抱える課題を発見し、お客様のビジネスに成功をお届けするという「On Your Side」の精神で、さらなるイノベーションを進めてまいります。クボタグループ一丸となり「One Kubota」として臨んでまいりますので、株主の皆様には今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申しあげます。
代表取締役社長北尾 裕一
社長メッセージ

社長就任から1年が経ちました。
どのような1年でしたか。
就任早々、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一部工場の閉鎖を余儀なくされるなど心配の多い1年となりましたが、改めて従業員の命を守る大切さを痛感し、クボタグループを支えてくださるすべての皆様に感謝することの多い1年でもありました。
業績面においても、新型コロナウイルスの影響を完全に避けることはできませんでしたが、グループを挙げての対応策によって感染流行が本格化した直後に想定された最悪の事態には至りませんでした。同時にクボタの事業がコロナ禍においても根強いニーズや期待に支えられていることを実感し、多くの人々に必要なエッセンシャルビジネスであることを強く認識させられた年だったと思います。
今回クボタとして初めて長期ビジョンを策定した背景は何でしょうか。また、ビジョンとして掲げられた「豊かな社会と自然の循環にコミットする“命を支えるプラットフォーマー”のイメージはどのようなものでしょうか。

気候変動や地球温暖化などの環境問題、自然災害やパンデミック、人口・資源問題、また世界政治の問題などが複雑に絡み合い、「このままの社会のあり方では、未来永劫続いていくことができない」という危機感が世界共通の認識になってきていると強く感じます。
今後10年に起こりうる様々な課題に対して向き合い、持続可能な日々の暮らしを守るために、クボタは何をすべきか、どう進むべきかを考えグループで共有したい、そうした思いで長期ビジョン「GMB2030」を策定しました。
「豊かな社会と自然の循環にコミットする」というのは、過去130年間クボタが事業として展開してきたことを改めて再確認したものです。130年間の我々の事業を振り返り、豊かな社会と自然の循環や社会インフラを支えてきたということをこれからも続けていこうということです。
「プラットフォーマー」とは、何かをやりたいと思ったときに必ず利用しなければならないサービスを提供している企業のことです。「食料・水・環境」の分野のどこかで、必ずクボタの製品やサービスが利用され、皆さんにとって必要不可欠な企業になりたい、そういう気概を込めてプラットフォーマーという言葉を使っています。
例えば、農業全体のフードバリューチェーンの入口から出口まで、農業資材の購入から農産物販売まで、全部をやろうとするとクボタ単独ではできません。アグリプラットフォームというものを構築し、関係企業・団体などにも参画してもらい、連携した基盤になればそれが可能になると考えています。そのために、現在、様々なスタートアップ企業に出資し、我々の足りないピースを補完し、お互いwin-winな関係を構築していこうとしています。
ビジョンの中では事業展開の柱として、「食料の生産性・安全性を高める」、「水資源・廃棄物の循環を促進する」、「都市環境・生活環境を向上させる」という3つのソリューションを提案されていますが、具体的にどのようなソリューションを追求していくお考えですか。
大きくは3つのソリューションの枠組みを提案していますが、具体例としては、
- 高センシング・分析システムや自動運転作業機、AI自動管理システムなどを活用したスマート農業の高度化
- 上下水道施設や河川洪水などを監視・管理する水環境プラットフォームの構築
- 様々な種類の廃棄物から資源を回収するソリューションの提供
などが挙げられます。
すでに取り組んでいるテーマのほか、着手段階や検討段階のテーマもありますが、競争力の高い製品・技術を核として、各事業部のシナジーを活かしたそれぞれのソリューションには大きな成長ポテンシャルがあると考えています。
長期ビジョンを推進する中で、既存事業はどのように発展・成長させていくのでしょうか。
新たなソリューションの土台となるのが、現在展開している既存事業です。既存事業の進化と「食料・水・環境」のシナジーが融合して新たなソリューションになるケースもあると思いますし、新しい技術を投入して新次元のソリューションになっていくケースもあるだろうと思います。いずれにせよ、新しいソリューションは既存事業・技術をベースとして生まれてくるものだと考えています。
具体的には、既存事業の活動をベースとして、研究開発本部や新事業推進部門が新事業の事業化を推進する役割を担い、イノベーションセンターや経営企画部門が社会の潮流を見極め新事業の芽を探し出す、これらが一体となりベクトルを合わせて新しい技術や事業の探索を進めていきます。既存事業の責任者をイノベーションセンターのトップに据えることで、新しい事業をいかに既存事業に絡めていくかを常に考える体制にしています。既存事業と長期ビジョンの展開、そして3つのソリューションの推進は一体化させなければ成功しないと考えています。
最後に、新中期経営計画の概要はどのようなものでしょうか。
中期経営計画は2021年からの5年間を2030年ビジョンに向けた土台づくりの期間と考え、事業活動の骨子を組み立てました。その中で軸となるのはESG経営の全面展開です。ESG(Environment・環境、Social・社会、Governance・ガバナンス)を中心とした非財務情報が企業価値を左右する傾向が強まっています。持続可能な事業経営やESGに対する関心が今後ますます高まることは間違いありません。そうした観点から、ESG経営への転換を図るための意思決定機関や推進部署も新設し、ESGを軸とした事業運営を推し進めてまいります。
また、長期的な観点に立って開発・事業テーマを探索して、経営資源を傾斜配分していきます。テーマ選定から事業運営体制の構築まで中期計画の期間内に目処をつけ、2025年までには将来の成長ドライバーとなり得る複数の事業を立ちあげていきたいと考えています。
同時に利益率の高い分野の着実な伸長、利益の出る体質づくり、事業運営の徹底的な効率化などの利益構造改革も強力に進めます。その結果、2025年には売上高2.3兆円、営業利益3,000億円の業績をめざしていきます。
「GMB2030」や新中期経営計画を達成することは容易ではありませんが、その実現に向けた経営に全力を傾ける所存です。今後のクボタの成長・発展に是非ご期待下さい。
財務ハイライト
※ 第129期より従来の米国基準(U.S.GAAP)に替えて国際財務報告基準(IFRS)を適用しています。
また、第128期の財務数値についても、IFRSに準拠して表示しています。






ご参考
長期ビジョン「GMB2030」

ご参考
中期経営計画
