事業報告(2021年1月1日から2021年12月31日まで)
当社グループは、前連結会計年度(2020年度)より決算期を3月31日から12月31日に変更いたしました。決算期の変更により、前連結会計年度は、2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヵ月間となっております。
これに伴い、前期との比較については、2020年1月1日から12月31日までの12ヵ月間を「前年同一期間」として算出した参考数値(監査対象外)と比較しております。
企業集団の現況に関する事項
当事業年度の事業の概要
事業の経過及び成果
当期の世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、各国で経済活動への制限が継続されました。また、ワクチン接種の拡大による経済回復が期待される一方で、変異株による感染症拡大が新たな懸念材料となるなど、先行き不透明な状況が続きました。国内経済においても、ワクチン接種が進む一方で、緊急事態宣言の再発令やまん延防止等重点措置の延長の影響により経済活動が制限されるなど、厳しい状況が継続しました。
このような状況においても、当期は、バルブ事業において、半導体製造設備向けが好調に推移したほか、原材料価格の高騰を受けて実施した価格改定の効果やそれに伴う駆け込み需要の発生により増収となりました。伸銅品事業においても、原材料相場の上昇に伴う販売価格の上昇及び販売量の増加により増収となりました。その結果、売上高の総額は前年同一期間比17.9%増の1,357億90百万円となりました。
損益面では、バルブ事業における増収による増益や、伸銅品事業における増収及び生産性向上による増益により、営業利益は前年同一期間比68.7%増の89億90百万円となりました。経常利益は前年同一期間比67.1%増の89億75百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同一期間比47.2%増の49億54百万円となりました。事業セグメント別の概況は以下の通りです。
事業セグメント別の概況
事業セグメント別連結売上高構成

売上高構成比 79%


バルブ事業の外部売上高は、国内市場では、半導体製造設備向けが好調に推移したほか、原材料価格の高騰を受けて実施した価格改定の効果やそれに伴う駆け込み需要の発生により増収となりました。海外市場では、欧州向けが減収となったものの、半導体製造設備向けを中心に中国向け及び米州向けが増収となったことから、前年同一期間比12.0%増の1,067億54百万円となりました。
営業利益は、半導体製造設備向けの増収による増益やコストダウン効果もあり、前年同一期間比29.9%増の120億88百万円となりました。
売上高構成比 20%


伸銅品事業の外部売上高は、売価に影響を与える原材料相場の上昇に伴う販売価格の上昇と販売量の増加により、前年同一期間比51.2%増の273億66百万円となりました。
営業利益は、増収及び生産性向上による増益により6億65百万円(前年同一期間は1億84百万円の営業損失)となりました。
売上高構成比 1%


その他の外部売上高は、ホテル事業で新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の再発令による宿泊客の減少等により、前年同一期間比1.8%減の16億68百万円となり、営業損益は、2億43百万円の営業損失(前年同一期間は3億44百万円の営業損失)となりました。
直前3事業年度の損益の状況
2020年12月期は、決算変更により9カ月決算です。
企業集団が対処すべき課題
■ 長期経営ビジョンの実現
2021年4月、当社は創業70周年を迎えました。これを機に企業としての存在意義と社会への貢献について、あらためて自らに問い直し、企業理念である「キッツ宣言」を改訂いたしました。今後、同時に策定した長期経営ビジョンの実現により、企業グループ一体となって企業価値の向上と持続的な成長を図ってまいります。

長期経営ビジョン「Beyond New Heights 2030 『流れ』を変える」
①2030年にありたい姿
テクノロジー/ソリューション
・「流す」「止める」「絞る」のあらゆるニーズに、オンリーワンの技術とユーザーの
期待を超える提案力で挑戦し続ける
コアビジネス/成長ビジネス
・情報化社会、サステナブル社会に向けて、コアビジネスの基盤を強化し、同時に
成長ビジネスへの参入を、リスクを恐れず加速させる
事業を通じた環境保全
・環境にやさしい商品・材料の開発や製造プロセスを追求し、持続可能な未来に
貢献することにより、社会から信頼される
多様な人財の活躍
・性別、年齢、国籍、文化等を超えて、社員一人ひとりがプロフェッショナルとして、
最高のパフォーマンスでいきいきと働いている
②定量目標と目指す経営構造
イ.定量目標
・平均売上高成長率:4%以上(2030年度の連結売上高2,000億円規模)
・ROE:10%以上(2030年度の連結当期純利益100億円規模)
ロ.経営構造
・コアビジネスと成長分野で収益をあげられる両利きの経営を目指す。
・デジタル化・脱炭素化を背景とした成長分野・地域へ積極的にリソースを投入する。
・投下資本収益性(ROIC)を重視した事業を展開する。
③長期戦略ターゲット領域
半導体・通信インフラ需要の爆発的成長と水素など新エネルギー転換を背景に、
既存ビジネス領域(建築設備、石油・一般化学)に加え、成長領域への拡張を目指す。
<成長領域>
都市/情報インフラ、半導体製造装置、機能性化学、純水・超純水プラント/装置、
次世代エネルギー/低炭素、水素サプライチェーン

■ サステナビリティ経営への取り組み
長期経営ビジョンでは、サステナビリティ経営を経営戦略の中核に据えています。2021年12月には、取締役会で決議のうえ、全社サステナビリティ推進委員会を設立しました。サステナビリティ経営重点テーマやKPI(重要業績評価指標)をグループ全体で共有し、目標達成に向けた進捗管理を行い、グループ全社員が一丸となって事業を通じた社会課題の解決に取り組むとともに、企業として非財務情報のパフォーマンス向上及び積極的な情報開示に努めてまいります。
サステナビリティ基本方針とサステナビリティスローガン
サステナビリティ経営の拠り所となるサステナビリティ基本方針を新たに策定し、2021年12月の取締役会で決議しました。サステナビリティスローガンは、変化の激しい世の中において変わること及び守ることの重要性を意識し実践していくための社員の道しるべです。
①サステナビリティ基本方針
キッツグループは、企業理念である「キッツ宣言」の実現に向けて、
1.事業を通じた社会課題の解決に取り組み、企業価値と社会価値の向上を図る
2.効率的で、公正かつ透明性の高い企業経営を実現し、社会から信頼される企業となる
3.あらゆるステークホルダーとの対話により、強固な信頼関係を構築する
②サステナビリティスローガン
つくる未来 のこす未来(Create the Future/Preserve the Future)
つくる未来
キッツグループは、「誠実」に行動し、そして「変革」を恐れずチャレンジし、
地球と人にやさしい循環型社会の実現を目指して、新しい未来を創造します。
のこす未来
キッツグループは、限りある地球資源と人の暮らしを守り続け、
私たちが次の世代にのこすことのできる社会の実現に努めます。
③サステナビリティ経営重点テーマ
キッツ宣言及び長期経営ビジョンの実現に向けて、ESGに係る取り組むべき優先課題をサステナビリティ経営重点テーマとして定めました(次表)。
