事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

当社グループは、財務情報の国際的な比較可能性の向上やグループ内の会計基準統一による経営基盤の強化のため、従来の日本基準に替えて、2019年3月期から国際財務報告基準(以下、「IFRS」といいます。)を適用しています。

企業集団の現況に関する事項

事業の経過およびその成果

当社は、2021年7月1日付で、DXビジネスのテレマティクスサービス事業をオートモーティブ分野へ編入し、モビリティ&テレマティクスサービス分野として組織を再編しました。当期の実績は、組織再編後の新分野にてご説明します。

当連結会計年度における当社の全社売上収益は、半導体などの部品供給不足による影響を主にモビリティ&テレマティクスサービス分野およびパブリックサービス分野で大きく受けましたが、新型コロナウイルス感染症による影響が前連結会計年度に比べて減少したことに加え、当第4四半期連結会計期間には大幅に生産と売上が回復したことなどから、前年同期比で増収となりました。全社営業利益は、第1四半期連結会計期間に実施した子会社の売却による売却益および金融資産の評価益を計上したことなどから、前年同期比で大幅な増益となりました。

なお、当連結会計年度の決算に使用した損益為替レートは以下のとおりです。

事業報告の「会社の体制および方針」につきましては、インターネット上の当社ウェブサイト(https://www.jvckenwood.com/ir/stock/stockholder/)に掲載しています。

事業区分別の概況

モビリティ&テレマティクスサービス分野

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※2020年3月期、2021年3月期の実績は、2022年3月期に編入したテレマティクスサービス事業を含みます。

売上収益

1,64251百万円
(前連結会計年度比4.5%増)

OEM事業は、半導体などの部品供給不足による影響を受けましたが、中国市場の回復にともない、自動車メーカー向けの販売が、堅調に推移したことなどから、増収となりました。

アフターマーケット事業は、半導体などの部品供給不足による影響を大きく受けたことから、減収となりました。

テレマティクスサービス事業は、損害保険会社向け通信型ドライブレコーダーなどテレマティクスソリューション関連商品の販売が増加したことなどから、増収となりました。

コア営業利益

2246百万円
(前連結会計年度比60.0%減)

OEM事業は増収により増益、アフターマーケット事業は減収の影響から減益となりました。

テレマティクスサービス事業は半導体不足や部品価格高騰の影響を受けたことから減益となりましたが、下半期では販売増加にともない大幅な増益となりました。

パブリックサービス分野

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売上収益

58089百万円
(前連結会計年度比4.6%減)

無線システム事業は、国内および米国を始めとする海外市場において需要は堅調に推移しましたが、アジア地域での新型コロナウイルス感染症によるロックダウンの影響や半導体などの部品供給不足による生産遅延の影響に加え、米国無線子会社の売却による減収影響を受けたことなどから、減収となりました。

業務用システム事業は、株式会社JVCケンウッド・公共産業システムの販売が徐々に回復してきたことに加え、ヘルスケア領域も国内海外ともにモニター事業の販売が堅調に推移したことから、半導体などの部品供給不足による影響を受けましたが、増収となりました。

コア営業利益

2467百万円
(前連結会計年度比32.3%増)

無線システム事業は減収の影響を固定費削減などにより吸収し、若干の減益に留めました。

業務用システム事業は増収の効果により、損失が縮小しました。

メディアサービス分野

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売上収益

53432百万円
(前連結会計年度比6.7%増)

メディア事業は、テレワークや巣ごもり需要の増加にともない、ホームオーディオやポータブル電源、プロジェクターの新商品などBtoCの販売が好調に推移したことに加え、BtoBも市況の回復にともない業務用リモートカメラの販売が好調に推移し、増収となりました。

エンタテインメント事業は、コンテンツビジネスが好調に推移したことから、増収となりました。

コア営業利益

273百万円
(前連結会計年度比437.0%増)

左記の増収の効果から、メディア事業は大幅な増益となり黒字に転換し、エンタテインメント事業は増益となりました。

会社の対処すべき課題

1.中期経営計画「VISION2023」について

当社は、企業ビジョン「感動と安心を世界の人々へ」で掲げている経営理念の実践を通じて、「たくましさ」と「したたかさ」を併せ持ったエクセレント・カンパニーへ飛躍することにより、ステークホルダーの皆様の期待に応える企業となることを目指しています。

2021年5月に策定した中期経営計画「VISION2023」は、『変革と成長』を基本戦略とし、既存事業の収益基盤を強化していく「変革」と、新規商材と新規事業の創造による成長事業を拡大していく「成長」を両輪として、サステナビリティ経営の推進とESGの強化に取り組みます。そして、最適な事業ポートフォリオへの転換によって持続的な企業価値向上を目指します。

2.当連結会計年度(2021年度)の振り返り

中期経営計画「VISION2023」の初年度にあたる2021年度は、2020年から続く新型コロナウイルス感染症の拡大や、半導体を中心とした部品供給問題、サプライチェーン問題などによる深刻な影響を受けた状態でスタートしました。そのような経営環境のもと、「VISION2023」の重点テーマである「事業ポートフォリオの再構築」や「収益基盤の強化」に向けた各種施策および経営課題への対応を実施いたしました。具体的な内容は以下のとおりです。

3.今後の取り組み

当社は、2022年度も引き続き、中期経営計画「VISION2023」で掲げた各種施策を継続推進することにより、最終年度である2023年度の経営目標達成を目指してまいります。

そして、当社は今後も企業ビジョンである「感動と安心を世界の人々へ」を実現すべく、社会課題解決に貢献するエクセレント・カンパニーへの飛躍を図ってまいります。そのため、当社の持つ強みをさらにブラッシュ・アップしながら、“デザイン思考の経営”をベースに、人材育成、風土構築、財務基盤の強化に取り組み、社会価値を創造することで、持続的な企業価値の向上を図ってまいります。

4.SDGs達成への貢献

当社グループは、事業と関連の強い社会課題を抽出・分析し、企業ビジョンとのつながりを考慮しながらマテリアリティ(重要課題)を特定しています。SDGs※1の全17ゴールのうちの8ゴールを最優先で取り組むべき重要課題として選定し、進捗管理のためKPIs※2として、定性・定量的な目標を設定しています。社会課題テーマ(社会、労働、環境、品質、経済、安全、ガバナンス、価値創造)を明確にし、課題解決に向けた製品やサービス、ソリューションを提供することで、持続的な企業価値の向上とSDGs達成への貢献を図ります。

※1:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)、※2:Key Performance Indicators(重要業績評価指標)

当社グループのSDGs優先8ゴール

2021年度もESG活動に取り組んでまいりました。引き続き、外部の評価指標を取り入れ、ESG強化によって持続的な企業価値向上を図ります。

外部機関による評価指標の主な選定・受賞状況

連結計算書類